終わらない戦い。その名は仮面舞踏会(マスカレード) ◆LuuKRM2PEg


 その男は多くのものを失い続けた。
 宇宙より飛来したラダムという名の寄生生命体によって、若くして人間の身体を失ってしまい、それから過酷な戦いを強いられてしまう。
 全ては亡き父・相羽剛三との誓いを果たす為。侵略者ラダムとなってしまった家族と戦い、地球に生きる全ての命を守らなければならなかった。
 その最中に男は更なる力を手に入れたが、代償として記憶を失い、そして殺し合いに巻き込まれてしまう。そこでも男は人々を守る為に戦おうとするが、守れなかった命が大勢いた。その中には一度死んでしまったはずの妹まで含まれていた。
 それでも、男は悲しみに溺れずに戦い続け、そうして深い因縁で結ばれている弟と再会して……敗北した。
 男は生き伸びたが、男と戦っていた弟はすぐに死んでしまった。その死を看取ったかつての仲間も、既にもうこの世にいない。
 家族も、かつての仲間も、そして自分自身の記憶さえも……全てが男には残っていなかった。
 彼に残されているのは、元の世界に生きる仲間達と、この地で新たに出会った仲間だけ。しかしそんな仲間達さえも、いつ失ってしまうのかわからない。
 それでも男は戦い続けるしかなかった。

 Dボゥイでも相羽タカヤでもなく、宇宙の騎士テッカマンブレードとして。




「呪泉郷には誰もいない、か……」
 C-7エリアにある呪泉郷に辿り着いた響良牙は、ふうと溜息を吐く。
 一条薫と共にグロンギ遺跡を後にしてから、すぐに辿り着いた。かつて修行の為に訪れた中国の呪泉郷と、何一つとして変わらないように見える。
 似せたのではなく、そっくりそのまま持ってきたのかと錯覚してしまうほどだ。
「良牙君、ここが呪泉郷という所だと言うと、あの泉は……」
「多分、本物かもしれない。気を付けろよ、一歩間違えて足でも滑らせて泉に落ちてみろ。何になるかわからないからな」
「……忠告、感謝する」
 一条が頷くのを見て、良牙は足を進める。
 ここが本物かどうかは分からないが、可能性は充分にあった。変な仕掛けを作りまくる主催者のことだから、本物とよく似た呪泉郷を生み出すことができてもおかしくない。
 もしも一条がうっかり泉に落ちてしまうなんてことがあったら……考えるだけでもゾッとする。乱馬みたいに女になるならまだしも、シャンプーやパンスト太郎みたいになったりしたら警察の仕事を続けられなくなるかもしれない。
 そうなっては、あの世で五代雄介が悲しむかもしれない。それに一条自身も、同僚や家族と会いたくなくなるだろう。水を被っただけで変身する体質になってしまったら、普通の生活を過ごす事すら難しい。
 良牙の周りには理解者がたくさんいてくれたが、一条の周りもそうとは限らない。それに理解してくれるとしても、できるなら知られたくないだろう。だからうっかり泉の落ちてしまうなんてことは避けたかった。
 しかし、今はそればかりを考えていられない。
(あかねさんの姿はない……まだ着いていないか、あるいはもう離れて別の場所に向かったのか? だとしたら、まずいな……)
 探していた天道あかねの姿はここになかった。一条の案内の元、藁にも縋る気持ちで訪れたが会えなかった。
 唯一の希望に裏切られた気分になるが、落ち込んでいる暇なんてない。こんな所で落ち込んでいたら彼女に会えるわけがなかった。
「響君、ここに彼女がいなかったが……もう少しだけ待つかい? もしかしたら、彼女はここに来る可能性もある」
「いや、ここにいないならもう用はない。あかねさんは違う場所にいるかもしれないし、何よりも俺は黙って待つのが苦手だ。それに、つぼみや鋼牙の事だって気になるし、もしかしたらあかねさんがあの二人に会っているかもしれない。だから、ここは市街地の方に向かおうぜ」
「わかった。なら、私が先導しよう」
「助かる……おっと、さっきも言ったけど足元には気を付けてくれよ」
「言われなくとも、そのつもりさ」
 フッと笑いながら進む一条について行くように、良牙もまた歩く。
 あかねは当然だが、花咲つぼみや冴島鋼牙のことだって心配だった。この地には仮面ライダーエターナルのような強敵がいる以上、彼らにいつ危険が迫ってもおかしくない。
 だけど、五代雄介や村雨良の時みたいに、この地で巡り会えた友達はもう誰も死んで欲しくなかった。



「……っ」
 あちこちに痛みが走る全身は、まるで鉛のように重くなっている。どうしてこうなってしまったのか? 記憶を辿るが、答えは見つからない。
 そもそも、ここはどこなのか? どうして、俺はこんな所にいるのか? スペースナイツのみんなと力を合わせて、ラダムと戦っていたはずだった。
 その途中に泉京水という男と出会ったのだが、彼はどこにいるのか? そもそも、彼とはどんなきっかけで出会ったのかまるで思い出せなかった。
 数多くの疑問を抱えながらも、相羽タカヤは瞼を開く。そこには、心配そうな表情でこちらを見つめている少女がいた。妹である相羽ミユキより少し年下に見える少女の姿は、やや頼りなく見えた。
「あっ、気が付いたのですね!」
「お前は、誰だ……?」
「あ、私は花咲つぼみと言います! あなたの名前は相羽タカヤさん、でしたね」
「どうして、俺の名前を……?」
「泉京水さんから聞いたのです。今、あの人はちょっとここにいませんが……私と一緒にいた鋼牙さんという男の人が、追いに行ったので心配しないでください!」
「そうか……」
 京水の姿が見えないのは不安だったが、一緒に誰かがいるならまだ大丈夫だ。その鋼牙という男にとっては災難かもしれないが。
 京水は男のくせに、男を見たらすぐに飛びつく変な奴だ。俺もあいつには何度も手を焼かされた。初めて出会った時だって……
(……京水と、初めて出会った時?)
 ふと、タカヤの脳裏にそんな疑問が生まれる。
 泉京水。彼はNEVERという集団に属する兵士の一人だ。しかし、京水はいつそれを話したのか?
 そもそも、彼とはどんなきっかけで出会ったのかまるで思い出せなかった。どうして、スペースナイツの一員でもない京水を仲間と認めたのか?
 どこかもわからない場所で、テッカマンエビルに変身した相羽シンヤと戦っていた事は覚えている。
 だが、どうしてこんな所で戦っていたのか? いくら考えてもわからなかった。
「エビル……」
「え?」
「エビルは……シンヤは、シンヤはどこだ!? あいつはついさっきまで、俺と戦っていたはずだ!」
 そしてもう一つ、タカヤにとって気がかりなこと。つい先程まで戦っていたエビルは一体どこにいるのか?
 あれからもう、大分時間は経ったはずなのにエビルが現れる気配は一向にない。決着はまだついていないのだから、すぐにやってくるはずだった。
 シンヤが戦いを諦めるなんてありえない。異常とも呼べる彼の執念は兄であるタカヤがよく知っている。だけど、エビルは一向に現れない。
 もしかしたら隠れて不意打ちを仕掛けようとしているのかもしれないが、それにしても遅すぎる。
 だからタカヤはつぼみに問いかけたが、彼女は困惑した表情を向けてくるだけだ。
「えっと、シンヤさんはその……」
「頼む、教えてくれ! あいつは今、どこにいるのかを! 俺はあいつとの決着をつけなければいけないんだ!」
 その小さな肩を掴みながら叫ぶが、肝心のつぼみは「ひっ!」と悲鳴を零しながら震えるだけ。
 それを見たタカヤは我に返り、すぐに落ち着きを取り戻す。見た所、彼女は戦いのことを全く知らなそうだから、問い詰めた所で何にもならない。
 焦っていたとはいえ、こんな行動に走ってしまう自分自身が情けなく感じてしまった。
「す、すまない……つぼみは何の関係もないのに、こんなことをしてしまって」
「い、いえ……大丈夫です」
「つぼみ、お前は何も知らないんだな。俺やシンヤの事も」
「すみませんが、私は何も知りません……」
「わかった」
 つぼみが嘘を言う少女には見えない。だから、彼女は何も知らないのは本当のことだろう。
 これ以上、つぼみから聞いたとしても何も得られない。そしてここにいても何にもならなかった。
「……そういえばつぼみ、京水や鋼牙という男はどっちに向かったんだ?」
「えっ? 二人は、あっちに行きましたけど……」
「わかった」
 つぼみが指さす方を見て、タカヤは起き上がる。
 体は未だに重いままで、動かす度に軋むのを感じるがそれを堪えた。
「タカヤさん、まだ寝ていなきゃ駄目です!」
「そんな時間なんてない。まだ、俺にはやらなければいけないことがある」
 つぼみの制止を振り切りながら、タカヤは胸ポケットに手を入れる。指先が固い物に触れるのを感じて、テッククリスタルがいつの間にか仕舞い込まれていたのを知った。
 きっと、京水がやってくれたのだろう。もしもの時に備えて、装備だけでも持たせてくれたことには礼を言わなければならない。だが、肝心の本人がいないのではどうしようもなかった。
 だから、タカヤはテッククリスタルを掲げながら叫ぶ。
「テック……セッ、タアアアアアアアアァァァァァァァァ!」
 クリスタルから眩い輝きが放たれ、タカヤの身体は変化を始める。
 赤い筋が生じた全身は、騎士の鎧のような骨格に変わった。赤と白の煌めきが放たれた頃、その手に巨大な刃が現れる。
 彼の変身は一瞬で終わった。
 ラダムが生み出したテックシステムによる精神支配を唯一受けていないテッカマンが地球にはいた。今は亡き父・相羽剛三の手によって地球へと逃がされた彼は、ラダムとの戦いに身を投じる。
 そこに現れたのは地球を守り続けた戦士・テッカマンブレード。テッカマンブレードに変身した相羽タカヤは、つぼみの方に振り向く。
 彼女は口をポカンと開けていた。こんな姿を見せては驚くに決まっている。
 何も知らない少女の前でこんなことをしてはならないだろうし、スペースナイツのみんなも怒るかもしれない。だが、そのことは後で考えればいい。
「た、タカヤさん……?」
「つぼみ、お前はどこかに隠れていろ。俺は今から、京水を探してくる」
 そう言い残したタカヤは、つぼみを残して高く跳躍する。
 彼女を一人にする事は不安だが、近くにテッカマンの気配はない。それにラダムが現れる様子も感じられなかった。
 もしも京水達がラダムに襲われては大変だ。そうなる前に、一刻も早く合流しなければならなかった。
 そして二人につぼみを預けてから、エビルとの戦いに向かわなければならない。
 そうブレードは思い続ける。
 しかし彼は知らない……いや、忘れてしまったのだ。ここはラダムなどいない、殺し合いの為だけに存在する世界であることを。
 そして自分が今、殺し合いを強制させられていることすらも、ブラスター化の影響で忘れてしまっていた。当然、つぼみや京水が殺し合いの参加者であることも覚えていない。
 次にもう一つ、彼の知らないことがある。相羽シンヤはもうこの世にいないことを、ブレードは知らない。
 タカヤが意識を失っている間に肉体の限界を超えて、そのまま息を引き取ってしまったことも知らない。シンヤの遺体が京水によって埋められてしまったことも知らない。それではいくら探した所で、見つかるなんてありえなかった。
 ただ、彼は飛び続けていた。現実から逃げている仲間を、そしてもうこの世にいない弟を見つける為に。




