タロット山荘殺人事件(金田一少年の事件簿)

登録日:2011/05/23(月) 20:26:14
更新日:2022/06/30 Thu 04:33:13
所要時間:約 14 分で読めます





あたし…金田一君に じかに見てほしかったんだ……
あたしの最後の…晴れ姿…


『タロット山荘殺人事件』は、『金田一少年の事件簿』のエピソードの1つであり、金田一少年が解決した事件のうちの一件。
単行本第14巻、15巻に収録。全14話。
テレビドラマでは第2シーズン第2話・第3話として1996年7月20日と27日に、テレビアニメでは第40話~第42話として1998年3月2日~16日にかけて放送された。
登場する怪人は「陰の脅迫者」。

アニメ版の容疑者リストの順番は上段が左から赤間、小城、速水、滝下で、下段が井上、辻、北条、伊丹でバックは薄い緑色。

吊るされた男(ハングド マン)』の位置に騙されるな…!!


以下、ネタバレにご注意下さい。














【事件の始まり】

かつて、背氷村で知り合った美少女アイドル・速水玲香から、「父親が経営している山荘に来て欲しい。」との手紙が届く。
金田一は早速、美雪と共に山荘のある青森県高巻スキー場へ。
玲香の父、雄一郎が経営する通称・タロット山荘の中には、古いタロットカードが額に入れられ、飾られていた。
しかしその数時間後、タロットカードが何者かにより盗まれる。
これが事件の幕開けだった…。


【事件関係者】

美少女アイドル。「雪夜叉伝説殺人事件」以来の登場。
一に思いを寄せており、劇中で「メイクアップ!」
初っ端から入浴シーンがあるなど美雪に劣らぬお色気っぷりを披露。
その一方、最愛の父にも言えない孤独や苦しみに加え、首にものを巻くことを異常に嫌っているという謎も描かれた。

この事件では、彼女の重大な秘密が明らかになる…!

  • 速水雄一郎
CV:大場真人/演:長谷川初範
タロット山荘オーナーで玲香の父親。50歳。温和そうなナイスミドル。左脚をひきずっている。
何か過去に重大な罪を犯してしまったらしく、それをネタに脅迫するばかりか、金だけでなく玲香まで要求して来た伊丹に激怒し、衝動的に殺害。
だが、伊丹の死体は何者かに掘り起こされ、一からは伊丹殺害の犯人であることに気づかれてしまう。
その直後、「陰の脅迫者」なる人物に脅迫され、言われるがまま、赤間も殺害。
影の脅迫者の誘いに乗って、一殺害を手助けするが、それは罠であり、自身が殺されてしまう。
そして、タロットカードの「吊るされた男」に見立てられ、首吊り死体となって発見される。
第3の死亡者。ドラマ版で彼を演じたのは「ウルトラマン80」の中の人。

  • 伊丹吾郎
CV:長島雄一(現:チョー)/演:谷村好一
芸能レポーター。常にニヤついている陰険な男。
速水の正体に気づいたことから、大勢の前で自身が取材した事件の中でも印象深い事件を挙げていき、彼に脅しをかける。
そして、大金に加え玲香も要求するが、それが速水の逆鱗に触れ、灰皿で撲殺される。遺体は速水の手で雪の中に埋められた。
だが、翌朝速水オーナーの知らぬ間に何故か遺体は風車山の風車に括り付けられ、タロットカードの「運命の輪」に見立てられる。
最初の死亡者。

尚、伊丹が語った「過去の罪」は以下の3つ。

1つ目は「20年前、山形の残雪山の遭難者10人が食糧を巡って殺し合い、男性1人だけが生き残った事件」
2つ目は「15年前、神奈川で発生した幼い兄妹の誘拐事件において、警察のミスで兄妹の父親が誘拐犯に絞殺された事件」
3つ目は「6年前、東京の銀行に押し入った強盗に男性警察官が発砲、その銃弾が女子中学生に命中し死なせてしまった事件」

1つ目と3つ目の加害者は罪に問われず、2つ目の事件は幼児の内、兄は助かったが、妹は連れ去られたままだという。

  • 赤間光彦
CV:糸博/演:不破万作
玲香の所属事務所の社長。スケベなタラコオヤジ。52歳。
数多くの育ててきたアイドルを自分の物にしており、遂には玲香まで自分の物にしようとした最低野郎。
最期は風呂場で「時には娼婦の様に」を披露しタラコオヤジの入浴シーンなんて描きたくねー!by作者
速水オーナーの手により、著作権使用料を払いながら感電死。
タロットカードの「落雷の塔」に見立てられる。
第2の死亡者。

