ファミリーコンピュータ

登録日:2016/09/03 (土) 20:59:26
更新日:2019/09/20 Fri 23:14:28
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家族みんなでファミリーコンピュータ




ファミリーコンピュータとは、1983年7月15日に任天堂が発売した据置型ゲーム機。

【解説】



任天堂が販売した、第三世代据置型ゲーム機となる。

当時の定価は14,800円。
基本的に最後までこの価格だったが、後に廉価版ハードなどは登場している。

略称は「ファミコン」や「FC」が基本的に使われる。
というか、多分だが正式名称よりファミコン呼びの方が多いのではないだろうか。
この呼び名が定着した結果、ゲーム全般を指して「ファミコン」と呼ぶ人々もいた。
ある世代以上は未だにファミコン呼びが直っていなかったりする。
エスカレーター(自動式階段)然りマジックテープ(面ファスナー)然り、第一人者がそのまま一般名詞化するのはよくあることである。

この項目では略称はFC記載を基本的に採用することにする。

ハードの名称は上村雅之が考案した。
パーソナルコンピュータやホームコンピュータという言葉が普及していた時期、
彼は『ファミリー』はまだ使われてないという理由で思いついたらしい。
炬燵で家族団らんで遊ぶゲーム機のイメージを思い描いていた彼は、今のこの名前をベストと考えたとのこと。

携帯型のゲーム&ウオッチで成功を収めた任天堂が、次は当時人気だったドンキーコングを家庭でも遊べることを目標に開発に至った。
とは言え、開発時には本体開発部署に三人しかおらず、勝利する未来が見えなかった彼らは悲観的だった。
悲観的になったあまり、メモには愚痴という愚痴を書きまくっていた

しかし、完成したハードは当初の目標通りにアーケードゲームを一定レベルで再現できる性能を持っていた。
ローンチタイトルにも『ドンキーコング』を用意し、家庭でも楽しめるソフトを次々と投入している。

こうして発売に至ったFCは、最初は不具合による出荷停止などで販売台数が振るわなかった。
だがすぐに勢いを上昇させ、1年間で300万台を売り上げた。
家庭用ゲーム機市場の存在を広げながらも、事実上の独占状態を維持しながら日本国内では最終的に1,935万台売り上げる。
米国などでもヒットしたこのハードの全世界販売台数は6,191万台にもなる。

FCが家庭用ゲーム機市場から存在を消しつつあった90年代以降も、NEWファミコンに切り替えながら本体の製造を続けていた。
部品確保困難を理由に本体の製造を切り上げたのは、発売から20年ほど経過した2003年だった。
公式サポートの終了が宣言されたのは2007年10月31日で、その時は公式が「申し訳ない」とコメントしていたが、それを責める人間はいないだろう。

社会的に大きな影響をもたらしたこのハードは、以後の日本で家庭用ゲーム機が育つ土台を作る。
FC以前にも家庭用ゲーム機は存在したが、本ハードがなければ多くの会社がハード事業に参加することはなかったかもしれない。
FCより後発に出た同世代ハードも、「打倒FC」「ポスト・ファミコン」を目標にしていたハードも多い。

日本のゲーム史的に見ても、「原点にして頂点」とも言える開拓者的な存在だろう。

【ファミリーコンピュータの特徴】



本体外観


80年代に子供時代を過ごした人間の殆どが認知しているというデザイン。

本体色は、白とえんじ色のツートンカラーが基本。
何故この色が選ばれたのかというと、当時の山内博がこの色を単純に気に入ったからと言われている。
また、えんじ色のプラスチックが当時かなり安かったためコスト的にも良かったからという話もあるが、これはガセネタと否定されている。

本体中央上にはゲーム機にはなくてはならないカセット差込口が存在。
差込口にはカセットを挿入して遊ぶためのカセットコネクタがある。
そのコネクタへの埃やごみの侵入防止措置として、これまたお馴染みのコネクタカバーが存在。

カセット差込口からやや下の右側にはリセットボタン、左側には電源スイッチが配置されている。
これらボタン上部には取り扱いの説明書きが書いてあるという親切な仕様。
電源スイッチはスライド型でオン・オフを切り替える。

これらのスイッチに挟まれるようにイジェクトボタン(レバー)が存在。
これを引くと固定されたカセットを飛び出して外せるので、カセット用の安全策に思えるが単純に引っこ抜いてもカセットに影響はなかったりする。
じゃあなんで取り入れたのというと、「レバーを押すとカセットが飛び出るって子供が喜ぶんじゃね」という遊び心だったのだ。
使わなくても問題のない存在だったので、後のマイナーチェンジハードでは削除されている。

