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クレデリアのショート・ストーリーです。
天体ティクトにあるユアルイエ国の代表詩巫女様の前日譚。

星の降る夜


 風の音、人の暮らしの音、多くの音がこの世界に溢れている。
「ラシェラは、どう? 楽しい?」
 声は聞こえないけれど感じる、精霊たちの想いを理解できる。
「っと、お水汲んでこなきゃね。今日もお願い」
 人は精霊たちと共に生きているし、協力して助け合う。それは今でもかわらないし私だってそうだから。
 井戸から汲んだバケツの水面が揺らいで形を作る、それはラシェラの長い角を生やした姿だ。
 それに自然と頬がゆるんで、仕事に戻る。

 水を移して一息つく頃には昼時になっていた。
 まだまだしたいことがおおいのだけど、なにやら村が騒がしい? 大人たちが集まっているようだわ。
「おじさん、どうしたの?」
「おぉ。おまえか、それがなまた近くに軍人が来てるみたいでな。今回こそはここも巻き込まれるかもしれないって爺さんがうるさいんだ」
 確かにおじいさんが集まりの中心のようだ。
「前もそうだったろ? 俺がしずめとくから気にしないでいい。いや出来れば畑にいった子どもたちが無理してないか見ておいてくれ」
「わかったよ」

 精霊たちは男の人にはわからないらしい、詳しいことは知らないが誰にでも見れるものではないということだけは体感として知っていた。

 畑はいろんな所に点在して回るだけでもそこそこ歩く事になる。
 最後に見にきた場所は丘になっていて村が見渡せる位置で一番遠い畑でもある。
 まだまだ収穫は先だけど実を付け始めた野菜も多くなってきた。
「あれ、ミーちゃんじゃない」
「見ないと思ったらサリエ、こんなとこにいたのね」
 同い年ぐらいの女の子が同じ背の野菜の葉から姿を見せる。
「ばぁちゃんの畑だからね、とぉさんがなかなか戻ってこないから私がね。それにミーちゃんこそどうしたの?」
「いや、別に大したことじゃないけどね」
 風が渦を巻いて肌をなでる。
「ラシェラも元気だね、フィーだって元気一杯だけどさ」
 サリエは私より精霊が見えるようで、ラシェラについて色々と聞いたり、サリエと仲好しのフィーという精霊を教えてくれたりしてくれる。
「私だって負けないよー、ねぇフィー?」
 風が揺れる、楽しそうに遊ぶように。精霊は姿をなかなか見せてくれないけれどこうやって風や水を使って感情を示してくれる。
『 mi a fia c lien 』
 母が教えてくれる詩は精霊と近づける、精霊をより肌身に感じれる
『 mi a nan c lien 』
 サリエも続けて口ずさむ、とても単純で、けれど素直な想いの詩を。
 体が澄んでいくように感じる、地平の遠くまでくっきりと見えるようだ、そう見えるからこそそれに気づいた。
 ……煙? 村の向こう、草原のほうからだ、ものを焼いた黒煙が一つ二つと上がっている。
『 mi a ze……』
「……ミーちゃん?」
「見てあそこ、煙が上がっている」
 詩が止められて体は本の規格へと降下していき徐々に確実性を失っていくが見た記憶は確かなもの。
「知らせなきゃだよね」
「ミーちゃん大丈夫?」

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最終更新:2017年12月26日 06:17