  • 小城拓也
CV:宮本充/演:沢向要士
玲香のマネージャー。23歳。
彼自身もタレントで通じるほどのイケメン。東大法学部卒。芸能事務所に入ったのは、本人曰く「背広にネクタイが苦手だから」とのこと。
玲香から一の噂は聞いていたが、「履歴書にはそんなこと(幾つもの難事件を解決したこと)を書く欄はない」と嫌味な発言をしていた。
(だが、一のほうは「もっともだ」とそんなに怒ってはいなかった。まあ、そんな事書いたら不採用率が跳ね上がるだろうし…)

  • 滝下間太郎
CV:高橋広樹/演:河崎健男
アイドルオタクで、玲香の大ファン。19歳。
その後に起きる連続殺人のインパクトで忘れられがちだが、玲香の元に行く為ハッキングをしたり、
玲香と仲良くする金田一に嫉妬して襲いかかろうとしたり、
玲香と一緒にいたいが為、ロープウェイの装置を壊してしまったりした(うち2つは明確な犯罪である)困った男。
結城先生のタロット占いでは「死神」が出たことで不安になるも、カードは逆位置が出ていたので近いうちにいいことが起こるとの事。
赤間に「コンサートでは歌そっちのけで玲香のパンチラばかり撮ってる」と罵られたが、本当の事かは不明。
ドラマ版ではこれでも医大生らしく、未登場の結城先生に代わり遺体の検死役を務めている。
下の名前や容姿等を見て解る通り、藤子不二雄A先生の漫画「魔太郎がくる!!」の主人公・浦見魔太郎がモチーフ。
後の事件のアニメ版でも冒頭のみだが登場する。

  • 辻健二
CV:水内清光/演:竹下宏太朗
関西出身のスキー客。26歳。
遭難していた所に運良くこの山荘を見つけ助かる。が、そのまま事件に巻き込まれた気の毒な人。
陽気な人物だが、兄が雪山で遭難したという重い過去もある。
一のことを「金田一三世」と呼ぶ。おそらく、作者がこの漫画の設定のヒントに使った『ルパン三世』にちなんだものだろう。
事件とは関係ないが、彼が山荘に助けを求めようと、窓ガラスにへばりつくシーンはちょっとしたホラーシーンである。
しかも原作・アニメ版では助けを求めてきた場所は女湯(それも玲香が入浴中の)である。(ドラマ版は流石に風呂場はまずかったためか、メインホールに変更されている)
ただし、遭難していたという事実を考慮すればやむをえないという面もある。

  • 諏訪正子
CV:堀越真己/演:水沢アキ
タロット山荘従業員。43歳。
2か月前から山荘のお手伝いをしているマッチョなおばさん。
玲香と同じくらいの娘がいるが、ワケありで一緒に暮らしていない様子。
ドラマ版の演者は元アイドルの水沢アキ。そのため原作の「気さくな田舎のおっかさん」イメージとは正反対の「若々しい上品なマダム」となっている。
アニメ版では苗字が「井上」に変更された*1

  • 北条アンヌ
CV:宇和川恵美/演:井上彩名
芸能レポーター。ショートカットの中々の美人。
伊丹の語った3つの事件の内、警官誤射事件の取材に立ち会ったこともある。
2人も殺害された後は部屋に閉じこもり、食事も拒否するが、その際に、「死神のカードに見立てられて、毒殺もありうる」と口にしたことから、
タロットカードに詳しいことが判明。
終盤、一がいなくなった際、部屋に室内ドアの鍵が残されていたことから、彼が犯人ではないかと推理するが…
アニメ版では、未登場の結城先生の代わりにタロットの説明役を担当し、それに伴ってか閉じこもりはカット。

  • 陰の脅迫者
今回の怪人。速水オーナーの伊丹殺しと「過去の罪」を知り電話で脅迫してきた人物。
赤間殺しを命じた後、「アリバイ作りと真相解明を防ぐため金田一を殺してやる」と騙して速水オーナーを殺害した。
その後本当に金田一に罪を擦り付け殺そうとした。
上記の名称はタロットカードの「隠者」に見立てて一が付けたものであり、
本人は「あなた(速水オーナー)の正体を知ってる者」「伊丹の死体を風車山に運んだ者」と名乗っている。


