トキオ(パチンコ)

登録日:2025/02/08 Sat 00:14:30
更新日:2025/02/10 Mon 23:12:41
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トキオとは、平和が製作した羽根物系パチンコおよびそのシリーズである。

概要

1989年から続く東京タワーをモチーフとした台。ビッグシューターと並んで羽根物を代表する機種の一つ。
ルールは左右のスタートチャッカーに球が入賞すると一回、中央のスタートチャッカーで二回羽根が開き、そこに球を拾わせて中の東京タワーを模した役物をくぐり、中央手前にあるV穴に入れば大当たり……と非常にシンプルである。
これだけ見れば楽勝じゃん?と思う方もいるかもしれないがもちろんそんなことはない。タワー役物は回転しており、ジャストタイミングで潜り抜けなければV穴にはたどり着かない。
しかし、それゆえに球の動きへの興奮と見事V穴に入った時の喜びが堪能できるのである。

このシンプルなゲーム性は初代から最新のニュートキオ(令和版)に至るまで高く評価されており、羽根物が絶滅寸前にある現代において数少ない定期的に新台がリリースされる羽根物パチンコである。

また、90年代に出た台はそれぞれ特殊な攻略法が存在しており、それを利用して(当時としては)大量の出玉を獲得できる爆裂羽根物としてもその名が知られている(後述)。

ザ・トキオ(1989年)

記念すべき初代トキオ。ルールは先に述べた通り羽根で拾った球が中央手前のV穴に入れば大当たり。役物はトンネルになっており、穴が真っすぐ縦になった瞬間にトンネルに入り、向きが変わるまでに潜り抜けなければならない上、真っすぐになるのはほんの一瞬*1のため中々V穴に入らない。
大当たりした後は自力でラウンドを継続させる。ラウンド中は一時的にタワーの回転が止まり左右に一定時間まで貯められるためV穴に入りやすくなっている。当たらなかった場合そのまま大当たりが終了してしまう(パンク)。

パンク、完走問わず大当たり後の保留、確変はなし。自力でもう一回当てよう。

……というのが公式なルールなのだが実はこの台、大当たりシステムに重大なバグがあった。それは、大当たり7R目(最終R)の16回目の羽根開放まで1回も球を拾わず17開放目以降に球を拾うとエラーが発生し、大当たり終了後にもかかわらず役物が正面を向いて停止してしまうのである。こうなれば、次に球を拾った時ラクラク大当たりとなる。これを通称タワーストップ打法と言い、方法が知られるやいなや爆発的に流行した。
この攻略法はパチンコ情報誌にも読者投稿として掲載されたが、投稿者が高校生だったことが判明し、こちらも話題になった。えぇ……
平和ももちろん対策を行い、このバグを塞いだザ・トキオBが後にリリースされている。

ニュートキオ(1991年)

初代の新要件*2版。
台の構造自体はデザインが都会の夜景からカラフルな感じになっただけでほとんど変わっていないが、最大継続回数と賞球が新要件仕様となったことでなんと最大で1900個近い出玉が得られるようになった。
一方でV穴入賞確率を左右する役物の静止時間が半分の0.1秒になり非常に入賞しにくくなった。一発台のような仕様になったと言える

ニューヨーカー(1992年)

ついにアメリカ進出。役物が自由の女神像になったトキオ。
とはいえそれ以外は基本一緒。役物の回転が若干遅くなったのでV穴に入りやすくなった……わけはなく、羽根の開放時間は羽根物最短の0.2秒。球が拾わないのだ。
役物もニュートキオより若干甘くなったとはいえ同時代の他の羽根物よりかなり辛い。3桁ハマりも普通にする台である。
しかしその分出玉は凄まじい。一度当たれば最大でニュートキオを超える2000発以上の出玉を獲得できる上、ラウンド中の貯玉は自由の女神像下に貯められるため、パンクの心配がほぼ無い。つまり、ほぼ確実に2000発以上を獲得できる。
これだけでも羽根物としては十分すごいのだが、もう一つ特筆に値する仕様がある。
それは、貯留解除からV入賞の間にチャッカーに玉が入った場合ラウンド数がリセットされるのである。この仕様により、最終ラウンド前の14R目*3でラウンド数がリセットされた場合、実質大当たり2回分、4000発超の出玉が得られてしまうのである。参考までに、現行のパチンコで最も当選確率が低く、出玉の多いミドル機の一回の大当たりが1000~4000発である。つまり、運が良ければ1撃でミドル程度の出玉が得られる……と書けばそのすごさが伝わるだろうか。しかもこれはバグではなく仕様。修正や対策が行われることが無かった。もちろん釘はガッチガチだが。
以上のような特徴から、羽根物の顔をした一発台と言える。