「タカヤさん! 待ってください、タカヤさん!」
 花咲つぼみは必死に呼びかけるも、相羽タカヤは戻ってこない。
 放送で呼ばれてしまい、既に死んでしまった相羽シンヤのことをどう伝えればいいのかを悩んでいたら、彼は変身してしまった。その姿はプリキュアとは程遠く、どちらかと言えば仮面ライダーや黄金騎士に近い。
 しかし、今はそれどころではなかった。変身したタカヤは京水を探す為に飛んで行ったが、その最中に危険人物に襲われるかもしれない。彼も強いかもしれないが、傷付いた体では戦えるとは思えない。
 タカヤは今、泉京水と言うオカマさんが錯乱状態になっていることを知らない。そして、弟であるシンヤが放送で呼ばれてしまったことも。
 だから、早く追いかけて彼に事情を話さなければならなかった。
「プリキュア! オープンマイ・ハート!」
 つぼみはココロパフュームを懐から取り出して、プリキュアの種をセットする。そのまま叫びながら、全身に香水をかけた。
 すると、彼女はほんの一瞬でキュアブロッサムに変身した。
「大地に咲く、一輪の花! キュアブロッサム!」
 いつものように大声で名乗った彼女は、地面を蹴って相羽タカヤを追う。
 一瞬で姿は見えなくなったくらいだから、彼の速度もかなりのものだろう。だけど、諦めるわけにはいかなかった。
「無事でいてください……タカヤさん!」
 キュアブロッサムに変身した花咲つぼみの力強い呼びかけは、森の中で響く。
 まるで、この殺し合いの希望となるかのように。




「克己ちゃん、克己ちゃん、克己ちゃん、克己ちゃん、克己ちゃん、克己ちゃん……!」
 鬱蒼と生い茂った森の中を駆け抜ける屈強な男・泉京水が、呪祖のようにその名を呼び続ける。
 愛しい大道克己に心を奪われ、女になることを誓ってからは彼に全てを捧げた。それはこの地でも変わらないはずだった。
 なのに、冴島鋼牙というイケメンは克己が死んだと言った。いいや、そんなことなんてありえない。イケメンで強い彼が簡単に死ぬなんてありえない。
 彼はきっとどこかで苦しんでいるはずだ。きっと、予想以上に強い敵と出会って深手を負わされて、死んだふりをしているのだ。その様子を見て、鋼牙は勘違いをしてしまっているのだ。
 そうだ。そうに決まっている。そうじゃないと加頭順達を潰せない。そうでなければ、彼の為に生きてきたこれまでの全てが無意味となってしまう。
「どこ……どこにいるの、克己ちゃん!?」
 だから京水は必死にその名を呼び続けるが、返事は帰ってこない。
「克己ちゃん、私はここにいるわ! だから返事をしてよ、克己ちゃん! 早くしないと、酵素が切れちゃうでしょ! 克己ちゃん!」
 その声は森の中で響き渡るが、答える者はいない。
「克己ちゃん! あなたはこんな殺し合いを潰して、みんなで力を合わせてミュージアムや財団Xを倒すんでしょ!? 私達はそれをやり遂げるまで、死ねないでしょ!」
 京水は克己の顔を思い浮かべながら呼びかけるが、やはり何も返ってこない。
 克己が現れることもないが、それでも京水は走りながら叫び続ける。殺し合いに乗った危険人物に聞こえるかもしれないと言う考えは、今の彼にはない。ただ、克己に聞こえてさえくれればそれでよかった。
「克己ちゃん! 克己ちゃん! 克己ちゃん!」
 鋼牙達は克己を見たのだから、この近くにいるはず。その僅かな可能性を駆けたが、願いは叶わない。
 当然だった。大道克己が死んだという鋼牙の言葉には、一切の嘘偽りがない。彼は克己と戦い、そして最期を見届けたのだから。
 しかし京水はその戦いの場にいなかったのだから、そんな事実を受け止められなかった。もしも京水も克己の最期を見守っていたら鋼牙達と共に戦っていたかもしれない。しかし現実は無情で、京水はただ克己を見つけることしか考えていなかった。
 時間の流れる度に、京水の焦りは強くなる。それ故に彼は、皮膚が崩れ落ちていくことに気付いていなかった。
 NEVERの身体を構成するには酵素が必要だ。酵素が切れてしまっては肉体が消滅してしまう。だが、京水はこの殺し合いで酵素を注入したのはたった一度だけで、そのまま長距離の移動や強敵との戦いに赴いた。
 その結果、必要な酵素がどんどん消耗されていき、京水の身体は崩れ続けていたのだ。
 願いを叶える為に必死に走る中、京水は遠くから二人組の男が現れる。彼らはイケメンだが、今の京水が心を奪われることはない。例えどんなイケメンがいたとしても、克己の前では霞んでしまう。あの相羽タカヤも嫌いじゃなかったが、やっぱり克己が一番大事だった。
 今は克己の手掛かりを見つける為に二人から話を聞く。それだけだった。
「ねえ、そこのあなた達!」
 京水の声に気付いたのか、男達は振り向いてくる。そんな彼らの前に京水は立った。
「君は……?」
「ちょっと聞きたいことがあるの! あなた達、克己ちゃん……いや、私と似たようなジャケットを着たイケメンのことを知らない!? きっと、彼は今も何処かで苦しんでいるはずよ! 名前は……大道克己っていうの!」
「大道克己だと!?」
 愛しい人の名前を呼んだ瞬間、黒いライダースーツを纏った男は大声で驚いたような声を出す。
 それに驚いた京水がピクリと身体を震わせた後、バンダナを付けたもう一人の男が詰め寄ってくる。
「おい、あんたはあいつを……エターナルのことを知っているのか!?」
「知っているわ! 克己ちゃんは私が世界で一番愛している人よ!」
「なっ……じゃあ、あんたも俺達の敵か!?」
「何を言っているの!? あたしは財団Xなんかに従って、殺し合いに乗る気なんて始めからないわ!」
「それが信用できると思ったか!」
「嘘だったら、最初からあなた達と話なんかしないで不意打ちでもするわよ!」
「むっ……」
 バンダナの男は納得したような表情で呟く。
 しかしライダースーツの男は未だに京水を信用していないのか、怪訝な表情を向けたままだった。
「君の言うことはわかる。だが、私としてはその言葉を簡単に信用するわけにはいかない。君はあの大道克己の仲間なのだから」
「あの大道克己って……克己ちゃんが一体何をしたっていうのよ!?」
「君には信じられないかもしれないが大道克己は殺し合いに乗った……そして私達の友人と戦い、それから死んでしまった」
「なっ……!?」
 ライダースーツの男の言葉を聞いて、京水は絶句する。
 この男は、先程出会った鋼牙と同じことを言った。あの克己が死んでしまうなどと、天地が引っくり返ってもありえないようなことを。
 そんなこと、あってはならない。あってはいけないようなことを、どうしてみんな言うのか?
 そんな想いが京水の中で溢れていき、焦りや憤りの感情が更に膨れ上がっていく。
「どうしてよ……」
 やがて京水の感情は、自然に言葉へと変わり始めた。
「どうしてみんな、そんなありえないことばかり……!」
「危ない!」
 しかし京水の言葉が最後まで紡がれる事はない。
 ライダースーツの男は京水の身体に抱きつき、そのまま飛び上がる。それに驚く暇もなく、大砲が発射されたような爆発音が耳に響いた。
 反射的に振り向いた先では、先程まであったはずの木々が地面ごと木っ端微塵に破壊されているのが見えた。
「誰だ!?」
 バンダナの男が叫ぶ。
 その瞬間、凄まじい殺気が肌に突き刺さるのを感じて、京水は素早くT-2ルナメモリ構える。
 そしてすぐに見た。ここから数メートル離れた先に、不気味な黒い鎧を纏った戦士が立っているのを。
 一瞬、仮面ライダーかと思ったが、すぐに京水は否定する。不意打ちなんて格好悪い真似をする奴が、克己達と同じ仮面ライダーであるわけがない。
 鋭い漆黒の剣を握り締めた戦士・暗黒騎士キバはゆっくりと歩み寄ってきた。




