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白面の者

登録日：2011/09/02(金) 02:51:30
更新日：2025/04/25 Fri 20:41:35NEW!
所要時間：約 7 分で読めます


注：この項目は『うしおととら』のネタバレを含みます













我は白面(はくめん)!!

その名のもとに、全て滅ぶ可(べ)し!!


白面(はくめん)の者(もの)とはうしおととらに登場する妖怪で、この物語のラスボス。



【概要】

外見は非常に禍々しい見上げる血のような真紅の瞳を持つ黄色い目と九つの尾を持った白狐に似た巨大な怪物。
ただし初期の頃は顔だけが白く、身体は金色の毛に覆われている白面金毛の獣ともされていた。

その正体はこの世の原初の混沌から陰と陽の気が分離してこの世界が形成されたときに、下に溜まった陰の気より生まれた邪悪の化身。
陽の気から生まれたあらゆる存在に憧れと同時に憎しみを抱き、この世の全ての人間と妖怪を抹殺する事を望みとしている。
他妖怪からの呼称は専ら「白面」。眷属からは「白面の御方(おんかた)」と呼ばれる。

当初は実体を持たない気の塊に過ぎなかったが古代インドで見つけた1人の赤ん坊シャガクシャに取り憑き、彼が人々を憎む環境を作り、その憎悪を吸収し馬鹿でかい白狐の実体を得た。
なお、この時取り憑いたシャガクシャが後の(最初の)とらである。
実体化すると同時にインドに大災厄をもたらし、殷王朝やインドのマガダ国を滅ぼした後、さらに中国を荒らしに荒らした事で獣の槍に追われる事になる。

当初は獣の槍を甘く見ていたが、次々と尾を破壊された事で余裕はなくなり、最終的に大多数の尾を引き換えにする事で何とか逃げ果たすが、悲鳴を上げながら逃亡する無様な自分の姿を引き起こした獣の槍に深い憎悪と恐怖を抱くようになる。
その後は日本に上陸し陰陽師と妖怪の大連合に交戦。連合軍に甚大な被害を齎すも深手を受けて逃亡、国を支える要の岩に巨体を埋め込むと「今自分を滅せば要の岩が崩れて日本も滅びる」という脅迫をお役目様に迫った事で己を封じる結界を張らせ、妖怪からの攻撃を免れる。
以降800年の長きに渡って沖縄トラフの海底でお役目様である女性達の結界に封じられることとなった。

古代中国時代は精々十数m程度と思われるサイズであったが、沖縄トラフから解放された際は全長数百～数㎞はあろうかという小島程の大きさの大怪獣へと成長を遂げていた。

此処までが本編開始までに起きた出来事である。
コイツが何故ここまで超絶の怪物なのか、うしとらでなぜここまで種々の属性について耐性を持つのかについては、白面金毛九尾の狐の項目も参照。
日本国内のWeb全編を通じても、白面金毛九尾の狐の解説としてはもっとも解りやすい項目になっている。


【戦闘能力】

間違いなく作中最強の存在。
その名を聞くだけであらゆる妖怪が震えあがり、とらでさえも自身を含むあらゆる妖怪の中でも間違いなく最強と認めている。
小山のような巨体と圧倒的な身体能力による攻撃は集う人妖の軍勢を塵屑のように引き裂き、伸縮自在の長大な尾で周囲一帯を薙ぎ払う。
天地のあらゆる事象を操り、空中を音速以上の速度で泳ぐように飛び回り、その機動力はとらをも凌ぐ。

また、規格外の生命力、再生能力も有しており、剥がれ落ちて長い年月の経ったほんの小さな欠片すら、再生、増殖して周囲の妖を取り込みつつ巨大化して暴れまわる。
他にも分身を生成して使い魔のように用いたり、人間に擬態して他者の心を弄んだり、さらには、「認識するだけで」その精神を汚染し組織だって抵抗しようとした米国のハマー機関は上層部の人間がまとめて発狂、不審死するなどして壊滅的被害を受けている。
これら抵抗すら許さんと言わんばかりのその力で、数多くの人間、妖怪を殺してきた。