CRA TOKIO DELUXE(2012年)

20年の時を経て復活。今作は平和の子会社で実質平和の羽根物、権利物部門となったアムテックスからリリースされた。
デザインや仕様は別物と言えるレベルに変わっている。特に変わったのはメインの役物。東京タワーから同年開業したばかりのどデカい東京スカイツリーになった。東京タワー役物は穴が2方向から4方向になった上でルート振り分けのサブ役物となった。
デザインは初代のような夜景をイメージした雰囲気に変わり、BGMもクラブミュージック風のテクノサウンドになった。またBGMは通常時数種類の他、大当たりごとに曲が用意されている。

遊び方は、羽根に球を拾わせ手前中央のV穴を目指すというところは同じだが、V穴(及びハズレ)までのルートが大幅に変わった。まず左上の東京タワー役物を通過し、手前側の橋を渡ればSPルート、脇に落ちればノーマルルートに振り分けられる。

ノーマルルートは役物左奥からタワーを抜け入賞を目指すのだが、通過するタワーの下はクルーンになっており、手前から見てYの字の溝が入り、脇に3つの丘がある形になっている。役物は左回りに回転しているため普通に通過した場合はまずV穴にたどり着かないし実際ほとんどはハズレである。
しかし完全にハズレかと言われるとそうでもなく、色々な入賞パターンが存在する。代表的なところで
  • 丘を乗り越えV穴入賞
  • 球が溝を抜けず中央近辺に留まり、入ってきた溝がV穴に向いた時に戻ってきて入賞
  • 右へ抜けかけた球が抜けきらないまま右上まで回り、傾斜で戻ってきた球が下方向へ向かい入賞
などがある。
このため、ノーマルルートの方が球の動きを楽しめるという声もあると共に、大半の球ノーマルルートへ向かうためこちらでよく当たる台は勝ちやすい台であるためこちらの入賞率や球の動きを気にするものは多い。

SPルートはタワーの穴から役物中央に球が落ちるルート。大部分が下に落ちるため非常にV穴に入りやすい。もちろん、期待度は段違いである。右上に行った?ご愁傷さまです。
普通はだいたいの大当たりがこちらのルートになるため、こちらで当たらない台はノーマルルートの入賞率が良くないと確実に負ける。

めでたくV入賞した後はラウンド抽選が行われるのだが……なんと、役物を使った物理抽選である。
最初は中段まで持ち上げられ、2つの青いポケットに4つの赤いポケットがあり、ここで青いポケットに球が入れば3R当選。
赤いポケットに球が入るとさらに上昇。タワーの頂上で7Ror16Rの抽選となり、ここで赤いポケットに球が入れば見事16R当選となる。
*4

出玉は16Rの場合1400~1500発程度。ただし入賞口が羽根という性質上、実際は1000~1200発程度である。過去のシリーズに比べ出玉性能は低下しているが投資額次第では十分に勝てる量である。また、出玉が少なめな分入賞はかなりしやすくなっているため「遊べる」台になったと言える。

保留なしのため当然連荘性能はないが、大当たり1開放目で当選する1G連はある。そして、16R後に1G連で16Rに当選すると大当たり中のBGMが専用の物になる。もちろんめったにないので当時この台を打ってた者でも聴いたことのないという方も多いのではないだろうか。

