登録日:2025/04/13 Sun 04:33:40
更新日:2025/04/17 Thu 14:59:03
所要時間:約 3 分で読めます
イドラ(Yidhra)は
ムランドス神話に登場する大地母神とも冥府の神とも伝えられる存在。
ケイオシアム社のTRPGを通して
クトゥルフ神話にも取り込まれている。
TRPGでもイドラの名前を使用されているが、創作者であるウォルター・C・デビルJrは、クトゥルフ神話ではイドラではなく
イースラ(Yeethra)の名で伝わっていると設定している。
インディアンのアパッチ族やコマンチ族の一部からはイー・ト・ラー(Yee-Tho-Rah)の名で信仰される。
■概要
地球に生命が誕生した際に共に生まれた、生命と切り離すことのできない存在。
死という概念が発生するよりも古くから存在し、地球の生命が死の概念、そして誕生の概念を得た際に取り残されたとされる。
唯一、変化の概念だけは持ち、進化し様々な姿形に変化した生命の種を取り込むことで自らの力を強める。
このため常に新しい遺伝子を欲しており、過去に存在したありとあらゆる生物を生み出す力を持つ。
遺伝子の取り込みは、捕食や交配対象と融合して一つとなり分離する形で行う。
“Where Yidhra Walks”の作中で、イドラと交わった男は人間と犬が混じり合ったような退化した姿に変貌した。
信者には生死を支配する力で永遠の命(=生も死もない状態)を与えるが、
そうでない生き物には、影から現れ数奇な運命を与えると伝えられている。
イドラのカルト教団が崇拝するイドラの印は「a5」のような模様をしている。
■この神の姿形や特徴について
ありとあらゆる生命を取り込んだことで、生命が知るどのような形にも変化できるとされる。
ただし、美も醜も無関係に生命を取り込んだ影響で真に美しい姿は持たない。
古代ムロングに現れたと伝えられる猟犬を従えた美女の姿など、美女の姿を取った伝承も残るが、
これは人間の意識を読み取り、自らの意識を送り込んで見せている幻影である。
真の姿は、イドラから産まれたもの、イドラに交配の相手として選ばれた者のみが見ることが出来る。
魂は一つだが、肉体は複数存在し世界各地に分散している。世界各地に点在する「イドラの歩く地」と呼ばれる彼女の力が増す地帯では、肉体を破壊されても即座に別の肉体を出現させることができる。
天の女神イハス、地の女神ゾスラはイドラの分身となる種族。
モグラに似た巨大な体をしており、四肢が無いため移動はできず、暗い洞窟などに潜む。
幻覚を見せて、肉食獣などを支配して献上させた獲物を貪る。支配対象が弱ればそれも喰らい長期の眠りに付く。
人間を支配対象に置くこともあるが、人間には幻覚が通じにくいようで泥酔者や薬物中毒者以外には効果が及ばない。
化石も発見されており、肉歯目の古代生物として学術誌にも記述されている。
古代のラマ僧が遺した伝承として名前が挙げられるだけで詳細は不明。
“What Lurks Among the Dunes”には、人間だった眷属を操るハゲタカのような怪物が登場しているので、おそらくはそれを指すものだと思われる。
■クトゥルフ神話でのイドラ
外なる神に分類される。上記に加えて本体はアメーバのような生命体と定義された。
ヴーミア族にも崇拝されており、クトゥルフ神話の書物にもその名前は記されているとされる。
ハゲタカ怪物がイハスだと断言され、ゾスラは盲目で爪を持ち地中を掘り進んで移動できる設定に変更されている。
また新たに、主に中国で活動する化身・イ夫人(Madam Yi)が設定された。
後述のイドラの娘の容姿が、信者全員に発生する肉体の変異と改変されており、
また、カルトの中枢となるイドラの形態に応じて変異の形も変わるとされた。
■眷属
隠れた力の支配者、鰭持つ怪物、巨大な翼を持つ忌々しいもの、毛深い野蛮な原始人など、多種多様な眷属を従える。
人間のカルト教団も存在するが、地球の生命全てを自らの力とするイドラにとってカルトは、あると便利だが無くても困らない存在程度の認識で、
むしろ、カルトが精鋭化して外部の血を受け入れることがなくなり近親相姦の繰り返しによって変化が滞ることを危惧している。
“Where Yidhra Walks”に登場する、少ないながらも外部の血の取り入れに成功しているミランドの街のカルト信者は、人間の姿を留めたままでいるが、
“What Lurks Among the Dunes”の、ドス・ピエドラスの街の孤立したカルト信者は、生きながらに体が萎み干からびたミイラのような姿となっていた。
前者では、人間との交配で娘も生み出している。彼女らは髪や瞼、耳のない異形だがイドラ同様に幻覚を見せて醜い奇形の人間で通じる程度に姿を偽装している。
後者の信者は、昼間は死体のように動かないが、夜になると活発に動き始め、イドラに捧げるために血肉を求めて人間を襲う。
■登場する作品
イドラの名が初めて言及された作品。信者が出るのみで、この時点では詳細は不明だった。
後に化身だったことが判明するゾスラの初登場作品なのだが、あろうことかイドラ信者を支配対象に選び、資本家達とも繋がりを持った有力なイドラ教団を一つ食い滅ぼしている。
ミランドの街に滞在した旅人が、イドラの伝承を調査する内容。
上記概要の大部分は、この作品内で説明された。
旅人はイドラの伝承を知り彼女の化身である女性ヨランダ(Yolanda)を射殺して街から逃げ出し警察に告発するが、精神錯乱と処理され連れ戻されたミランドで、新たなヨランダに魅了されて取り込まれる。
- What Lurks Among the Dunes
失踪した兄の行方をテレパシーで探す主人公が、ドス・ピエドラスの街に迷い込む内容。
上記の通り人間信者の成れの果て・潜むものども(Lurkers)やハゲタカ怪物、卑猥な触手の姿をしたイドラが登場する。
コマンチ族からエメラルドを略奪した者の子孫が産地を探し、部族にはエメラルドが蛇石と呼ばれていることや蛇神アイイグ(Ayi'ig)の伝承に辿り着く。
更に調査を進めた結果、アイイグがクトゥルフ神話に伝えられるイグとイースラが交わり産まれた存在であることが判明し、イースラはムランドス神話に伝えられるイドラと同一存在だろうと推測される。
作者はブライアン・M・サモンズ。
米国の
シュブ=ニグラスアンソロジー“Conqueror Womb”に何故か収録されてしまったイドラ小説。
シュブ=ニグラスは登場しない。
女性に成り替わる形で自身の端末を地球に送り込み、男性の精液を集める。端末は見た目も性格も記憶も遺伝子さえも成り代わられた犠牲者そのものだがセックス中にだけ、ドロドロに溶けた本来の姿を見せる。
追記・修正お願いします。
- あくまでクトゥルフ神話のイドラのことなんだよな -- 名無しさん (2025-04-13 06:17:11)
- 心理学・哲学用語のイドラ(偶像・誤認・見せかけ)とは違うので注意 -- 名無しさん (2025-04-15 10:31:31)
最終更新:2025年04月17日 14:59