 荒れ果てたエリアの一角でレイジングハートを拾ってから、バラゴは来た道を戻るように進んでいた。
 最初は灯台に進もうかと思ったが、あんな場所に向かっても何かが得られるとも思えない。しかもそこからバイクで通れる道は禁止エリアになっている。ビートチェイサー2000の性能なら一気に突っ切ることもできるかもしれないが、わざわざ死と隣り合わせの状況に追い込んでまでやることでもなかった。
 それに、あの涼邑零という無名の魔戒騎士がどうなったのかも気になる。放送前の戦いでシルヴァと言う名の魔導具を破壊し、奴の心に闇を植え付けた。あの状態ならば道を踏み外し、暗黒の道を歩むのも時間の問題だろう。
 冴島鋼牙や仮面ライダー達はどうなったか? 殺されたか、それとも命惜しさに無様に逃げ出したか。どちらにせよ、放送では彼らの名前が呼ばれなかったので、すぐには殺されていないことは確かだ。
 もしかしたら別の結果もあるかもしれないが、ここでそれを考えても仕方がない。直接見ない限りは何もわからなかった。
 故に呪泉郷を再び通り過ぎてから進んでいたら、大声を出している三人の男達を見つける。暗黒騎士キバの鎧を纏って不意打ちを仕掛けたが、失敗に終わった。
 だが、直接この手で葬ればいいだけのこと。仮面ライダーやプリキュア、それに魔戒騎士のような変身能力を持っているかもしれないが、関係ない。
 どんな相手が待ち受けていようともこの手で斬るだけなのだから。
「何なのよあんた! 私達は今取り込んでいる所だから、邪魔しないでよね!」
『LUNA』
 女のように甲高い声で叫んだ男は懐から黄色いガイアメモリを取りだすと、それを額に差し込む。電子音声が響いた直後、その身体は異形の怪物へと一瞬に変わった。
 それは加頭順が変身したのとはまた別のドーパント。ルナ・ドーパントという名前の怪物だった。
「変身!」
 その傍らで、ライダースーツの男もまた変身をしていた。
 いつの間にか腹部にはベルトのような物が出現していて、そこから眩い輝きが放たれている。それが収まった頃には、男の姿は赤い仮面ライダー・仮面ライダークウガに変わっていた。
 クウガに変身した男を見たキバは、仮面の下でほうと呟く。仮面ライダーと出会うのはこれで何度目になるだろうか。この島に来てから仮面ライダーに変身する男とよく出会うので、余程縁があるのかもしれない。
 もう一人の男・響良牙は変身していないが、少なくとも戦いの素人ではないだろう。もっとも、この暗黒騎士キバには及ばないかもしれないが。
「あんた、あたしの恋の邪魔をするなんていい度胸してるじゃないの! キツーイおしおきが必要みたいね!」
 ルナ・ドーパントに変身した男は奇声と共に走りながら、異様なまでに長くなった両腕を振るってくる。しかしキバは黒炎剣を横に一閃したことで、紙のように切り裂いた。
 地面に落ちた両腕がまるで魚のように飛び跳ねる一方、ルナ・ドーパントは後ずさっていく。
「あっー! 斬れちゃった! 斬られちゃったー!」
 だが、ルナ・ドーパントから聞こえるのはふざけているとしか思えない叫びだけ。
 腕が二本とも斬られたにも関わらず、まるで苦しんでいるようには見えなかった。後ろの男達も絶句しているのに、この黄色い怪物は空気を壊そうとしているようにしか見えない。
 これには流石のキバも呆れてしまい、思わず溜息を吐いてしまう。
「貴様っ!」
 その直後、クウガは拳を握り締めながら勢いよく突っ込んでくる。
 仲間の仇打ちのつもりなのだろうか? そうだとしても、変身したとはいえ丸腰で向かってくるなど無謀にも程がある。もしかしたら何か策があるかもしれないが、どんな手段だろうとも打ち破るだけ。
 クウガの赤い拳は真っ直ぐに向かってくるが、キバはそれを軽く避ける。反対側の左手でジャブが繰り出されるが、それも避けた。
 次はキックが来るが結果は同じ。横に回り込んで回避しながら、今度は黒炎剣でクウガの胸部を斬りつけた。
 そのまま残る男に振り向こうとした、その時だった。
「獅子、咆哮弾!」
 ドガン、と。
 男の叫び声と共に大気が振動する音が聞こえたと思ったら、キバの巨体に凄まじい衝撃が襲いかかった。
 まるで巨大な拳に殴られているような感覚に、キバも思わず驚いてしまう。ダメージ自体は深刻ではないが、それでも微かに後退していた。
 振り向いた先に立つバンダナの男は両腕をこちらに向けている。ただの人間だと思っていたが、まさかこんなカラクリを持っていたとは思わなかった。
「効いてない……のか!?」
「その程度では私を止めることなどできない」
 しかしだからといって恐れるに足りない。
 どんなに奇妙な技でも、所詮は並の魔戒法師より強い程度の技。精々、ほんの少しだけ動きを止めるだけ。
 それだけでデスメタルの鎧を貫くなど無理な話だ。
「まずはお前からだ」
 黒炎剣の切っ先を向けると、良牙は身構える。
 結局、どれだけ鍛えていようともただの人間。銃で撃たれれば死ぬし、剣で斬られれば真っ二つになる。人間のままでいる限りそれは避けられないのだ。
 そんな下らない宿命から逃れようと思ったからこそ、バラゴは力を求めた。多くのホラーや魔戒騎士を食らって強くなった。今までそうだったし、そしてこれからも変わることはない。
 目の前で立ちふさがる者達も、キバの力をより高めるだけにある存在だ。そんな奴らなどさっさと切り捨てればいい。
 そんな冷酷な思考と共にキバは歩みを進めようとする。だが。
「バラゴッ!」
 この戦場に新たなる声が割り込んでくる。
 それはキバにとって……いや、バラゴにとってよく知った声だった。あの冴島太牙の息子である黄金騎士の声。
 それに伴って、木々の間から眩い黄金の輝きが放たれる。それに気付いて視線を移すと、やはりあの黄金騎士が姿を現した。
 冴島鋼牙が変身した黄金騎士ガロ。その身を太陽のように輝かせながら跳躍するガロは刃を振るうが、キバは黒炎剣で受け止める。刃と刃の衝突によって火花が飛び散る中、両者が再び剣をぶつけあった。
 それを数合ほど繰り返した後、ガロとキバは距離を取る。しかしまたすぐに距離を詰め合い、鍔迫り合いの体制に入った。
「冴島鋼牙。まさかこんなにも早く再会できるとはな」
「バラゴ。俺は何度でも貴様を倒す……この身がある限り、何度でもだ!」
「それはこっちの台詞だ!」
 宿敵と再び巡り合うのは予想外だったが、それならこの場で倒せばいい。
 その実力は少し前に戦った時より格段に上がっているが、それでもキバにはまだ及ばない。現に、銀牙騎士ゼロや二人の仮面ライダーと力を合わせたとしても、無様に敗れてしまったのだから。
 倒すのは容易ではないだろうが、それでも負ける気はしなかった。
 キバは両腕に力を込めてガロを突き飛ばしてから、その胸板を斜め横に切り裂く。仮面の下から鋼牙の呻き声が聞こえるのと同時に、キバは鋭い蹴りを叩きつけた。
 その衝撃によってガロは軽く吹き飛ぶが、すぐに立ち上がる。重いダメージは与えられていないだろうが、それなら更に攻撃すればいいだけ。奴は鎧を長時間召喚できないのだから、反撃の機会を与えなければすぐに崩れ落ちる。
 そうやって時間が流れるのを望みながら剣を振るおうとする。しかし、それを妨害するかのようにキバの身体が突如として拘束された。
 あまりにも唐突な圧力によって動きを止めてしまう。視線を下げると、漆黒の鎧には巨木のように太い黄色い腕が身体に絡み付いていた。それは、ついさっき斬ったルナ・ドーパントの腕だった。
 振り向くと、ルナ・ドーパントの腕は何事もなかったかのように元通りとなっている。まるでトカゲの尻尾のようだった。
「残念でした! 悪いけど、あなたなんかに一回斬られて戦えなくなるほどヤワじゃありませんよーだ!」
「それがどうした」
 ルナ・ドーパントは相変わらず挑発してくるが、それに乗るようなキバではない。
 渾身の力で拘束を破ってから再び両腕を切り裂く。再生するなら、その度に斬ればいいだけのこと。この場には制限があるのだから、そんな能力にも限界があるはず。
 そう考えたキバはすぐにルナ・ドーパントの懐に飛び込んで、その巨体を黒炎剣で突き刺した。
「痛い! 痛いじゃないの!」
「遅い」
 耳障りな叫び声が聞こえる前に剣を引き抜いてすぐに蹴飛ばす。そのまま立ち上がる暇さえも与えず、キバは黒炎剣をルナ・ドーパントに向かって振るう。一度だけでなく、何度も胴体を切り裂いた。
 再生を追いつかせるつもりなどない。いくら奇妙な能力を持っていたとしても、所詮は並のホラーより少し強い程度の実力だ。そんな奴がいくら敵になろうとも、屠るのは造作もない。
 もう一度だけ斬った直後、キバは倒れていくルナ・ドーパントから視線を外してガロに振り向く。ガロの振るう剣が迫るが、キバは黒炎剣を翳して軽々と受け止める。
 そこから再び鍔迫り合いが始まるかと思われたが、硬直した隙を突いてクウガと良牙が飛びかかってきて、キバに拳を叩き付けた。
 その攻撃はデスメタルに傷一つ付かず、打撃音が空しく響くだけ。しかし彼らはそんなことなどお構いなしに拳を振るい続けてくる。
 振動が微かに感じるだけでダメージにはならないが、流石に煩わしくなる。ガロを押してから、奴らを斬り捨ててしまおう。
 ほんの一瞬だけ思案したが、その後に二人は後退した。こちらの考えを察したのかもしれないが関係ない。どうせ、死までの時間が少し伸びただけだ。
 やがてガロも少しだけ下がり、クウガと良牙の間に立つ。その仮面からは射抜く視線が放たれているが、所詮はただの強がりに過ぎない。
 奴が鎧を召喚してから、既に一分は経過しているはずだ。予想以上に粘っているが、それも長くはないだろう。奴が鎧を解除した時を見計らって、この手で葬りさればいい。
 ガロさえ消えれば残るのは取るに足らない弱者だけ。奴らを纏めて倒すのに時間など必要なかった。
 時間さえ流れてくれればいい。そんな僅かな望みを抱いた瞬間だった。
「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 どこからともなく、獣のような叫び声が聞こえてくる。
 空気をピリピリと振動させる程の声に誘われて、キバは振り向く。すると、遥か彼方より新たなる来訪者が姿を現した。
 それは魔戒騎士とも仮面ライダーとも違う、異形の外見を持つ戦士。テッカマンブレードの姿を暗黒騎士キバはその眼に焼き付けていた。




