ちぬーく
日本国陸上自衛隊及び航空自衛隊所属の輸送ヘリコプター。実在する。
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J型 |
JA型 |
配 備 |
1984年 |
1995年 |
価 格 |
約55億円 |
全 長 |
30.18m |
胴15.54m |
胴15.88m |
全 幅 |
18.29m |
胴3.78m |
胴4.78m |
全 高 |
5.69m |
ローター径 |
18.29m(3枚×2) |
全備重量 |
22,680kg |
最高速度 |
267km/h |
航続距離 |
約540km |
約1,040km |
上昇限度 |
2,673m |
2,804m |
運搬能力 |
機内搭載 約8.5t 吊り下げ 約12t |
エンジン |
T-55-K-712ターボシャフトエンジン |
出 力 |
3,149SHP(最大連続)×2 |
乗 員 |
3名(操縦2名/整備1名)+55名 |
開 発 |
ボーイング社(米) |
製 造 |
ボーイング社+川崎重工(共同生産) |
概要
陸自と空自が採用している
自衛隊の大型輸送ヘリコプター。原型の開発はアメリカ、製造は日本の川崎重工業。
大体の人の認識は「大きなプロペラが二つあるヘリコプター」で、2004年の新潟県中越地震で孤立した山古志村を救援したのも、2011年の東日本大震災で福島第一原発に空中から放水したのも、2014年の御嶽山噴火時の救助活動に投入されたのも本機。とにかく災害救助で活躍しており目立つことから、一番メディアに映る機会の多い自衛隊のヘリコプターだと思う。というか、大体の日本人が「自衛隊のヘリ」を思い浮かべたらほぼコイツになるだろう。
本機の原型たるCH-47はアメリカのボーイング・バートル社で開発されたヘリコプターで、愛称は「チヌーク(Chinook)」。名前の由来はネイティブアメリカンのチヌーク族。
アメリカのヘリコプターの愛称は大体ネイティブアメリカン系の用語。他にも米軍では歩兵師団とかここから名前持ってくるのがいくらかある。
初飛行は1961年とかなり古い。昭和26年である。
本機はベトナム戦争にも参加。その後も改良されながら半世紀以上も生産され、アメリカ陸軍や日本の陸上・航空自衛隊の他にはイギリス、スペイン、オーストラリア、カナダなど多くの国が採用して運用している。「傑作機」と呼んでも過言ではないと断言する。
基本軍用機だが、民間のも無いことはないらしい。
で、肝心の自衛隊機だが。
導入が始まったのは1986年。諸外国と比べたら遅いが、ここでポイントなのはボーイングが製造したのを輸入してるわけではないって辺り。日本の場合は川崎重工業がライセンス生産を行っているというところ。
長年に渡って製造されている本機には様々なバリエーションが有る。
自衛隊が1986年、まず最初に導入したのが
CH-47J。米本国でのCH-47Dと呼ばれる改良型の機体をベースに、川崎重工業がライセンス生産した機体である。
川崎重工業の製造の
自衛隊向けCH-47Jは、その後改良が行われ、1995年からは
CH-47JAという航続距離距離や夜間対応性能などを向上させたバージョンが製造されている。空自も2000年代から改良型の
CH-47J(LR)を導入してる。
配備から年数は経つが、後継機に関しては決まってない。それどころか米軍の最新型「
CH-47F ブロックII」に準じた近代化仕様のCH-47を自衛隊も追加導入する予定なので、当面は貴重な輸送手段として現役で活躍し続ける。ちなみに最新型相当の機体も名称は「CH-47JA」のままにするらしい。
では本機の解説に入ろう。
近代戦では機動力、つまり戦力をいかに迅速に送り込んで展開させるかが重要となる。現代では航空優勢の下で航空輸送力を駆使して素早く兵を展開することが勝敗の鍵となるとも言える。その航空輸送力の要の一角が本機である。上の通り救助や救援物資の運搬で活躍しており、やはり
自衛隊でも航空輸送力の要。
2013年度末時点で
自衛隊が保有するCH-47J/JAの機数は陸自のJ型とJA型……あと空自のJ(LR)型も全て合わせて71機である。古くなったJ型はどんどん改修か退役してる。空自のLR型に関しては「J(LR)」という表記もされるが、だいたいJAと同じと思えば良い。配備先は空中機動旅団を目指した第12旅団、警備範囲が沖縄とか離島ばかりな第15旅団、西部方面ヘリコプター隊、陸自最大のヘリ部隊たる第1ヘリコプター団、それと航空学校。
CH-47J/JAはパイロット二人と機上整備員一名の他、55人が乗ることが可能。