本体前面にはエキスパンドコネクタなる端子が存在し、周辺機器などを接続する拡張用端子となる。
このコネクタにも、上述したリセットボタンや電源スイッチと同じような取り扱いへの説明書きがある。
エキスパンドコネクタの上には、『FAMILY COMPUTER』の名前が光る。

本体背面はテレビに接続するために必要な端子などが配置されている。
左から順に、ACアタプタ端子・モードを切り替えるスイッチ・チャンネル切り替えスイッチ・RFスイッチ端子。
これらの端子やスイッチを挟むように、本体と連結したコントローラー二つを繋いだコードが挟んでいる。
端子を使うのに必要なACアダプタやRFスイッチは本体に同梱されている。

本体側面はコントローラーの収納スペースとなっている。
大きめな窪みが存在し、ここにそれぞれのコントローラーをはめ込むようにして設置する。
コントローラをただ放置しないように配慮された、地味に見えて実は重要な場所なのだ。


コントローラー


任天堂製のみならず、後の多くのハードに影響を与えた始祖的コントローラー。

本体に最初からコードが連結されており、一体型となっている(コスト削減の工夫)。
十字ボタン・ABボタン・STARTボタン・SELECTボタンという今では基本中の基本のボタンが特徴。
初期型の物は一部のボタンの材質の欠点を抱えており、後にプラスチック製に改良されている。
また、初期のABボタンはメジャーな丸形ではなくて四角形の形だった。

二つのコントローラーはそれぞれ『I』『II』となっている。
ファミコン愛用者が『ツーコン』と呼ぶのを聞いたことがある人はいるだろう。

そしてIIコンにはマイク機能を搭載している。
これは一部のソフトで使用することが可能だが、精度の問題で声の大きさを判別している。
ちなみにこのマイク機能、役に立つことを想定したのではなくて面白そうだからぶち込んだという物。
投入した経緯が経緯か、あまりソフトで採用されることはなく、NEWなどの一部互換機ではこの機能は削除されてしまっている。

後の任天堂の携帯機『ゲームボーイミクロ』はこのコントローラーを意識したデザインで、実際にファミコンカラーも発売された。

このコントローラーが革命的だったのは、「手の中に収められる」ということ。
それまでのゲームのコントローラーは、今でいうジョイスティックが主流であり、ゲーム機本体とは別に、コントローラーの置き場所が必要だった。
このため、座る位置や姿勢がどうしても固定されてしまい、長時間のプレイに向かないという弱点があったのである。
しかし、ファミコンの登場により、「置く」のではなく「持つ」というスタイルが定着。
以後、ゲーム機のコントローラーの標準となった。


ソフトメディア/パッケージ


ファミコンのソフトメディアは世界で一番有名なカセットソフトと言っても良い。

初期のソフトはタイトル名と版権、模様だけが描かれた単調なラベルが多かったが、
次第にそのゲームを表すようなイラストを掲載するようになる。
初期ラベル版の初代ドンキーコングのカセットの画像を見たことがある人も多いのではないだろうか。

ソフトメーカーによってカセットの色や形状も様々な違いがあったりもする。
アイレムの初期のFCソフトなんかは、赤いランプが光るLEDをつけていた。
バンダイのFCソフトは角が丸っこくなっている。
また、女神転生IIのように特殊なサウンドチップを組み込んで多様性のある音を鳴らせるようにしたカセットも存在する。

当時の容量は最大1MBit(=128KB)で*1、当時としては大きい容量だが現在からしたら信じられない程小さい。
この容量で、FCのソフト開発者はドラゴンクエストなどを実現したのである。
末期以降はバックアップ機能が追加されたりと、扱える容量や性能にも改善が見られる。
ただし、バックアップ機能に関しては経年劣化で電池が死んでしまっていることもある。

ソフト用のパッケージは紙のパッケージが採用されている。
パッケージにはゲームをイメージしたイラストなどが一面に飾られていた。


本体性能


CPU 6502系カスタムマイクロプロセッサ
メモリ 8KB
ビデオメモリ 64KB
解像度 256×240ドット
表示色 52色
サウンド PSG音源1音・ノイズ一音・デルタモジュレーション音源1音

