登録日:2026/03/04 Wed 18:53:00
更新日:2026/03/17 Tue 10:07:15
所要時間:約 40分で読めます
平家と源氏の命運をわけた『平治の乱』から十五年――。
栄華を極めた平家はこの世の春を謳歌し、敗れた源氏は没落の中にあった。
かろうじて命を助けられた源氏の御曹司・遮那王は山深い鞍馬に預けられ修行の日々を送っていた。
そんな遮那王には誰にも知られてはならない秘密があった
――実は女だという重大な秘密が。
源平合戦をテーマとした和風ファンタジーもの。そのため攻略対象は全員歴史上の人物となっている。
本作の特徴は主人公が遮那王こと源義経であること。
源義経は史実では男性であるが本作では実は男装した少女だったということになった。作中では性別を周囲に隠し戦っているという設定。早い話Fateの女体化理論で本当に歴史ものの乙女ゲームを作ってみたという作品である。
歴史上の人物が女体化して乙女ゲームの主人公になるという凄まじい字面……ではあるものの、オトメイトでは6ケース目であるため「またか」ぐらいしか言われなかった。
というか別メーカーも含めると源義経が乙女ゲームの主人公になったのは2回目。
本作のディレクターである伊東Dの前作作品である『十三支演義』も女体化した関羽が主人公。歴史ものと強い主人公が好みで自然とこうなるらしい。
なお乙女ゲームであるので、名前変更システムはちゃんと実装されている。
源義経の鞍馬寺出奔から壇ノ浦の戦いまでが中心として描かれる。
大まかな流れとしては、
平家に因縁を付けられた遮那王が生まれの鞍馬寺を離れる
↓
逃げた先の平泉でしばらく平穏に暮らす。
↓
兄の頼朝に呼ばれ源氏軍入りし富士川の戦いで功績を上げる
↓
逆落としで有名な一ノ谷の戦い
↓
最終決戦となる壇ノ浦の戦い
という流れ。その後の頼朝と義経のゴタゴタその他は特に描かれない。
源氏合戦『風』乙女ゲームなので時系列がかなり圧縮されている。なので上の出来事は計十年以上史実ではかかったが本作では1年弱の出来事に。
ルートは全5種類。プラスしてサブ攻略対象の4種類。
基本となる春玄・弁慶・教経ルートをクリアすることで、2周目以降は物語の根幹の秘密に迫る頼朝・知盛ルートが解禁される。
公式推奨の攻略順は教経→弁慶→春玄→頼朝→知盛。
この順番でやるととあるキャラにある疑惑が生じていき、中盤でその答え合わせ。その意外な事実を基として後半に全ての謎が明かされるという形になる。
エンディングは恋愛エンドと悲恋エンドの2種類。その他道中での選択肢を間違えるとバッドエンドに入る。
春玄が分かりやすいが、史実通りいくと悲恋エンドにたどり着きやすいので気を付けよう。本作のテーマは『宿命に立ち向かうこと』である。
2022年にはファンディスク「ビルシャナ戦姫 〜一樹の風〜」が発売された。
静御前「まーた私の存在が消されるのか……」
【あらすじ】
平家と源氏の命運を分けた戦である『平治の乱』から15年。
主人公である遮那王は源義朝の娘として生を受けたが打倒平家のため男として性別を偽っていた。
そんな彼女は現在、幼馴染の少年の春玄と共に鞍馬寺という寺に預けられ鍛錬を重ねている。
ある日彼女は自身に戦いを挑もうとする平家の御曹司である平教経と出会う。
仕方がなく勝負をすることとなった遮那王は「京を荒らす破戒僧・武蔵坊弁慶をどちらが先に倒せるか」という戦いを引き受けることに。
戦いのさなか平家の武将である平知盛に目を付けられてしまった遮那王。彼女は平家に狙われる身となってしまう。
遮那王は鞍馬寺に迷惑をかけないためにも寺を出て、源氏ゆかりの地である平泉に向かうことに。こうして遮那王は春玄と仲間になった弁慶と共に平泉へと旅に出るのだった。
こうして平泉で暮らすことになった遮那王は、しばらくの間平穏な暮らしを送っていた。だがそんな中、兄である源頼朝が兵を起こし平家に反乱を起こすという話を聞いてしまう。
遮那王は苦悩の末、平和な世を取り戻すために、進軍することを決めるのだった。
【登場人物】
◇メインキャラクター
ひとり除いて全員歴史上の人物。
◆遮那王/源義経
CV.なし
本作の
主人公であり「
源氏の末子」の名を背負ってしまった少女。
源義朝と常盤御前の娘として生まれたがすぐに鞍馬寺に預けられる。その後は同じく預けられた幼馴染の少年である春玄と共に寺で暮らしていた。
中盤までは幼名である『遮那王』を名乗り、それ以降は元服し『源義経』になる。名前が2つあるという乙女ゲームでも珍しい主人公。
男勝りで生真面目な優しい少女。
基本的には素直でいい子。礼儀に対してはきちんと相応の礼儀で返そうとするし、間違えてしまったならば素直に謝る。その姿勢は例え敵であっても変わらない。そんな真面目な素直さから登場人物の大半から好感を持たれている。
源氏の末子であるものの戦いは望んでおらず平和な暮らしを夢見ている。というよりも自分が源氏として戦を起こすことにより罪のない民が傷つくことが何より怖い。その反面自身に流れる源氏の血の宿命から逃げてしまうことは正しいのかと悩み続けている。
そんな彼女の特徴がとにかく悩むこと。
上述の血の宿命にしてもそうだが大体のルートで悩んでいる。元々生真面目で細かいことまで気にする上に優しい気質であるため「誰もが幸せになる答え」を無意識に求めてしまう癖がある。それを本気で探すため悩みまくるのが遮那王である。ほぼ全てのルートで塞ぎ込んでしまい家来たちに「今日はご気分が悪いのですか?」と聞かれるのがお約束。どこまでも「誰かのため」でいようとする人である。
さらに大体のルートで不幸な事態に見舞われるためいつも曇らされている。なんとわざわざレイプ目の顔グラが用意されている。
ということで生真面目な上に他人を優先するためとにかく悩むのが彼女の特徴。見ているこっちがハラハラするくらいにとにかく悩む。しかしどのルートでも悩んだ末に彼女なりの答えを見せてくれるのが『ビルシャナ戦姫』の物語である。
男として育てられ幼少期から武術と兵術を学んできた。
そのため戦闘力は作中でもトップクラス。たとえ武将相手だろうと一対一なら互角で戦えるだけの強さを持つ。壇ノ浦の戦いでは船から船を飛び移り戦うという無双ぶりを見せつけ、モブ兵士たちからは「鬼神」「人間業じゃない」と言われていた。
公式設定161センチ47キロの細身のどこからそんなパワーが出ているのかは永遠の謎である。
さらに『異類の血』の力を使うことで作中最強格の実力を得る。
発動条件は詳しくは不明だが遮那が激情に駆られると目が金色に光り、人間離れした身体能力発揮する。その力はすさまじくその気になれば遮那単独で一個小隊を壊滅させられるほど。
その反面デメリットも大きく力を使いすぎると消耗し寝込んでしまう。その上力を使っている最中の遮那は理性を失っており最悪の場合味方を傷つけてしまうこともある。
理性を失い人を殺めるという事象に遮那は心が蝕まれていくことに。この力は平家サイドの知盛と重衡も使用するなど謎が多い。
礼儀正しく素直であり重い宿命にも折れないいい子なのでプレイヤー人気はそこそこ高め。
めちゃくちゃかわいくてかっこいい主人公なのでプレイヤーからは『遮那ちゃん』と呼ばれ愛されている。
ここからはややこしいので、必要な場合以外は『遮那王』で表記を統一する。
決して忘れるな お前の宿命は私と共にあるということを
◆源頼朝
CV.
