ケルベロス(探偵学園Q)

登録日:2024/11/20 Wed 22:05:27
更新日:2025/02/24 Mon 15:08:24
所要時間:約 12 分で読めます





助けはするが決して自らの手を汚さない―――

それが我々『冥王星』のポリシーです


ケルベロスとは『探偵学園Q』に登場するキャラクターの1人。

演:鈴木一真


概要


犯罪組織「冥王星」の幹部。年齢は26歳。
黒の短髪で見た者を凍りつかせるような鋭い目が特徴の青年。黒いスーツを着ている事が多い。
モデルのような容姿を持つイケメンだが、どこか近寄りがたく怖いオーラも放っている。
「ケルベロス」はコードネームであり、本名は「ケン・L・ベルローズ」
首領のキング・ハデスが組織で最も信頼している人物で、催眠術と変装術のエキスパートである。

七海光太郎のライバル及び連城究(キュウ)達Qクラスの天敵であり、その怜悧な頭脳で幾度となくQクラスを追いつめた。


人物


一人称は「私」で、常に紳士的な口調を崩さない。
紳士的な人物のように見えるが、本性は冷酷でプライドが高い完璧主義者。
犯罪のプランを授けた人物の犯行が暴かれたり、他の幹部が組織の美学に反する行為を行った際には、後述の方法を使って組織が関わっていた事の隠滅や幹部の処刑を行っている。
ハデスに「『冥王星』は何を一番にして行動するべきか?」と問われた際に「誇り」と答えるほど、自分が冥王星である事に誇りを持っており、依頼人が何者かに殺害されてしまった時には冥王星の誇りにかけて犯人を特定し制裁を与えようと決意していた。

身体能力は高く、スキー等のスポーツは勿論、護身術にも長けている。
同じく身体能力が高い遠山金太郎(キンタ)にも、すれ違った時に「相当な格闘術の達人」だと推測されていた。

非常に優れた頭脳を持ち、人間心理に長けている。一度読んだ本の文章を丸暗記できるほど優れた記憶力も持つ。
その優れた頭脳で幾つもの犯罪をプロデュースしており、中には『サイキック・マーダー』のようにサー・タナトスの失態が無ければ迷宮入りのままとなっていた事件もあった。
『雪月花殺人事件』では、事件を捜査していたQクラスに狡猾な罠を仕掛けて内部分裂を引き起こし、真相を見誤らせて彼らに勝利している
また『さらに深き闇へ』では、Qクラスに冥王星のスパイのヒントになるかもしれないという暗号を送り付けていたが、この暗号そのものが罠であり、様々な意味を生み出す事であらゆる人物がスパイではないかと疑心暗鬼にさせる迷宮暗号となっていた。
しかし団守彦に言わせれば、彼の手口は「ハデスの手口をきっちりなぞっただけに過ぎない使い古されたもの」という。

ハデス仕込みの「催眠暗示」の使い手。冥王星の紋章が入った懐中時計を振り子代わりにして催眠術をかける。
依頼人にはあらかじめ後催眠を行っている場合が多く、犯行が暴かれた際には依頼人が謎を解いた者を殺害するという暗示をかけ、組織を脅かしかねない人間を排除しようとする。
また、組織の美学に反する行為を行った者を「処刑」する際にも催眠術を用い、これを受けた人物は途端に錯乱し、自分が何者かさえ分からない廃人と化してしまう。
「命を奪われるよりもケルベロスに「処刑」されてしまうほうが怖い」と組織の中でも恐れられている。

七海にも引けを取らない変装術の達人であり、男性は勿論、女性にも難なく変装する。
演技力も優れており、キンタに変装していた時には彼の人物像を見事にトレースし、「丸焼けが怖くてヤキトリが食えるか!」といかにも彼が言いそうな事まで言って彼になりきっていた。

