はじめに
日本語の発音ルールについてと、CeVIOでの場合について記載します。
調声の際に参考にしてください。
発音の表記ルールについて
表記法 |
表記内容 |
/〇〇/ |
音素表記(CeVIOトークの音素表記) |
[〇,〇] |
CeVIOソングの音素入力表記 |
IPA:〇〇 |
IPAの発音記号表記 |
日本語の発音ルール
「えい」「おう」の長母音化
標準語では「えい」「おう」は「ええ /ee/」、「おお /oo/」と発音されます。
事前に子音が付く場合も同様。2文字の漢字単語の多くが該当します。
例:
元の表記 |
かな表記 |
発音再現 |
音素表記 |
備考 |
標準語 |
ひょうじゅんご |
ひょおじゅんご |
/hyoojuNgo/ |
|
語頭 |
ごとう |
ごとお |
/gotoo/ |
|
同様 |
どうよう |
どおよお |
/dooyoo/ |
|
該当 |
がいとう |
がいとお |
/gaitoo/ |
|
形容 |
けいよう |
けえよお |
/keeyoo/ |
|
「えい」「おう」:CeVIOの場合
- CeVIOトークの場合、自動で発音変換されます
- 基本的に何もする必要がありません
- 読み登録やルビの場合は発音通りに表記する必要があります
- 外来語由来のカタカナ語の一部で区別がつかない場合は読みを指定する必要があります
- 例:ball「ボール /booru/」と bowl「ボウル /booru/」、原音に合わせるなら後者は 《ぼうる》/bouru/
- CeVIOソングの場合、自動で発音変換されません
- 歌詞を発音通りに入力するか、直接音素指定で指定する必要があります
- 「おはよう」→「おはよお」 or 「おはよー」 or [o,h,a,y,o,o]
- CeVIO AIの場合、伸ばし棒「あー」と母音を続ける場合「ああ」で歌い方が少し変わるため注意です
助詞「は」「へ」「を」の発音
助詞の「は」「へ」「を」は「わ /wa/」「え /e/」「お /o/」と発音されます。
現代仮名遣いの中で昔の表記方法が残っている例(区別のために残した?)です。
「は」「へ」「を」:CeVIOの場合
- CeVIOトークの場合、自動で変換されます
- 基本的には何もする必要がありません
- ひらがなばかりの文章などで品詞の判定をミスった場合に読みを変える必要がある場合があります
- 小さい子向け文章などの場合注意が必要です
- 動画などの場合は、入力は漢字かな交じりで入力し、字幕だけ優しく開いて表記する解決方法があります
- CeVIOソングの場合、自動で変換されません
- 発音通りに入力するか、直接音素入力で発音を変えます
- ただし、ソングの場合まれに「を」が [w,o] と発音される場合があります
母音無声化・母音脱落化
母音の「い」「う」がほとんど発音されなくなる現象です。
標準語(東京方言)で起きる現象のため、アナウンサー・声優さんの発音で発生します。
※声優さんの発音を元にしたCeVIO
トークでも再現されています
わかりやすいのは語尾の「です」「ます」で、
関東では「/desU/」「/masU/」、関西では「/desu/」「/masu/」と発音されます。
方言差があり、以下の地方でおきます。
母音無声化・母音脱落化のルール
- 無声子音(か行 ・ さ行 ・ た行 ・ は行 ・ ぱ行)の子音に挟まれた/u/と/i/
- ただし、アクセントは除く
- 無声子音が続く場合は除く
- サ行が続く場合は除く
- 無声子音の後の語尾の/u/と/i/
- ただし、アクセントは除く
- 例外1:同じ母音がつづく/a/と/e/と/o/も無声子音に挟まれると母音無声化する傾向にある
- 語頭・語末で起きやすい
- 心 /kOkoro/ 、魚 /sAkana/、刀 /kAtana/
- 例外2:有声子音に挟まれた/u/と/i/も母音無声化する傾向にある
- 娘 /mUsume/、杉 /sUgi/、島 /shIma/、僕ら /bokUra/
母音無声化・母音脱落化:CeVIOの場合
- CeVIOトークでは、自動で母音無声化が行われます
- CeVIOソングでは自動で行われません
- 一定の長さの音は母音を伸ばすため、母音脱落はうまくいかないことがあります
- TMGとVOLをつかって母音無声化をおすすめします
- 早口で短いノートの場合はうまくいきます
- 前のノートより高く上がるノートの場合、アクセントと同じで無声化は不自然になります
- ソングは必ずしも話し言葉のアクセントに沿ったピッチにはなりません
- CeVIOトークで歌詞を打ち込んでみて、どこが無声化するかを確認する方法が使えます
- 「’」(全角アポストロフィ)を付けた文字は以下のように母音無声化・母音脱落が行われます
「ん」の発音は6種類ある
日本語で「ん」(撥音)の文字で表記される音は実は6種類あります。
日本語話者は意識せずこれらを使い分けています。
「ん」の発音ルール
- 口蓋垂鼻音
- [N], IPA:ɴ
- 語尾や単体で発音する場合。ゆっくり発音する場合も。
- 両唇鼻音
- 歯茎鼻音
- [n], IPA:n
- チ以外のタ行、ヂ以外のダ行、ニ以外のナ行、ラ行、ジ以外のザ行が続く場合
- 硬口蓋鼻音
- [※表現不可、あるいはnで代用], IPA:ɲ
- チ、ジ、ニが続く場合 (「に」の子音)
- 軟口蓋鼻音
- [n,g]で代用、IPA:ŋ
- カ、ガ行が続く場合
- イ、エに続く語尾の場合にŋとなることがある
- 英語の~ingの最後の音と同じ
- 鼻母音
- [※表現不可、あるいはnで代用], IPA: ã/ĩ/ũ/ẽ/õ
- ア、ヤ、ワ、サ、ハ行が続く場合
「ん」:CeVIOの場合
- CeVIOトークの場合
- 音素表記上はすべて /N/ で区別がありません
- 実際の発音は変化しているようです
- 意図的にやる場合は読みで母音脱落して子音を挿入する方法があります
- [n]→《な’》
- [m]→《ま’》
- IPA:ɲ→《に’》
- CeVIOソングの場合
- 自動で変換されず、すべて[N]になります
- [m][n][N]は直接音素入力で、鼻濁音の場合は[n,g]で調声、鼻母音はTMGやVOLなどで調声する必要があります
- なお実際の歌唱の場合は日本語の発音ルールに従わない発音がされる場合も多いです
「が」の鼻濁音
日本語の「が」には2種類の発音があります。
- 有声軟口蓋破裂音 IPA:ɡ
- 軟口蓋鼻音 IPA:ŋ
若い人ほど使い分けがされなくなり、[n,g]が使われなくなりつつありますが、綺麗な日本語とされるものはしっかり使い分けられています。
声優・アナウンサーは原則しっかりと使い分けています。
「が」の発音ルール
シンプルバージョン:
厳密バージョン:
- 外来語の場合は[g]
- 擬音語は[g]
- 単語の頭では[g]
- 数字の5は[g]
- それ以外は[n]
「が」:CeVIOの場合
- CeVIOトークの場合
- 音素表記はどちらも /g/ ですが、実際の発音は使い分けられているようです
- CeVIOソングの場合
関連ツール
- 発音通りのひらがなに歌詞などの文章を変換するソフト
参考になるページ
最終更新:2023年04月21日 16:18