登録日:2024/10/12 Sat 02:10:36
更新日:2025/04/08 Tue 22:23:47
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感情の剥奪、魂の封印
儀礼的な死を通過することによって彼らは
忍び寄る「死」に対する免疫を得た
ブラックロッドはいかなる欲求も持たない
彼らは義務と必要によってのみ行動する
ブラックロッドとは
ライトノベル『ブラックロッド』『ブラッドジャケット』『ブライトライツ・ホーリーランド』(著:古橋秀之)に登場するキャラクターである。
【人物】
物語の舞台となる巨大な塔型の都市『ケイオス・ヘキサ』の治安を守る公安局の一員かつ組織の名称、そして装備品の名前でもある。
都市に入り込んだテロリストや魔物の捕縛・排除をする特別捜査官であり、都市においてあらゆる法的権限を与えられている。
捜査官は全員が達人級以上の魔術士によって構成されていて、力ある魔術士なら犯罪者も後述の精神拘束が施され捜査官にされている。
法の範囲を越えて行動できる権限を与えられると共に、感情や狭義の道徳心に左右されないよう精神拘束が施されている。
黒革のコートに黒いブーツ、黒い制帽に黒の呪力増幅杖を正式装備としており、
一般人からは高圧的かつ冷徹であっても、法を守護する者として畏怖、好奇、嫌悪の視線を向けられている。
…ただ本人達は精神拘束により仲間も無ければ自分も無く、ただ状況に反応して行動しているだけなので、
内実を知っている者からは悪意を込めて奴隷の扱いを受けているのに、それに気づく事さえないとも言われる。
何でこんなもんになりたがる奴が居るのか。案外後述の例のように終身刑代わりに改造される奴が多いのかもだが
捜査官は本名は勿論、便宜上に割り振られたコードナンバーですらも最高機密事項に設定されており、
雰囲気すら同一なので、体格や肌の色は各捜査官ごとにが違っているのだが、一見すると見分けが付かず目鼻などの顔立ちですらも曖昧にしか思い出せない。
捜査官を生贄にしてでも、都市の治安維持を行っていたのがだが、
後述のG・G・スレイマンの反逆の際、全捜査官が追跡し殺害を行おうとしたが返り討ちに合い全員が死亡。組織は崩壊した。
【装備】
各捜査官の額にインプラントされた銀のチップにより、ブラックロッドは各種の機器の操作、または通信を行う。
制帽のエンブレムに嵌めこまれた疑似水晶体であり、魔術士の象徴である『第三の眼』。
不可視の霊体の視認。霊体に付随する感情の色を知覚でき、ブラックロッドは怪しい物を見る時はこれを使い、己の目を信用していない。
左掌の皮下に貼り込まれたディスプレイフィルム。
印形を選択する事により各種術式の発動を行う。
権力の象徴であり、呪力の源であり、威力その物。一般人は畏れを込めて、これを持っている者をブラックロッドと呼ぶ。
魔術士と霊的に接続し、言語中枢から言霊を汲み取り、増幅・加速・放出する。
実はこんなに大きいのは犯罪者などへの威圧も兼ねている、後述の術式の開発により小型化される事となった。
本部に設置された機器でも更に強力な物で、交霊により都市のどこからでも接続できる。
一回でも戦闘になった標的への自動追尾、対抗呪文に対する対・対抗呪文を織り込んだ攻撃呪文を編成し、短期記憶に刷り込む、これを1.5秒以内に行えるなど、
特捜本部におかれている物は世界でも最高級の性能を持ち、理論上は時間さえかければ都市内にある最高多重封印呪縛でさえも解呪できる。
【能力】
特殊な訓練による自律神経制御に加え、何重もの精神拘束や身体施呪によりブラックロッドは数百時間も覚醒状態を維持する。
体その物が結界装置として機能。交霊経路を封鎖する事により、魂に侵入しようとする霊的存在は何者も入り込めず、もし入り込めたとしても封鎖されれば脱出は不可能となる。
ブラックロッドに施された物にして最大の強み。
心の隙を完全に呪的遮断する事により、精神的には無敵に近い存在になっている。
また、犯罪者に施術して捜査官として働かせる事もあり、後述のG・G・スレイマンですらも深層意識下からの解放に手間取る代物。
通常言語の何倍もの言霊を込めて発音される、低く強い死人の声。
聞くものの意識に直接介入し、心臓を氷の手で掴まれる感触を与える。その言葉に常人が逆らう事はできない。
半実体化した呪力による射撃攻撃の呪弾。
肉体と精神に食い込み通常ならば半永久的に束縛し、魂を持たない化け物にすらも桁外れの出力で一時的に行動不能にできる捕捉。
極限まで研ぎ澄まされた呪力の刃を放つ切断。対象の生体機能の停止する即死。
不可視の障壁を発生させる呪盾、より範囲が広い防壁。
人間の最大の力を平然と維持し続ける身体施呪。
など数々の呪文を使う事ができる。呪文による防御を行えても、前述したように呪文編纂機により更に対抗呪文を編成してくるので抵抗は至難である。