評価は非常に高く、羽根物史上屈指の名機との呼び声も高い。実際、本機の人気によりプチ羽根物ブームが起こり、しばらくの間パチンコメーカー各社から様々な羽根物がリリースされた。すぐ下火になったが。
以降のトキオシリーズのデザイン、ゲーム性は全てこの台がベースになっている。

出玉性能が違うバージョンがいくつか存在している。

CRA TOKIO PREMIUM(2015年)

前作をベースにしているもののデザインは前作よりポップな明るい雰囲気になっており、様々な新要素が追加されている。一番大きな変更点が羽根すぐ下のシーソーで突入することがある右ルートの追加である。右ルートには懐かしい自由の女神役物が配置されており、こちらは左右の穴がないトンネル構造かつ回転せず左斜めから右斜めに向いているため、球がSPに向かいやすくなっている。また、通常ルートになっても球が右から向かうため左ノーマルより若干球がV穴に向かいやすくなっている。はずなんだけどやっぱり基本は入らない。
また、V穴直下には左右にゆらゆら揺れるポケットがある。V入賞時このポケットに飛び込めばなんと5R16R抽選へ直行する。狙えるものではないので運よく入ったら喜ぼう。

ビジュアル面では役物の背後に液晶が追加。だが台の性質上出番は通常時のの背景とV穴入賞及びラウンド当選時の賑やかしくらいしかない。
BGMは刷新され、16RのBGMはなんとTOKIO(ジュリーの方)・・・のカバーバージョンが採用された*5。テクノ色の強い原曲とは違った魅力を持ったアレンジとなっている。
また、ボタンを押して前作のBGMで遊ぶことも可能である。

総じて、プレミアムの名にふさわしい豪華な作りとなっているがいい点ばかりではない。
まず、1回開放時の開放時間が少し短くなり球が拾いにくくなった。また、左ルートの進入口が東京タワー役物の少し左にずれた配置になったため、SPルートに非常に行きにくくなっている。メインのスカイツリー役物も下部クルーンが小さくなり、早く回転するようになったため通常ルートでの入賞率が下がった。このため、ゲーム性としてはよりSPへの依存率が高い台となった。良くも悪くもどちらのルートにも当たりハズレがあった前作に比べるとまったり感もドキドキ感も減っているため、この点を残念がる声も多い。また、総合的にはSPルートが増えた分甘めになっていたため、釘の締まり具合も前作より厳しくなってしまった。

CRトキオスペシャル(2018年)

前作で追加された様々な新要素がほぼ廃され、DELUXEに近い形になった。
DELUXEと大きく違う個所はノーマルルートの上下可動役物。この役物に乗れば従来通りタワー役物左上から進入。乗らずに弾かれれば横から進入するルートとなる。公式サイトでは左上から進入するルートの方が期待値が高いとしている。が、横にそれてもタイミングが合えばVを狙えるしそもそもノーマルルート自体のの期待値が低いので大して変わらない気もする。
また、大当たり後のラウンド消化が下アタッカーになり、スピーディーかつ球のロスが少なくなったが一方で羽根物らしくなくなったと残念がる声もある。

この他、東京タワー役物の足がくの字型になり弾きやすくなったが、代わり通った時の安定度が高くSPルートに行きやすい構造になった。ただし、スカイツリー役物の回転はDELUXEよりだいぶ遅いためSPルート自体の期待値が下がってしまった。
一方、回転が遅くなったことでノーマルルートの期待値が増加。前作とは反対にノーマルルートとSPルートの差が少なくなった。

16RのBGMは今回もTOKIOのカバーだが、アレンジがややポップな感じになっている。

Pトキオブラック(2019年)