冷酷な人物だが義理堅いところもあり、『冥探偵ケルベロス』では殺害された依頼人の意思を尊重する為に、依頼人を殺した犯人の記憶を催眠術で消去して、事件の真相を闇に葬っている。
また依頼と無関係の人間を巻き込むのは『冥王星』の方針もあってよしとせず、サー・タナトスを「処刑」した際も人質だった真木を五体満足で解放すらしている。

13歳から14歳の1年間、かつて美南恵(メグ)や三郎丸豊も通っていた国立能力開発研究所に在籍していた。
それ以外の経歴は一切不明だが、冥王星に加入して間もない頃から天才犯罪者としての頭角を現しており、加入して3度目の仕事を任される頃にはハデスから信頼される存在となり、彼から催眠暗示等を教え込まれた。
ケルベロスも他の幹部がハデスを前に委縮している中で普段通りに接するなど、ハデスに気を許している所がある。


主な関与事件



  • 幻奏館殺人事件
ケルベロスが初めて姿を見せた事件。
ミス・カオリが依頼人に犯罪計画を授けた時に、依頼人に「我々の計画を見抜き謎を解き明かす者がいた場合、依頼人自らがその人物を刺し殺す」という後催眠をかける。
事件がキュウによって暴かれると、依頼人は後催眠により刃物でキュウに襲い掛かるが、カオリの判断ミスでキュウを庇った天草流(リュウ)が代わりに負傷する結果となってしまった。
ハデスの孫であったリュウが負傷したので、リュウの病室に黒薔薇の花束を持って現れるが、彼には「卑劣な殺人集団」等と非難されてしまう。
その言葉に対しケルベロスは「我々は殺人集団などではなく、クライアントの正当なる願望に手を貸し、完璧な計画を立案しコーディネートする誇り高き頭脳集団です」と返し、去り際に「あなたはあくまで私のもの」と黒薔薇の花言葉を教え、「逃れられません。「血の運命」からは…ね」と言って病室を後にした。

また、この事件でカオリが目的の物を回収できずリュウに怪我を負わせるという失態を犯した為、パトカーで護送中だったカオリに催眠をかけ、自分が誰なのかも分からない状態になるという制裁を与えた。

  • 雪月花殺人事件
ケルベロスが事件の黒幕としてQクラスと対決した初の事件。
依頼人が所有していたある物を頂く事を条件に殺人計画を立案。現場に居合わせたQクラスが捜査方針で内部分裂を起こしそうになると、Qクラスを更に混乱させるべく、リュウに接触して「1人で犯罪計画を解き明かしたら警察に自首をするが、解けなかった場合は冥王星の正当な後継者であると告白してほしい」と賭けを持ち掛けた。
その様子を偶然見かけたキュウは、この賭けは自分達2人の推理を同時に潰す事が目的の、ケルベロスが仕掛けた罠だと看破し、全員で事件を解明する事を決意する。
だがQクラスが真犯人として挙げた人物は目の前で死亡し、ケルベロスが狙っていた物もどこかに消えてしまう。
キュウ達は真犯人の自殺で事件は決着したと考えるが、これはケルベロスが仕掛けた心理トリックであった。
この心理トリックを見抜けずにQクラスは真相を見誤るものの、事件の全貌は団が見事に解き明かし、真犯人も暴かれる。
その際「団には敗北したがQクラスの生徒には完全勝利した」と間接的に団を侮蔑したが、
「私は『たった一人の力で事件を解決せよ』と教えた事は、ただの一度としてない。」「事件解明は謎解きゲームとは違う。一人で足りなければ二人、二人でダメなら五人と、仲間の力を結集すればよく、今回その仲間に私と七海が加わったに過ぎぬ」とあっさり喝破された。
ケルベロスは事件が解かれた際には真犯人に催眠をかけて処刑しようと企んでいたが、それも団は全てお見通しであり、彼の仕掛けた罠に引っ掛かり逮捕される事となった。
この際に団と一緒にいた七海に興味を示し、「いずれ雪辱を果たす」と言い残し連行されていった。