 身体が痛む。
 身体の中が熱い。
 視界がぼやけていく。
 意識がはっきりしない。
 全身に苦痛を感じるが、それでも超人は天を駆け抜けていた。
 相羽タカヤがテッカマンブレードに変身してから時間が経つが、まだ誰とも出会えていない。京水は見つけられず、エビルの気配も感じられなかった。
 それどころか、ラダムだって一匹も現れない。どこかに隠れているのかと思ったが、こんな緑豊かな森にラダムがいるとは思えなかった。
 そしてブレードの中に宿る疑問が更に強くなる。今の地球にこんな緑豊かな森がまだ残っていたことが、とても信じられなかった。そんな場所にどうして俺がいるのか。そしていつの間に来てしまったのか。
 それに、どうしてシンヤとこんな所で戦ったのかがわからない。シンヤが決闘を仕掛けたとしても、こんな場所をわざわざ選ぶなんて想像できなかった。
 あと、いつの間にか付けられている首輪は何なのか? つぼみにもさせられていたこの首輪には、何か意味があるのか?
 何から何まで現実味が感じられない。だが、この身体に伝わる痛みは本物なので、ここが夢の世界と言うことはなかった。
 それに、エビルとの戦いが夢であるなんてあってはならない。ラダムの存在が悪夢であって欲しいと思ったことは何度もあったが、そんな逃避など許されなかった。
(エビル……どこだ。俺はまだお前との決着をつけていない! いるなら出てこい! 俺はここにいる!)
 ブレードは悪魔となってしまった弟を探すが、その姿を見つけることは出来ない。
(お前は俺と同じようにブラスター化をした。だが、それでも俺は負けるつもりはない!)
 エビルもまた、ブレードと同じようにブラスターテッカマンとなった。
 鬼人の如く実力を誇っていて、あのまま戦い続けたらどうなっていたかわからない。エビルの手元が狂わなければ、殺されてもおかしくなかった。
 そんな今のエビルと一人で戦っても勝てる見込みは薄いが関係ない。絶対に勝たなければならなかった。
(テッカマンの気配は感じられない。奴は一体どこにいる? そう、遠くまで離れていないはずだが……)
 ブレードは知らない。
 テッカマンエビルはもうラダムの支配から解放されている以上、気配なんて放つ訳がないことを。もうブレードの手に届かない所までに行ってしまったことも、ブレードは知らない。
 残酷な真実を知らないままブレードは飛んでいた。
 その時だった。ここから少し離れた場所から、ドガンと地割れのような音が響いてきたのは。
 それに気付いたブレードは一瞬だけ動きを止めて、音が響いてきた方向に振り向く。木々の向こう側からは、複数の叫び声や鋼鉄同士が激突するような音が聞こえてくる。
 つまり、この先では戦いが起こっているとブレードは考えた。テッカマンがいる気配はないが、それでもブレードはそちらを目指して飛翔する。
 もしかしたら、あそこに京水やつぼみの仲間である鋼牙がいるかもしれない。彼らに何かがあったら、つぼみが悲しんでしまう。
 案の定、あそこでは戦いが起こっていた。黄金と赤と黒の鎧を纏った者が一人ずつと、バンダナを巻いた男が一人。そして、京水が変身したルナ・ドーパントと言う怪物が倒れていた。
 状況はよくわからないが、黒い騎士は他の四人と敵対している。つまり、敵はあの黒い奴だけかもしれない。
 京水は少なくとも理由なく誰かを襲うような男ではなかった。何故、こう断言できるのかはわからないが、それを考えている時間などない。
 今はあの黒い騎士――暗黒騎士キバ――を倒す。それだけだった。
「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 ブレードが吠えながら疾走を始めると、五人は同時に振り向いてくる。
 ルナ・ドーパントは「タカヤちゃん!」と呼びかけてくるが、それに答える暇はない。
 一瞬でキバの目前にまで迫ったブレードは勢いよくテックランサーを振るう。しかしキバはその手に持つ剣で軽々と受け止めた。
 ブレードはそれに構わずテックランサーを振るい続けるが、その度にキバの一閃によって防がれてしまう。
 ただ、甲高い金属音が響き渡るだけだった。
 その拮抗は数秒ほど続いたが、やがてすぐに終わりを告げる。ブレードの一振りを避けたキバは懐に飛び込み、そのまま横に剣を振るった。
 それによってブレードの装甲に亀裂が生じ、赤い液体が噴き出す。キバはそれを好機と見たのか、同じ場所に目掛けて一閃した。
「がああっ!」
 ブレードは悲痛な叫びを発しながら後退してしまう。それでもキバの猛攻は止まることはなく、むしろ勢いを増していった。
 一度黒炎剣が振るわれる度、ブレードの肉体は無残にも切り裂かれてしまう。無論、ブレードも反撃するがテックランサーは届かない。そこからキバの一太刀を浴びてしまう。
(やはりエビルと戦った後だからか、身体が思うように動かない……だが、それでも俺は負けるわけにはいかない! こんな所で倒れては、父さんやミユキの無念を……晴らすことなんかできない!)
 痛む身体に鞭を打ってブレードは武器を振るうが、やはり弾かれてしまう。
 いつものブレードなら暗黒騎士キバが相手だろうと、互角の勝負をしていたかもしれない。しかし今のブレードはテッカマンエビルだけでなく、ナスカ・ドーパントに変身したン・ダグバ・ゼバやテッカマンランスとも戦っている。
 強豪と戦い続けた上に、傷や疲れをまともに癒せていない。そんな状態で動いたことにより、更に疲労が溜まっている。
 それが、ブレードの足枷となってしまったのだ。
「喰らえっ!」
 やがてキバが繰り出す刃によって、ブレードはその場から吹き飛ばされてしまう。
 蓄積されたダメージのせいで受け身を取ることができず、ただ無様に地面を転がるしかなかった。
 起き上がろうとするが、身体はすぐに持ち上がらない。視線をキバに向けるのが精一杯だった。
 そんなブレードを守るかのようにルナ・ドーパント以外の三人はキバに飛びかかる。三方から拳や剣が振るわれるが、キバはそれを避けて確実に反撃する。
 黄金の騎士と赤い戦士には刃を、バンダナの男には蹴りによる一撃を。それぞれ、的確に命中させて吹き飛ばした。
 彼らも強いのだろうが、それ以上にキバが強すぎたのだ。現に、鎧を纏った戦士達の変身は解除されて、人間の男の姿――冴島鋼牙と一条薫の姿――に戻ってしまう。
 今の一撃による痛みが深刻なのか、表情を苦悶に染めていてすぐに起き上がれそうにない。