かつて実質一発台と言われたニューヨーカーから27年。権利物ブームに乗っかりついに正真正銘の一発台トキオが登場した(正確には権利物)。
デザインはその名の通り黒っぽくなり、勇敢な通常時BGMも合わさり強敵感あるデザインとなっている。
役物は前作と一緒だがルールが大幅に変更。中央手前の穴に球を入れるところまでは同じだが、中段の通過確率は2/6(実質1/3)となり、ハズレポケットは出玉なしの完全ハズレ。上段はVポケットハズレポケットとなり、Vポケットに入賞して初めて大当たりとなる。
当たりにくくなった分出玉は大幅増加。10Rと確変3回が獲得できる。確変中は羽根が数秒間解放され高い確率で球が役物に飛び込み、スカイツリー役物が正面で停止するためほぼ確実に当たる。たまに外れるけどね!
これが3回当たるまで続く。つまり、1回当たれば確定で4000発以上を獲得できる。
……ところで、確変中のこの役物の挙動、既視感がないだろうか?
そう、初代で大騒ぎになったタワーストップ打法の挙動である。これが意識してのものか偶然かは不明だが、当時を知るものにはニヤリとできる挙動である。

大当たり確率が極端に減らされてるとはいえ、役物がトキオ故に権利物としてはかなり甘い部類に入る。そのため釘はだいたいガン締めで1000円で鳴きが数回レベルの台も珍しくなかった。

Pニュートキオ(2021年)

P機としては初の羽根物トキオ。またの名を令和版ニュートキオ
今回はラウンド数が3R、5R、10Rとなり、10Rの出玉数も約1100発(実質1000発弱)とこれまでのトキオより若干出玉性能が落ちた。
全体のデザインはトキオスペシャルを踏襲しながらもほんのりレトロチックな初代トキオや旧ニュートキオを意識したデザインになった。
また、羽根に入った後のBGMも初代トキオの大当たり中のBGMが鳴る場合がある。

10R大当たりのBGMはすっかり恒例となったTOKIOカバー。今回は原曲に近いギターを軸としたアレンジになっている。

今回は長期稼働を考慮し負担の大きい天釘付近が強化プラスチックになった「テンプラ」を採用。しかしこれにより球の勢いが減り、上から羽根に飛び込みにくくなったため打ち手には不評である。
役物は通常ルートの可動役物が可変式スロープに変更。これにより球がよりイレギュラーな動きをするようになった。

出玉性能が控えめになった分トキオスペシャルと比べ若干ではあるが甘い仕上がりになっている。

後継機がマイナーチェンジに留まっていることもあり、2025年現在稼働数が一番多い羽根物である。

また、従来のハカマタイプに加え鳴きやすく羽根開放時間が短いヘソタイプが用意されているがこれは結構レア。見かけたら記念に打ってみる価値あり。

PニュートキオGREEN(2024年)

緑のニュートキオ。以上。

……一応、前作からの違いはあり、テンプラが廃止され良く球が飛ぶ箇所のみプラスチックを採用*6
演出面では10R当選時のバイブレーションON、OFFの切り替え機能、11、22、33開放目で聴けるプレミアムBGMが追加されている。

ぶっちゃけ前作の焼き直しに近い台であり、そのためか前作に比べ導入数は圧倒的に少ない。

余談

最新機種であるGREENの前にリリースされたPポチッと一発!おだてブタ2ではDELUXEをモチーフにしたステージが存在する。このステージ中に大当たりすると見ることが出来るドロンボー一味とのコラボ演出は必見である。

追記、修正はV穴に球を2個入れて「てっぺん」に登ってからお願いします。

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最終更新:2025年02月10日 23:12

*1 0.2秒

*2 1990年の規則改正。最大出玉2400個、最大継続数、賞球が15に引き上げなどなど様々な改正が行われた。

*3 15Rは貯玉無しのため事実上不可能に近い

*4 めったにないことだが、複数の玉が同時にV入賞した場合、最初に当選判定となったもののみ有効となる。例えば、中段抽選の1球目が赤ポケットに入った場合でも、2球目が青ポケットに入ると3R当選扱いとなってしまう

*5 このため、この機種以降は台の隅にクレジットが記載されている

*6 なお、これはGREENの少し前にリリースされたPポチッと一発!おだてブタ2と全く同じものである