うわさでは⇒
古い空間の 最も深い部分には⇒
危険なイリーガルが
住んでいるそうです。
京子 どこ?
おんち
まったく 方向音痴なんだから…。
それにしても この地図
かんじんな時には⇒
必ず 役に立たないわね。
きり
あっ 霧だわ。
そういえば 地図が使えない時
いつも古い空間が近くにあった。
駅向こうは
まだ探してなかったわ。
あそこまで行けば
古い空間が 見つかるかも…。
まいご
(アナウンス)「迷子の
お呼び出しをいたします。⇒
おこのぎ ゆうこ
小此木優子ちゃん。
お母様が お待ちです」。
うっ… 私のこと?
「6年3組。 ベージュのお洋服に
丸いメガネの小此木優子ちゃん…」。
やめて~。
迷子は京子の方でしょ!
何で私を アナウンスで捜すのよ!
(母)京子ちゃんは
すぐ戻ってきたわ。
あなたは 行ったきりで
電話も つながらなかったわよ。
それは この町の空間が
おかしいせいなの。
そんなものの せいにして!
あなたは 昔から方向音痴なのよ。
方向ウンチ!
京子は言うな!
かなざわ
昔っからよ。 金沢でも
迷子になって 大変だったわ。
それに ほら おじいちゃんの
そうしき
お葬式の時だって。
そんな昔の事まで
ほじくり出さないでよ。
どうせまた メガネの事でも
考えていたんでしょ。
いいかげんにしないと
そのうち メガネマンになっちゃうわよ。
何よ それ。
どうしたの? ほら 乗りなさい。
乗らない。
何 すねているのよ。
6年にもなって。
ちょっと 探したい場所があるから
後で 一人で帰る。
ちょっと待ちなさいよ 優子。
私 もう6年生よ。
ちゃんと帰れるもん。
(男子)「優子」だと?
(母)また道に迷っても
知らないわよ。
絶対に迷わないもん!
ま… 迷ったわ。
やっぱ 方向音痴なのかしら?
なまいぬ めずら
あら 生犬だわ。 珍しい。
回想 デンスケ~ 待って。
(祖母)優子 どこ行くんじゃ?
ウンチ~!
そうだ あの時 デンスケが
勝手に走り出して…。
その後 あの人と出会ったんだわ。
何だっけ あの時もっと
大事なことが あった気がする。
ここ… 来たことある気がする…。
気のせいか?
(男子)おい お前!
お前 「ユウコ」って名前か?
なに?
さっき 聞いたぞ。
お前「ユウコ」っていうんだな。
分かっているんだぞ。
あまさわ ゆうこ
お前 第3小の天沢勇子だな。
えっ?
お前ら 出てこい。
何よ あなたたち?
おれ
第1小の者だ。 最近 俺たちの
なわばり あ
縄張を荒らしているようだな。
ちょっと待って。
ひとちが
あなたたち 人違いしているわ。
たし
確かに 私「ユウコ」だけど
天沢さんじゃ…。
やっぱり ユウコか。
つか
とうとう捕まえたぞ。
例の物を 出してもらおうか。
「例の物」?
キラバグだよ。 集めているのは
分かっているんだ。 早く出せ!
出さなきゃ 力づくで。
うわっ。
うわ!
追いかけろ!
(男子)あそこだ!
どうしよう?
(タケル)こっち こっち。
えっ?
早く この中に。
どこ行った?
見当たらないぞ。
きっとさっきの道だ。
急げ!
あっ ゴメンね。
急に こんな事して。
あいつら いつもよそから来た子を
いじめようとするんだ。
ううん ありがとう。
それにしても これって…?
ここに入ると⇒
メガネをかけている人には
すがた
姿が見えなくなるんだ。
これは 暗号?
あなた 暗号屋なの?
えっ?
だれ
違うよ。 これは誰かが書いて
残していったものなんだ。
それって…。
かんちが あいつらが
勘違いした天沢勇子の仕業だよ。
知り合いなの?
えっ? あ… う~ん…。
いや 全然…。
実は 道に迷っちゃったの。
私 方向音痴でさ…。
どこまで行きたいの?
だいこく
えっとね 大黒駅。
えっ?
うん?
だって ほら 駅は あそこに…。
あっ いやだ…。
本当に方向音痴なんだね。
僕 タケル 第1小の6年。
私 優子 3小の6年よ。
「ヤサコ」って呼ばれている。
へえ~ 「ヤサコ」。 ヤサコか。
僕も そう呼んでいい?
もちろん!