 そんな彼らをキバはつまらなそうに見降ろしていた。仮面のせいで表情を窺えないが、こちらを見下していることは確かだろう。
「仮面を纏った騎士よ。後はお前だけだ」
 そんなキバは、冷たく言い放ちながらブレードに振り向きながら歩を進める。
 それを見て、ブレードは仮面の下で目を見開く。キバはまず、ブレードからトドメを刺そうとしているのだ。
 もしかしたら、こちらが隙を見て不意打ちしようと考えていたのか? だとしたら、キバは強いだけでなく非常に用心深い。
 ブレードは立ちあがるが、あまりにもゆっくりだった。例え攻撃しようとしても、こんな状態では勝てるわけがない。
 ブラスター化をすれば可能性はあるだろうが、その一瞬の間に攻撃されたら終わりだ。
(……いや、関係ない! ここでブラスター化をしなければ奴を……そしてエビルだって倒すことができない!)
 芽生え始めた不安を、ブレードは自らにそう言い聞かせて振り払う。
 そうだ。今までだって追い込まれたが、可能性を捨てなかったからこそ生き延びられた。消してはいけない憎しみを胸に宿らせたからこそ、ラダム達を葬ることができた。
 こんな所で不安になり、そうして可能性を捨てたら負けて当たり前だ。弱音を吐く前に、やらなければならなかった。
 ブレードは全身に力を込めると、眩い光が発せられる。莫大なエネルギーがブレードから発せられていき、大地震のような振動が周囲を襲う。
 地面は砕け、木々は沈み、あらゆる物が壊れていく。これには流石のキバも驚いたのか足を止めたが、それはほんの一瞬だけ。
 奴は何事もなかったかのように立ち、そして刃と右手を擦り合わせる。その刀身からは炎が噴き上がり、漆黒の鎧を飲み込んでいく。
 その炎が揺れ動く地面に燃え移った直後、キバは疾風のように走り出した。
(間に合わない!?)
 常人より発達した視覚はキバの姿を捉えるが、まだブラスター化をしてないブレードには反撃の余裕などない。中途半端な一撃などキバに通用するわけがなかった。
 両者の距離は縮んでいく中、キバは黒炎剣を掲げる。恐らく数秒とかからない内に、奴はこの肉体を刀の錆にしようとするはずだ。
 死は確実に迫り来るがブレードに打つ手はない。どうすればいいのか……その答えを考えるが、短時間で見つかる訳がなかった。
 もう駄目か、という思考がブレードの中で芽生える。
「タカヤちゃん、危なーい!」
 その時だった。ルナ・ドーパントに変身した京水の叫びが鼓膜を刺激したのは。
 それに振り向く暇もなく、ブレードの身体は突き飛ばされる。突然の衝撃に驚くが、大したダメージはない。
 迫り来る刃から逃れた直後、ブレードの耳に耳障りな音が聞こえる。グチュリ、と肉が潰れたようなグロテスクすぎる音だ。
 それに驚いたブレードは振り向き、そして見てしまった。
「きょ、京水……京水ィィィィィィィィィィィ!」
 ルナ・ドーパントの巨体が、暗黒騎士キバの握る黒炎剣によって貫かれているのを。
 それから無造作に引き抜かれたのを見て、ブレードは更に叫ぶ。ルナ・ドーパントが身体を張ったことで、皮肉にもブラスター化を果たすまでの時間が経ち、全身に力が漲っていた。
 許さない。お前もラダムのように仲間を奪おうとするのか。ラダムのように命を蹂躙するつもりなのか!
 ブラスターテッカマンブレードとなった直後、心の中に宿る怒りが更に燃え上がっていく。
 全身の激痛までは癒せていないが関係ない。この姿になれば負ける気はしない。いや、負けるわけにはいかなかった。
 目の前にいる悪魔は、絶対に倒してみせる!
「やはりお前にはまだ切り札が残っていたか。だが、例えどんな姿になろうとも関係ない……お前達はこの私の手で倒す」
「黙れ! 例え俺がどうなろうとも、お前はここで俺の手で倒す! お前のような悪魔どもを倒してみせる!」
「悪魔とは、随分な言い草だな!」
 キバはそうやって吠えながら、両足を蹴って突貫した。その衝撃による影響か、キバが今まで立っていた地面に小さなクレーターが刻まれている。
 そこから繰り出される斬撃を、ブレードはテックランサーで受け止めた。衝突によって傷口が広がるが、ブレードは決して退かない。全身を縦横無尽に駆け巡る力が、ブレードの支えとなっていた。
 無論、キバの腕力は相変わらず凄まじい。例えブラスター化をしたとしても、今の状態では少しだろうと油断ができなかった。
 それでもブレードは両腕に渾身の力を込めて、数秒の拮抗の後に……キバの身体を吹き飛ばした。
「何っ!?」
「であああああああああっ!」
 動揺と共に体勢を崩すキバの胸部を、ブレードは横一文字に斬り裂いた。
 その漆黒の鎧に傷が生じるが、浅い。テックランサーの一振りですらもダメージにならないが、それなら何度でも斬るだけ。
 どんな硬度を誇っていようがいつかは崩れ落ちるはず。そう信じてブレードは反対側の刃で鎧を薙いで、更なる傷を与えた。
 甲高い音が響いた直後にまた刃を振るうが、それはキバが握る黒炎剣によって防がれる。
 テックランサーによる一撃を防がれるのは、これでもう何度目になるのかはわからない。ブレードやキバは勿論のこと、他の四人にもわからなかった。
 それでも彼らはひたすら得物を振るっていた。互いが、己自身の信念を貫き通す為に。
「やはり、お前も同じだ……」
 そんな中、ブレードはキバに向かって呟いた。
 黒炎剣を受け止めて、そこから横に回り込んでテックランサーを振るう。刃は鎧に傷を付けた瞬間、中にいる男が呻き声を漏らした。
「お前は自分がやろうとしている下らない野望の為に、たくさんの命を犠牲にする……ラダムと同じだ!」
 ブレードはキバがどんな奴なのかは全く知らない。しかし、全身から放たれる殺意と冷酷な視線はブレードにとって見覚えがあった。
 愛する家族を絶望のどん底に追いやったラダム。ブレードにはキバの姿が、一生懸命に生きているたくさんの命を蔑んでいるラダム達と被って見えてしまった。
 きっと、キバもここではない何処かで他人をゴミのように斬り捨てていたかもしれない。そう、ブレードは感じ取っていた。
「俺は、お前のように命を弄ぶ奴らを……絶対に許さない!」
 俺が今、ここで戦っているのは人間ではない。
 命を踏み躙る悪魔だ。ラダムと同じ、他者を慈しまない魔物だ。そんな奴が生きている限り、この地上に未来などない。
 仮面の下でキバを睨みながらブレードは疾走して、テックランサーを力強く振るう。しかしその一撃は、またしても黒炎剣によって防がれてしまった。