古川慎
源氏軍の総大将であり遮那の腹違いの兄。今作には史実上の妻である北条政子がいないため独身貴族である。
平治の乱にて平清盛の継母である池禅尼の嘆願により処刑を免れる。その後は流刑の身になり伊豆の国で監禁生活を送っていた。作中中盤で兵をあげ平家に反旗を翻すこととなる。
なお史実の頼朝は基本鎌倉から動かなかった。しかしそれだと物語にならないため本作の頼朝は毎回身体を張って前線まで出てきてくれている。
冷酷で感情を見せない男。
常に無表情で口数も少なく何を考えているか分からない人。基本的にこちらから話しかけないと何も言ってくれないため同じ空間にいると圧がある。遮那王と初めて会った際も特に言葉をかけず心を開かなった。「会ったことが無いとは言え唯一の身内」と少し会うことを楽しみにしていた遮那はちょっと傷ついていた。
源氏による世の統治を第一としておりそのためであれば犠牲を出すことに躊躇はない。自軍から死者が出ることについても特に感情は見せなかった。また一応は身内である源義仲を朝廷命令で殺害することになった際もむしろ進んで行おうとした。
春玄ルートでは「不都合になるのなら相手が『源義経』であったとしても殺す」という姿勢を見せた。というかこのルートだとこの人が実質的なラスボス。
ただ心根は優しく「平和な世を目指すために『私』を捨て『公』の人間でいなければならない」という考えを持つ。
心の底では民のことを考えており平和な世界を作りたいと考えている。しかしそのためにはどうしても犠牲が必要であり将軍である自身がそれに心を動かしてしまえば平和な世を作れないというスタンス。犠牲を出すことに躊躇はないが、その犠牲を最小限にするための努力は惜しまない。
頼朝ルート序盤で敗走した際には、兵士たちに対し「不要な犠牲になってはいけない」として自分を捨て逃げるよう命じていた。
頼朝ルートは遮那がそんな彼の心に近づいていくルート。
このルートでは平泉までの道中で遮那が平治の乱について調べたこともあり早い段階から「源氏として戦いたい」と決める。そんなこともあり史実より早く頼朝のもとで働くことに。
唯一の身内である頼朝が心を開いてくれないことに対し最初は彼を怖いと思っていた遮那王。だが徐々に彼の内心を理解していくことになる。
その辺りを理解した頼朝ルートの遮那ちゃんは、兄の言動に一喜一憂するものすごく可愛らしいブラコンっぷりを発揮してくる。兄が婚約するといううわさが流れた際は分かりやすく慌てていた。
最初こそ弟いえど私情を見せてはいけないと考えていた頼朝。だが健気に自分を慕う遮那に対しいつからか心が動いていき……。このルートの頼朝は妹との距離感を測りかねる残念なお兄ちゃんとなっている。
なお頼朝目線だと遮那王は、生き別れの弟が実は男装した生き別れの妹だったということになる。このエロゲみたいな展開には鎌倉様もさぞ驚いただろう。
本作において、平治の乱の際に兄と父を殺したのは頼朝ということになっている(史実では敗走の果ての戦死)。
殺すように命じたのは父の源義朝。彼は平治の乱における源氏の敗北を察しており次の世代に託すことを考えていた。その中で息子たちの中で最も若く生き残る確率の高い頼朝に自分たちの恨みを背負わせることにした。
そのために頼朝に家族を殺させることにした。もしも頼朝が家族を殺せたならば、優しい頼朝は悔やみ悲しみ源氏の宿命にがんじがらめになると考えたのである。
まず負傷で動けなくなった次兄の朝長を頼朝に殺させる。その後自分と長男である義平を殺させた。
こうして尊敬する家族を殺し心に重い傷を負ってしまった頼朝。こうして彼は「家族を殺した自分こそが『私』を捨て『公』として源氏のために戦わなければならない」と考えるように。その結果頼朝は本編のような性格になった。
◆悲恋エンド「カルマ」
尽力の果てについに平家を滅ぼした頼朝たち。
だが平知盛の最後の執念により、遮那王は視力と声と四肢の自由を失ってしまう。
遮那王は廃人となってしまった自分は新しい世には不要と考えており、頼朝も彼女の想いを察していた。
だが初めてできた愛する人に対し、頼朝はそんなことはできなかった……。
ただこうして、ここにいてくれるだけでいい
死なずに、私の傍で生きていてくれさえすればいいのだ
◆恋愛エンド「すべてを捧ぐ」
こちらのルートではなんとか五体満足で平知盛を倒すことに成功する。
頼朝は褒美として、朝廷の娘との結婚を約束される。だが頼朝は愛する遮那王と生涯を共にすることを決める。
遮那は頼朝の妻として新しい世を作ることを決意するのだった。
なおネタバレになるので後述するが、「頼朝ルートって近親相姦じゃね?」問題は斜め上の形で解決している。
お前だけだ。私に安らぎを与えてくれるのは。
私は、お前の前でだけこのように笑えるのだ
◆平知盛
CV.