【レギュラー陣】
毎度おなじみ主人公。
美雪と玲香2人に取り合いされ「できれば2人いっぺんに…」と調子に乗る。もげろ
かなり早い段階で速水の犯行に気付きながらも、玲香のためにあえて周囲には伝えず、速水に対して真相に辿りついた事を匂わせて自首を勧めるのだが、無理にでも暴いておけば、速水殺害は防げたのかもしれない。
ちなみに今作の序盤は、金田一の推理過程が速水視点で描かれるのだが、「こいつどこまでわかってるんだ!?」感が非常に不気味で、犯人から見た金田一の脅威をまざまざと見せ付けてくれる。
その一方、今回は速水に絞殺されそうになるわ、「陰の脅迫者」に気絶させられ、風車山に置き去りにされて凍死しかけ、
真犯人のスケープゴートにされるわと、前回「金田一少年の殺人」に負けず劣らず散々な目に遭う。
犯人に仕立て上げられたのは三度目で、犯人に殺されかけたのは二度目。
トラウマになっていても不思議ではないレベルである。
風車山の風車の氷を、ヘッドホンステレオで作った種火と美雪から貰ったアクリルセーターの組み合わせで燃やして溶かし、風力発電を動かしてリフトで帰還。
「陰の脅迫者」に向けての「じっちゃんの名にかけて」はピンチから脱したからこその名シーン。

毎度おなじみヒロイン。
一が玲香のいるタロット山荘に行く事を知り、無理矢理同行する(ただし、自分は自腹で)。
今回が玲香とは初対面(アニメでは風邪をひいておらず、ロケに参加しているため「雪夜叉伝説殺人事件」が初対面)で、一を巡って互いに火花を散らす。
小城に告白されるが、あっさり突っぱね、一に手編みのセーターをプレゼント。
このセーターが一の命を救うことになる。
のちの「魔術列車殺人事件」でも、一が底なし沼に落ちたと知るとためらい無く入ろうとして止められたように、一がピンチと知ると自分の危険を顧みなくなるところがあるようで、一がいなくなった時は、彼を捜すために「あたし、捜してきます!!」と雪原に飛び出そうとして、皆に制止されていた。
今回は、ピンチにはなっていないが、犯人のアリバイトリックに利用されることに…。

準レギュラー。「オペラ座館殺人事件」などに登場した外科医。
今回も検死(解剖には例のメスを使用したのだろうか…)に加え、タロットカードの知識で一を完全サポートしてくれた。
なお、コミックの番外編では間太郎の相談を拒絶し「人生に悲観して自殺するなら解剖して差し上げましょう」と満面の笑顔で言う(あくまで冗談だが)不謹慎な面を見せていた。
その反面、「謎解きファイル」では偶然に巻き込まれた殺人事件で鮮やかな名推理を披露している。
彼にも探偵の素質はありそうである。
この話を最後に登場していない。

また、アニメ版、ドラマ版は共に未登場。ただしCR版のこのエピソードでは登場している。










【以下、事件の真相… 更なるネタバレに注意】









人殺し!!
あたしのお父さん返してよ!!


ち、違う!あの男は君の父親なんかじゃない!!
俺が殺したのは…!!!





  • 小城拓也
この事件の黒幕にして雄一郎殺害の真犯人「陰の脅迫者」
実は玲香とは生き別れの兄妹。
15年前、妹の玲香(本名:梓)と一緒に、ある男によって誘拐されてしまう。
小城自身は無事助け出されたものの、その際に自分たちを助けようとした父親を目の前で絞殺された上に
妹が連れ去られて行方不明となり、そのショックでほとんどの記憶を失い小城家に引き取られる。
養父母が学校の成績表でしか自分を判断しなかったことから、勉学に励んで、逆に見下し、東大にまで進んだ。
だが、父親を目の前で絞殺されたトラウマが記憶を失ってもなお残っており、優れた頭脳を持ちながらも「ネクタイが巻けない」という致命的な欠点から官僚を諦めざるをえず、服装の自由がある芸能界入りを余儀なくされた。