 暗黒騎士キバとの戦いによって鎧を解除させられてしまった冴島鋼牙は、身体の痛みを堪えながら目の前で起こっている戦いを眺めていた。
 突如として現れた謎の騎士は、京水が変身したと思われるドーパントから「タカヤちゃん」と呼ばれていた。だから、彼は相羽タカヤなのだろう。
 その動きは精彩に欠けているが、あのキバとも互角に渡り合っているのだから相当の実力を持っているかもしれない。仮にガロが心滅獣身をしたとしても勝てるかどうかわからなかった。
 どうしてつぼみに預けたはずの彼がここにいるのか? それが気になるが、今はタカヤにキバを任せるしかない。本当なら強くなった零と共にキバを倒したかったが、それどころではなかった。
 ドーパントに変身してキバと戦い、そして胸を刺された男が横たわっている。泉京水の身体は、大道克己のように消滅しようとしていた。
 無理もない。烈火炎装の一撃をその身に受けてしまったのだ。即死しなかったのが奇跡のようなものだった。
「おい、しっかりしろ! おい!」
 だから鋼牙は京水の身体を必死に揺さぶるが、京水は答えない。
 彼は克己の仲間だが、少なくとも心の底からの悪人とは思えなかった。つぼみに対しての言動は酷かったが、いたずらに命を奪おうとしていない。
 それに気絶したタカヤのことだって守っていたから、分かりあえる可能性はゼロではないはずだった。
「君、しっかりするんだ!」
「あんた、こんな所で倒れるなんて嘘だよな……俺達はまだ、あんたに言いたいことがたくさんあるんだよ!」
 一条薫と響良牙も呼びかけているが、京水から返ってくるのは掠れた声だけ。
 本当なら彼らとの再会を喜んでいただろうが、こんな状況では不謹慎極まりない。
 今は京水を助けることを考えたかったが、その方法がわからなかった。人間の治療がNEVERにも通用するとは限らないし、それ以前にこんな森の中に医療器具などない。打つ手がなかった。
 鋼牙達は知らなかったが、克己や京水達のようなNEVERが肉体を保つには細胞維持酵素という物質が必要だ。克己にも京水にも支給されているそれは今、すぐ近くにある。
 しかし彼らは細胞維持酵素の使い方と効果を知らない。また、そうでなくても京水のダメージはそれだけで回復できなかった。
「しっかりしろ! しっかりするんだ!」
「あ、あなた達……もう、いいの……」
 やがて京水の身体が消え始めた頃だった。鋼牙の叫びに答えるようにようやく口を開いたのは。
「もうあたしは駄目……ここで終わっちゃうみたい」
「馬鹿なことを言うな、お前はまだ生きている。こんな所で諦めるな!」
 生きることを諦めようとする京水を叱責するように鋼牙は叫ぶ。
 いつもなら、死んだ人間を無理矢理動かしているNEVERのような存在にこんなことを言わない。しかし、キュアブロッサムはNEVERである克己の心を最後まで救おうとした。
 もしかしたら、鋼牙はキュアブロッサムの真っ直ぐな心に影響を受けたのかもしれないが、真相は誰にもわからない。
「い、いいの……タカヤちゃんのことだって最期に助けられたし。あたし、彼を見捨てちゃったから、その報いを受けなきゃ……いけないの」
「何だよそれ……あのタカヤって男に悪いと思うのなら、尚更生きろよ! 生きて、あいつの為に頑張らなきゃいけないだろうが!」
「そう、かも……本当ならあたしもそうしたいけど……お迎えが来てるから、あたしも向こうに逝かないと、駄目みたい……」
 良牙の叫びに弱々しく答えた頃には、京水の身体はもう半分以上が消滅していた。
 残された時間が少ないのは京水自身もわかっているのだろう。それにも関らず、京水は微笑んでいる。
 死に対する恐怖や絶望が感じられない。そんな部分も克己と同じだった。
「京水さん!?」
 京水の身体がどんどん消えていく中、この場に新たなる声が乱入してくる。
 鋼牙が振り向くと、そこにはキュアブロッサムに変身した花咲つぼみが立っていた。
「なんで……どうして……どうして、京水さんがそんな傷を……!?」
「その声……あなた、もしかして鋼牙ちゃんと一緒にいた……」
「そうです! 私はつぼみです! 京水さん、消えてはいけません! 克己さんは殺し合いを止めてくれって言っていました! だから、京水さんも私達と一緒に戦いましょう!」
 その言葉は最期に人の心を取り戻した克己の遺志。
 つぼみやゼクロスによって救われた彼は、最期に激励の言葉を投げかけてくれた。だから、京水が主催者に立ち向かおうとしている者達の力になってくれると信じたかもしれない。
 真相はわからないが、少なくとも鋼牙は信じたかった。
「そう、なの……克己ちゃんが、そう言ってくれたのね……やっぱり、克己ちゃんは、私達の……ヒーローだったのよ……」
「そうだ、大道克己は最期にそう言い残した。あいつは、人の心を持っていたんだ」
「ありがとう……克己ちゃんの遺志を伝えてくれて……私、あなた達のこと……嫌いじゃないわ」
 もしかしたら、京水は自分達が知らない克己の姿を見たことがあるだろう。仮面ライダーやプリキュア、そして魔戒騎士のような真っ直ぐな心を持ち、人々を救う正義の味方として戦う克己の姿を。
 しかし、何かのきっかけで克己は道を踏み外してしまったのだ。豹変した克己を見た京水の心境は一体どんなものだったのか……考えるだけでもやるせなくなってくる。
「あたし、本当は、わかって……たの。克己ちゃんが、もうこの世にいないってことが……でもあたし、今まで克己ちゃんの為だけに戦ってたから、克己ちゃんがいなくなったってことを認めたら……壊れちゃう。あなた達には、迷惑を、かけちゃった、わね……」
「お前、やはりわかっていたのか」
「ごめんね、鋼牙ちゃん……ねえ、最期にお願いがあるの……ここから、一刻も早く離れて。タカヤちゃん、とっても強いの。彼が本気を出したら、あなた達も巻き込まれちゃう……タカヤちゃんは、そんなこと望まないから……」
「……ああ」
「よかった……タカヤちゃんのこと、よろしくね……」
 その言葉を言い残すと、京水の瞼が閉じていく。
 キュアブロッサムは京水の名前を呼び続けるが、京水はそれに答えることはない。
 まるで眠るように安らかな表情を浮かべた京水の身体は、雪のように溶けてなくなっていく。
 それから数秒も経たない内に、京水の姿は跡形もなく消滅した。残されているのは『L』のアルファベットが書かれた黄色いガイアメモリだけ。
 泉京水にとっての運命のガイアメモリ。T-2ルナメモリだけが、最後に残っていたのだった。