そして最大の特徴として、白面の者に恐怖を抱いた者の力を吸収するという能力を持ち合わせており、際限なく強くなり続ける。
獣の槍の内部のギリョウ曰く「怖がる、即ちその者の最大の力が白面の力となってしまう」、字伏曰く「白面の力の源は未知に対する恐怖」。
妖怪が人間の恐怖を養分にするために食うのとは根本的に異なるらしい。
今風に言うと「恐怖のミームを直接力にしている」「対手の恐怖のミーム分ステータスが増大する」といったところか。
恐怖を抱くと実物よりも大きく見えるとよく言うが、白面は大きく見えた分本当に大きくなり、「これだけ力が強そうだ」「こんな能力を持っていそうだ」と恐怖とともに想像すると、そのままそれだけの力や能力を身に着けてしまうということだと思われる。
また負の化身であるが故に畏れ、怒り、憎しみ等の負の感情が混ざった攻撃も白面には一切通用せず、無効化される。
その上、生みの親の憎しみを取り除かなければ基本的に不滅であり、如何なる手段を用いても殺し切ることは不可能。

このため、白面と直接やり合う最後のアタッカー役には、
  • 『白面の暴威に対しそれ以上の陽の意識を保てるもの』
  • 『白面に対しても恐怖その他陰の意識を持たないもの（無意識あるいは無機物であるもの）』
という厳しい条件が課せられた。
平安時代の決戦において日本連合軍が勝ちながら白面にトドメを刺せなかったのは、第2条件を満たす特例ウェポンが間に合わなかったためである。

これ程の直接戦闘破壊力を持ちながらも策略・陰謀といった相手の精神を追い詰める陰湿な搦手や戦略も得意としており、非常に高い知能と長年蓄えた知識、妖怪特有の長大な寿命をもとに多くの狡猾な策を繰り出し、あの手この手で潮たちを苦しめた。


技

  • 火炎
口から吐く単純な火炎放射。白面の代表的な攻撃手段。
古代中国の頃は城塞都市1つを焼き尽くす程度であったが、沖縄トラフから復活した際は島一つを簡単に吹き飛ばして焼き滅ぼす規格外の威力を発揮した。

  • 変化
過去に獣の槍に敗北する前までよく好んで使っていた技。
人間の美女に擬態或いは憑依して王宮に潜り込み、王を誑かしたり王の精神を狂気に追いやるなどして正気を失わせ国を自滅させる手法を好んでいた。
古代中国の殷王朝を滅ぼしたのも、日本国内に潜り込んだのもこの能力を使ったことによる。

  • 毒気
最終決戦で使用した奥の手その1。
巨大な身体を毒の煙に変化させ爆裂。周囲一体を毒の煙で満たし人間妖怪問わず問答無用で毒殺する奇襲攻撃。戦闘機に乗っていようが毒気の満ちた空間に入れば命はない。
毒気に変換した分だけ身体も小さくなるが、代わりに機動力は格段に増す。
おまけに一見すると巨大な白面の体が弱って砕けていくようにしか見えないため、お役目様からの警告がなければ対白面連合軍が壊滅するところであった。


尾

白面の有する九本の長く巨大な尾。
規格外の巨体故にただ振り回すだけでも強力な武器として機能するが、更にそれぞれの尾には特殊能力がある。
尻尾を切り離して行動させることもでき、劇中でもいくつかの尻尾が分離した上で妖怪として日本各地で活動していたようである。
また尾を使って対象の能力や性質を真似ることが可能であり、劇中でも尾の能力の元となったと思われる能力がいくつか登場している。
他にも分離させた尾を人間に寄生させる事で自身の手駒とすることも可能。この方法は古代中国でしか用いてはいなかった。

ちなみに今と昔では能力がある程度変化しており、当時は酸、鉄、鉛の尾を持っていたが、獣の槍と始めて対峙した際にこれらの尾を失う事となる。
またシュムナや斗和子といった妖怪の尾は一度倒されても白面本体が無事ならば蘇生が可能で最終決戦時には再び姿を現している。
但し、一度倒された妖怪は例え蘇る事が出来ても長い時間が必要とされ、最終決戦時は蘇生して間もない為に白面の妖力を以ってしても中身が伴わせることはできず大きく弱体化していた。

霧状の体に巨大な顔を浮かべる妖怪。
あらゆる物理攻撃をすり抜け、接触した生物を溶解させて喰らう。最終決戦の際は攻撃能力が強化され、戦闘機のような無機物すら溶かしていた。

