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劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク

登録日:2026/04/28 Tue 09:55:57
更新日:2026/07/18 Sat 16:37:08
所要時間:約 3912 分で読めます






「キミのことを、教えて。
そうすれば、歌がわかるのかもしれない」


劇 場 版
プロジェクトセカイ
壊れたセカイと歌えないミク





【概要】

『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』は、2025年1月17日に松竹配給で公開されたアニメ映画。
セガ・Colorful Palette・クリプトン・フューチャー・メディアによるスマートフォン向けリズム&アドベンチャーゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(通称「プロセカ」)を原作とする初の劇場アニメ作品。

監督は『ゆるゆり なちゅやちゅみ!』の畑博之。脚本は米内山陽子。アニメーション制作は『SHIROBAKO』『凪のあすから』『花咲くいろは』など数々の名作を手掛けるP.A.WORKSが担当する。
上映時間は105分。

ゲームの本編とは独立した完全オリジナルストーリーであり、ゲームには登場しない新しい「初音ミク」が「プロセカ」のキャラクターたちと出会い、成長していく姿が描かれる。
原作ゲームに登場する5ユニット20名のキャラクター、そしてバーチャル・シンガー6人が全員登場する大規模な作品となっている。

公開後は順調にヒットを記録し、2025年2月18日には興行収入10億円を突破。
プロセカファンのみならず、ボーカロイド文化に親しむ層からも高い評価を獲得した。
2025年8月29日にはDolby Cinemaでの上映も開始され、同年10月29日にBlu-rayが発売された。

【あらすじ】

シブヤを舞台に、音楽を中心としたサブカルチャーが盛んな街と、人々の"本当の想い"が映し出される不思議な空間「セカイ」

ある日、CDショップで聴いたことのない初音ミクの歌を耳にした少女・星乃一歌は、モニターに見たことのない姿の"初音ミク"を見つけ、思わず「ミク!?」と声に出してしまう。
その声に驚いたミクは、一歌と目が合うがほどなくして消えてしまう。

後日、路上ライブを終えた一歌のスマホに、以前見かけたあのミクが姿を現す。
寂しげに俯くミクが言うには、"想いの持ち主"に歌を届けたいのに、いくら歌っても歌が届かないのだという。
ライブで多くの人の心に歌を届ける一歌の姿を見て、「彼女のことを知れば自分も同じように歌を届けられるのでは」と考えたミクは、一歌のもとにやってきたのだった。

「私でよければ」と微笑みながら答える一歌──。
こうして、初音ミクと少年少女たちの新たな物語が始まる──。

【スタッフ】

原作 セガ/Colorful Palette/クリプトン・フューチャー・メディア
監督 畑 博之
脚本 米内山 陽子
キャラクターデザイン/総作画監督 秋山 有希
サブキャラクターデザイン/総作画監督 辻 雅俊
プロップ設定 牧野 博美
美術監督 鈴木 くるみ
美術設定 塩澤 良憲
撮影監督 岩井 和也
色彩設計 手嶋 明美
CGIディレクター 小川 喬右、鈴木 晴輝
編集 高橋 歩
音響監督 明田川 仁
音響効果 上野 励
音響制作 マジックカプセル
音楽 宝野 聡史
アニメーション制作 P.A.WORKS
配給 松竹
製作幹事 サイバーエージェント
製作 「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」製作委員会

【登場人物・キャスト】


◆バツミク

この作品で唯一の映画オリジナルキャラクター。
頭に「×」のモチーフを付け、拘束具を象った衣装のコートに身を包む、ゲームには登場しない姿の初音ミク。
ノイズをまとっており、"想いの持ち主"に歌を届けようとしているが、その歌はノイズ混じりで誰にも届けられず、思い悩んでいる。
ライブで多くの人々に歌を届ける一歌に憧れ、「彼女のことを知れば自分も同じように歌を届けられるのでは」と一歌に助けを求める。

しかし、肝心の"想いの持ち主"については具体的な回答を避けるなど、その言動には不自然な点も。
人の想いに依存した存在であるバーチャル・シンガーたちにとって、"想いの持ち主"はバツミクの拠点となる『セカイ』とバツミク自身の存在を維持する上で必要不可欠な要素であり、どこにも居ないこと、ミク側が存在を知らないことは通常あり得ないはずだが……?







◆バーチャル・シンガー

ゲーム本編にも登場するお馴染みのバーチャル・シンガーたち。本作には全員が登場する。
キャラクター 声(オリジナルCV)
初音ミク 藤田 咲
鏡音リン・鏡音レン 下田 麻美
巡音ルカ 浅川 悠
MEIKO 拝郷 メイコ
KAITO 風雅 なおと

Leo/need

本作の物語の中心となるユニット。星乃一歌たち幼馴染4人で結成されたバンド。
一歌が偶然バツミクを目の当たりにしたことが物語の発端となる。
キャラクター
星乃 一歌 野口 瑠璃子
天馬 咲希 礒部 花凜
望月 穂波 上田 麗奈
日野森 志歩 中島 由貴

MORE MORE JUMP!