【泉京水@仮面ライダーW 死亡確認】
【残り 25名】




 克己ちゃん、ごめんなさい。あなたの力になれなかっただけじゃなく、無様な姿を晒しちゃって。
 上下三色の仮面ライダーに変身するイケメンさんに倒されてから、あの財団Xによってまた生き返っちゃった。でも、それならそれで克己ちゃんの力になろうと思ったけど、全然役に立てなかった。
 それどころか、あたしが大切にしていた『仁義』すらも、あたし自身は粗末にしちゃった。
 きっと、克己ちゃんはこんなあたしのことなんか好きになってくれないわよね。現実から逃げただけじゃなく、ここで出会った新しい仲間のことも一度は見捨てたんだし。
 あたしは最期にタカヤちゃんを守ったけど、だからってあたしのやったことが消えるわけじゃないわ。克己ちゃんや剛三ちゃんと同じ所に行けるわけがない。
 きっと、あたし一人だけが地獄の閻魔大王様に裁かれるのよ。でも、そうだったとしてもあたしは後悔なんかしないわ。
 それがあたしに対する罰だとするなら、あたしは喜んでそれを受け入れるわ。そうしていっぱい苦しんで、いっぱい痛い目に遭って、それからいっぱいあたし自身の罪を償う。
 それで罰が終わって、来世って奴に行けるなら……あたしはまた、克己ちゃん達に会いたいわ。あ、でもレイカやミーナって娘は……克己ちゃんがOKしてくれるなら、あたしもOKするわ!
 だって、あたしは克己ちゃんを振り向かせる自信があるもの! 例え世界中のどんな女が克己ちゃんにアタックしたとしても、あたしはそれ以上のアタックをしてやるだけ! アタックNO.1よ!
 だけど克己ちゃん。この世からまたいなくなっちゃう前に、一回だけあたしはあなたを裏切るわ。タカヤちゃんって男の子を応援したいの。
 あなたは怒るかもしれないけど、そうだとしてもあたしはタカヤちゃんに言葉を届けます。
 えっと、タカヤちゃん。この度はご愁傷さまでございます。心よりお悔やみ申し上げます……って、違うか。あたしが死んじゃうんだから、立場が逆でしょ。
 まず、あなたには言ってないことがあったわ。シンヤちゃんのことよ。あなたは放送を聞いてないから、シンヤちゃんが死んじゃったことを知らないと思うわ。
 ごめんね、あたしの口から教えてあげられなくて。あたしの心がもっと強ければ、こんなことにはならなかったのに。
 あたしが言えた義理じゃないのはわかってる。でも、決して悲しまないで。まだモロトフちゃんが生き残っているし、何よりもタカヤちゃんは元の世界でラダム達と戦う使命が残ってるはず。
 だから、こんな所で死んじゃ駄目。あなたがいなくなったりしたら、みんなだけじゃなくあたしだって悲しくなっちゃうもの。あたしはあの世からあなたのことを応援してるから、タカヤちゃんも頑張ってね。
 あたし、タカヤちゃんのことは嫌いじゃないわ。だってあなたはイケメンで強いもの。
 あたしはタカヤちゃんの心の中にいる。辛くなった時、あたしのことを思い出してね。そうしたら、あたしはいくらでもタカヤちゃんのことを抱き締めてあげるから。
 あたし、湿っぽい別れの言葉は好きじゃないから、最期にこれだけは言っておくわね。
 頑張ってね、タカヤちゃん。




 また一人、NEVERが死んだ。
 大道克己と同じように泉京水がこの世から消滅した。
 泉京水の死を前にキュアブロッサムは涙を流し、一条薫と響良牙はどこか申し訳なさそうな表情を浮かべている。
 ここにいる誰もが京水の死を悔やんでいた。この先で戦っている二人を除いて。
 ブラスターテッカマンブレードと暗黒騎士キバの戦いは未だに続いていた。例え京水が死んだとしても殺し合いが続いていることを象徴しているかのように、彼らは戦っていた。
「薫、良牙、ブロッサム……ここから離れろ」
 戦いを見守っていた冴島鋼牙は、静かに呟く。
 彼の目の前では二つの刃が激突し続けているせいで、火花と金属音が止むことはない。得物同士の衝突によって生まれた衝撃波が、周囲の木々を容赦なく吹き飛ばしていて、戦いの熾烈さを物語っていた。
 このままでは、京水が言うように誰かが巻き込まれてしまうかもしれない。クウガに変身できる薫はともかく、生身の良牙は危なかった。
「ここから早く離れろと、泉京水は言っていただろう」
「待ってくれ。それなら君はどうするんだ? それに、彼は……相羽タカヤ君はどうするんだ?」
「あいつは俺が必ず連れてくる。だから、お前達は先に行っているんだ! それにバラゴとの決着は……魔戒騎士である俺がつけなければならない」
 バラゴは暗黒騎士キバとなってから、多くの命を弄び続けた。父の大牙を殺して、零の家族を殺して、元の世界でも数え切れない程の人間を殺した。
 もしかしたらこの殺し合いでも、京水以外に誰かを殺しているかもしれない。そんな悲劇を、これ以上生み出すわけにはいかなかった。
「だから頼む。みんなはここから離れていてくれ」
「待てよ、鋼牙」
 決意する鋼牙に返事をしたのは良牙だった。
「一つだけ約束をしろ」
「約束?」
「絶対に俺達の前に戻ってこい。そう約束しないんだったら俺は……いや、俺達はここを離れない。例え京水って奴が望んでいたとしてもだ。お前まで五代や良、それに京水みたいになるなんて俺は許さないからな」
「……ああ、約束しよう」
 良牙に振り向いて、鋼牙は頷く。
 最初は6人になるはずだった。だけど五代が死んで五人になり、良が死んで四人になってしまっている。京水も生きていてくれたら、増えていたはずだった。
 これ以上、誰も犠牲になってはいけない。鋼牙自身は勿論のこと、タカヤもだ。
「私からもお願いします……鋼牙さん、タカヤさんのことをお願いします!」
「当たり前だ。お前達も、早く行ってくれ」
「……はい!」
 キュアブロッサムが返事をするのを最後に、京水の支給品を回収した薫が先頭となってこの場から離れていく。
 三人の姿が見えなくなった頃、鋼牙は振り向いた。京水の仇を取る為に戦っているブラスターテッカマンブレードと、多くの命を踏み躙り続けた暗黒騎士キバの方へと。
 それから、冴島鋼牙は叫んだ。
「バラゴ……いや、暗黒騎士キバ! 貴様の陰我・俺が断ち切る!」
 その叫びは森の中で響かせながら、彼は走り出した。



【1日目/午後】
【D―7/森の中】


【冴島鋼牙@牙狼─GARO─】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(中)
[装備]:魔戒剣、魔導火のライター
[道具]:支給品一式×2(食料一食分消費)、ランダム支給品1~3、村雨のランダム支給品0~1個
[思考]
基本:護りし者としての使命を果たす
1:バラゴを倒し、相羽タカヤと共にみんなの所に戻る
2:首輪とホラーに対し、疑問を抱く。
3:加頭を倒し、殺し合いを終わらせ、生還する
4:良牙、一条、つぼみとはまたいずれ会いたい
5:未確認生命体であろうと人間として守る
[備考]
※参戦時期は最終回後(SP、劇場版などを経験しているかは不明)。
※魔導輪ザルバは没収されています。他の参加者の支給品になっているか、加頭が所持していると思われます。
※ズ・ゴオマ・グとゴ・ガドル・バの人間態と怪人態の外見を知りました。
※殺し合いの参加者は異世界から集められていると考えています。
※この殺し合いは、何らかの目的がある『儀式』の様なものだと推測しています。
※首輪には、参加者を弱体化させる制限をかける仕組みがあると知りました。
 また、首輪にはモラックスか或いはそれに類似したホラーが憑依しているのではないかと考えています
※零の参戦時期を知りました。
※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。
※つぼみ、一条、良牙と125話までの情報を交換し合いました。

【相羽タカヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:全身に大ダメージ、両肩部に刺傷、疲労(大)、一部の記憶喪失、ブラスターテッカマンブレードに変身中
[装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:なし
[思考]
基本:??????????
1:暗黒騎士キバ(名前を知らない)を絶対に倒す。
2:その後、エビルを探して今度こそ決着をつける。
[備考]
※参戦時期は第42話バルザックとの会話直後、その為ブラスター化が可能です。
※ブラスター化完了後なので肉体崩壊する事はありませんが、ブラスター化する度に記憶障害は進行していきます。なお、現状はまだそのことを明確に自覚したわけではありません。
※参加者同士が時間軸、または世界の違う人間であると考えています(この情報は喪失)。
※自分が殺し合いに巻き込まれていることや、禁止エリアやルール、Dボウイという名前を忘れました。
※また、シンヤ、ミユキ、京水以外の参加者に関する記憶を喪失しています(加頭やサラマンダーについても覚えていません)。
※デイバックは京水に持っていかれました。クリスタルだけは懐にしまってあります