発売当初は、コストパフォーマンスに優れた高性能を実現している。

使われているCPUは、高性能かつ低価格を実現した8bitCPUのMOS 6502の互換CPUとなる。
MOS 6502は高い人気を誇り、後のPCエンジンなども同様の系列の互換CPUを用いた。
当初はアーケードゲームに用いるZ80 CPUを使用する予定だったが、コストの問題から変更したらしい。

開発者にもソフト制作しやすいツールを提供し、当時としては画期的だった。
良いゲームを提供するには良い開発機材が必要不可欠なのだ。

有名なネタだが、このFCの性能は月面着陸に成功したアポロ11号を大きく上回るというネタがある。
一概に比べられないかもしれないが、確かにメモリ量や処理速度はFCに劣っている。
技術的な進化やアポロ11号の開発者達の凄さがわかるネタではあるだろう*2

音源はFC内部に搭載されており、電子ゲームより高音質かつ独特な音を表現した。
この独特な音源は「FC音源」と呼ばれ、この音源で音楽を表現する一種のジャンルを形成する。
ハードの性能が上がり、芳醇なゲーム音楽を楽しめるようになった今でも、この8bitサウンドを懐かしむ人は多い。
アニメやゲームの曲をファミコンの電子音風にアレンジしたものが出回っていることからも、その人気のほどがうかがえるだろう。

後に他社から様々な同世代ハードが生まれたが、打倒FCを標榜しただけあってFCの性能を超える物が多かった。
しかし、FCは自身より高性能な同世代ハードを屁ともせずに蹴散らし粉砕した。

90年代以降のFCソフトは開発が完全に使いこなしたのか、初期や全盛期のソフト群を上回る画面を表現できた。


ソフト展開


今のゲーム業界を支えるソフトの大半は、このハードから生まれたと言っても過言ではない。
ローンチタイトルは「ドンキーコング」、「ドンキーコングJR.」、「ポパイ」の3本。

まず手始めに任天堂製のソフトを忘れてはいけない。
FC第一弾のソフトとして販売されたのは、アーケードでも人気となった移植作『ドンキーコング』。
そして、世界で一番売れたソフトの『スーパーマリオブラザーズ』から連なる一連のシリーズ。
ゼルダの伝説』『メトロイド』『MOTHER』などの、任天堂を代表するブランドの出発地点となっている。

サードパーティは数多くのメーカーが参加し、今なお有名なメーカーからもはや亡きメーカーまでが揃った。

コナミ、ナムコ、ハドソン、カプコン、スクウェア、エニックス……、今なお知られる有名メーカーも参加している。
これらのメーカーは現在までファンを生み出している名作を多数生み出した。
ドラゴンクエストI』『ファイナルファンタジー』『ロックマン』など、サードメーカーを代表するソフトはFCから生まれている。
えっ?『飛龍の拳』などを輩出して今なお生きているカルチャーブレーンも忘れては困るって?

多種多様なソフトがあったので、当然名作だけではなく迷作も輩出しまくっている。
いっき』『スペランカー』『たけしの挑戦状』『星をみるひと』など、これもまた紹介しきれない。
このようなソフトはバカゲーだったりクソゲーだったりの扱いを受け、名作と呼ばれるソフトとは違う形で後世に名前を残した。

FCが第一線から身を引いたと言われる90年代以降でも、結構なソフトが展開されている。

ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』『星のカービィ 夢の泉の物語』などの有名タイトルも、末期では排出されている。
最終的には32ビット機戦争が始まる直前の1994年が最後のソフトの発売年となっている。
そして最後のソフトは、正にファミコンというハードを終わらせるのに相応しいソフト

メーカー公認のソフト供給が終わった現在も、同人的な非公認のソフトが作られている。
ゲームを作る能力がある人ならば、このハードに誰もが惹かれるという証拠ではないだろうか。
厳しい制約の中でどれだけのことができるか、という課題に燃えるのかもしれない。

現在はFCソフトは、定期的にバーチャルコンソールで任天堂ハードにDLソフトとして提供されている。
FCのタイトル(特に任天堂タイトル)は、もちろん任天堂ハードでしか提供されない。
これは、他社の過去のレトロゲー配信に対する優位性を作り出している。

FCで生まれたソフトは、今なお任天堂の現役ハードを支えているのだ。


【楽しい楽しい周辺機器】



ファミコンというハードは多種多様な周辺機器を生み出した。

今の時代に繋がるような周辺機器もあれば、とりあえず実験的な要素が多々含まれた物も。
中には今の時代なら詐欺と騒がれても仕方のないような摩訶不思議な周辺機器すらあった。
ひとまず、この項では代表的かと思われる周辺機器をいくつか記載する。