中の人的にも元アイドル・元アイドル候補生たちで結成されたユニット。
キャラクター
花里 みのり 小倉 唯
桐谷 遥 吉岡 茉祐
桃井 愛莉 降幡 愛
日野森 雫 本泉 莉奈

Vivid BAD SQUAD

ストリートを拠点に活動する音楽ユニット。
キャラクター
小豆沢 こはね 秋奈
白石 杏 鷲見 友美ジェナ
東雲 彰人 今井 文也
青柳 冬弥 伊東 健人

ワンダーランズ×ショウタイム

遊園地「フェニックスワンダーランド」の四バカカルテットショーパフォーマー集団。
ぶっちゃけ重くなりがちな本編におけるコミカル要員。
キャラクター
天馬 司 廣瀬 大介
鳳 えむ 木野 日菜
草薙 寧々 Machico
神代 類 土岐 隼一

25時、ナイトコードで。

深夜に活動するインターネット上で集まった音楽ユニット。
出自が出自なだけに、"想いの持ち主"たちに一番寄り添おうとする場面が目立っている。
キャラクター
宵崎 奏 楠木 ともり
朝比奈 まふゆ 田辺 留依
東雲 絵名 鈴木 みのり
暁山 瑞希 佐藤 日向

【楽曲】

本作のために多くのボカロPが書き下ろし楽曲を提供。
オープニング・エンディング主題歌に加え、各ユニット&バーチャル・シンガーの書き下ろし楽曲、そして既存のボカロ名曲の劇場版アレンジまでを揃えた、まさにボカロカルチャーの集大成と呼ぶに相応しいラインナップとなっている。

◆主題歌


オープニング主題歌「はじまりの未来」

作詞・作曲・編曲:40mP×sasakure.UK
歌唱:バーチャル・シンガー
プロセカおよびボカロ界隈において絶大な人気を誇る2人のボカロPによる強力タッグで生み出された楽曲。
ゲームではお馴染みのバーチャル・シンガーたちが、映画のオープニングを爽やかに彩る。

エンディング主題歌「Worlders」

作詞・作曲:じん / 編曲:TeddyLoid
歌唱:バーチャル・シンガー、Leo/need、MORE MORE JUMP!、Vivid BAD SQUAD、ワンダーランズ×ショウタイム、25時、ナイトコードで。
全ユニット総勢26名による圧巻の合唱曲
作詞・作曲を手掛けるじんは『カゲロウプロジェクト』で知られるボカロP。
編曲のTeddyLoidは『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』のサントラなどでも知られる音楽プロデューサー。
壮大なスケールで物語を締めくくる本作のクライマックスにふさわしい1曲。

◆ユニット&バーチャル・シンガー書き下ろし楽曲

本作の象徴的存在とも言える、各ユニットおよびバーチャル・シンガーへの書き下ろし楽曲群。
全6曲すべての作詞・作曲を、ただ一人DECO*27が手掛けるという類を見ない体制で制作された。
編曲には、DECO*27自身が「大好きなクリエイター」として直々に指名した6名のボカロPがそれぞれ参加している。

担当ユニット 楽曲名 作詞・作曲 編曲
バーチャル・シンガー ハローセカイ DECO*27 tepe
Leo/need SToRY DECO*27 堀江 晶太(kemu)
MORE MORE JUMP! FUN!! DECO*27 いよわ
Vivid BAD SQUAD ファイアダンス DECO*27 Giga
ワンダーランズ×ショウタイム スマイル*シンフォニー DECO*27 煮ル果実
25時、ナイトコードで。 そこに在る、光。 DECO*27 すりぃ

「ハローセカイ」には、劇場版で使用されるバツミクver.の他、バーチャル・シンガー6名による合唱版「ハローセカイ/バーチャル・シンガーver.」も存在する。

ちなみにこの6曲は、一部に共通したフレーズが使われている。というのも、作中でバツミクが唯一覚えていたメロディ(=「ハローセカイ」の歌いだし)をもとにして、各ユニットがそれぞれ楽曲を作り上げた、ということになっているため。

◆挿入歌(既存楽曲・劇場版アレンジ)

DECO*27作の書き下ろし楽曲とは別に、既存ボカロ楽曲の劇場版アレンジも多数使用されている。
楽曲 作詞・作曲・編曲 歌唱
ノイジー(劇場版プロジェクトセカイver.) 作詞・作曲・編曲:いるかアイス、市瀬るぽ、Tanchiky バツミク
glow(劇場版プロジェクトセカイver.) 作詞・作曲:keeno/編曲:瀬上純、椿本匡賜 星乃一歌(野口瑠璃子)
快晴(劇場版プロジェクトセカイver.) 作詞・作曲・編曲:Orangestar Leo/need
群青讃歌(劇場版プロジェクトセカイver.) 作詞・作曲:Eve/編曲:raku(tayori) Leo/need、MORE MORE JUMP!、Vivid BAD SQUAD、ワンダーランズ×ショウタイム、25時、ナイトコードで。