  • ESCAPE IMPOSSIBLE
逮捕後は警視庁の特別拘置所に収監される。
だが収監された直後から脱獄に向けて着々と準備を進めており、紙切れやパン等を使って外部とも連絡を取り合っていた。
そして準備が整った頃に事を起こし、巡査に変装して逃亡した。と見せかけて、なんと素顔のままで厳重な警備体制が仕掛けられた拘置所から脱獄してみせた
「ケルベロスは変装の達人」という思い込みを利用した見事な逃亡劇であり、彼の逃亡を阻もうとした七海もしてやられる結果となった。

ちなみにこのエピソードは、天樹征丸、さとうふみやの両者が気に入っているエピソードでもある。

  • サイキック・マーダー
本編から4年前に依頼人に殺人計画を授ける。
その計画はまさに完璧であり、超能力が使われたとしか思えない状況であった為、今日まで謎が解かれず迷宮入りとなっていた。
だが今回の黒幕であるサー・タナトスが4年前のトリックをほぼそのまま流用した事で、4年前と違って多くの穴が生まれる事となり、Qクラスにトリックを暴かれてしまった。
計画の詰めの甘さやルール破りをしていたタナトスを「処刑」するため、タナトスが監禁していた変装相手・真木慎太郎に変装。
タナトスとヘリコプターの中で接触すると彼に催眠術をかけて処刑し、そのままヘリで去っていった。

  • 冥探偵ケルベロス
ケルベロスを主役としたスピンオフ作品。
この事件では「鈴原賢一」と名乗り、依頼人と接触。
依頼人が計画通り事を進められているかどうかを監視するが、その最中に依頼人が殺される事態が発生してしまう。
芸術的な犯罪計画を台無しにした犯人に怒りを覚え、制裁を与える事を決意。
その後は見事な推理で事件の真相を見抜くが、犯人を特定して犯行の動機を知ると気が変わり、依頼人と交わした約束を果たす為、犯人の記憶を催眠術で消去して不問にしていた。

  • 棲龍館殺人事件
事件の全面指揮をとるハデスのサポートをする為、事件関係者の1人に変装して棲龍館ホテルを訪れる。
キュウの質問によって正体を疑われるが、あくまで状況証拠に過ぎなかったので、謎が解き明かされる寸前まで何食わぬ顔で一行に加わっていた。

事件の全貌が暴かれ、ハデスが発火装置でホテルに火を放つと、記憶の封印を解かれ気を失っていたリュウの事を任され、彼を連れてホテルから脱出する。
ホテルの前にいたDDCにリュウを預けると、「いずれまた お会いしましょう。どこかの事件現場でね」と再会を望みつつ、燃え盛るホテルの中へと戻っていった。

鎮火後、2つの焼死体が発見され、1つはサー・カロン、もう1つの遺体の身元は不明だったが、ケルベロスの遺体だけは見つからなかった。

その後は冥王星の最後の後始末をする為、キンタに変装してリュウの父である天草寂の居場所を示す手紙をDDSに送る。
彼らが寂の居場所を突き止めると、寂にかけていた催眠術を解いて姿を消した。


探偵学園Q プレミアム


棲龍館の事件以降は行方をくらましていたが、最終話のラストでミス・ユリエ等の冥王星の残党(おそらく新参者もいると思われる)を率いて登場。
既に幾つかの殺人をプロデュースしており、事件現場やQクラスにゆかりのある場所に冥王星の紋章を残して宣戦布告をしていた。


メディアミックス作品での扱い



  • アニメ版
登場せず。ケルベロスの代わりにアニメオリジナルキャラのサー・アヌビスが登場し、暗躍している。
ケルベロスとサー・カロンの2人の役割を担ったキャラだが、最終話で死亡した。

  • ドラマ版
原作とは違い、自ら事件に介入したり、一般人を催眠術で操りキュウを殺させようとしたり等、小悪党のような人物となっており、独断行動も目立ち、ミス・ユリエから𠮟責されていた。
このようなキャラ付けとなったのは、冥王星が原作とは違い少数精鋭の組織となり、他の幹部の役割をケルベロスが担う事となった為と思われる。
とはいえ無能というわけではなく、キング・ハデスがリュウを迎えに来た際七海が冥王星の居場所を突き止めるために彼の服に発信機を付けていたこと、および近距離で監視していたことを即座に見抜いていた。