ファミリーコンピュータ 光線銃シリーズ


かの横井軍平氏が考案した、射撃型周辺機器。西部劇でおなじみのコルトSAAを模した形状。

元々は射撃型玩具で、後に射撃ゲームとして発展した物だがFCで遊ぶために発売された。
ソフトと同梱している物もあれば、ガン単独で売っている物もある。

トリガーを引くと、ゲーム上の画面が連動して反応してガンシューティングとして遊べる。
画面が連動する原理としては、トリガーを引くと狙った位置が識別用の画面に一瞬切り替わり、銃口のセンサーがこれを認知して判定をするという仕組みとなっている。
識別用の画面は人間の目では判断できないほどの時間の変化のため、何となくチラついたようにしか見えない。
目標の画面が認知するという流れではなく、自身の機器が認知するというある種逆方向の流れ。
しかし、液晶やプラズマなどでは原理が通用しないため使用できない。

対応ソフトは『ワイルドガンマン』や『ダックハント』など三本に留まって終わった。
だが、ダックハンドに関しては知ってる人も多いのではないだろうか。
また、このソフトだけに限った話ではないがメイド イン ワリオのナインボルトステージでも再現されている。

この光線銃シリーズの技術の流れは、後述するファミコンロボが受け継ぐこととなる。


ファミリーベーシック/データレコーダー


ハドソンとシャープというFCに深く関わった二大会社が共同開発した、キーボード型の周辺機器。

ファミコンにこれを使うことで、オリジナルゲームを自分でプログラミングするという凄い画期的な物。
電卓や音楽作成、占いといったお遊び要素も搭載していた。

プログラムの保存にはデータレコーダを使用する。
ベーシックとの連動要素を使わず、普通のカセットプレイヤーとしても使用可能。
プログラムの本だけではなく、『ロードランナー』などで自作した面を保存も出来た。

結構小難しい使用用途の機器だが、キーボードだけは結構な販売台数を記録したので中古市場でも見かけやすい方。


ファミリーコンピュータロボット/ブロックセット/ジャイロセット


光線銃シリーズから発展した系譜を持つ、『ロボット』型の周辺機器。

画面上の光信号をロボットの目で広い、連動して動かすことができる。
これによって『ブロックセット』や『ジャイロセット』におけるブロックやコマを動かせる。

対応ソフトは全て2Pと遊ぶことが前提だったが、ロボットがその役割を果たしてくれる。
しかし、ロボットの動きが遅いかつ雑なのでゲームとして成り立たないこともあった。
詳細はタイトルのリンク先を参照にしてほしい。

対応ソフトは僅か二本に終わる始末だったが、海外では健闘したとか。
ちなみに、海外版のロボットはNESに合わせたカラーとなっているのも有名な話。

このロボットは、後にマリオカートDSでレーサーになったり、他の任天堂キャラと大乱闘することになる。


ジョイボール


HAL研究所が開発した、ボール型のジョイスティック。
世界初の連射機能(ただし15連射)を持っていたが、操作が独特過ぎてゲームによっては扱いにくい上に、
後述するジョイカードMk2のような、上位互換の連射機能を持ったコントローラーやジョイスティックが発売されるようになって、姿を消す。


ファミリートレーナー


テレビの前でスペースを確保して広げて遊ぶマットコントローラー。
現実のかけっことは違い、小刻みに振動させるように走らなければ速く走れない。

任天堂ではなく、あのバンダイが専用ソフトを抱えて発売した。
ジョギングやエアロビスクなど、対応ソフトは10本ほどに留まる。

マンションや団地に住む人は、下の階に響かないか注意が必要となる。
一軒家の人でも、二階で遊んでいる人はリビングなどに響かないか注意する必要がある。
遊ぶ前の準備運動も推奨されている。

後のDance Dance Revolutionなど、マット型コントローラーは姿を見せ続けている。


ジョイカードMk2


ハドソンから発売された、ファミコン用コントローラー。

純正の物とパッと見の外見はよく似ているが、ちゃんと見るとデザインが違う。
コントローラーには小さく、あのハドソンのマークが記されているのも特徴。
そして実物を見ないと分からないだろうが、純正の物より一回り大きい。

最大の特徴としては、設定で最大16連射が可能となっている。
ファミコン世代に流行った高橋名人の一秒間に16連射を再現できるという物。
高橋名人は当時の子供達の夢を体現した存在だったので、それを真似できるジョイカードも相当売れたという。