福山潤
平家の総大将である
気色悪い変態ストーカー野郎。
史実においては武芸共に優れる歌人であったとされる。なお史実では病弱設定だが本作ではオミットされた。
物語の最も深い秘密が明かされるため、彼のルートは最後にやることが推奨される。
常に穏やかで柔和な青年。
滅多に声を荒げることはなく誰に対しても柔らかな口調で話す貴族のような雰囲気の男。だが知略にはたけており平家の大将として出陣すると二重三重の罠をかけ源氏を苦しめる。本作では5歳から戦に出ていたらしい。平家サイドは実直すぎ(教経)、短絡的(重衡)、感情的(徳子)と碌なのがいないため彼が実質的なまとめ役になっている。
平家陣営には明かしていないが内面は退廃的で何にも興味を持っていない。平家の繁栄に対しても「何事もいつかは滅びるのに何の意味があるのか」と冷めた目で見ている。そのため平家が京を捨てる際になった際も特に感慨を見せなかった。
武将としては作中最強レベルの力を持つ。
踊るように舞いながら刀を振るうのが特徴。動きが読みにくく素早い太刀筋からどのルートでも強敵として描かれる。
その上遮那と同じく『異類の血』の力を使うことが出来る。この力を使った知盛の力は半端ではなく強い。『異類の血』を全開放した遮那であっても押し合いでは劣勢になってしまうほどの力を持つ。
こんな知盛だが遮那に対しては歪な愛を向ける気色悪い変態ストーカー野郎となる。
序盤で対面した際に匂いで女であると気が付き、男として生きる遮那に興味を抱く。それからは「何にも興味を持たなかった知盛が珍しい」と周囲に言われるほどに遮那に執着するように。
そんなこともあり「飼いたい」「泣かせたい」「傷つけて理想の存在にしたい」「返り血で血まみれになった姿が最も美しい」など遮那に対して狂った感情を向けている。
何事にも興味を持たない反動か初めて興味を持った遮那に対してはアクロバティック行動を見せている。彼女を自分の手元に置くためなら容赦はしない。なんと『知盛に監禁され心が壊れた遮那が姫君として飼われることになる』というバッドエンドが2種類用意されている。
さらに遮那の行動を「源氏の血の宿命から逃げているだけ」と切り捨てるなど精神攻撃にも長ける。
演じる福山潤氏の怪演もあり非常に気持ち悪いキャラ。遮那のことになると声が上ずるのが最高に気持ち悪い。
一応、出会い方の違う教経ルートでは狂った愛は見せていない。むしろ無自覚両想いの遮那と教経を微笑ましく見守る気のいい親戚のおじさんになっている。
知盛ルートは遮那と知盛が平家の謎に挑むルート。
知盛と会って以降、遮那は眠ると夢に知盛が出てくるという悪質な嫌がらせを受けるようになっていた。
ある日戦で『異類の血』を使いすぎた結果倒れてしまった遮那は知盛に介抱される。そして知盛に提案され自身の血の秘密を知るべく、遮那は一時的にともに行動することとなる。
ということでこのルートの遮那は知盛に敵愾心を抱くが時折見せる彼の優しさにほだされるハリネズミ系のツンデレと化す。
逆に知盛も徐々に遮那の人柄に惚れていく。遮那が寝言で「春玄」と呟いた際には面白くなさそうにしていた。
退廃的な性格は自身に流れる『異類の血』の影響。
『異類の血』を持つ者は強大な力を持つ代わりに、力を行使するために人間の精気を吸う必要がある。吸われた人間は気力を失い最悪の場合死に至る。
そして知盛は幼少期に初めて出た戦にて、血の力により正気を失い大切だった人を殺めている。知盛が詳細を語らなかったが、ある意味家族よりも自分を大切にしてくれた人だったらしい。
このことが原因で「人ではない自分がこの世界にいていいのか?」と考えすべてに興味を持てなくなった。
故にいつかは圧倒的な力を持つ者に滅ぼされることを望んでいる。遮那に目を付けたのも、強い意志を持つ彼女を傷つけ成長さえ、殺されたかったから。
これらのことが原因で「この世界で見るべきものはすべて見た」と考えている。
だがそれを遮那に話した際「だったらお前は私だけを見ていればいいだろう」と切り返され何も言えなかった。このルートの遮那ちゃんはやたら男前である。
ならば、ここで誓おう 俺は俺として、お前と共に生きると
◆春玄
CV.斉藤壮馬
遮那と共に鞍馬寺で暮らす幼馴染の少年。遮那の父こと源義朝の臣下である源重成の息子。
史実には存在しないオリジナルキャラクターとなる。遮那と同じく赤子のころから寺に預けられ鍛錬の日々を過ごしていた。
武器は父から受け継いだ刀。
穏やかな性格で遮那のことを誰よりも大切に思っている。
物心がついた時から遮那と暮らしているため彼女のことを最も理解している存在。父である重成が遮那の父である義朝のために命を散らしたように自分も遮那のために在りたいと考えている。
そんなこともあり作中では基本有能万能幼馴染。頭がよく遮那のことを分かっていることもあり、それとなく遮那のフォローをしている。遮那が悩んでいるなら声をかけるし性格を理解して発破をかけてやる。そのため源氏の血に悩む遮那にとっては数少ない大っぴらに甘えられる存在である。
笛も得意であり、特に遮那のことを考えると音色が柔らかくなるらしい。地味に重要な伏線。
知略にも優れている。元々頭がよく外国の兵法書を読むことが好きであり戦の経験は少ないが戦略を読むのは得意。
特に春玄ルートではいくつもの戦術を編み出し平家軍を的確に追い詰めていった。
知略は高いが戦闘力はそこそこ。……上澄みではあるのだが、遮那はじめとして登場人物が強すぎる。
ここまで遮那を慕うようになったのは幼少期の出来事が原因。
幼少期に山で平氏の侍に襲われた際、春玄は何も出来ずに遮那に守られてしまう。自分が遮那を守るどころか守られてしまい悔やんでいたところ、彼女に「春玄には剣の腕だけじゃない強さがある」と励まされる。
弱さがコンプレックスとなっていたところを『春玄は強い』と言ってくれたことが嬉しく、それから遮那に心を寄せるようになった。
その後春玄は努力を続け、ケンカでは遮那に負けるが知略であればだれにも負けない腕を持つ。
遮那が元服し『源義経』になったあとも2人きりになるとこっそり「遮那」と呼んでいる。
みんなのための答えを探そうと悩むのが遮那であるが、対照的に春玄はシンプルに遮那のためを考えている。物語開始時点から肚が決まっていることもあり、怒ると本当に何をしでかすか分からなくなる。