面接当日にようやく自分がネクタイを巻けないことに気付き、仕方なくノーネクタイで面接に行った小城が面接官にボロクソに言われる場面は、
就活生にとっては胃が痛くなるようなシーンかもしれない…。(と言うか、面接当日までネクタイを締める練習もしなかったのか…?就職活動開始まで一度もネクタイを締めたことがないのか…? それ以前に、制服は学ランだったにしてもカラーは大丈夫だったのか…? 床屋とか歯医者のエプロンはどうしてたんだ…?)
就職した芸能事務所で、偶然にもアイドルとなった玲香のマネージャーとなったことが、彼の運命を大きく左右することとなる。
(余談だが、官僚になるのは筆記試験合格後に人事院面接があり、そこに合格しないと志望する省庁の面接にいくことができない。人事院面接はどう突破したのか?)
タロット山荘で速水オーナーの顔を見たことで過去の記憶を思い出し、更にオーナーが伊丹を殺してしまった所を目撃。
これを自分の人生を狂わせた誘拐犯である速水雄一郎への復讐の好機と見なし、電話でオーナーを脅して前々から疎ましく思っていた赤間社長を殺させた後、用済みとなった彼を殺害。
一を眠らせ、さらに美雪が自分の部屋に帰るのを故意に遅らせることで空白の時間を作り、部屋の内扉を通り抜けてオーナーの部屋に侵入、彼を殺害。
帰りは空き部屋から美雪に電話して部屋を空けさせて、そのスキに自分の部屋に戻り、やって来た美雪を出迎えることでアリバイを作った。
アリバイトリックの際、速水オーナーに「金田一を殺すんですよ」と唆しているのだが、実際に自分で1度彼を殺しかけていることから、
「金田一を殺す」という発言は、ブラフではなく本気であったことが伺える。
(ちなみに、成り行き上で一が罪を着せられたり殺されかけた事はあるが、ガチの殺意を向けられたのは今回が初である)
逆に、美雪に告白して断られたことに関しては、「トリックのためのウソで、本気ではなかった」という可能性が極めて高い。
(実際問題、1度断られただけであっさり引き下がり、その後は触れようともしていない)

一が3つの事件の見立てのタロットカードを順に正位置に並べていくように全員に言うが、最後の「吊るされた男」のカードをただ1人逆位置に置いてしまい、犯人と暴かれた。
ちなみに原作・ドラマ・アニメのいずれでも触れられなかったが、小城が密室トリックを使用したという決定的な証拠がある。
それは美雪に連絡する時に使った電話であり、電話の受話器のスピーカー部分に耳紋が付いている事である。
人間の耳は一人ひとり形が違っており、鑑識で調べればすぐにわかる。
そもそも、金田一に対して「履歴書にはそんな事書く欄はない。」「受験に専念しろ」と喧嘩売ってる時点で怪しい。
あの極限下ならむしろ金田一に協力するのが自然であり、事件を捜査してほしくないからこのような発言をしたのだろう。

最期は玲香を庇って雪崩に飲み込まれた。公式ガイドブック「ファイナル ラスト エピソード」では死亡したと記されている。

ちなみに事件とは関係ないが、彼が犯人だと暴かれるきっかけとなった「吊るされた男」の逆位置の意味は「報われない努力」。
皮肉にも、ネクタイが巻けないが故に官僚になる為の努力が無駄になってしまった彼の境遇にまさにピッタリ合っている。

後の事件で玲香はさらに出生の秘密が明らかになるが、そこでは小城の話は何一つ出なかった。

…何気に扱い悪くね?

  • 速水玲香
実は小城の実の妹であり、本名は梓。
彼女もまた実の父が絞殺されたのを目撃しており*2
マフラーなど首に巻き付けるものに嫌悪感を抱くようになっていた。
事件の真相を知ったショックで吹雪の中へ飛び出し、雪崩に遭い、飲み込まれそうになるが、思わず

お兄ちゃん たすけて!

と叫んだ時に小城が現れ、彼に庇われる形で九死に一生を得た。

赤間に人気と割に合わない安月給でこき使われていた上に、膨大な借金を背負わされていた事で半ば鬱になりかけており、
父と兄の死を機にアイドルをやめようと思っていたが、一や大勢のファンの励ましもあり現役続行を決意。
美雪に「一に対する本心を告白してくれたら手を引く」と告げていたが、復帰後、前言撤回するかのようにテレビ越しに
堂々と(美雪の名は伏せた上で)ライバル宣言し、自ら作詞を手がけた新曲「あきらめないわ」を熱唱した。