【余談】


◆作品の評価

本作は「プロセカという作品の魅力をフル活用した正統派ファンムービー」として評価される一方、「初音ミク・ボーカロイドという文化そのものへの愛に満ちた作品」としても受け取られた。
「想いを込めた歌が、見えない誰かの心に届くかもしれない」というテーマは、不特定多数のクリエイターが「初音ミク」というアイコンを介して匿名で楽曲を投稿してきたニコニコ動画文化のメタファーとしても解釈可能であり、ボカロカルチャーを長年見守ってきた層に深く刺さる作りとなっている。

一方で、「5ユニット20人+バーチャル・シンガー6人という膨大なキャラクターを105分の中で全員描写し、しかも出番を均等にする」という無理難題を課せられた作品であったことも事実。*1
破綻させずに仕上げたとはいえ、原作ゲームをある程度知っていることが前提の作りであり、原作未プレイの観客には人間関係や設定がやや把握しづらい構成だった部分はある。
ただ、その分1人1人の見せ場はしっかりと描かれており、各ユニットのライブシーンは2025年公開アニメ映画の中でも屈指の出来と評する声が多い。

また作中では言及されないが、実は「初音ミクの消失」由来の小ネタがひっそりと紛れ込んでいる。見る機会があれば探してみよう。


◆DECO*27は27人いる?

楽曲の項でも触れた通り、本作のユニット&バーチャル・シンガー書き下ろし楽曲は、全6曲すべての作詞・作曲をDECO*27ただ一人が担当している。
プロセカは元々、各ユニットごとに毛色の異なる多様な楽曲が魅力の作品であり、Leo/needのバンドサウンドからワンダーランズ×ショウタイムの陽気なミュージカル調、25時、ナイトコードで。の繊細で内省的な曲調まで、その振れ幅は極めて広い。
それをたった一人のボカロPが書き分けるという前代未聞の試みであり、しかも仕上がりはどれも各ユニットの個性にバッチリ寄り添ったものになっている。
プロセカ初期から携わり続けてきたDECO*27だからこそ実現できた離れ業と言えるが、その仕事量のせいで映画公開前後には「DECO*27は27人いるプロジェクト体制に違いない」という根も葉もない噂が流れることとなった

公開当日、DECO*27本人が公式X(旧Twitter)で6曲全曲と編曲者を一気に発表したポストは1.2M(120万)Viewsを超えるバズを記録し、ボカロファンを震撼させた。
プロセカ未プレイ層からも「映画のサントラを聴いてみたら全部DECO*27だった」「これは『DECO*27のアルバム』として聴いても遜色ないボリュームでは?」という声が多数上がり、結果的に新規ファン獲得にも繋がる事となった。



◆"39"万人記念

公開後の動員数が39(ミク)万人を突破した際には、それを記念して39枚の新規場面カットが公開された。
ミクファンらしい、数字遊びを取り入れた粋な記念施策である。

◆ネタバレ禁止令

公開直後の2025年2月9日まで、公式からネタバレ禁止令が出ていた。
これは劇場体験を新鮮なまま味わってほしいという制作側の配慮であり、SNS等での感想投稿時にも一定の自制が呼びかけられていた。

◆ボカロ初心者にも開かれた構成

本作は初音ミクおよびボカロ文化に対する愛と理解に満ちた作品でありつつも、ボカロを知らない人にも「歌で誰かに想いを届ける」というテーマを通じて作品にアクセスできるよう設計されている。
そのため、「ボカロは聞いていたけどプロセカは知らなかった」という観客や、「プロセカ未プレイだが偶然鑑賞した」という観客からも、好意的なレビューが多数寄せられている。

◆「アフターライブ」

本編とは別に、エンドロール後に各ユニットの楽曲をライブパフォーマンス形式で楽しめる「アフターライブ」が用意されている。
8月29日からのDolby Cinema上映では、このアフターライブが全6ユニット分の楽曲歌唱を再編集した特別版として再構成されており、リピーターを呼び込む大きな要因となった。

◆Blu-ray発売

2025年10月29日には特装限定版・通常版のBlu-rayが松竹より発売。
特装限定版はBlu-ray Disc 2枚組+CD2枚組という大ボリューム仕様で、本編はもちろん、書き下ろし楽曲をフル収録したCDも同梱。
プロセカ初の劇場アニメ化作品として、長くファンに愛される作品となっている。



追記修正は閉ざされた窓のセカイの窓を全て開けてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\君は初音ミクの何を知っているのか?/

最終更新:2026年07月18日 16:37

*1 若年層向けの作品である関係上、特定の誰かを贔屓しすぎたり、逆に見せ場がなさすぎたりすると炎上するリスクがある。クリーンなイメージを前面に出し、幅広いファン層を取りこぼさないことを重視するプロセカの場合、そのリスクは他のゲーム以上に大きなものとなるのだ。