性格上遮那に対しては相当過保護。彼女は性格上生傷が絶えないため「跡が残ったらどうする!」とよく慌てている。遮那は一応男という扱いなので周囲は「男同士で何いちゃついてるんだ……」と不思議に思っている。他人に興味が薄い頼朝すら2人の仲にはツッコミを入れた。
所謂幼馴染枠であるため仕方がないが大体のルートで可哀想な目に遭う苦労人。特に教経ルートは遮那ちゃんがノリと勢いで動くので春玄のストレスがマッハになる。
春玄ルートはこんな幼馴染が徐々に恋心を抱いていく物語。
いつも一緒にいた者として遮那を支え続けようと思っていた春玄。だが遮那が武将として名を挙げるならば今までの関係ではいられず父と同じく主従の関係を結ばなければならないと気が付かされる。
そうして幼馴染から少しずつ遮那と春玄の関係が変わっていく。そんな中物語をひっくり返す春玄の秘密が明かされることとなる。
その正体は源義朝と常盤御前の息子。つまり彼こそが本来の『源義経』であり遮那王は偽者である。
「何故源義経が女なのか?」から始まる本作だがその答えは「彼女が源義経ではないから」になる。
発端は春玄の母である常盤御前が彼を生んだ後。当時は平治の乱にて源氏が負け、常盤御前も平清盛の妾にされる直前だった。
そこで常盤御前は平清盛の継母である池禅尼と出会う。彼女は誰とも知らない赤子を連れていたらしい。池禅尼は常盤御前に対し『このまま清盛の妾になれば貴女の子は殺される。だから私の連れてきた赤子と貴女の子を交換し、どこかの寺に預けてほしい』と提案した。
わが子を生き残らせるためにその提案を飲んだ常盤御前。池禅尼は何故そんな提案をするのか、そもそも連れてきた赤子は何者なのかも疑問に思わず行動に出た。
こうして常盤御前の子は『春玄』と名付けられ、池禅尼が連れてきた子は『遮那王』と名付けられた。
なお春玄ルートにおいては池禅尼が連れてきた赤子の正体は明かされない。
逆に頼朝ルートでは遮那が、親は不明だが平家の血を継ぐ人間であると明かされる(その代わり本物の『源義経』が誰であるかは判明しない)。
それらの秘密が全て明かされるのは知盛ルートとなる。
春玄ルート中盤にて頼朝がこの事実に気が付く。
「父である源重成の形見」として春玄が使っていた刀のつば飾りが頼朝の父である義朝のものだったのである。それで感づいた頼朝が遮那王・春玄を連れて常盤御前に問い詰めこの事実が発覚することとなる。
ということで遮那ちゃんのメンタルがボロボロになるルート。
何しろ今まで悩んでいた源氏の血が全て無かったことにされるのである。自分を慕う弁慶たちに対し「自分は嘘をついていて申し訳ない」と悩み塞ぎ込むようになる。
だが春玄に「俺含めみんなが見ていたのは血でも肩書でもなくお前自身だ」と言われ、ただの『遮那王』として戦う決意を固める。
もうひとりこのルートでメンタルがボロボロになるのがほかならぬ春玄。
始まりは朝廷の長である後白河法皇が源氏の行く末に懸念を抱いたこと。源氏が平家に勝ったとして、源氏がかつての平家のような横暴を働けば世は乱れると考えたのである。そのためにも源氏は朝廷に勝てなくなる程度に弱体化する必要があった。
そんなとき法王は春玄が真の源氏の末子であることと、遮那が女であることを知ってしまう。
そのことから法王は『春玄を朝廷に取り込み、頼朝と春玄を戦わせ源氏を弱体化させる』ということを思いつく(これは史実でもあった出来事)。
自分と兄が戦えば民が傷つき遮那が悲しむと分かっているので最初は拒否した春玄。だが遮那自身が朝廷に人質に取られてしまう。
こうして春玄は「遮那の信念を破り遮那の命を守る」または「遮那の命を見捨て遮那の信念を選ぶ」のどちらかを選ぶことを強いられる。
そして悩んだ末に春玄は遮那の命を選びいつかの未来兄と戦うことを決める。
このことで春玄は心が壊れ、目からハイライトが消え声がやたらと低いダーク春玄となる。
……そして最後の戦いが始まる。
ちなみに春玄ルートにおいて遮那は変装として白拍子(踊り子)の恰好をすることになる。
源義経の妻である静御前は白拍子として有名であった。もしかしたらこのルートの遮那のモチーフは静御前だったのかもしれない。
◆悲恋エンド「お前を苦しめるもの」
源氏軍の中で「春玄が頼朝を討とうとしている」という噂が流れていく。それに対し頼朝は「壇ノ浦の戦いの中で遮那・春玄を暗殺する」という計画を立てる。
頼朝の魔の手から必死に逃げる遮那と春玄。春玄は辛くも生き延びるも遮那は矢に打たれ亡くなってしまう。
遮那を苦しめる世界のすべてに絶望した春玄は頼朝に対する復讐を誓うのだった。
ここで物語は終わるがこの後世界は「壇ノ浦の戦いの後、頼朝の弟は兄に対し戦いを挑む」と史実通りになると考えられる。
サブリミナル知盛は決して笑いどころではない。。
お前のために、いつか源氏を滅ぼそう。
それが俺の生き残った意味
◆恋愛エンド「手を取り合って」
噂が流れるまでの下りは同じ。だがこちらの春玄は頼朝に対し「壇ノ浦の戦いで自分たちが討たれたようにみえるよう演出してほしい」と嘆願する。
冷酷な頼朝に対し提案を蹴られる可能性もあった。だがそれでも兄を信じると誓う春玄の姿に、頼朝は提案を受けることとする。
こうして2人は大怪我を負いながらも海に飛び込み誰もいない土地でなんとか生き延びることに成功する。
それから遮那と春玄は今度こそ源氏のしがらみが無くなったものとして暮らしていくのだった。
……そうだな。鞍馬にいたころは外の世界に憧れていた。
今なら、その夢が叶えられる。お前と俺の二人で。
◆武蔵坊弁慶
CV.梅原裕一郎
遮那王の家来である僧兵。攻略対象では最年長の30歳であるイケオジ。
元々は比叡山の僧兵だったが荒事により寺を追い出される。五条の大橋で刀狩をしていたところ遮那と戦い敗北し、その後忠誠を誓うようになる。
裏表のない快活な性格。良くも悪くも単純で豪快な思考回路をしている。刀狩を行っていたのも、「平家が世を荒らしているが、刀が無くなれば平家も何も出来なくなるのでは?」と考えたから。寝相もかなり悪いらしい。
だが30歳の元僧ということもあってかメンタルはかなり安定している。遮那はじめとしてまだ若者が多いメンバーたちの中で実質的なまとめ役・調整役を担う。遮那や春玄が塞ぎこんでいるのを見るとさりげなく一人にしてやることが多い。とにかく包容力が高すぎる男。
遮那のことを心から敬愛している。元々「源氏の末子」という名前に興味を持っただけであったが行動を共にするうちに彼女自身の人柄に惹かれるようになった。「主従は三世」という言葉を大切にしており、自分と遮那の間には前世・今世・来世で結ばれた強い絆があると信じている。
