グレーゾーンの魔法少女

登録日:2025/09/06 Sat 22:49:00
更新日:2025/10/13 Mon 22:39:44
所要時間:約 6 分で読めます





グレーゾーンの魔法少女』とは、漫画家の銀河セレモニー☆☆☆がTwitterやpixivなどに投稿しているweb漫画である。略称は『グレまほ』。



◇作品について
思春期の少女が妖精界からやって来た妖精の力を借り、魔法少女として平和を脅かす魔物と戦う王道の魔法少女もの作品である。

…というあらすじに嘘はないが、この作品の最大の特徴はそこではなく魔法少女を取り巻く事情や作中の設定についてまるで規則の抜け穴をつくかのような論理(グレーゾーン)が頻出することである。
本作はそういった規則をギリギリで回避するための建前を楽しむマンガとなっていると言える。



◇用語
  • 魔法少女
妖精から貰った魔法のステッキを使って変身し、魔物と戦う少女たち。
但し、妖精は人間界に直接関与することや人間と契約を結ぶことが禁じられているため、あくまで彼女らは妖精が落とした魔法のステッキを偶然拾って偶然魔法少女に変身しただけである。

  • 魔法のステッキ
魔法少女が変身や戦闘のために使うアイテム。
ステッキ自体も魔力を有しており、魔法少女の魔力のうち実に99%はステッキの持つ魔力。
しかし、そこに魔法少女本人の魔力を加えることで”薄めた人間の魔法”となり「人間界で魔法を使えるのは人間だけ」という規則から逸しなくなるため、魔法少女たちが必要となるのである。
他にも紙幣をコピーしようとすると大音量でサイレンが鳴り響き光が点滅するなど、様々な機能を有している。

  • 魔物
人間界を脅かす存在で、魔法少女たちの討伐対象。ただし全ての魔物が討伐対象という訳ではなく、討伐の必要がない良い魔物も存在している。
倒された魔物は銀色の玉に変化し、魔法少女に力を与える「マジカルジュエル」と交換できる。なお、「マジカルジュエル」は新たな力を得る以外に専用の交換所に持っていって好きな願いを叶えるという使い方もできる。
ちなみにその交換所は「願いの泉」という名前で、壁を通り抜けたあと、右に200歩、下に256歩、左に63歩…という風に進むことでいけるそうな。


…とまあこのように、作品の基本設定を見るだけでもグレーゾーンの概念が頻出しているのが分かる。



◇登場人物
  • やさしさグレー/灰田メロ音
本作の主人公。妖精・ニョブラヒモからステッキを受け取ったが落としたステッキを偶然拾ったことにより魔法少女として魔物たちと戦うこととなる。
「一人でも積極的にテーブル席に座るが、店が混んだ時は率先して席を譲る【灰色の精神】」の持ち主。

グレーゾーンのことを「幸せの為に使うべき希望の力」と捉えており、彼女のグレーゾーンの使い方は優しさに溢れたものであることが特徴。
例えば、魔物の探索中に偶然見つけたという体で、本来は魔物を討伐する目的以外には使ってはいけない魔法を落とし物をした子供のために使うなど。
また、グレーゾーンを使う才能にも長けており、諸事情*1で魔法に関する記憶が失われた際にもそれを超能力だと思いこむことで魔法を使用できていた(なお作者曰く、「人間としては魔力が高い方」とのこと)。

そんな彼女だが、母親が病気に罹患中・父親が死去済みということで中学三年生ながら一人暮らしをしているという重いバックボーンを背負っている。
一度マジカルジュエルの力で父親を蘇らせようとしたが、ノーリスクの死者蘇生が逆に怖いとのことで一旦保留にしていた。


  • ニョブラヒモ
やさしさグレーの相棒である妖精。語尾に「ニョ」を付けて喋るのが特徴。
平たく言えば魔法少女ものによくいるマスコット枠だが、どっかの営業マンとは異なり魔法少女想いの優しい性格。
メロ音に質問された際はちゃんと「メロ音本人が後で困ったりデメリットを受けたりしない」ように極力質問された話のぜんぶの範囲を答えているし、「それはグレーゾーンすぎない?」と突っ込まれた際はあっさり焦っているなど、本作の作風やノリを考えれば非常に誠実で真面目にマスコットしている(というか明確にコマ内に映った妖精はみんなこんな感じのパーソナリティ)。
母親が病気だというやさしさグレーに魔法のステッキの目的外使用のロックを外す方法を教えるなど、やさしさグレーと同じくグレーゾーンに塗れてはいるが根は善良であることが窺える。
すし酢で酔っ払ってしまい*2「実はどの人間でも魔法を使うことができるが、悪用を避けるため人間界には思春期の少女しか魔法を使えないと刷り込んでいる」という機密情報を漏らしてしまったことで、北極支部に左遷異動になってしまう。
その後はやさしさグレーが北極を訪れたことにより、「担当の魔法少女にはできるだけ付き添う」という妖精のルールを悪用利用して日本に帰還、再び彼女と魔法少女活動を共にしている。