  • 速水雄一郎
速水玲香の父親…ではなかった。
15年前に起こった兄妹誘拐事件の犯人。
身代金受け渡しの現場に警察を呼ばれていたことに動揺し、咄嗟に身代金の受け渡し役だった小城たちの実父をナイフで脅して車に乗せたまま逃走を図ったが、
途中で衝突事故を起こす(なお、この衝突事故の相手こそが後に殺害することとなる伊丹であり、その際に姿を目撃されていた)。
速水が事故の衝撃で呻いている隙に小城たちの実父が子供たちを逃がそうとしたため、揉み合いになった末に絞殺し、梓を連れ去ってしまう。
衝動的に連れ去ってきてしまった梓の処遇に悩むが、彼女の父と揉み合った際にナイフが刺さり、負傷していた左脚を、

「痛いの痛いのとんでけー」

と、梓がさすってくれたのを見て、焦燥と殺意に溢れていた冷たい心が溶けていくことになった。
父親的な愛情が芽生え、彼女に「玲香」と名を付け父として振る舞い続けた。

玲香を守りたい一心で殺人に手を染めてしまうが、最期はかつて自分が殺してしまった男の息子である小城に利用されるだけ利用され、
タロットカードの「吊るされた男」の逆位置(小城は正位置だと思っていた)に見立てられ、殺害される。
だが、そのどこか安らかな死に顔を見るに、自分が殺されることは薄々感づいていたのかもしれない。
罪を償わず逃げたことは責められて然るべきであるし、偽りの親子関係ではあったものの、玲香への愛は紛れもなく本物であったのだろう。

ドラマオリジナルストーリーの永久保存版では、なんと地獄から映像出演した。地獄の業火に焼かれながら、自分の犯した罪を後悔している描写が見られた。
犯人に「たとえ現世では処罰を逃れられても、地獄の業火からは逃れられない、だから今すぐ名乗り出ろ。」と告げている。
ちなみに、本人曰く「ここからは地上の世界のすべてが見渡せる」そうである。
……大勢の前で玲香の養父が殺人犯だとバラしてしまった訳だが、玲香が一への想いを語ったことといい、スキャンダルにならなかったのだろうか?

  • 伊丹吾郎
15年前、車の運転中に速水の車とぶつかり、速水が小城達の実父を殺害しているところを目撃した。
速水の左脚を引きずる歩き方を見て当時の犯人だと気づき、その事で脅迫した結果、殺害された。
その瞬間を目撃した小城は今回の計画を実行したため、この事件の元凶となった人物といってもいい。
ネタを利用して金や玲香の体を要求するという酷いやり方をしていた為、同情の余地はない。
それを差し引いても、速水を揺さぶる為に(知らなかったとは言え)直接の被害者である小城と玲香の心情を配慮せず過去の事件を皆の前でにやつきながら話し出すと言う、レポーターとしても人間としても問題ある人物である。*3

  • 赤間光彦
15年前の事件に関係なかったが、「玲香の体を狙っていた」という理由で小城に目を付けられ、間接的に殺害された。
何人もの女性に手を出し、危害を加えていた為、伊丹と同じく同情の余地はない。
恐らく彼の死によって彼の芸能プロダクションは倒産したものと思われる。

  • 北条アンヌ
エピローグに登場。
「このまま泳がせてネタを提供してくれた方が都合いい」という、なんともマスコミ関係者らしい魂胆を表向きとしつつ、
この事件を一切記事にせず、一と玲香のデートを黙認するなど、伊丹に比べればずっと良識のあるまともな人だった。
その後は登場しない(おそらくいつきさんとキャラが被るからだろう)が、是非とも再登場してほしいものである。


【謎解きについて】
タロットの事を知っている人なら、犯人の犯したミスにはすぐに気が付くはず。
その事を元に話を辿っていくと、自ずと真犯人も浮かんでくる。
そして本事件のトリックも、事件前後で「誰が何をしていたか」を整理してみると、割と簡単に答えが出せる。
その為、「金田一少年簿の事件簿」のトリックの中ではわかりやすい部類に入る。
公式ガイドブックではこの事件の謎解きクイズの誤解答が編集部のコメントと共に一部紹介されている。

そして、向きで意味が異なるタロットの正位置・逆位置で犯人と特定された小城であるが、
そもそも意味ではなく絵柄で殺人の見立てが行われているので、「吊るされた男」が逆位置だからと言って、それが見立てにならない訳ではない、と主張する事も充分に出来たはずである(例として最初の殺人の「運命の輪」は普通のタロットでは風車を表してはいない)。
絵柄の見立てならば、首吊り自殺を偽装し、オーナー自身が置いたと思わせたいのだから正位置の方がおかしいとも言える。