実用性も高かったからか、後の時代でもジョイカードは様々なハードに姿を現すこととなる。
ちなみに無印のジョイカードはMSX用。


ファミリーコンピュータ 3Dシステム


任天堂好物の3D立体視をファミコンで実現した周辺機器。

専用ゴーグルをかけることで3D立体視を体験できた。YOUR FIRST TARGET…CAPTURED
左目用と右目用の画像をゴーグルで高速かつ交互に見せる、という技術的な問題で、眼への負担は結構強かったと言われる。
試みの面白さなどはともかく、まだまだ立体視の魅力を披露するには問題があったので普及しなかった。

ツインファミコンにも3Dシステムが登場しているが、特に両者に違いはない。
というか、実はセガ・マークIIIの3Dグラスとも互換性があったりする。

これ以降も、任天堂は3D立体視へのチャレンジを続けることとなる。
バーチャルボーイニンテンドーゲームキューブ立体視用回路搭載、試作型3D立体視ゲームボーイアドバンスSP……

これらの失敗を経て、最終的にはニンテンドー3DSの普及に成功する。


通信アダプタ


『ファミコン通信』と呼ばれるネットワークシステムに対応するための周辺機器の一種。

これを使ってFCから電話回線で株取引などが行えるという当時としては画期的なシステムだった。
FCの全盛期がバブルと重なったこともあって当時の日本は株投資が過熱していたため、13万台以上売り上げるという奮闘を見せた。


パックス パワーグローブ


ある意味、ゲーム史上もっともロマンがあってもっとも詐欺と言われても仕方のないネタ周辺機器。

アメリカ産の周辺機器で、米国ではバービー人形やホットウィール、カードゲームのUNOで有名なマテルが販売していた。
何を思ったのか、日本にもパックスコーポレーションが輸入して19,800円で発売した。
ちなみに余談だが、パックスコーポレーションはバブル崩壊とともに倒産した。

テレビにL字型の音波センサーを設置し、自分は右腕にグローブ型のコントローラを装着するという物。
腕を上下に動かして十字キー操作、指を曲げることでABボタンというなかなかな操作を要求する。
腕には重量で負担がかかり、ゲームの操作反応は割と滅茶苦茶になることも多い。

説明書も数日間の練習を要求する素敵な仕様……そんな暇あるなら普通に遊ぶでしょ。
マニュアルも具体的に対応してるソフトなどが書いていないという不親切さ。

ちなみにグローブには普通のコントローラーも付いている。
パワーグローブの意味ないし必要なのか…とも思うが、連射機能なんかもついてるので完全に無駄でもない。

The Angry Video Game Nerdなどの動画で存在を知った人も多いと思われる。

【バリエーションハード】



ファミリーコンピュータ ディスクシステム


周辺機器ではあるが、その性質上この項で扱わせてもらう。

FC本体を上に重ねる形で接続して使用する。
従来のFCとは異なるメディアを使用し、カセットではなくクイックディスクと呼ばれる磁気ディスクメディアでゲームを提供した。

このディスクメディアは当時のFCカセットを上回る容量・セーブデータ機能・低価格を実現。
安い価格で高性能なソフトの提供を可能とし、ゼルダの伝説悪魔城ドラキュラを初めとする良質なゲームを輩出するのに貢献した。
さらに、このディスクカードは玩具店などで別のソフトに書き換えて安く新品のソフトを手に入れられる。
しかも、当時としては斬新なネットワーク性を実現し、ディスクファクスを通した全国大会なども開催。

400万台という販売台数を記録しているが、意外にも栄華は長くなかった。

従来のFCカセットが、ディスクメディアを上回る性能を獲得したからである。
容量増加・セーブ機能搭載成功・拡張音源搭載など、ディスクメディアの優位性を奪った。
むしろディスクメディアの欠点である、長いロード時間などの問題点が残った。

こうしてディスクシステムは静かに役割を終えていったと言われる。
書き換え用のディスクライターも撤去されたが、任天堂は2003年まで書き換えサービスを行っていた。凄い。

実は海外ではディスクシステムに相当する周辺機器が生まれていない。この為、海外ではディスクシステム専用ソフトの仕様をNESに合わせて調整し、NES用のカセットで販売していた。

時代のあだ花のように思われがちだが、「メディアは消費者が用意し、メーカーはデータだけを販売する」という形態は、現在のダウンロード販売にもつながるものがあり、それを30年近く前に実現していたことは興味深い。