巨大な甲虫のような外見をした妖怪。
外からのあらゆる力を跳ね返す反射能力を持つ。

妖艶ながらも不気味な形相の女の姿をした妖怪。
人間に擬態することができ、巧妙に謀を巡らせた白面の眷属の中では随一の知性派。
最終決戦では巨人の如きサイズにまで巨大化。特殊能力こそ操らなかったが、徒手空拳や口からの火炎放射で攻撃した。

巨大な海蛇の姿の妖怪。
身にまとった油で炎や雷を弾き、巨大な口で敵を丸呑みにしたり喰らいつく。

眼球に似た一つ目の蛭のような小妖怪「婢妖」を尻尾から無尽に生み出す尾。
最大3000万体以上に及ぶ夥しい程の数の暴力で敵を襲うだけでなく人妖無機物問わず寄生し操る能力を持つ。おまけに他者に寄生せずとも集合・合体することで様々な形態をとる。
終盤では取り憑いた相手の特定の記憶を奪い、おまけに思考を歪める力を持つ新型も出現した。

  • 六本目：黒炎の塊
紅煉に似た一つ目で黒い体を持った人型妖怪「黒炎」を無数に生成する尾。
本来は紅煉の能力だが、手下にした際に複製した。
炎や雷を操るほか、目からレーザー光線を発射するタイプ「穿」や、突き刺さると体内で枝分かれして深く食い込む強固な角「千年牙」を撃ち出すタイプなどもあらわれた。

  • 七本目：嵐と雷
白面の奥の手その2。
嵐と雷を纏った尾で、見た目は稲妻を纏った巨大竜巻。白面の尾なので意のままに曲がって敵を襲う上に、とらの稲妻や炎を散らして防いでしまう。
とらの能力の一部を複製した。
実は白面自身がとらの力を認め、畏れている証でもある。

  • 八本目：槍
白面の奥の手その3。
獣の槍に酷似した形状の夥しい数の刃で構成された鋼の尾。剣山を連想させるビジュアルで、刀身は自在に伸縮する。
獣の槍の能力を複製した。
実は白面自身が獣の槍の力を認め、畏れている証でもある。

  • 九本目：不明
具体的な能力は明かされていない。
しかし暗示させるものはある。


その他眷属

  • カムイコタンの破片
800年前の日本妖怪たちとの戦争で白面の体から飛び散った破片の最後の一つ。
破片の中では最大のサイズで、カムイコタンの洞窟内に厳重に封印されていた。

  • HAMMR研究所の破片
HAMMR機関のヘレナ博士らが獣の槍に付着していた微細な白面の体組織の一部を採取、他の妖怪の肉体と合成させることで活性化させた結果、細胞が急成長を遂げた姿。
見た目は白面の頭部を模した石の怪物。
他の妖怪の細胞を取り込んで己の肉体とすることができ、昆虫の脚めいた鋭利な触手で他の妖怪の細胞を取り込もうとする。

  • 偽ジエメイ
CV：林原めぐみ
人間側の結束を乱すために生み出したジエメイの偽物。
黒い髪と白面と同じ睨め上げる陰気な目が特徴。
敗北した斗和子の代役として暗躍し、秋葉流を白面陣営に引き込んだり、ジエメイの名を騙って自衛隊を欺いて須磨子がいる石柱の破壊を扇動した。



【劇中での活躍】

物語序盤から、その存在を示唆されており、最初から最後までラスボスを張り続けた存在。
登場時は封印され動けない状態の為、作中ではよく尾から送り出した眷属たちが潮たちを苦しめた。
物語終盤、遂に封印をぶち破り、人間と妖怪たちから潮ととらの記憶を奪って潮たちを孤立させ彼に深い悲しみと白面に対しての憎悪をもたせた。
更にとらが流を殺した事を仄めかす事を言う事で潮ととらの仲を崩壊させ完全に仲違いにさせた。

潮の白面に対して憎しみの籠もった獣の槍の一撃をあっさり止め、一度は獣の槍を砕き、更にとらを倒すなど完全勝利を収めたかに見えたが、砕けた獣の槍の力で潮ととらの記憶を取り戻した人間や妖怪達が潮たちに協力、決戦の地にて今まで物語に登場した者たちが次々と参戦し、集結した人間と妖怪たちによる大連合が結成され、国の存亡を賭けた最終決戦が始まる。