『ブライトライツ・ホーリーランド』で登場。東洋の奇門遁甲術の一つ縮地法、特殊な歩法により霊力場のトンネル効果を発動した瞬間移動。
元々は『ブラックロッド』で敵対術師等が使用していた術式だったのだが、同作の事件とG・G・スレイマンがかつて起こした暴虐でそれを認知したブラックロッドが、
都市に編み巡らされた大出力霊走路網のパワーバランスを考慮して調整を加えた結果、ブラックロッドは都市のどこにでも瞬時に現れる事が可能となった。
呪力増幅杖は敵対者などへの威圧を兼ねて巨大になっていたのだが、
これを開発した事により、瞬間的に出現しては去っていく恐怖の存在に変貌。杖は小型化する事となった。
何でこんな名前にしたのかは不明。作中描写から見るにスレイマンのネーミングセンスだろうか…
【ブラックロッドで無くなった人達】
この人にはなにもない
大事にするものも
情熱を傾けるものも
自分に誇りを持つこともない
『ブラックロッド』のキーキャラクターな捜査官の一人だが、ラストで知らぬ間に特捜本部や降魔局の企てにより生贄に選定。
精神拘束をずたずたにされた結果、悪性の霊の侵入を許して魂を食い散らかされる事となる。
…精神拘束が壊れた理由には陰謀の一員となった降魔局の「魔女」(妖術技官)V7との交流により自分を意識してしまった結果、V7の死後派遣された彼女の「妹」V9から「ブラックロッドの資格たる『死人』じゃなくなったから」という指摘をされている。
敵対者との戦闘で顔の片目を縦に割る傷痕が付けられており、ブラックロッドの顔立ちが曖昧にしか思い出せない中で、唯一この人の顔を思い出す時だけは傷痕が印象的になり鮮明に思い出せる。
精神拘束が固められていた時期でも、普通にほほ笑んだりちょろい方なので、公安局から見限られたのかもしれない
封印された後どうなったかは謎だが、『ブライトライツ・ホーリーランド』ラストで彼の身体に封印された悪霊のみがある道士に回収されていた。
嗤う悪霊
スペルジャングラー
怒れるジョーカー
踊る死人占い師
馳せる疫病
悪意のアヴァタール
最悪の狂人かつ、最強の魔術士。その力は、通常言語として発声された罵声が即死呪文と同じ効果を持つ。
ある宗教から完璧な指導者を作って欲しいと依頼された時には、慈愛に満ちた目と声で語りかける、豚の生首を人間にくっ付けた改造人間を送りつけたり、
自分を助けた者には、四肢を切断して死の卵を仕掛けて、街灯に括り付ける。
などを行う悪名高い人間。誰にも行動を予想できない存在。ブラックロッドに捕まえられた後は捜査官の一人として働かされていた。
しかし、スカーフェイスとかつて交流したV7・V9の妹「V13」による呼びかけを足がかりに精神拘束を破った後に都市で追跡してくる相手を尽く殺害、無差別に破壊を撒き散らす。こんなのをどうやって捕縛したんだろうね
ぶっちゃけ最低最悪の奴なのだが、彼を解放したV13は元々耐久期限切れの使い捨てとして放たれていたため、サンドバッグ代わりにされ片目の霊視眼を取られ、途中で自分の「本体」が彼に殺されるのを見ながらも自由過ぎる破壊神な彼についていく事に。
魔女などの敵対者が介入できる心の隙を無くすため、自分の弱みに繋がるだろう過去を忘却するどころか焼き切って完全に無くし、自分のルーツを辿られないようにしている。
人を苦しめる事を悦楽とする姿勢は尋常なレベルではなく、都市が完全に消滅する危機の際に、
生存しようともがいている者達を見てこいつらをこの後も最大限に苦しめ続ける行動を全力で考えた結果、なんとその身を挺して助けるという行動をする事となる。
追記修正に安息は無い
- 懐かしいな。ケイオス・ヘキサシリーズ自体は世界観は仏教的SFという独特の舞台なのにブラックロッドは外見も装備もメジャーな西洋オカルト風だから、あの空気感を主人公に適用するのは一般受けしづらいみたいな判断でもあったんだろうか。機甲祈伏隊≪カンボーズ≫のナムみたいな主人公だとちょっと個性が強すぎるし。 -- 名無しさん (2024-10-12 10:10:58)
- この作品、漫画版がえらく中途半端なところで終わって困惑した思い出。 -- 名無しさん (2024-10-12 12:30:35)
- スレイマンがマジ切れさせた信者達だが、「最高の預言者を作ってほしいとの話に悪意をこめて豚を材料にする」「この宗教の天使はジブリールと呼ばれている」……まさかイスラムの -- 名無しさん (2024-10-12 15:35:54)
- コードナンバーすら秘密なの、スレイマンがチームで動くための仮ナンバーをきっかけに自我を取り戻すことになってたしマジで秘密にする価値あったんだなって -- 名無しさん (2024-10-15 00:34:01)
- スカーフェイスはけっこう自我や感情があったけどこれは目的のために意図的にそういう風に調整されてたのかな。最初から最後までひたすら利用されてただけだったのが哀れだった。 -- 名無しさん (2024-10-15 03:21:48)
最終更新:2025年04月08日 22:23