バト・シェバ

登録日: 2012/01/17(火) 04:30:32
更新日:2024/06/26 Wed 11:06:25
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バト・シェバとは聖書に登場する古代イスラエルの時代に登場する女性である。

ゴリアテを投石を用いて倒した逸話で有名なイスラエルの英雄王ダビデの妻となった女性であり、
彼との間に授かった子供はアニヲタ諸君ならご存知の人も多いであろう賢王ソロモンである。



◆伝承

○ダビデとの出会い

物語はダビデがイスラエル王国の王になってから始まる。

ある日、宮殿の屋上を何の気なしに散歩していたダビデ王は城下で1人の女性が水浴びをしている姿を目撃する。
その姿は大層美しく、ダビデはすっかり心を奪われてしまった。

その日以来、彼女の姿が頭から離れなくなってしまったダビデは思い余って部下にその女性の素性を調べさせる。
その結果分かったことは、彼女がバト・シェバという名前であり、イスラエル軍の兵士であるウリヤの妻であるということだった。

流石に悩むダビデであったが、一度火がついてしまった彼の心はもう止まらない。

彼はバト・シェバを王宮に呼び出し、一夜を共にしてしまったのだった。


これでダビデ王も自分を取り戻して一件落着となるかと思われたが、その後予想外の事態が発覚する。

バト・シェバ「…おなかにあなたの子がいるの。

なんと彼女は妊娠してしまったのだ。

流石ダビデ王、投石だけじゃなく種付けだって一発必中でした。



○証拠隠滅

さて、この知らせに狼狽したのはダビデ王である。

イスラエルの律法では姦通は死罪である。
ましてや王が人妻孕ませたなんてばれたら大変なことになってしまう。

彼はなんとか策を巡らして自分とバト・シェバとの関係を覆い隠そうとした。

まず彼は夫であるウリヤを戦場から呼び戻し休息を与えた。

表向きは戦況の報告などを兼ねての休息であったが、
本当の目的はウリヤを家に戻してバト・シェバと寝させることでお腹の中の子がウリヤの子供であると誤魔化すことにあった。


だが、この目論見は思わぬ形で外れることになる。
ウリヤが自分の家に帰らず、王宮の入口で夜を明かしてしまったのだ。

これに困ったのはダビデ王。
家に帰ってバト・シェバと一夜を共にしてもらわねば言い訳が成り立たないのだから。

慌てたダビデはウリヤに何故家に帰らないかと尋ねた。

ウリヤ「他の兵士たちは今も過酷な戦場で野営をしています。私だけがのうのうと家で体を休めて妻とハッスルする訳にはいきません。」

そう、ウリヤは超がつくほどに生真面目な男だったのだ。
兵士の鑑といっても過言ではない。

本来、部下にこのような有能な男がいることは喜ばしいことなのだろうが、今のダビデにとっては話が別。
必死で戦場に戻るのをもう1日先延ばしにして宴会で酒を飲ませてしこたま酔わせてみたものの、それでもウリヤは家に帰らない。

戦時においてただ単に報告に戻っただけの兵士を長々と宮殿に引き留めることは不自然極まりない。
かといってウリヤがそのまま戦場に戻ってしまえば、バト・シェバのお腹の中の子供はウリヤ以外の何者かの子であるとばれてしまう。
最早自分の子をウリヤの子と偽る策は破れてしまったに等しかった。

窮地に追い込まれたダビデは遂に最後の一線を越えてしまう。
彼は前線で指揮を執っていた将軍ヨアブ宛てに手紙を書いた。


「ウリヤを戦場の最前線に配置して。その後はウリヤを残して退却しちゃってもいいよ」


素知らぬ顔で書いた指令をダビデはウリヤに渡す。

哀れウリヤは、自らの殺害指令を手に戦場に舞い戻ることになるのであった。

ダビデからの指令を受取った司令官ヨアブは多少訝しがりながらもウリヤを最前線に配置。
その次の戦いにおいてウリヤは戦死してしまったのであった。

その知らせに驚いたのはバト・シェバである。
彼女はダビデとの行為は過ちであったと後悔し、ウリヤが戦場から戻った時にはすべてを打ち明けようと考えていたのだ。
そこにもたらされたのが最愛の夫の死。