機体サイズは全長30.18m、全幅16.26m、前高5.69mである。
ただこれは上のローターを含めたサイズで、それを除けば全長15.54mの全幅3.78mとなる。
またローターの直径は18.29mでそれを前後に一つずつ装備する形。
最高速度は時速約270km。
巡航速度は、CH-47Jは約時速270kmですが、改良型のCH-47JAは約時速260kmになっている。
遅くなってるやん……と思うだろうが、慌てるな。
航続距離がCH-47Jが約540kmで、CH-47JAは約1040kmと大幅に向上している。
これはヘリコプターとしてはかなりある方。
また、実用上昇限度もCH-47Jは約2670mだが、CH-47JAは約2700mである。
輸送能力に関しては、その機内に人員や車両や物資を搭載できる他、大きな物は吊り下げる形で運ぶことが可能。ここで言う車両というのはだいたい高機動車か73式小型トラックなんか。
120mm迫撃砲 RTとか
155mmりゅう弾砲 FH70とかの火砲も吊り下げ空輸出来る。FH70は重すぎるから基本しないけど。
レンジャー部隊の空中降下なんかも出来る。本作では空中降下こそしていないが、敵地着陸からの空挺隊員の展開は行われている。
ジン・ハーク攻防戦で
第1空挺団と
SATを展開させた場面ね。漫画版の同じシーンには出てないけど……。あと、人員を吊り下げたまま飛び去る「エクストラクションロープ」っていう方法を使うこともある。作戦実施後に機体を着陸させずに隊員を吊り下げて離脱する方法。着陸すると時間が掛かるのよ。何事も早いほうが良いもんね。
ついでに空中消火用として「野火消化器材Ⅰ型」っていうバゲットを装備可能。名前の通り山林火災等への対応を念頭に置いた装備で、空中から7,500L散水して消火などに使うもので、福島第一原発への放水も上空でこれを散水する形で行われた。……ちなみに福島第一原発事故では最終手段として、原子炉内が露出したら中性子抑制剤のホウ酸をトン単位でCH-47で空輸し、炉内にぶち込む「
鶴市作戦」なんて決死作戦も計画された。幸い炉内が露出する前に原子炉の暴走が収まったので実行されなかったらしい。
武装は基本的には無い。
出も必要に応じて搭載できる。過去には米軍でも40mmグレネードランチャーと20mm機関砲と12.7mm機関銃4丁搭載した重武装のガンシップ型「
ACH-47バンバンバード」も作られたけど
AH-1が開発されたことで、4機しか作られなかった。
自衛隊でも一部は武装できる。「
国際任務対応機」と呼ばれる海外派遣用の仕様では、後部ランプドアとか、非常脱出ドア、後部ハッチと側面ドア部分に
12.7mm重機関銃M2を搭載する銃架がある。海外派遣任務用は他にも防塵装置とか、自己防衛装置の類……ミサイル警報装置とかと、特殊防弾板に衛星電話とか追加してる。つまり敵に狙われた時用の装備が多数と。
空自のCH-47にはこういうのはない。というか戦場で使うことを想定してない。後述しますが、空自での基本用途はレーダーサイトへの空輸と災害派遣だし。敵に狙われた時用の装備がないんだなーぐらいに思えばよいです。あと陸自機には夜間作戦能力があるけど、空自機にはない。
CH-47には陸自機と空自機がそれぞれあって、基本的にどちらも輸送ヘリだが、やはり配備先が違うと仕様とかに差も出てくる。違いはわかりやすいところだと迷彩。下の写真を見比べてください。濃い緑なのが陸自。ちょっと薄い色してるのが空自。それ以上わかりやすい説明はないと思う。
空自機は航空救難団に配備されてて、平時はレーダーサイトとか見晴らしの良いところへの物資運搬。レーダーサイトは輸送トラックだと運搬が効率悪いようなところにあるので。非常時は救難ヘリになって被災地とかへ物資とか運ぶ。救難ホイストついてる。あと燃料タンクは空自機のほうが大きい。それと陸自機と違って後ろの方に姿勢制御装置……積み下ろし楽々装置と思えば良いよ。空自にはJA型は無いけど、それに準じた機体であるCH-47J(LR)というのになってて、J型はどんどん廃止。今はLR型しか無い。「LR」ってのはLong Range、長距離のことね。
あとたまに海自のヘリコプター搭載護衛艦に乗せられる。
2013年に発生したフィリピンでの台風被害においては陸上自衛隊の本機が海上自衛隊の護衛艦「
いせ」を海上拠点にして救援活動にあたりました。このように従来の地上基地のみならず、海上のヘリ空母を拠点に各種輸送作戦を遂行する能力を持つ。もし離島有事でも起きたら、水陸機動団ごとヘリ空母に載せられて離島への空中強襲とかもやるよ。