春玄からは快活すぎる性格と遮那への距離の近さから微妙にウザがられている。
しかし根の部分では気心が合うのか遮那関係の事態になると的確なコンビネーションを見せる。また平泉では2人で寺巡りに行くなどなんだかんだ仲はいい。
またルートの序盤で弁慶が囮を務めることを遮那が納得できなかった際は「アイツの気持ちを汲んでやれないのか」と春玄が𠮟責していた。
大柄な体型もあり戦闘力はかなり高い。
錫杖の輪をあつらえた長刀を持って戦う。そこから繰り出される凄まじい腕力により敵を一掃するのが彼の戦い方。
だが破壊力以上に恐ろしいのがタフすぎる肉体。元々鍛え上げられた肉体によりちょっとやそっとの怪我では屈しないのだが、作中では遮那を守る都合上「何故それだけ怪我をして生きているのか」と言いたくなるギャグみたいな怪我を負う。
特に弁慶ルート終盤では、
- 右腕を刀傷出来られ大怪我を負う
- 遮那に精気を与えてほぼグロッキー状態
- 体中に弓矢を受ける
までダメージを負いながらラスボスの片割れである重衡を倒した。
弁慶ルートではひょんな事故により最序盤で遮那が女であるとバレてしまう。それでも弁慶は遮那を変わらず『殿』と慕う姿勢を変えなかった。特に遮那が自分のために比叡山の僧に一喝してくれた際にはとても感謝していた。
だが遮那を追う知盛の追撃により、2人は追い詰められていくことになり……。このルートはびっくりするくらい知盛が目立つ。
◆悲恋エンド「破られた誓い」
『異類の血』の力により正気を失いかけた遮那は弁慶の精気を臨界点近くまで吸い取ってしまう。
それにより劣勢に陥った遮那。弁慶は遮那を守るため身代わりを務めるのだった。
所謂武蔵坊弁慶伝説で有名な「立ち往生」を再現したエンディング。
……主従は三世
我らの絆は来世でも結ばれているはずです
◆恋愛エンド「勝ち取った未来」
遮那と弁慶はついに知盛を倒し戦は源氏の勝利で終わった。
それから遮那は、大怪我を負った弁慶の看護をしつつ、軍を抜け隠居をすることに。
『殿』ではなく『姫』となった遮那は、弁慶と共に幸せに暮らすのだった。
今世も、来世も、その次の世も、永遠にあなたのお傍におります
平家一門の命運をかけて…… 源義経に一騎打ちを申し込む!!
◆平教経
CV. 河西健吾
平家の勇猛果敢な武将であり遮那王の好敵手。平清盛の弟である教盛の息子。
『ビルシャナ戦姫』の物語は彼が遮那王に戦いを挑むため鞍馬寺に訪れたことで始まった。
全ルート中最も話の根幹に触れないため最初に行うことが推奨される。
平家の『武』の部分を体現した実直な少年。
戦うことと強くなることを好んでおり、基本まともな人間が少ない平家サイドにおいては数少ない良心である。遮那王に戦いを挑んだのも自分と同い年の強い少年がいることに興味を持ったからであった。その反面勝手に遮那王に決闘を申し込んだことをはじめとして良くも悪くも武人気質で政略には向いていない。
「実直で血に強く囚われている」という意味では遮那王とは鏡合わせの存在。作中では何度も似た者同士であることが強調されている。
教経ルートでは教経が遮那王の人となりに興味を抱いていくルート。
とにかく遮那王と戦おうとしていた教経。だが肩書のことでいよいよナーバスになっていた遮那ちゃんに「血とか肩書とかそんなものに囚われすぎるな(意訳)」とついにキレられてしまう。
このことにより教経は平家であることに疑問を抱いていくようになる。そうして考えた末、実直すぎる性格もあり「平家を捨ててただの教経となる」という決意を固める。こうして平家のしがらみもなくただの個人として遮那の暮らす平泉へ向かう。
遮那の方は自分のために本当に肩書を捨てた教経に対し困惑していた。それと同時に自身にそこまでの想いを抱いてくれているのに、まだ自分が源氏の血に折り合いをつけられていないことに悩むように。
こうして戦いながらも2人の交流は続いていき「好敵手と書いて『とも』と呼ぶ」ような関係を築いていく。
だが運命の悪戯か結局教経は平家に戻ることとなる。そうして壇ノ浦の戦いで遮那と教経は一騎打ちを遂げることとなる。
こんな話であるため遮那を女性と知るのは全ルートで最も遅い(中盤から疑念を抱いていたようであるが)。というよりも性別も肩書も全て取り払った「遮那王」という存在に執着している。
◆悲恋エンド「死なば諸共」
平家と源氏それぞれの将として遮那と教経は最終決戦を臨む。そのさなか「流れる血故に一緒には生きられない」と悟った2人はお互いの胸を刀で突きさす。
そして2人は湖に飛び込み心中するのだった。
……この空の下で、共に生きること叶わなかったが……
波の下で、探すとしよう……俺とお前が、共にいられる場所を……
◆恋愛エンド「お前だから」
遮那と教経は共に生きるため、湖に飛び込み死を偽装するという策を取る。
一か八か賭けであったが成功し、2人は小さな村に流れ着いた。
そこで遮那と教経は、平家も源氏も関係ないただの夫婦として暮らすのだった。
【サブキャラクター】
一部メインルートをクリアするとサブキャラクターたちと親密になるショートストーリーが解放される。短編なので遮那ちゃんの女バレがやたらめったら早い。
ファンディスクにて正式なルートが実装されることとなった。
「遠慮などしなくても良い。遮那王様のことはお任せを」
◆佐藤継信
CV.
近藤隆
平泉の有力な武士である佐藤兄弟の兄。父が奥州藤原氏の家臣だったこともあり彼とも仲がいい。平泉に来たばかりの遮那たちの世話役となる。その後遮那の決意を聞き、彼女の家臣として源平合戦に参加することに。
戦闘の際は槍を用いる。
頭がよく柔和な男。元気すぎる弟をたしなめながら周囲を見渡していることが多い。ちょっと過保護すぎるところもあるが、心優しく相手に気を遣う性格から遮那にも親しまれている。
だがその反面意外と腹黒なところもあるらしい。弟からは「表向きはまじめだが裏でこっそりと手を抜くタイプ(意訳)」と言われている。そう言われるたびにおしおきを食らわせるのがお約束。
信継ルートでは彼の頭脳プレイにより遮那の正体がバレてしまうことに。
なお信継といえば史実では源義経をかばい矢に打たれ戦死したことで知られる。そのためフラグをミスり悲恋ルートに進むと……。
「可愛らしい遮那王様のためならやる気も出る」
◆佐藤忠信
CV.
