ストレイチルドレン

登録日:2025/01/04 (土曜日) 21:11:00
更新日:2025/02/09 Sun 15:06:24
所要時間:約 3 分で読めます




ストレイチルドレン(STRAY CHILDREN)とは、オニオンゲームズのswitch専用ゲームソフト。
2024年12月26日配信開始。
ダウンロード版のみの発売。

概要

2019年に『moon(ゲーム)』移植版のために集結した『moon』開発陣による精神的続編とも言えるJRPG作品。

主人公の少年を操作して開発中止になったレトロゲーム『ミカヅキ』の世界に入り込み行方不明になった父親を探すことがプレイヤーの目的となる。

キャラクターデザインや背景のグラフィックは『moon』の雰囲気に非常に近く、キャラクター達はラブデリック系でお馴染みのハナモゲラ語を話す。

事実上のアドベンチャーゲームだった『moon』と決定的に異なるのはランダムエンカウントや戦闘、ボス戦があること。

UIや戦闘システムは『ドラクエ』などよりもむしろ『UNDERTALE』に近い。

「こうげき」はルーレットの目押しのミニゲームとなっており、成功させることでより大ダメージを与えたり武器によっては連続攻撃が可能。
なお目押しの難易度は武器によってことなる。

一方で敵側の攻撃は主人公を操作してシューティングゲームのような弾幕を避けるミニゲーム形式となっている。
難易度は非常に高い。

また、「ことば」で説得し敵を成仏することも可能だが、『UNDERTALE』とは違い言葉を選ぶ順番をミスすると一からやり直しとなってしまう。
また、説得のためのヒントは敵の抜け殻から得られるが、逆に言えばノーヒントでの成仏はほぼ不可能に近い。

また、ヒントはかなり難解なものもある。
一度得たヒントは「オトナ図鑑」で確認できる。

セーブはあちこちにある「焚き火の近くの丸太」に座るとできるがオートセーブは殆ど無く、セーブポイントからセーブポイントまでがやたら長いなど不親切なのが当たり前だった「レトロゲームの世界」という設定を再現するためか過去のオニオンゲーム作品やラブデリック系ゲームと比較しても非常に難易度が高い。

全体的に昨今のゲームらしからぬ不親切さだが、そもそも『moon』などのラブデリック系自体かなりマニアックな作品であるため、万人受けなど端から狙っていないのかもしれない。

特にレベルが殆ど上がらない不殺プレイは地獄。

ただし、真エンドを見る条件に敵の成仏は関係無いためあくまでもやりこみ要素である。

また、本作の敵である「オトナ」は『UNDERTALE』のモンスターと違い霊魂や怨霊のような存在であり、何度倒しても成仏させない限り不滅であるため、そもそも不殺プレイの意義はあまりない。

適度に敵を倒してレベルアップしつつ、頃合いを見て成仏させていくことが推奨される。

また、ストーリー面では登場人物の行動原理にラブが根底にあった『moon』とは真逆の、ラブを忘れてしまった大人と子供が描かれる。

アップデート

2025年1月31日のアップデートにより進行不能バグを始めとする数々のバグが修正され、さらにユーザーの意見をいくつも取り入れて改善され、格段にユーザーフレンドリーな内容に生まれ変わった。

ストーリー

父親が行方不明になり家で孤独に過ごしていた少年の元に、ケンケンと名乗る見知らぬ男が訪ねてくる。
父親の居場所を知っているという彼について行くと、やがて様々なゲーム機が並ぶ部屋に辿り着く。

ケンケンは1997年に完成したものの発売中止となった幻のゲーム『ミカヅキ』が父親失踪の原因だと訴える。

少年がゲームの電源を入れると……少年はゲームの世界に吸い込まれてしまった!

果たして少年は、父親を見つけ出し元の世界に戻れるだろうか……?

登場キャラクター

メインキャラクター

○落ちた少年

青いパーカーを着て犬の仮面*1で顔を隠し、ランドセルを背負った少年。
名前はプレイヤーが決める。

「落ちた少年」という呼び名は収集アイテムの奇盤*2「落ちた少年の話」より。
因みに『moon』の主人公も作中で「落ちた少年」と呼ばれていた。

『moon』の主人公と同じようにゲームの世界に吸い込まれ、『ミカヅキ』世界の上空から落ちてきた。

仕草が一々可愛らしいが、戦闘力は大人より高い超人(大岩すら動かす)

空中で身体を回転させて武器の威力を高めるなど身体能力は非常に高い反面、相手を説得する際はどんな言葉を選んでも「ささやく」ためコミュ障だと思われる。

口数は少ないがちゃんと喋る。

なお『ミカヅキ』は1997年のゲームであり、父親が失踪したのはゲームが完成したその日であるため、それから約30年経っている作中の時代ではどう見積もっても子供ではないはずだが、作中では一貫してコドモとして扱われる