【バラゴ@牙狼─GARO─】
[状態]:胸部に強打の痛み、ダメージ(中)、顔は龍崎駆音、暗黒騎士キバに変身中。
[装備]:ペンダント、魔戒剣、ボーチャードピストル(0/8)@牙狼、レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式×6、バラゴのランダム支給品0~2、顔を変容させる秘薬
バラゴ未確認物{冴子のランダム支給品1~3、インロウマル&スーパーディスク@侍戦隊シンケンジャー、紀州特産の梅干し@超光戦士シャンゼリオン、ムカデのキーホルダー@超光戦士シャンゼリオン、『ハートキャッチプリキュア!』の漫画@ハートキャッチプリキュア!}、ビートチェイサー2000@仮面ライダークウガ、呪泉郷の水(種類、数は不明。本人は確認済み。女溺泉あり)@らんま1/2、呪泉郷顧客名簿、呪泉郷地図、双眼鏡@現実、ランダム支給品0~2(シャンプー0~1、ゴオマ0~1)、水とお湯の入ったポット1つずつ、バグンダダ@仮面ライダークウガ、マッハキャリバー(破損済)@魔法少女リリカルなのは
[思考]
基本:参加者全員と加頭を殺害し、元の世界で目的を遂行する
0:ブラスターテッカマンブレード(名前を知らない)を倒す。
1:冴島鋼牙と出会ったら、この手で葬る。
2:レイジングハートを利用し、力や情報を得る。
3:石堀に本能的な警戒(微々たるものです)
4:一文字隼人とキュアピーチは再び出会うことがあれば、この手で殺す。(ただし、深追いはしない)
[備考]
※参戦時期は第23話でカオルに正体を明かす前。
※顔を変容させる秘薬はバラゴの変身アイテムの一つとして支給されたようです。
※冴子と速水の支給品はまだ確認していません。
※つぼみ達の話を立ち聞きしていました
 そのためプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について知りました
※雷剛や閻魔斬光剣の召喚はできません。
 バラゴはこれを制限の影響だと考えています。
※零は放っておけば心滅獣身で闇に堕ちると考えています。
※呪泉郷からいくつかの泉の水を拝借しました。種類およびその数については後続に任せます
※ニードルの出したヒントによりワープ装置の場所及び使用条件を知りました。
※レイジングハート・エクセリオンから、なのはの世界やその仲間、流ノ介、いつき、本郷、アインハルトなどからの会話で得た情報、ホテルでの戦闘などを知りました。

【響良牙@らんま1/2】
[状態]:全身にダメージ(中)、負傷(顔と腹に強い打撲、喉に手の痣)、疲労(大)、腹部に軽い斬傷、五代・乱馬・村雨の死に対する悲しみと後悔と決意 、ゾーンメモリの毒素については不明
[装備]:ロストドライバー@仮面ライダーW+エターナルメモリ、昇竜抜山刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式×2(食料一食分消費)、水とお湯の入ったポット1つずつ(お湯変身3回分消費)、秘伝ディスク@侍戦隊シンケンジャー、ガイアメモリ(ゾーン)@仮面ライダーW、ムースの眼鏡@らんま1/2 、細胞維持酵素×2@仮面ライダーW、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、歳の数茸×2(7cm、7cm)@らんま1/2
[思考]
基本:天道あかねを守る
0:今はつぼみや一条と一緒に少しでもここから離れる。
1:天道あかねとの合流
2:1のために呪泉郷に向かう
3:いざというときは仮面ライダーとして戦う
4:良の腹部の欠損されたパーツ(メモリキューブ)も探したい
[備考]
※参戦時期は原作36巻PART.2『カミング・スーン』(高原での雲竜あかりとのデート)以降です。
※良牙のランダム支給品は2つで、秘伝ディスクとガイアメモリでした。
 なお、秘伝ディスク、の詳細は次以降の書き手にお任せします(ガイアメモリはゾーンでした)。
 支給品に関する説明書が入ってる可能性もありますが、良牙はそこまで詳しく荷物を調べてはいません。
※シャンプーが既に死亡したと知りました。
※シャンプーの要望は「シャンプーが死にかけた良牙を救った、乱馬を助けるよう良牙に頼んだと乱馬に言う」
 「乱馬が優勝したら『シャンプーを生き返らせて欲しい』という願いにしてもらうよう乱馬に頼む」です。
 尚、乱馬が死亡したため、これについてどうするかは不明です。
※ゾーンメモリとの適合率は非常に悪いです。
※エターナルでゾーンのマキシマムドライブを発動しても、本人が知覚していない位置からメモリを集めるのは不可能になっています。
 (マップ中から集めたり、エターナルが知らない隠されているメモリを集めたりは不可能です)
※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。
※つぼみ、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。


【一条薫@仮面ライダークウガ】
[状態]:疲労(小) 、ダメージ(大、特に背部)、アマダム吸収
[装備]:滝和也のライダースーツ
[道具]:支給品一式×8(食料一食分消費、(京水、タカヤ、シンヤ、丈瑠、パンスト))、ランダム支給品2~5(一条分1~2確認済み、五代分1~3未確認)、ランダム支給品0~4(京水0~1、タカヤ0~2、パンスト0~1)、警察手帳、コートと背広、ランダム支給品0~2(十臓)、プロトタイプアークル@小説 仮面ライダークウガ、T2ルナメモリ@仮面ライダーW、細胞維持酵素×4@仮面ライダーW、克己のハーモニカ@仮面ライダーW、バッドショット+バットメモリ@仮面ライダーW、スタッグフォン+スタッグメモリ@仮面ライダーW、テッククリスタル(シンヤ)@宇宙の騎士テッカマンブレード、メモリーキューブ@仮面ライダーSPIRITS、T2メタルメモリ@仮面ライダーW、水とお湯の入ったポット1つずつ(変身3回分消費)、力の源@らんま1/2
[思考]
基本:民間人の保護
0:警察として、また仮面ライダーとして人々を守る。
1:今はつぼみや良牙と一緒に少しでもここから離れる。
2:他に保護するべき人間を捜す
3:未確認生命体に警戒
※参戦時期は少なくともゴ・ガドル・バの死亡後です
※殺し合いの参加者は異世界から集められていると考えています。
※この殺し合いは、何らかの目的がある『儀式』の様なものだと推測しています。
※アマダムを吸収したため、仮面ライダークウガに変身できます。アマダム自体が強化されているため、ライジングフォームへの無制限の変身やアメイジングマイティフォームへの変身も可能かもしれませんが、今の所実践していないので詳細は不明です。
※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。
※つぼみ、良牙、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。
※泉京水の支給品を回収しました

【花咲つぼみ@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、加頭に怒りと恐怖、強い悲しみと決意、キュアブロッサムに変身中
[装備]:プリキュアの種&ココロパフューム
[道具]:支給品一式×4(食料一食分消費)、鯖(@超光戦士シャンゼリオン?)、スティンガー×6@魔法少女リリカルなのは、プリキュアの種&ココロパフューム(えりか)@ハートキャッチプリキュア!、プリキュアの種&ココロポット(ゆり)@ハートキャッチプリキュア!、破邪の剣@牙浪―GARO―、さやかのランダム支給品0~2 、えりかのランダム支給品1~3(未確認)
[思考]
基本:殺し合いはさせない!
0:今は一条さんや良牙さんと一緒に少しでも離れる。
1:市街地に向かう。
2:この殺し合いに巻き込まれた人間を守り、悪人であろうと救える限り心を救う
3:南東へ進む、18時までに一文字たちと市街地で合流する
4:ダークプリキュア…
[備考]
※参戦時期は本編後半(ゆりが仲間になった後)。少なくとも43話後。DX2および劇場版『花の都でファッションショー…ですか!? 』経験済み
 そのためフレプリ勢と面識があります
※溝呂木眞也の名前を聞きましたが、悪人であることは聞いていません。鋼牙達との情報交換で悪人だと知りました。
※良牙が発した気柱を目撃しています。
※プリキュアとしての正体を明かすことに迷いは無くなりました。
※サラマンダー男爵が主催側にいるのはオリヴィエが人質に取られているからだと考えています。
※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました。
※この殺し合いにおいて『変身』あるいは『変わる事』が重要な意味を持っているのではないのかと考えています。
※放送が嘘である可能性も少なからず考えていますが、殺し合いそのものは着実に進んでいると理解しています。
※ゆりが死んだこと、ゆりとダークプリキュアが姉妹であることを知りました。
※大道克己により、「ゆりはゲームに乗った」、「えりかはゆりが殺した」などの情報を得ましたが、半信半疑です。
※ダークプリキュアにより、「えりかはダークプリキュアが殺した」という情報を得ましたが、上記の情報と矛盾するため混乱しています。
※所持しているランダム支給品とデイパックがえりかのものであることは知りません。
※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。
※良牙、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。


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最終更新:2014年02月24日 16:49