◇原作との違い

【ドラマ版】
  • 撮影された時期が夏だった為、舞台を冬の山から夏の山に変更。
  • 一が玲香の失踪を知るのがテレビのニュースから新聞に変更。
  • 結城先生は登場しない。
  • 山荘にあるタロットが、山荘に古くから伝わる呪いのタロットという設定になる。
  • 北条は山荘に入る前に自分でカメラからフィルムを抜いている。
  • 速水が喫煙者になっている。
  • 辻の登場は玲香の入浴時から山で起こった事故の話の時に変更。
  • 辻の一に対する呼び方を「金田一くん」に、北条の小城に対する呼び方を「小城ちゃん」に変更。
  • 辻健二は関西弁を喋らない。また、タロット占いのアルバイトを経験していたという設定が追加、結城先生に代わるタロットの解説要員となる。
  • 滝下間太郎が医大生という設定が追加。結城先生に代わる検死要員となる。つまり、結城が出ない代わりに、彼の「検死」と「タロット解説」の役割が、辻と滝下にそれぞれ振り分けられたかたち。
  • 伊丹が語った過去の3つの事件が誘拐事件だけになった。
  • 諏訪が玲香を慰める際、「今日は一緒に寝よう」と言っている。
  • 赤間社長殺害に使った凶器をドライヤーから線の切れたコードに変更。電気がバチバチ鳴っている最中に遺体が浮かび上がってくる。
  • 玲香が赤間に借りた借金を5000万から3000万に変更。
  • 風呂場のスリッパの色を赤と白に変更。
  • 一は速水に対して、原作では「犯人の目星はついている。」と濁していたが、ドラマ版では「伊丹さんと赤間さんを殺したのはあなたですね。」とはっきり言っている。また、速水への尋問の際美雪もその場にいる。
  • 玲香が過去のトラウマで一を突き飛ばすキッカケが原作のマフラーから背中のフックに引っかかった髪を外そうとした一が手を前から後ろに伸ばした時に変更。
  • 一の部屋と美雪の部屋の間に空き部屋がない。その為、密室トリックで使用した電話は空き部屋から速水の部屋にあったものに変更。
  • 速水は暖炉の見張り番を辻に頼んでいる。また理由を「定期的に薪をくべるため」から「仮眠をとるため」に変更。
  • 小城が北条に腕で首を抱きしめられた際、過去のトラウマで北条を突き飛ばしてしまうシーンが追加。
  • 滝下が玲香の部屋に勝手に入り、玲香に嫌がれるシーンが追加。一に「本当のファンなら玲香ちゃんの気持ちを考えろ」と注意され、一を逆恨みする描写がある
  • 一が「謎は全て解けた」という展開は犯人に襲われた後から犯人に襲われる直前に変更。また、その台詞を言う前に推理していたのは密室トリックから犯人の動機に変更。
  • 舞台変更に伴い、一の襲われ方を雪山への放置から川への投げ込みに変更。同様に、助かった決め手をセーター(風車の氷を解かす)からロケット花火(橋の上の美雪たちに見つけてもらう)に変更。
  • 小城の回想の面接の場面をカット。
  • 小城が速水を殺害、速水が小城と玲香の父親を殺害する方法が手と腕による扼殺による変更。
  • 玲香の本名は語られない。
  • 小城がロープウェイ乗り場から飛び降り自殺を図り、明確に死亡する。よって、雪崩云々は丸々カット。
  • 誘拐事件当時、速水は伊丹の車と衝突事故を起こしていない。