  • ヤンス
妖精の1人。名前の通り語尾に「ヤンス」を付けて喋る。
ニョブラヒモの左遷により、やさしさグレーの相棒が一時的にいなくなっていた際にやさしさグレーから押し切られと偶然出会い彼女と行動を共にしていた。

  • 記憶封印中のやさしさグレーにそのことを伝えてしまい部外秘を漏らしてしまったと焦る→私を魔法少女にすれば部外者じゃなくなるからセーフと言われ納得。
  • 北極に行こうとしたやさしさグレーを無断で国外に行くのは国際問題になりかねないと諭す→「北極は国じゃないから大丈夫」と言われ納得。

など、やさしさグレーはニョブラヒモがいなくてもいつも通りであった。


  • せいじつグレー
やさしさグレーより先輩の魔法少女。相棒の妖精はニャンバルニャ。
実年齢は21歳だが、若返りの魔法で17歳の状態をキープし続けることで本来は18歳までしか出来ないはずの魔法少女を続けている。
近いうちに引退するつもりで知識を引き継いでくれる後輩を探していたためやさしさグレーに声を掛けたとのことだが、周りから優しくされるのが嬉しくて既に引退を2年延期しているそうなので、本当に引退する気があるのかは怪しい。
普段一人暮らししているからかやさしさグレーは会ってすぐに彼女に懐いており、姉のように慕っている。

なお、彼女も両親が作った2億年の借金を魔法少女活動で返済したとのことで、そこそこ重いバックボーン持ちである。


  • ゆうじょうホワイト
魔法少女の1人。
名前の通りグレーゾーンを認めず秩序を重んじる厳格な性格。その割には人間界で魔物を養殖している疑いがある。
やさしさグレーのグレーゾーン理論武装を見て歯軋りしていたが、彼女が優しさ故に秩序を失ったグレーゾーンを使っているのではなく、元々グレーゾーンを使いこなしていた者がたまたま優しかっただけだと気付いて混乱。

その後は繊細な魔力を制御するための戦闘訓練と称した花火をやさしさグレーといっしょに楽しみ(?)なんやかんやで友達になれた…のかもしれない。
なお、せいじつグレーの反応からして彼女とは元々面識があった模様。


  • あいじょうピンク
妖精界の偉い人。
グレーゾーンを駆使して勝手にニョブラヒモと再会したやさしさグレーに対して再度処分を伝えに来た。結果、やさしさグレーは魔法に関する記憶を取り戻せたものの今度は代わりに寿司に関する記憶を失ってしまった。
やさしさグレーが大ファンであるアニメ『魔法少女プリティピンク』は魔法少女の印象操作のために彼女をモデルにして妖精が制作したものである。
彼女もやっぱりグレーゾーンの使い手なので、出張に際して前泊・後泊をして仕方なく観光を楽しんでいるらしい。
なお、「15年魔法使ってない」「今の私は魔法を使えない」という本人の発言から、元魔法少女だと思われる。



◇余談
  • Twitterでは(大体)毎日更新だが、ニコニコ静画は数日分がまとめてアップロードされる形式となっている。

  • Twitterへの投稿時には同時に作者による投稿告知ツイートが行われるが、毎回何かしらのネタが仕込まれているためこちらもある種の名物となっている。

  • 2025/10/11~13にかけての三連休では「#三連休グレまほ合法アップロード」という企画が実施された。これはこの期間に限ってTwitter上で『グレーゾーンの魔法少女』の無断転載を1日1枚まで黙認するという内容となっている。わざわざ無断転載を強調するあたりがこの作品らしい。
    なお、日本時間だとは指定されていないのをいいことにキリバス時間で2025/10/11になった瞬間(日本時間では2025/10/10の19時)に無断転載している者が複数確認できるあたり読者もだいぶ訓練されているようである。





追記・修正はアニヲタWiki(仮)のルールのグレーゾーンを突いてお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年10月13日 22:39

*1 ニョビラヒモから機密情報を聞いてしまったため。

*2 これはニョブラヒモに限った話ではなく、妖精全体に共通する特徴らしい。