ヤ… ヤサコ。 駅まで送ってあげるよ。
あ… ありがとう。
ねえ ここって昔から
こんな風景だった?
えっ? うん たぶん。 駅の近くは
だいぶ変わっちゃっているけど…。
どうしたの?
やっぱり来たことある。
どこ行くの?
どうしたの?
駅に行くんじゃないの?
ここ 見覚えがあるの。
そうなの?
私 変な事言っているかも
しれないけど…⇒
たぶん 小さいころ
この辺で迷子になったの。
そして…。
何かが… 何かが あったの。
「何か」って 何があったの?
忘れている…。
小さいころだったし…。
思い出したい。
でも 思い出せないの。
それは 大事なことなの?
うん たぶん…。
一緒に探そう。
えっ?
くわ
この辺は 僕の方が詳しいから
一緒に探せば 見つかるかも…。
でも…。
ねえ どんな場所なの?
その探している場所。
石の階段があって
とりい
その上に 鳥居が続いているの。
もしかして あそこかも…。
ほら 早く!
ほら ここ。
あっ…。
きっと ここだわ。
あっ 待って ヤサコ! 止まって!
危ない!
あっ…。
かいたい
解体中だったんだな。
この神社。
だけど見つかってよかったね。
探していた場所。
違うの。
えっ?
に
違う場所だわ。 似ているけど…。
そうなの?
階段は
まっすぐ上まで延びていた。
とちゅう
途中で こんなふうに
曲がってなかったの。
そうか 残念だな。
私の 勘違いなのかな?
ありでも 自分が行く場所を
分かっている。
でも 私は見つけられない…。
みじ
何か 惨めな気持ちだわ。
そこで 何があったか
知らないけどさ…。 うん?
本当にあったのなら
きっと見つかるよ。
本当にあったか どうかも
よく分からなくなってきちゃった。
いや きっと本当に
あったんだと思うよ。 えっ?
少なくとも こんなに
見つけたいと思っている⇒
ヤサコの気持ちは 本物だろ?
だったら その気持ちで探せば
何か きっと見つかると思うよ。
本当の何かが。
あなた いい人ね。
えっ?
変な連中から 助けてくれたし
鳥居を探すの手伝ってくれるし。
男の子が みんな
あなたみたいだったら いいのに。
そんな事ないよ。 行こうよ。
うん!
ねえ その場所で 何があったの?
ひと言では 言えないかなあ…。
ふ~ん いい事だったみたいだね。
いい事だけじゃ
なかったかもしれない。
こわ
怖い事? 悲しい事?
どうだったかな?
その両方だったかも…。
でも これだけ探しても
ないんじゃ…。
実在しない場所だったかもね。
夢とか…。
もしかしたら 本当に
実在しない場所かも…。 えっ?
でも 夢でもなかったかも…。
どういう事?
その時 メガネをかけてた?
かけてたわ。
もしかして それはメガネでしか
見えない場所なんじゃ…。
「メガネでしか見えない」?
そんな場所があるの?
古い空間さ。
「古い空間」?
古い空間にも いろんな
バージョンがあるんだ。
中には 現実世界とのデータに
時差があって⇒
本当は とっくに
無くなった物が見えたりする。
現実には 無い場所って事?
でも 確かに あの場所で私…。
でももし そこが古い空間に
あるなら急いで見つけよう。
どうして?
サッチーだよ。
こっち側には
めったに来なかったけど⇒
この一週間で
よく見かけるようになったんだ。
私たちの方は 毎日よ。
おかげで 3小の近くには
古い空間が 一つも無いわ。
サッチーより早く見つけないと…。
そうね。
イマーゴが使えると いいんだけどな。
「イマーゴ」って?
古い空間を見つけるメガネの
ちょうのうりょく
超能力なんだ。 都市伝説だけど。
メガネをかけると 不思議な声や
感覚を感じ取って…。
でも イマーゴは…。
あっ。
大黒市は 何であんなに
古い空間を消そうとするの?
古い空間には
いろんな うわさがあるから…。
電脳ナビを誤作動させたり
去年は 子どももそれで死んだ…。
それにしても あんなに一度に
見たのは 初めてだ。 マズイな。
「マズイ」って? 本格的に
古い空間を つぶしにきたかも…。
早く見つけないと
今日にも 消されてしまうかも…。
…とは言っても 当てもなく
探しても見つかるわけないし…。
うん?
ねえ どうしたの?
ヤサコ?
私 聞こえるの。
「聞こえる」って 何が?
ヤサコ。
あの後… あの人と別れた後…。
回想 どうしよう?