小西克幸
継信の弟である快活な武将。兄と共に遮那の家臣となり源平合戦に参加する。
得物は「
双鈎」と呼ばれる宋から伝わった不思議な武器。
兄とは対照的に元気すぎるアホの子。頭を使うのは苦手だが体を動かすのは大好きというタイプであり、平泉では遮那とよく鍛錬をしていた。一言多い性分であり、兄に対し余計なことを言って仕返しされていることが多い。
なお遮那のことを男と認識したうえで「かわいい」と連呼している(これは継信もだが)。男だとはわかっているが、その美貌を見ると思わず「かわいい」と言ってしまうらしい。夢は遮那に耳かきをしてもらうこと。
ファンディスクにおける忠信ルートではやはり遮那が女であると知ってしまう。
……のだが、バレ方が『温泉に入っている遮那を偶然覗いてしまう』というラッキースケベ展開だった。制作曰く「やはり一つはこういうバレ方にしたかったが出来そうなのが忠信しかいない」とのこと。
作中においては遮那・春玄・弁慶・継信・忠信の5人でひとつのチームとして扱われている。
「あなた以上に信頼できる人はどこにもいやしないよ」
◆佐々木高綱
CV.天月
源義経の家臣である少年。頼朝の伊豆生活時代から彼を見守っていた。演じるのは本作のオープニングを歌う天月氏。
平泉編終盤にて、遮那に頼朝が戦を起こそうとしていることを伝えるために登場する。
無邪気で幼いところのある少年。年齢は作中最年少の15歳である(遮那のひとつ下)。
どんな時でも明るく元気な姿を崩さない姿から仲間たちに好感を持たれている。誰に対してもこの姿勢を変えることはなく、あの頼朝相手でも構わずタメ口で話す。頼朝からは特に何も言われていないようだが。ただ景時からは苦言を呈されている。
ただの明るい少年のようだが仕事面ではかなり有能。頼朝から事務仕事全般を任されているが難なくすべてこなしている。高綱がいないと偶に源氏軍が詰みかけるというレベルで軍に貢献している男。
高綱ルートでは本編の時系列よりやや早い段階で出会い、彼の意外な一面を見ることに。
見どころは、せっかく年下の子と仲間になってので頑張ってお姉ちゃんムーブをかます遮那ちゃん。
「いいね、その太刀筋。遊び相手としては十分だな」
◆平重衡
CV.逢坂良太
平清盛の実の息子であり知盛の弟。
史実であれば一ノ谷の戦いで捕虜となるものの、本作では壇ノ浦の戦いまで生き残っていることが多い。
敵サイドということもあり軽薄で命をもてあそぶことを楽しむ残虐な少年。平家が世界に君臨すべきと自然に考えており、兄からは「平家らしい平家」と言われている。だが知盛にだけは懐いており親しみの情を見せる。
「兄が珍しく興味を持った存在」として遮那を一目置いている。作中では彼女に対し何度も厭らしい戦略で追い詰める。実直な遮那のことを小ばかにした言動が多い。しかし一ノ谷の戦いで遮那が崖下りを成功させた際は流石に肝を冷やしていた。
清盛の子ということで彼も『異類の血』の力を使える。
軽薄な性格で実力もそこそこというキャラのせいか大体のルートで中ボスとなっている。
そのためか大半のルートで戦死するかわいそうな男。生き残るのは遮那が平家側につく教経ルートだけ。他ではほぼ死んでおり真相ルートである知盛ルートですら死んでいる。
重衡ルートでは、遮那に興味を持った重衡が平泉まで来てしまう。
そこでお互いのことを知っていく遮那と重衡。だが「弟に獲物を横取りされた」と感じた知盛は重衡に強い怒りを見せる。おそらく悲恋エンドが最も悲惨な人。
【その他キャラクター】
◆覚日
CV.峰晃弘
鞍馬寺の僧如で遮那王と春玄の育て親。ちなみに実在の人物。
鞍馬寺に預けられた2人を育てながら兵法と武芸を教えていた。そのため遮那たちにとっては親代わりと言える人物。
◆吉次信高
CV.石黒史剛
平泉の金を京で売って儲けている商人。こちらも実在の人物。
鞍馬寺とも親交があり、遮那を平泉に招きたいと考えている。その後遮那が平泉に行くことになった際、史実通り彼女を案内することに。
本作はGENROHな世界観ではないので幼女が頭領になっていたりはしない。
◆藤原秀衡
CV.拝真之介
奥州藤原氏の第3代当主。遮那たちが平泉に逃げ込むことになった際保護されることになる。
民のことを第一に考える人格者。遮那のことも案じており、平泉でじっくりと自分の道を考えてほしいと思っている。本作において元服で遮那に『源義経』の名を与えるのは彼。
◆藤原泰衡
CV.河本啓佑
秀衡の息子である美少年。
実直なリアリスト。それ故に平泉の争いのタネになりかねない遮那が来訪してきたことをあまり快く思っていない。そのため彼女に対する嫌みが多い。
言っていることはそこまで間違っていないし本人なりに民のことを考えている。しかし彼以外の平泉サイドが義理人情を重んじる遮那ちゃん大好きクラブなのであまり話を聞いてもらえない。言葉の綾とはいえ実の父に「愚息」と呼ばれたことがある。
◆梶原景時
CV.坂口候一
源頼朝の副将である中年男性。
有能だが嫌みな男であり、遮那のことを「今まで戦いにも参加しなかった御曹司」と見下している。
ただ良くも悪くも仕事人間であり、源氏軍内で「遮那の正体は化け物」という噂が流れた際も態度を変えなかった。
今作は遙かなる世界ではないので妹はいない。
◆平清盛
CV.菊池通武
ご存じ平家の怪物。
時期的にはもう老体であり癇癪を起こし死を待つのみの存在となっている。
中盤で実際に熱病で亡くなってしまい、源平両方に強い衝撃を与えることとなった。
遮那と実際に対面するのは全ルートでもワンシーンだけだが、実は彼女と強い因縁がある。
◆平教盛
CV.鷲見昂大
清盛の弟であり教経の父。
厳格な性格で平家の繁栄を常に第一に考えている。平家サイドでは数少ない常識人であり、それゆえに胃を痛めながら周りを抑えなければならない苦労人。特にかんしゃくを起こすことが多い兄に頭を痛めている。
◆平徳子
CV.佐藤利奈
清盛の娘。知盛の妹であり重衡の姉に当たる。
高倉天皇に入内し世継ぎである安徳天皇を産んだことで平家の地位を押し上げた。
感情的な女性であり平家の繁栄を信じて疑わない。平家が京を捨てて逃げることになった際はかなりヒステリックにキレていた。
最期は史実通り息子と共に壇ノ浦で入水する。