【アニメ版】
  • アニメでも結城先生は登場しない。
  • 諏訪正子を井上正子に変更。
  • 序盤での旅行の準備のシーンはカット。
  • 一達がタロット山荘に到着した時点で玲香は入浴していた。
  • 伊丹が速水オーナーの正体に気づくのが夕食作りの時。
  • 結城が登場しないので、伊丹が過去に取材した事件が『オペラ座館殺人事件』から『飛騨からくり屋敷殺人事件』に変更。
  • 伊丹が語った過去の3つの事件が2つに減った。また、強盗を追って警察が誤って射殺してしまった人物が通行人と表現される。ただし、描写から男性であることが示唆される。
  • 滝下は原作ほど一に突っかからない。
  • 伊丹は「玲香ちゃんと仲良くしたい」と言ったために殺される。
  • 伊丹の部屋の扉に貼り付けられた「運命の輪」のタロットカードに血液は付着していない。
  • 伊丹の死体発見後のアリバイ確認のシーンはカット。
  • 一が速水にカマをかけるためにイヤホンを使った際、原作では玲香が落とし物として見つけ全員に見せていたが、アニメ版では伊丹殺害の現場検証の際に一が速水にイヤホンを見せている。
  • タロットの解説役を結城先生から北条に変更。
  • 暖炉の見張り番をドラマ版同様結城先生から辻に変更。
  • 赤間社長が玲香を自分の物にしようとしていたことを脅迫していたことに変更。
  • 玲香が赤間社長から立ち去るシーンで滝下・小城・井上が登場しない。
  • 殺害される直前の赤間社長が「時には娼婦の様に」を歌わず、いびきをかいている。
  • 小城の回想の面接の場面をカット。


【余談】
雑誌掲載時、伊丹の事件のアリバイ表で、小城は朝のアリバイがあることになってしまっていた(コミックスでは修正)。

単行本15巻の裏表紙には「吊るされた男」のカードが正位置で描かれており、さりげないヒントになっている。
(正位置である事は同じく並べられたカードから判別可能)

ガイドブック第2巻では「絶対に真似するなよ!!」と注意書きが書かれた上で、金田一が風力発電を動かす時に使った電池発火実験が検証されている。
火事の原因になるので絶対に室内で行ってはいけないが、アクリル糸の代わりにスチールタワシとかを使ってもこの実験は出来るぞ。

ドラマ版では今回用いられた密室トリックを分かりやすく説明するために、わざわざタロット山荘の間取りをそのままスタジオに再現し、出演者がトリックを実行している様子を真上から撮影している。

【アリバイについて】
上記の通り小城のアリバイについてはコミックス版では修正されたのだが、小城のアリバイが無いのは午前8時30分までなのに対し、リフトが動き始めるのは午前8時からになっている。
つまり彼は僅か30分の間に死体をリフトまで運び、風車に括り付け、またリフトを降りてコテージに戻ったことになるので、これはこれで無理がある。そして、この事実に関して、過去に大真面目に検証を行ったサイトが存在した(現在は消滅しているため、詳細な計算式は見れない)。
  • ①スキー場が狭かった…たった30分で帰って来れる程のスケールだとあまりにも滑り甲斐の無いスキー場となってしまうし、それなら遭難していた辻はそんな狭い山においてどこをほっつき歩いていたんだという話になる。
  • ②リフトが速かった場合…リフトに乗れるタイミングが0.90秒弱しかないというとんでもない速さで動いていたというもの。検証をまとめた筆者もこれは回るチェーンソーに手を突っ込むようなものだと表現しており、仮に乗れたとしても絶対無事に降りることは出来ず、降りようものなら物凄い勢いで弾き飛ばされてしまうだろうとまとめている。
  • ③小城の動きが速かった場合…無難なリフトの速度で計算してもリフトの移動だけで往復28分はかかるらしく、これに無理やり合わせるようにした結果、小城は死体を抱えながら雪道を100メートル10秒間隔で走り、死体を風車へ括り付ける作業を熟練した植木職人の如く巧みな技術を駆使して1分で終了させ、またも雪道を100メートル10秒間隔の速さで走ってコテージに戻ったというとんでもない超人になってしまった。
結局フィジカル…!!トリックって…最後はフィジカル…!!
ただのマネージャーとして置いておくには勿体無さ過ぎる人材である。


ネクタイを絞めずに追記・修正した僕は、とんだ場違いなピエロだよ…!

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最終更新:2022年06月30日 04:33

*1 原作の苗字は本作含めた読売テレビのアニメ全般を担当するプロデューサーと同じ苗字のため、その関係で変更された可能性が高い。

*2 当時は2歳であり、事件そのものの事は覚えていない。とはいえ、連れ去られる際に助けを求めるように兄の名を呼んでいたことから、誘拐されている認識はあったことになるので、小城同様に目の前で父親を殺されたショックで記憶を失った可能性もある

*3 幼かった為当時の記憶を覚えていない玲香は青ざめており、辻も「けったくそ悪い」と不快に感じており、一も伊丹の言動を怪訝な表情で見ている等、顰蹙を買っている。