なお公式サイトのスクリーンショットでの名前は「ナナシノコドモ」。

○お父さん

少年の父親。
ゲームクリエイター。
1997年にファンタジーRPG『ミカヅキ』を完成させたその日に行方不明となった。

○ケンケン

少年の親戚を名乗る怪しいおじさん。
だがいつも主人公の味方である本作の癒し枠。
元々は肩幅広いおっさんだったが、『ミカヅキ』の世界では黄色い犬になる。

海外に全く同名かつデザインや見た目も酷似したキャラクターが存在するが著作権とか大丈夫なんだろうか……。

その関西弁で喋る陽気なキャラ性や序盤から最終盤まで活躍するなど『moon』のヨシダを彷彿させる要素を多く持つ。

○ヤスヨ

関西弁のアヒル(女性)。
彼女がいるセーブポイントではあらゆるダメージ・状態異常も焼きマシュマロで回復する。

また、噂などの情報もくれる。

「関西弁で喋る鳥のキャラ」という要素は『moon』のヨシダを思わせるが、毎回マシュマロをくれたり老婆らしいキャラ性は毎朝クッキーをくれたおばあちゃんを想起させる。

○勇者

『ミカヅキ』の主人公である鎧の戦士。
『moon』の勇者とは見た目もモーションも激似。
その正体は少年の父親だが序盤で文字通りバラバラになってしまう。

各国に散り散りになった父親の7つのパーツを集めることが本作の目的となる。

○ドラゴン

月を食べて三日月にしてしまった竜。
『moon』のドラゴンとデザインは酷似しているが石像の姿になっている。
普段は噴水のオブジェに擬態しており、勇者に殺されることを望んでいる。

因みに『moon』のドラゴンは月の輝きを呪いにより奪ったとされており、本作のドラゴンとは微妙に設定が異なる。

○魔王

『ミカヅキ』のラスボス。
魔王城の玉座に座る幼い子供。
ドラゴンを石像の姿にして隠したとされる。

崩壊する『ミカヅキ』世界でスライム化してしまったモンスターや住人達を元に戻していた。

しかし少年と対面した直後に砂になってしまった。

その言動などは『moon』の没イベントに出てくる子供を彷彿とさせる。

なお、序盤に訪れる崩壊しかけた『ミカヅキ』世界は『moon』の城下町と同じ構造となっており、魔王城が『moon』の「おばあちゃんの家」に相当する場所に建っているのも意味深である。

コドモ

『ミカヅキ』世界の一般人。
大半は呼び名の通り子供の姿だが、髭を生やした者や年老いた者も「コドモ」と呼ばれている通り、現実世界での子供とは別物。
みんなしっかり職があったり服役していたり宗教を信仰したりして社会を維持している。

様々な国があり、国毎に服装や思想も異なる。

コドモとは言うものの労働や刑務作業といった社会活動をしてるだけあって、皆利己的でどこか冷めている。

共通してボスオトナに搾取されており、可愛らしい見た目に反して容赦なく死んだり、死ぬより悲惨な末路を辿ったりする。

あぶないオトナ/怪物オトナ

『ミカヅキ』世界のモンスター。
「オトナ図鑑」では共通して“霊長類オトナ科”とされているが、その外見は巨大な鳥だったり蟲だったり機械だったりする。

コドモが脱皮することでオトナの姿になるが、コドモを見境なく食い殺そうとするなど非常に凶暴であり、『ミカヅキ』世界では野生の猛獣のような扱いを受けている。

また、前述の通り不滅の存在であり、何度倒しても言葉で成仏しない限りは復活する。

抜け殻を調べると成仏のヒントを得られる。

最終面以外では基本的にランダムエンカウントである。

ボスオトナ

各国のコドモ達を支配する特殊なオトナ。
脱皮を繰り返すことで非常に強力な個体になったとされる。
通常のオトナと違い理性や知性があり政治を行っている。

ボスオトナの近くには必ず「線路」がある。

職場と家庭の両方でぞんざいに扱われ精神をすり減らしたサラリーマンの案山子や、拘りが強すぎて周囲の恨みを買った劇監督のペンギン、浮気性で痴情のもつれを引き起こしたカエルの王様など皆一様に妙に生々しい心の闇を抱えており、各マップのボスとして少年の前に立ち塞がる。

普段は(獣人だったりロボットだったりはするものの)人型だが、戦闘時は完全に異形の怪物となる。

なぜか普通に倒しても復活しないため、一概に通常のオトナより強いとも言えない。

また、大半のボスオトナは特定のアイテムを事前に入手しておかないと成仏させられない。

不思議なオトナ

「オトナ図鑑」には載ってない友好的なオトナ。
あちこちに抜け殻を発見できるため間違いなくオトナではあるのだが、少年に武器や回復アイテムや防具を売ってくれたりする。

通常のオトナと同じようにランダムエンカウントするほか、抜け殻の近くに落ちてるカードを拾うと電話で呼び出せる。

友好的なオトナは共通して人型であり、一部の者は獣人になっていたりするものの完全に異形な通常オトナと比べると遙かに人間らしさを残している。

余談

  • 『UNDERTALE』の開発者トビー・フォックス氏は『moon』の影響を受けたことを公言しているが、本作では逆に『UNDERTALE』の影響を色濃く受けている。
  • 『STRAY CHILDREN』というタイトルは直訳すると「道を外した子供達」という意味であり、真エンドを見る条件が「扉をあける」ことではないヒントになっている。
  • 『UNDERTALE』でもプレイヤーが名前をつける少年は「落ちた少年」と呼ばれている。

追記、修正は「扉」を開けずに「線路」を見つけてからお願いします。

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最終更新:2025年02月09日 15:06

*1 真エンドのクレジットで判明するが素顔は不明

*2 『moon』にも登場した未来を予言する石版