スタディボックス


周辺機器ではあるが、その性質上この項で扱わせてもらう。

福武書店(現ベネッセコーポレーション)から販売されていた(最初期は実質レンタル形式での提供)。
ディスクシステムと同様の形でFC本体に接続することで使用可能になる。

専用カセットとしてカセットテープが用意され、FCレベルのソフトながらも音声の導入に成功している。
専用テープは学習用ソフトが基本的で、100本以上ものテープが作られたと言われている。


カラオケスタジオ


バンダイがFCでカラオケを楽しむ事に挑戦した周辺機器。周辺機器ではあるが、その性質上この項で扱わせてもらう。

マイクの形をした機器本体に専用カセットを挿入し、FC本体に接続して起動する。
結構なジャンルの曲が収録されたが、楽曲を歌うための専用ソフトは僅か2本のみと短命に終わった。


データック


バンダイが発売した拡張用周辺機器。周辺機器ではあるが、その性質上この項で扱わせてもらう。

バーコードリーダーを内蔵しており、データック専用のカセットで遊ぶことが出来る。
バンダイのこのような形の拡張周辺機器の路線は、次世代のスーパーファミコンでもスーファミターボの発売という形で継続される。


Q太


周辺機器ではあるが、その性質上この項で扱わせてもらう。

コナミから一部に提供されて販売された周辺機器。具体的な発売日のデータは残っていないが、価格は10,000円で提供されていた。
FC本体のカセット差込口にセットする形で接続し、従来のFCカセットとは異なるQ太専用カセットを起動する

『NHK学園』と呼ばれる学習用ソフトのシリーズなどが提供されていた。


データシップ1200


正体不明とも言われるFC屈指の謎の周辺機器。下記の理由でこの項で扱わせてもらう。

その正体は、旧第一勧業銀行と任天堂が共同で企業向け銀行サービスとして販売した通信アダプタ。
周辺機器と言うよりは通信アダプタ一体型の端末であり、FCのバリエーションハードみたいな存在。

FCのバリエーションハードなのだが、ファミコン通信用のソフトのみに対応しており、普通のFC専用カセットなどでは遊べない仕様。
『ハートの便利くんミニ』などの通信カートリッジが同梱。


マイコンピュータテレビC1(ファミコンテレビC1)


シャープが送り出したテレビとハードを合体させたマシーン。

任天堂と共同開発したらしく、FCを内蔵している。
本体色は赤とシルバーが用意され、サイズは14型と19型が販売された。
本機のコントローラーは専用タイプが用意されている。

本機だけのオリジナルカセットとして『ドンキーコングJr.算数レッスン』が付属していた。
内蔵ソフトも二つ内蔵され、ドット絵を書く「JR GRAPHIC」とノートとして使える「TV NOTE」を用意。

本機の最大の利点としては、従来のFCでは不可能なRGB端子で繋がれていたという点。
そのため従来のFCよりも美麗な画質で遊ぶことができた。
その点からスクショを作るのに向いていたのか、当時のFCを取り扱う雑誌は本機を使っていたという。

「ワギャンランド」シリーズ等、一部動作不能なソフトが存在するため、遊ぶ前にソフト裏面の注意書きを確認する必要がある。

TV統一型ハードの見込みはまだあったようで、シャープは次世代機のSFCでも同様のSF-1を発売している。


ツインファミコン


こちらもシャープが送り出した、FC互換機の代表例の一つ。

AV出力を可能としたFCとディスクシステムが合体したというコンセプトのハード。
遊ぶ際にはディスクシステムとカセットとで切り替えて使用する。
本体色としては赤色と黒色が用意された。
後期に製造されたツインファミコンは、今コントローラーに連射機能が追加されている。

実はFCとディスクシステムを同時に購入するより価格が高い。
商売的に考えたら、普通はまとめて買うよりお得を売り文句にするもんじゃないのか……。
AV出力などの要素を考えたら、確かに値段を上回るのも仕方ないのかもしれないが。

イメージキャラクターには高橋名人を採用している。


ファミコンボックス/ファミコンステーション


任天堂が業務用としてリリースしたバリエーションハード。

旅館やホテルなどの利用客に遊ばせるために導入された。
当時どのくらいの価格で売られたのかは不明となっており、明確な資料がない。

コントローラーも通常のFCコンではなく、海外のNESと同じ見た目だが互換性はない。
通常のコントローラー以外にも、光線銃が付属している。

巨大なハードだが、実は最大15個のカセットを同時に装着可能なのが最大の特徴。
使用するカセットは、NES専用カセットと同様の外観だが、コントローラー同様に互換性がない。
利用客による盗難防止のためか、カセットは鍵がないと全面カバーを外せず交換不可能。