……「ほぼ端役の割には声優が妙に豪華だな」と思った貴方は冴えている。
◆源義仲
CV.千春
源義朝の弟である源義賢の息子。義賢は義朝に討たれたこともあり、頼朝からは「源氏ではあるが我らとは別の存在」と認識されている。
頼朝たちとは別ルートで平家を倒そうとしている。
粗野で快活な男。細かいことは考えないが豪快な生きざまから妙なカリスマを持ち部下からは慕われている。
ただ武将としての品格はお世辞にも良いとは言えない。平家から京を奪い返した際は、部下たちが調子に乗り民から略奪する姿を特に咎めずにいた。義仲征服時の京は平家がいた時よりも荒れていたというほど。そのため遮那たちからはあまり好かれていない。
ルートごとに経緯は違うが、最終的に調子に乗りすぎたことで、朝廷が頼朝に対し義仲の討伐命令を出す。その後はどのルートでも結局死ぬことになる。
それなりに美男子だがファンディスクで攻略対象に昇格することもなかったため救済ルートも用意されなかった。自業自得ではあるが。
【知盛ルート】
平知盛ルートでは真相ルートということで物語の最後の謎が明かされることとなる。
本作は話が進むごとに、
- 遮那王が平家と同じ『異類の血』の力を使う(弁慶ルート)
- 遮那王が池禅尼がどこからか連れてきた子であり源氏ではないと明かされる(春玄ルート)
- 遮那王が平家の子であると判明する(頼朝ルート)
というように、遮那の出生の秘密に焦点が当てられてきた。そして知盛ルートではそれらの謎に遮那たちが挑むこととなる。
まず、遮那王の本当の母親は平清盛の実の妹である蓮月。……すべては平清盛の出生の秘密から始まる。
史実でもあやふやな平清盛の母であるが、本作では神であったということになっている。
かつての昔、清盛の父である平忠盛はどこかから女を連れてきた。その女は言葉を喋れず目も見えず体も動かせなかったが神の力を持っていたらしい。知盛が語ったところによると大蛇の化身であったとか (安徳天皇が八岐大蛇の生まれ変わりとされた逸話が由来か?)。
実際に清盛や知盛など彼女の血を受け継ぐものは、『異類の血』という特殊な力を使うことが出来た。本作において清盛の武功は『異類の血』によるものとなっている。
そして彼女の実の子どもとして平清盛とその妹の蓮月が生まれることとなる。だが蓮月は清盛以上に強大な力を持っており生まれると同時に母を食い殺してしまった。
蓮月を「不浄の血」として疎んだのが清盛の継母である池禅尼。プライドの高い池禅尼にとって平忠盛の前の妻は許せない存在であったし、人ではない者ならなおさらだった。彼女は蓮月の目と喉を切り手足を潰し、座敷牢に監禁してしまう。
こうして蓮月の存在は平家の闇に消えた……はずだった。
だが平家の下級武士であるとある男が蓮月を憐れんでしまったことから話はまた動き出す。
2人は肉体関係を持ち蓮月はいつの間にか身ごもっていた。そして赤子が生まれるのとほぼ同じタイミングで、男と蓮月は平家から逃げ出した。
男は行方不明になったものの蓮月と赤子はすぐに見つけられた。蓮月はその場で処刑され、赤子の身柄は池禅尼に預けられることとなる。
池禅尼は『異類の血』を疎んでおりいつかは滅ぼすことを考えていた。だが人を超えた『異類の血』を倒すには同じ力を持つ『異類の血』が必要。弁慶ルートで弁慶が『異類の血』に覚醒した重衡を普通に倒していたのは忘れろ。
そして蓮月の血を受け継ぐ赤子を使い「異類の血で異類の血を滅ぼす」という計画を立てる。
まず池禅尼は平治の乱で捕らえられた源頼朝の助命を嘆願する。
『異類の血』を持つ者ひとりで平家を打ち倒すことは不可能。そのためいつか成長した赤子の助けとなってくれる源氏の兵力が必要であり、そのためにも頼朝を生き残らせる必要があった。
そして頼朝に対し『いつか清盛に流れる異類の血を滅ぼす存在が、源氏の末子として現れる』と告げた。
その一方で池禅尼は『源義経』の母である常盤御前に接触する。当時常盤御前は子供が生まれた直後に夫が亡くなり平清盛の妾にされる寸前であった。そんな彼女に池禅尼は蓮月の子を託しとある提案をする。
このまま常盤御前が平清盛の妾となれば源氏の末子は当然殺される。であるならば、この自分が連れてきた赤子を源氏の末子ということにし、どこかの寺に預けろと。そうして蓮月の子と常盤御前の子は互いに立場を交換することとなった。
こうして蓮月の子どもは源氏の末子の名を背負い、『遮那王』と名付けられ、鞍馬寺に預けられるのだった。
これが本編が始まるまでに起きたこと。
まとめると平清盛の妹の娘が遮那王/源義経である。ややこしい。
上述の「頼朝ルートって近親相姦じゃね?」問題であるが「本作の主人公は史実に登場しないオリジナルキャラクターです!」で乗り切ったことになる。
なお蓮月の夫については作中で誰も触れなかったので正体は不明。……プロローグで一瞬だけ登場するのだが、何故か声優は平知盛と同じ福山潤氏であった。ファンディスク用の伏線かと思ったがそんなことはなかったぜ!
蓮月は唯一血のつながった兄である平清盛を愛していた。そのため清盛の血を世界に君臨させたいと考えている。だからこそ清盛の血を持つ者以外は彼女にとって不要な存在であり人の世を滅ぼそうとする。
逆に身内には基本甘く、娘である遮那に対しても「一度そなたに母と呼ばれたかった」と慈しんでいた。
蓮月は正確には死んでいない。殺される直前に清盛の娘である徳子の肉体に入り込んでいる。徳子の中で何年にもわたり肉体を乗っ取るだけの力を蓄えていた。
そして知盛ルートでついに覚醒しラスボスとして世界を滅ぼそうとする。他のルートでは徳子の肉体で寝ている間に彼女が史実通り入水自殺をしていたという残念な結末を迎えている。
手始めに壇ノ浦の戦いで源氏と平家もろとも全滅させようとした。だがそのような横暴を遮那が許せるはずもなく最後の戦いが始まる。
このルートでは蓮月を倒すため、源氏と平家が手を組むという最後のシナリオらしい展開となる。
ちなみにこのラスボス戦では遮那の啖呵とともにBGMがメインテーマ「屍か躯か」に切り替わる燃える演出となっている。
そしてその最中遮那と知盛は合流し、タッグを組み蓮月と戦うことに。
なおこのシーンで自身を犠牲に蓮月を倒そうとする知盛に対し、
お前は言っただろう!
