婢妖

登録日:2012/01/29(日) 20:05:50
更新日:2024/07/21 Sun 22:15:12
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婢妖(ひよう)とはうしおととらに登場する妖怪の一種。
白面の者の尾の一つから無数に生み出される眷属で、使い魔ともよばれる。

CV:鷄冠井美智子、丸山ナオミ

●概要

耳の生えた小さな目玉の姿をしており、戦闘形態になると二周りぐらい大きくなり、無数の棘が生えて口が凶悪な牙の生えた大口に変化。甲殻類を思わせる無数の鋭利な脚や目玉が増えたりする。
一体一体は小さく大したことはないが、集団で攻めてくるので油断ならない。
対象のにおいをもとに追跡する能力を持ち、合体することで強力になり、人や物に取り憑くことにより、操ることができる。
霊的に鍛えられた物質には、大勢で絡みついて、圧力をかけ破壊することが出来る。
この能力で、獣の槍を破壊しようとした。

また白面の復活直前に、人や妖の頭の中に取り憑くことで特定の人物についての記憶を奪うだけでなく正常な判断を取りにくくさせるよう思考を捻じ曲げる新型の婢妖が登場した。
この婢妖から逃れるには、強力な結界内にいるか、身体を石にするなどして、取り憑けなくするしかない。


●派生種

疫鬼(えきき)


白面の御方(おかた)は、この人間を操って君達を葬れとおっしゃったが
これで……直接殺せる……
やれ、うれしや。

杜綱悟の心臓に取り憑いた婢妖の集合体の妖怪。
無数の人体が組み合わさってできた醜悪な風貌を持ち丁寧な口調だが、性格は白面の眷属らしく陰湿。
周囲にある宿主の血管を自在に操る能力を持ち、相手を締め付けることができる。
血管操作は攻撃手段であると同時に脅迫の手札でもあり、不用意に攻撃すれば寄生した宿主の血管破裂を誘発させる悪辣な手段になる。

実は古代の中国・日本の伝承に伝わる妖怪で、中国の歴史書『後漢書』や、平安時代の貴族惟宗允亮が書いた『政事要略』などに存在が伝わっている。
疫病を引き起こすなどして人間を苦しめる鬼神とされており、「行疫神(ぎょうえきしん)」などとも書かれる。


血袴(ちばかま)


今までどんな者と仕合ったか知らぬが、未熟よのう。
白面の御方(おんかた)に、そんな腕で敵うものかよ。獣の槍も人選を誤ったな。

CV:最上嗣生

杜綱悟の脳に取り憑いた婢妖の大将。
一つ目の僧兵といった姿で右手に薙刀、左手に婢妖を矢として打ち出す弓婢妖弓(ひようきゅう)がくっついている。
婢妖弓から放たれる矢は相手を追尾し、弓は折りたためば刀にもなる。連射性能も高く、一度に十数体の婢妖を撃ち弾幕を張る事すらできるためかなり高性能。
  • 潮以外には反応することもできない婢妖弓
  • 剣術皆伝の腕をもつ相手を倒す潮を圧倒する薙刀術や剣術
  • とらの火炎が効かないタフネス
  • 体内を自由自在に移動する機動力
などかなりの強さを誇る。
幻影を見せる力も持ち、潮に白面の者の姿を見せた。
婢妖に取り憑かれた者を救うには体内に入って血袴を倒す必要があるが、人間の体内を知り尽くしている上に宿主を事実上の人質とするためか「このままヤツとやっても、体内じゃあいつが上」とイズナに言わしめた。

一人称は「私」
冷酷ではあるが白面の眷属の中では比較的武人気質の傾向が強く、言動も侍めいて古風。
潮が己の母親のことを知らないと知るや、「どうせ白面の御方には勝てない」という大前提はあったが獣の槍を置いて帰ることを条件に潮を見逃そうとしたこともある。


●主な活躍

初登場は、第十八章「婢妖追跡〜伝承者」
獣の槍復活を察知した白面の者により、槍の破壊のために放たれ、潮を発見し戦闘形態になり襲いかかるが、槍の伝承者候補の関守日輪により倒される。
槍を奪った日輪に対して、合体して襲い掛かり、日輪が槍を使えないことも有り追い詰めるも、槍を取り戻した潮ととらにより倒される。

次に、潮が乗るバスに取り憑き、乗客ごと葬ろうとするも、とらと日輪と同じ伝承者候補の秋葉流により、乗客が救出され、取り憑いたバスごと倒される。

今度は、伝承者候補第一位の杜綱悟に取り憑き、操って倒そうとするも悟の妹、純の存在により悟が正気を取り戻したことにより失敗、悟を救うため、体内に入ってきた潮ととら、イズナと交戦する。
慣れない体内や疫鬼の悟を人質に取った戦術などで潮達を苦戦させるも、純の助けなどにより大半が倒され、脳に辿り着かれるも、血袴の実力と潮が獣になりかかっていたことも有り圧倒する。
しかし、血袴も体内の妖に人間の念はよく効くという性質をつかれ純の念により倒される。
この戦闘で、完全に獣になってしまった潮を槍ごと破壊すべく、白面の者により三千万体以上が放たれるも、潮の父、紫暮や伝承者候補達の張った結界に阻まれる。
数で結界を破るも、あと一歩のところで、潮が復活し、とらとの合体技で、大半が倒され撤退する。

西の妖怪による白面の者攻撃の際にも登場し、戦闘形態で、西の妖怪を食い殺し、長の神野にも集団での体当たりによりダメージを与える。
しかし、ギリョウの怨念に引き摺られた潮の攻撃により一掃される。

白面の者復活直前に一瞬で人や妖の頭の中に取り憑き潮ととらに関する記憶を奪う新型婢妖が登場、潮達は周囲から孤立し、苦しめられた。*1
白面の者復活後は白面の者が通過した場所で自衛隊などと交戦していたが、復活した槍の破片により取り憑いていた新型婢妖が全滅。槍の復活を察知した白面の者に、戦闘形態が生み出され、槍の破片を破壊しようとするも一瞬の足止めもできず、全滅してしまう。

その後は戦闘員ポジションを黒炎に取られてしまい登場しない。

まとめるとザコとはいえ、
  • 物質に取り憑き、意のままに操る
  • 人体に取り憑き、意のままに操る*2
  • 集合することで司令塔の役割を持つ妖怪を形成する
  • 三千万という大多数で群体(?)を形成、行動をとる
  • 人体に取り憑き、特定の記憶を奪い思考を歪める
と、非常に芸達者な働きを見せてくれる。


●余談

かなり初期に創られた分身であるらしくシャガクシャとも闘っている。
このとき、シャガクシャの腕を切り飛ばし、胸を棘で突き刺すも、死なない身体になっていたため倒せなかった。
最終決戦に出てこなかった血袴だが、よく見ると、第四十九章の扉絵で、とらに倒されている。


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最終更新:2024年07月21日 22:15

*1 この現象は人々が潮ととらを完全に忘れる第四十三章の前、第四十章の時点ですでに語られている。記者の守矢が取材する中で、数々の事件直後には潮達を覚えていた人達が、数日経つと彼等を忘れてしまうことに気付いていた。最終決戦時は彼等も記憶を取り戻しているので、新型婢妖の仕業と推測できる

*2 対象の霊能力が高い場合は不完全