最終話では七海に顔を殴られた際に歯が折れてしまい、捨て台詞を吐いて逃走するという、あまりカッコ良くない退場の仕方をした。


金田一37歳の事件簿


『プレミアム』登場からリアルタイムで約17年後、同じ原作者の作品で世界観も同じとされていた『金田一少年の事件簿』の続編である『金田一37歳の事件簿』にて、まさかの登場を果たす
本作ではゼウスこと地獄の傀儡師・高遠遙一をリーダーとした犯罪組織・通称「オリンポス十二神」の一人「アレス」として活動している。
通常はネットカウンセラー等を装っており、カウンセリングを受けに来た依頼人を巧みに誘導して犯罪計画を授けている。
冥王星だった時と同様に卓越した頭脳で犯罪計画を考え、犯行が暴かれると機密保持の為に依頼人を後催眠で操り処刑している。

特別拘置所に収監されていた高遠を脱獄させる為に、看守に変装して何度も拘置所を出入りし、半年がかりで監視員全員に暗示を施す。
準備が整うと、警備装置を解除して監視員全員に後催眠をかけ、高遠と共に拘置所を後にした。

高遠が執着している金田一一に、プロデュースをした『首なしスキーヤー殺人事件』の真相を解かれた事があり、借りを返す為に一に挑戦させてほしいと高遠に願っていた。

ちなみに、『金田一少年』時代の事件『錬金術殺人事件』で三郎丸が「現役東大生」として出ていた事から、『金田一37歳の事件簿』の時間軸は『探偵学園Q』より後(推定20年後)と推測される。
そうすると、ケルベロス改めアレスの年齢は推定46歳ほどになっているはずだが、『金田一少年』初出の主要メンバーとは違って全くと言っていいほど老けていない。
また、かつて彼が復活させようとしていた冥王星がその後どうなったのかとか、ケルベロスを捕まえようとしていたDDSとの因縁はどうなっているのか等は、現時点では不明となっている。


主な関与事件(金田一37歳の事件簿)



  • 首なしスキーヤー殺人事件
ネットカウンセリングを受けに来た依頼人の要望を叶えた後、真実を知った依頼人の憎悪が増した時を狙って犯罪計画を授ける。
依頼人と直接会う機会もあったが、依頼人に催眠による暗示をかけてアレスの容姿を思い出させないようにしていた。
依頼人を復讐者「首なしスキーヤー」に仕立てた後は、自らも監視の為に関係者に変装して緋尻アルプスに赴く。
事件の真相が一に暴かれると、キーワードを使って暗示を掛けた依頼人を錯乱させ、自滅に追い込んで組織の機密保持を行った。


余談


「自らは手を汚さず殺人事件等の犯罪計画をプロデュースする」という冥王星のポリシーは、『金田一少年の事件簿』の高遠遙一に通ずるものがあるが、ケルベロスはそれらに加えて「幾度となく主人公達と対立」「別れ際に英語交じりの言葉を残す」等の特徴も持っている為、メンバーの中でも最も高遠のキャラクター性を受け継いでいるキャラと言える。

『金田一37歳の事件簿』に姿を見せたのは『天空の密室殺人事件』のエピローグであるが、『首なしスキーヤー殺人事件』内で「関係者に変装して依頼人を監視」「強力な催眠術で依頼人を抹殺」等の描写があったので、登場以前からSNS等で「アレスの手口って冥王星みたい」「アレスの正体はケルベロスだったりして」等と冗談半分で言われていた。


「では、追記・修正へのよき旅路を…」



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  • スピンオフ主役
  • 主人公より先に立った項目
  • 残忍なイケメン
  • キバヤシのお気に入り
最終更新:2025年02月24日 15:08