ただし、大型なので艦上での整備は大がかり。ローターはクレーンで支え、移動式の足場を組んで整備員が3人がかりで外します。「いせ」でも「
いずも」でも、ローターは外さないと艦載機エレベーターに乗らないぞ。30分ぐらいかかる。早くてね。
近年、軍用の輸送ヘリと言えば「V-22 オスプレイ」に注目が集まっておりますが、オスプレイは最高速度約時速520kmで航続距離が約3,900kmと長距離と長距離高速輸送が特徴で、大型の車両輸送や大量の人員輸送に向いた本機とは性格が違う。輸送力に関してはCH-47の方が優っているため、純粋な意味での後継機とはならない。
他に主要な能力と言えば、実は水密構造になってて、海やら湖やらへ着水できたりすることだろうか。もちろん水没したらヤバイが。エンジン停止してもローター自体は回転し続けるから、段々と高度は下がるけど冷静ささえ保ってれば回転が止まる前に着陸できる。水上でも上記の通り。だから基本コレに乗って死ぬということはないから安心してほしい。
というかコイツは前後の機関の動力軸が互いに連結されてるから、万が一片方の機関が停止してもローターが回転を続けることができる。そんな片発停止時の緊急出力は4,626馬力まで向上する。よほどのことがない限りこいつは落ちないし、落ちても死にはしない。
とは言え撃墜例もあるにはある。自衛隊機では当然無いが、2011年にアフガニスタンでアメリカ陸軍のがRPG-7で撃墜されてる。当然コレは死者が出た。上で述べた米軍の試作ガンシップ型だって4機中3機が墜落してる。その内2機は事故だけど。……
自衛隊の国際任務対応機には一応フレアとか付いてるから……それでも万全とは言えないが。
ちなみに、民間人でもこれ乗ろうと思えば乗れる。当然だが、災害時に自分が救助される立場になるなんてのではないぞ。
自衛隊の基地でちょくちょく体験搭乗イベントが有る。ただその目的から、近隣の住民限定だったり親子限定だったりと、簡単かというとそうでもないが。あとは航空祭とかのイベントで着陸してる本機の内部へ入れることがたまにある。こちらは簡単に見学できる。その内部は軍用機らしく、装飾などを省いた無骨な感じ。剥き出しの配線とかあるぞ。
ただし……
本機のローターは斜め前方に傾いて配置。
操縦桿が最も下げ舵の場合、地上から130cmほどの高さまで下がる。
つまりだ。機首より前方は危険。接近すると怪我じゃすまないかもしれない。高速回転するローターに切り刻まれて一瞬で全身がミンチにされるだろう……
散々書きましたが、輸送能力が高いもんだから災害派遣に使われることも多いわけで、災害時には民間人が搭乗するなんてのよくあること。近づく時は乗組員や地上誘導員の指示に絶対従うこと。間違っても機首前方だめよ。下手したら真っ二つよ。入り口後ろにあるから前に近づくなんてことは無いと思うけど。
日本国召喚での活躍
初登場は1巻。
パルン他名もなき村の避難民の救出のため
AH-1Sと共に出動しているのが確認されている。
コミカライズ版では描写されている場面では、CH-47Jから部隊を展開・救助活動している様子が見られる。
また、
ロウリア王捕獲作戦時に陸上自衛隊第1空挺団と
SATによるヘリボーンにて本機が使用されている。
陸上自衛隊機の
AH-64D1機の支援を受けながら
UH-60JAより一個小隊が降下して円形防衛陣を、続いてCH-47JAより空挺隊員が降下空挺堡を確保、このあとでSATが降下という流れであった。なおコミカライズ版だとこの場面では登場しておらず
UH-1Jが代わりに登場している。
空自機は登場してない。
バルーン平野の戦いでは、名称こそ出ていないが「細長い箱の上の前後で、ぐるぐると何かが回転する、数機の飛行物体」という日本の航空機が、
百田 太郎率いる
日本国陸上自衛隊国際派遣部隊先遣隊を輸送している描写がある。
特徴からして間違いなくCH-47だろう。この際に計8台の高機動車と
軽装甲機動車を空輸しているため、最低8機が投入されたと思われる。
シルカーク王国でも運用されている。この時は、首都タカクでは飛行場の設置は国内法の関係で未整備状態のため、ヘリポートしかなく、自衛隊の公務用定期便として運用されている。しかし、そのためにシルカーク王国にやってきた
クルセイリース大聖王国の人々に盛大な思い違いをさせてしまう。
他、あったらお願いします。
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〔最終更新日:2025年06月26日〕
最終更新:2025年06月26日 17:27