そして、悲しみにくれる彼女をダビデは王宮に引き取って妻にしてしまうのだった。

ダビデ「計 画 通 り」



○神様ブチ切れ

さて、ここでダビデの行動を整理してみよう。

  • 部下の妻を寝取り。
  • 妊娠が発覚すると証拠隠滅しようとする。
  • 当の部下本人の誠実さに触れても改心しないどころか新たな策を練る。
  • 戦場を利用するという卑劣な手段で部下を殺害。

割とマジで本当に最低のクズである。
ゴリアテを倒したころの輝いていたダビデは一体どこに行ってしまったのか。

当然ながらこんな行いをして神様の怒りに触れない訳がない。
王となるまでに色々と世話を焼いた人物がこの体たらくなのだからなおさらである。

怒り心頭、ブチ切れた神様は預言者ナタンを王宮に向かわせる。

ナタン「王様よ、知り合いにひどいやつがいるんだけど聞いてくれない?」

ダビデ「なに、どんな奴だ?」

ナタン「そいつは物凄く裕福なやつでね、多くの牛や羊を持っていたんだ。
    そのくせそいつは客に出す料理にするために隣の家の男が家族のように可愛がっていた子羊を奪ってしまった。
    隣の家の男はひどく貧しくて、自分で買ったその子羊の他は何一つ持ってなかったって言うのに。」

若い頃は羊飼いだったダビデは憤慨する。

ダビデ「なにそのクズ。そんな奴死罪に決まってるだろ。子羊の償いの対価は4倍返しだっていいくらいだわ。」

ナタン「 お前のことだよっ!

ダビデ「」

ナタンの指摘によってダビデは大いに苦悩することになる。
苦悩の末にダビデは「いっそ殺して」と懺悔し、神様もそれをもって彼を許し……


















許さなかった。


一応、ダビデが心の底から反省していたことと、これまで国に尽くしてきた功績から死罪だけは免れたものの、
この一件は神様も相当頭に来ていたらしく、全て許されたとはいかなかった。
死刑の代わりとして、ダビデのその後の人生は苦難が続くことになる。

まずダビデとバト・シェバの間に生まれた不義の子は、神罰により病気になり、ダビデの断食による懇願の甲斐なく生まれてすぐに息を引き取ってしまった。

さらに長子アムノンが異母妹タマルに恋をするが、
アムノンは病気のふりをして家に篭ってタマルが見舞いに来たところを強姦(きちんとした手順を踏めば妻として迎えられたのにもかかわらず)。
なお悪い事に、アムノンは一度犯したことでタマルへの興味を一気に無くし、突然のことに嘆き悲しむタマルを家から追い出してしまった。

要するにヤリ逃げ。父に負けず劣らずのクズっぷりである。

キズモノにされてしまったタマルは泣き叫んで家に帰り、実の兄であるアブサロムに全てを打ち明ける。

事情を知ったアブサロムは激しい憎悪を抱き謀略によってアムノンを殺してしまう。

事情が事情なのでダビデはアブサロムに恩赦を与えるが、今度はアブサロムが、ダビデが信頼していた助言者アヒトフェルと共にクーデターを起こし、
ダビデは国から逃げなければならなくなる。
この間、家の世話のために残しておいた側女たちがアブサロムにレイプされ(王の妻を寝取ることは王以上の者になった証になるため)、
今度は自分の妻が寝取られる番となってしまった。

クーデターはダビデ軍の反撃によって失敗に終わりアブサロムもヨアブに反逆者として殺されるも、また息子を失ったことはダビデに相当こたえ、
ヨアブに「いい加減にしないとあなたを守るために戦った将兵が報われない」と諌められるまで嘆き悲しみ続けた。

さらに晩年には本来次の王にする予定がなかった息子アドニヤが有力者を味方につけて王になろうとする騒動も起こす。
(この件は急遽ソロモンを王にして一件落着するが、後にアドニヤはソロモンへの翻意を知られて処刑される)


これら一連の事件には流石のダビデも相当こたえたらしく、彼は人生の終わりに神を賛美する歌を遺し、この世を去っている。



基本的にバト・シェバと出会って心が狂わされてから、ダビデにとって碌なことが起こらなかったと言える。
唯一、早死にしてしまった第一子の次に生まれたバト・シェバとの第二子が神の寵愛を受け、かの有名なソロモン王となったことが救いだろう。
…そのソロモン王も「合法的に」異国の女を侍らせまくって宮廷が異教の巣窟化した罪を神に問われたりして、次の代から国が分裂しちゃうんだけどね。







結論、寝取りダメ、絶対。



追記・修正は人妻を寝取ってからお願いします。

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最終更新:2024年06月26日 11:06