コインによって一定時間遊ぶことが可能で、時間を追加するにはさらなるコインが必要となる。
制限時間終了寸前には警告画面が表示されるが、コインを入れないと強制終了させられる仕様だった。
この収益システムは設置者によって仕様が変更可能。

ファミコンボックスの互換機として、シャープからファミコンステーションも流通していた。
サポートにはシャープが対応していて、新品のコントローラーなどが当時は入手可能だったという。

現在はネットオークションなどで一般人でも購入可能な機会はある。


編集ファミコン ファミコンタイトラー


シャープが生み出した、FCバリエーションハードの中でも知名度が低いハード。

どこにFCの面影があるのか問いたくなるほど大きめの漆黒の外観が光る。
編集機能という大層な物を取り入れたためか、価格は43,000円と高め。
しかも、知名度の低さから現在も中古市場では価格が高騰している。

ビデオ編集機能とS端子を搭載したのがこのハードの最大の切り札。
FCのバリエーションハードとしては相当貴重なS端子所持者となる。
タイトラーとFCのモードをスイッチで切り替え合うことができる。

ビデオ編集では、撮影したビデオにテロップやナレーションを追加可能。
タイトルを自作する際は、専用ペンで書いた文字を認識して入力するという手順をとる。
音声を追加する際には、FCのIIコンマイクを用いる。

雑誌編集で重宝されたという話もあるが、知名度の低さから本当か疑いたくなる。


NEWファミリーコンピュータ/AV仕様ファミコン


FCの廉価版ハードとして、FC末期時代に任天堂から発売されたハード。海外では同型のNES仕様である『NES2』が発売されている。

既にSFCに主流ハードが移行していたためか、7,000円とかなりの低価格を実現させている。
もちろん現在の時代に入手しようとすると高い出費が必要となるけど。

本体のデザインはより派手さが抑えられ、グレーのカラーとなった。
イジェクトなども不必要と判断されたためか削除され、手で掴んで引き抜くこととなる。
デザイン自体は結構な変更要素はあるが、互換機や廉価版にありがちな『周辺機器との互換性低下』を回避しているという完成度の高さを誇る。特にディスクシステムに対応しており、エキスパンドコネクタも残されている点の評価が高い。

最大の変更点はAV出力が可能となった点。
これでテレビに接続しやすくなった上に、従来よりも高画質を実現している。

コントローラーも改善しており、手にフィットしやすいデザインとなっている。
その代わり、マイク機能が撤廃されてしまっているのが難点として挙げられやすい。前述したように対応ソフトは少ないが、一部ソフトでは進行に支障が出るためである。

廉価版と言われているが、むしろ立ち位置は改良版というべき存在。


ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピューター

2016年11月に発売された復刻版ファミコン。
外見は手のひらサイズに縮小した初代ファミコンそのものといった感じ。
その分コントローラーも縮小されている為人によっては使いにくいかも。

残念ながらカートリッジの入れ替えはできないが、当時の人気作30本が内蔵されており、これを切り替えて遊べるようになっている。
内蔵されたソフトは『ドンキーコング』『スーパーマリオブラザーズ』『ゼルダの伝説』『メトロイド』といった任天堂の名作から、
ファイナルファンタジーIII』『熱血行進曲』『魔界村』『グラディウス』等々、サードパーティのゲームも取り混ぜた豪華なもの。
しかもタイトルごとに中断セーブも可能。これでクリスタルタワーも安心である。
これでお値段5980円というから驚きである。

テレビCMは「ファミリーコンピューター、手のひらサイズで再登場」と、画面・ナレーションともに当時のCMを完全再現したものが作られた。
任天堂のロゴまで旧版になっている徹底ぶりである。

様々な層へのアピールが利いたのか、近年稀にみるほどのバカ売れを記録し、発売4日間で26万3千台の在庫が消滅してしまった。
このため即座に再販が決定したものの、再出荷は2018年6月と1年半以上もかかっている。
続く『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』も成功をおさめ、ゲーム業界は「レトロハードを模したソフト内蔵機」ブームに沸くこととなる。

【海外のファミコン『NES』】



海外でもアタリショックによる焼け野原を任天堂が救ったと言われる。

当時の米国のゲーム産業は、アタリショックで冷え込んでいたとされる(実際には諸説ある)。
当時の任天堂はアタリ社から米国版FCを発売しようとしたが、アタリ社の不振で不発に終わる。
アタリのライバルだったコレコと任天堂に一定の関係があったことも原因だとされる。