最終決戦は周りの妖怪と人間が生み出した結界に閉じ込められるも空間内を毒の霧で満たす事で毒を無効化できる潮ととら以外は結界に立ち寄られないようにし、潮ととら対白面の者の2対1のタイマンになる。
奥の手の嵐と雷の尾と槍のような尾、彼らの得意技を模した尾を解放し、二人を圧倒して自らの力をこれでもかと誇示する。




くだらぬ！弱し！！弱くてくだらぬ！！
おまえ達は我に勝てると思うているのか！？思うてはいぬであろう。弱いからな！

ならば既におまえ達の戦いは、正義などという大儀のもとの戦いではない。自己満足だ！！
弱い自分を認めたくないという自意識が生んだ、哀れな自己陶酔者。それがおまえ達の姿だ。
槍の使い手よ、おまえはわかっていたのだろう。どんなに口で人間を救いたいといっても・・・絶望の闇夜に向かうしかないがあるということを！！

夜だ。この国に、おまえ達に！我が夜をもたらしてやるのだ！！



しかし、今までの旅で出会った仲間達の思いを支えに白面に立ち向かう潮ととら。
そこで、一度は勝利した獣の槍を未だに恐れている事を、槍の尾と白面の目線が常に獣の槍に向けられている事を根拠に指摘される。
更に、強大な力を誇るにもかかわらず、白面の目つきが他者を見下げる王者の目「見下す目」とは正反対の、常に嫉妬を持つ者の目「見上げた目」である事から、
白面は獣の槍とそれを持つ潮が連れてくる全ての陽の存在が何よりも怖ろしくて羨ましいという事を看破されてしまう。




………その…とおり…そのとおりだアアア！

我は憎む！光あるものを！！生命を、人間を！！人間と和合する妖を！


『何故 我は陰に、闇に生まれついた…』

国々がまだ形の定まらぬ「気」であった時、
澄んだ清浄な「気」は上に昇って人となり…

濁った邪な「気」は下にたまって…
我になった…



キレイダナァ…
ナンデ　ワレハ　アアジャナイ…

ナンデ　ワレハ　ニゴッテイル…!?

激しい両者の激闘の末に白面の尾は一つだけになり、自分が追い詰められた事、そして獣の槍に恐怖している事を遂に認める。
そして、それを悟られる原因になった己の眼を怒り狂いながら潰し、獣の槍の気配から二人の位置を特定して憎悪を全開に彼らに襲いかかる。


この目か！？この目がおまえ達に我のすべてを知らせたか！？
ならば目など要らぬわ！！
もう良い！もう、人も妖も滅ぼすのは、どうでも良い！！おまえ達を、おまえ達だけを！殺してやる！！

憎しみを露わにした白面の怒涛の攻撃は二人を瞬く間に窮地に追い込む。
しかし、とらの自らの体に槍を隠すという捨て身の行動によって槍の気配を探れなくなり位置を把握出来ない事に動揺してしまう。
二人の渾身の一撃は白面を捉え、遂に致命的な一撃を入れられてしまい、敗北。
白面はとら（シャガクシャ）が白面への憎しみを抱く限りは不死であったが、潮達との交流でとらは既に白面への憎しみは捨てていた為に白面は不死ではなくなっていた。

バカな…我は不死のはず、我は無敵なはず。
我を憎むおまえのある限り…シャガクシャアアア！！

あいにくだったなァ…どういうワケだかわしはもう、お前を憎んでねえんだよ。
憎しみは、なんにも実らせねえ。
かわいそうだぜ、白面！

最期に自らの願望を言いながら消滅した。

また、この時、今まで変化しなかった九本目の尾が砕け、潮ととらに赤ん坊の幻を見せた。
コレが最期の尾の能力だと思われる。
その幻を見た潮は「白面は赤ん坊になりたかったのかな？」と語っていた。
白面の叫び声｢おぎゃあ～～！！｣も彼の願望の現れだったのだと思われる。
ちなみに、冒頭のような名乗りをしているが『白面の者』とはあくまで姿を示した「表現」であって、存在を定義する「名前」ではない。
つまり、白面の者は誕生から消滅まで名もなき何かであり、何者でもないままであった。





誰か…　名付けよ、我が名を…

断末魔の叫びからでも、哀惜の慟哭からでもなく、静かなる言葉で…

誰か、我が名を呼んでくれ…


我が名は　白面に　あらじ


我が――呼ばれたき名は…





誰か…　追記・修正せよ、我が項目を…

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