迷っちゃった。
ここ さっきも通ったわ。
あっ。
私が 帰り道が分からなくなって
何かに出会った。
あれは 今から思えば…。
イリーガルだわ。
そんな昔に イリーガルと?
たぶん…。
でも うまく思い出せない。
あの時 何が起こったか。
何か言っている
えっ? 何て言ったの?
…探している。
何かを探していた。 何かを探して
私と同じ 迷子になっていた。
タケル君の 言うとおりだわ。
えっ?
あのイリーガルのいた場所も
あの階段鳥居も 古い空間だわ。
あそこで 何が起こったの?
ヤサコ!
あの時と同じ。
この先に あるわ。
待って どうしたの? ヤサコ。
古い空間だ。 一体どうやって?
さっきの話 イマーゴの…。
たぶん 私 それかもしれない。
えっ?
イマーゴの超能力? 本当に?
今までも何度かあったの。
ヒソヒソいう声が 聞こえて。
すごい! 僕も何度か
試したけど 全然ダメだったんだ。
ねえ どんなふうに聞こえるの?
メガネのスピーカーから? それとも…?
回想 私 デンスケを捜しにきて
道に迷っちゃたの。
おうちに帰る道 知らない?
知らない。
あなたは 何を探しているの?
4423…。
えっ?
どうしたの? 顔色が…。
そうだ 思い出したわ。
あの黒い生き物が
探していたもの。
4423。
にいさん?
4423を探している。
なぜ 4423を?
あっ。
キューちゃんだ。
もう 間に合わない。
思い出せない。 あとちょっと
あとちょっとなのに。
あっ…。
あっ。
(少年)早く逃げるんだ ヤサコ。
逃げろ!
あっ。
行くな ヤサコ!
止めないで きっとあの先に
あの場所が…。
いいから 早くここを出るんだ!
だいじょうぶ
大丈夫? 何か思い出せた?
ううん。 あんなの
現実なわけがない。
きっと 小さい時に見た
夢だったんだわ。
あなたこそ
何で あんなに止めたの?
古い空間に いろんなバージョンが
あるって話したよね。
これが さっきの場所の
バージョンなんだ。
5.20以上の古い空間は
霧が出るくらいなんだけど⇒
それ以下のバージョンは
ヤバイらしいんだ。
「ヤバイ」? ヤバイって どんな?
あくまで都市伝説の話だけど⇒
あまり深い所まで行くと
もど
戻ってこれなくなるって…。
「戻ってこれなくなる」?
そう。
生身の体と電脳の体が ずれて⇒
たましい
やがて魂ごと あっちに
連れていかれてしまうんだって…。
「連れていかれる」って 何に?
僕も よくは知らないけど⇒
もし君が 本当に古い空間を
見つけられるなら⇒
一つ教えておいてあげる。
これも都市伝説なんだけど⇒
ヤバイ空間で絶対に
守らなきゃならないルールがある。
なに? 新しい空間に戻るまで
絶対に メガネをはずさない事。
もし 電脳の体が ずれた時に
はずすと…。
どうなるの?
二度と戻れなくなるって。
そんなの 作り話よ。
きっと そうだね。
でも 都市伝説では⇒
そのまま 意識不明になった子や
死んだ子もいるって。
いろいろ助けてくれて
ありがとう。
僕の方こそ 楽しかったよ。
大変だったけど。
ゴメン。
きっとまだ どこかにあるよ。
思い出の場所。 うん。
じゃあ また 会えるといいね。
うん?
もう 迷うなよ。
うん さようなら!
ただいま。
(母)やっとお帰りね。
やっぱり迷子になったんでしょ?
知らない。
電話 あったわよ。
いしだ 誰から?
金沢で 担任だった石田先生。
それで 何だって?
マユミちゃんって 友達いたでしょ?
いつも一緒に メガネ遊びしていた。
その子ね もうすぐ北海道に
引っ越すんだって。 えっ?
優子と仲よかったからって
れんらく
わざわざ連絡くださったのよ。
これ マユミちゃんの連絡先だって。
不思議な男の子だったな。
でも おかげで
ちょっとだけ思い出せたわ。
あのイリーガル… それに「4423」。
本当に現実だったのかしら?
これも 夢の記憶を書いたのかな。
それとも…。
(タケル)うん… うん。
あの空間には無かったよ。
ぐうぜん
それより 偶然おもしろい子と
知り合ったんだ。 うん…。
イマーゴの子どもだと思う。
そう…。
あの カンナって子と同じに…。
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