任天堂は自社で外装などの仕様を変更した米国版FCの『Nintendo Entertainment System』の投入を決定。
最初期は僅かな出荷量だったが、瞬く間に人気を博して全米に普及することとなる。
アタリ社の失敗で冷却状態と化していたビデオゲーム産業は、任天堂が復活させることとなった。
任天堂はこれ以降も廉価版のNESや次世代機を投入し、北米でゲーム事業を現在まで展開していくのだった。

海外版FCのNESは、原点の日本版FCと結構仕様が異なる。

本体のデザインからして異なり、各スロットや端子の位置や出力できる仕様、本体色などが変更されている。
カセットの形状は日本版より大きく、互いに互換性はなかった。
そのため、互いのゲームマニアはその国限定のソフトを遊びたい時は苦労するという。

周辺機器事情も異なり、ディスクシステムなどは上述した通り日本のみでの発売となっている。
また、本体仕様が異なるのでFCの周辺機器との互換性がNESにはない。
これはNESがエキスパンドコネクタを装備しておらず、FC用周辺機器を拒絶しているため。

一応、米国でもファミリートレーナーや光線銃シリーズなどは登場している。当然だが端子の規格はNES用に変更されている。

FCとNESを比べると、両国のゲーム事情の違いなどが見えてきて面白いかもしれない。

本体前面に「Nintendo」の大きなロゴが鎮座していたため、「ニンテンドー」の愛称で呼ばれており、FC同様ゲーム機全般を「ニンテンドー」と呼ぶ人々が相当数存在する。

2016年には『NES Classic Edition』と呼ばれる復刻版が発売。ただし、復刻版と言っても非常に小型であり、最初から本体に30個近いソフトが入っている仕様となっている。
上記のミニファミコンの先行販売に当たるが、一部収録ソフトが異なっている他、NESの仕様に合わせてか、コントローラが着脱可能となっている。
このためコントローラが本体並みの大きさになっている(というより本体がコントローラ並みの小ささになっている)他、Wiiリモコンの拡張端子を流用しているためクラシックコントローラをそのまま使用可能。

【付属冊子】


『これがファミリーコンピュータだ!!』

ファミコン本体に説明書、保証書などと一緒に同梱されていた小冊子。ただし同梱が始まったのは1985年辺りから。
ファミコンの取扱い注意や内部構造などを説明した漫画。作画は野崎泰氏。
ファミコン好きの小学生・学の所に、少年悟空宇宙人コン吉が遊びに来て、ファミコンについてのあれこれを解説してくれるというもの。

取扱い注意はともかく、内部構造の解説は、小学生にはいささかハードルの高いものだった。
背表紙には『ディスクシステム編』と銘打った続編の予告が記載されており、ディスクシステムには予告通り『ディスクシステム編』が同梱された。

前2作より知名度は劣るものの、第3作として1987年配布の『ゴルフトーナメント編』も存在する。作者は野家雪央氏。
作者交代とともにキャラクターも一新されており、小学生の大介と知り合った宇宙人の少年ディスカが、ゴルフJAPANコースとディスクファクスによるゲーム大会への参加方法を解説するというもの。

ちなみに『ディスクシステム編』『ゴルフトーナメント編』の背表紙には『ネットワークシステム編』の予告が記載されていたが、この『ネットワークシステム編』が実際に作られる事は無かった。

ファミコン・スーパーファミコン・メガドライブ・ゲームボーイなどのソフトをプレイできる機器「レトロフリーク」の広告に、この漫画をあからさまにパロった作品が存在するが、わずか6ページしかないため「詰め込み感ハンパない」と作中でもネタにされていたりする。

【余談】


家におじいちゃんおばあちゃんなどがいた人は記憶にあると思われるが
ほとんどのおじいちゃおばあちゃんは、これ以降のゲーム機もまとめて「ファミコン」もしくは「ピコピコ」というのはほぼデフォであったりする。
「ピコピコ」の語源は任天堂製ゲームの一時停止音からきていると思われる。

ジジイ「こりゃ、いつまでもファミコンやっとらんで外で遊べ」孫「じーちゃん、これファミコンじゃなくてバーチャルボーイだよ」
といったやり取りは日本全国で見られたものである。




追記・修正は、ファミリーコンピュータを購入してからお願いします。

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