お前が死んで、私だけが残って他の男のものになるのが嫌だと
お前が死ぬときは私と共に連れていきたいのだろう!
ならば連れて行け!
お前となら、地獄の底まで付き合ってやる!
とまで言い切る遮那ちゃんはやはり男前である。
◆悲恋エンド「私の愛しい姫君」
戦いのさなか、遮那は蓮月の中の気を吸いすぎてしまう。遮那は暴走してしまい、気が付けば源氏も平家も皆殺しにしていた。
やはり自分が蓮月の血を継ぐ怪物でしかないと知ってしまった遮那は自害。知盛もそれに続き入水するのだった。
彼女が生きられぬような世ならいっそすべてほろぼしてやろう
源氏も平家もすべていなくなればいい!!
◆恋愛エンド「源氏と平家を繋ぐもの」
遮那と知盛の力によりついに蓮月は倒された。
蓮月のせいでグダグダになってしまったので壇ノ浦の戦いは取りやめとなり、議論の末に和議が結ばれることになる。
そして源平和解のしるしとして遮那と知盛は婚約することとなるのだった。
世界はこんなにも美しかったのだね
それを教えてくれたのはそなただ
【ビルシャナ戦姫 〜一樹の風〜】
2021年に発売されたファンディスク。
内容は乙女ゲームファンディスクお約束の各ルートエンディング後の話がメイン。
「女として生きることが出来るようになった遮那王」がひとつのコンセプトのためか、彼女の衣装差分立ち絵がやたらと増えた。
なんと作中キャラ最多の7種類である。
◆後日談
頼朝、知盛、春玄、弁慶、教経の5人のアフターストーリー。
本編が血みどろのバトルものだった影響か、かなり甘い恋愛劇が描かれる。
◆正規ルート
信継、忠信、高綱、重衡の4人を新たに攻略することが出来る。
ストーリーは本編組に比べるとやや短めだが、きちんと恋愛エンド・悲恋エンドが実装されている。
【余談】
◆乙女ゲームにおける源平合戦
源平合戦は乙女ゲームでよく題材として使われている。
5作中3作で源義経は攻略対象となっており、残り2作では主人公となっている。
- 遙かなる時空の中で3(コーエーテクモゲームス/2004)
乙女ゲームの金字塔『
遙かなる時空の中で』シリーズでもトップクラスに人気の高い作品。
普通の女子高生が京によく似た異世界に転移してしまい戦うことになるストーリー。
なお主人公の『春日望美』は、もはやギャグに片足突っ込んだフィジカルとメンタルの強さから最強の乙女ゲーム主人公として知られる。
『ビルシャナ戦姫』と同じくオトメイトから発売された乙女ゲーム。
12歳の少女・沙耶が大商人である吉次一族の跡取りに選ばれ平泉に向かうことになる物語。本作で源義経はメイン攻略対象。
『ビルシャナ戦姫』に比べるとやや史実要素強めの作品。主人公が妙に若いのも、ゲームの中で10年近い時が経つからである。
- イケメン源氏伝 あやかし恋えにし(サイバード/2019)
アプリ乙女ゲーム『イケメン』シリーズの1作。
源平合戦後の頼朝と義経の争いが中心であり、主人公はどちらかの陣営につくことになる。
2019年にリリースされた作品だが、『ビルシャナ戦姫』では平知盛役だった福山潤氏がこちらでは源頼朝役になっており「ややこしい」と一部で話題になった。
- 星の王女 ~宇宙意識に目覚めた義経~(未蕾/2007)
タイトルにあまり突っ込んではいけない。日本初の18禁乙女ゲーム『星の王女』シリーズの7作目。
源義経が主人公の乙女ゲーム。正確には義経の双子の妹が、兄の暗殺後『源義経』の名を名乗るというストーリー。
- ビルシャナ戦姫 ~源平飛花夢想~(オトメイト/2020)
オトメイトでは2作目の源平合戦物の乙女ゲーム。
「GENROH」だとメインヒーローであった義経は、今作ではメインヒロインとなった。
◆オトメイトにおける女体化主人公
歴史ものの乙女ゲームに定評のあるオトメイトだが、時折「歴史上の人物を女体化させ主人公にする」という手を用いることがある。
作品がOVA化&続編発売されたこともありおそらく最も有名な女体化主人公。
タイトル通り三国志をモチーフにした乙女ゲームであり、伝説通り作中最強格の武勇を持つ。あとネコミミ。
作中屈指の男前であり大体のルートのクライマックスで強すぎるメンタルを見せる。
ちなみにメインプロデューサーが『ビルシャナ戦姫』と同じ人。
三銃士をモチーフにした『マスケティア』の主人公。
普通の女の子であったが、いきなり父を殺されてしまい、真相を知るべく父と関わりがあったシュバリエ学園に編入する。
突如父を殺害された都合上仕方がないが見ていて可哀そうになるくらい中盤まで暗い少女。
円卓の騎士をモチーフにした『Princess Arthur』の主人公。つまりアーサー王。
王都の城下町で育った普通の少女であったが聖剣を抜いてしまったことで王に選ばれる。
元一般人である中頑張って理想の王になろうとするいい子。
所謂三蔵法師。西遊記をモチーフにした『S.Y.K 〜新説西遊記〜』の主人公。
寺院で暮らしていたがある日突然仙人に命じられ三蔵法師としての使命を受けることになる。
生真面目なためマイペースなお供たちに振り回されがち。……ではあるものの順応力は高く妙にタフになっていった。
『楊戩』の名で有名な方。
封神演義をモチーフにした『L.G.S ~新説 封神演義~』の主人公。ちなみにタイトルが示す通り『S.Y.K 〜新説西遊記〜』とスタッフは同じ。
- 遮那王/源義経(ビルシャナ戦姫 ~源平飛花夢想~)
ここまで紹介した通り源平合戦をテーマとした『ビルシャナ戦姫』の主人公。
源氏の末子の名を背負ってしまった少女。
ちなみに女体化した織田信長が主人公の乙女ゲームはありそうでない。
その代わりに織田信長の妹であるお市が主人公の『花朧〜戦国伝乱奇〜』というゲームはある。
『少女義経伝』というギャルゲでは女体化した源義経がメインヒロイン。そのため源義経は男性向けと女性向け両方で女体化した稀有な人物ということになる。
画像出典:ビルシャナ戦姫 ~源平飛花夢想~ アイデアファクトリー オトメイト 2020年9月17日発売
- すげえ、滅茶苦茶他の乙女ゲームにも詳しい -- 名無しさん (2026-03-17 10:07:15)
最終更新:2026年03月17日 10:07