526 :名無し募集中。。。:2012/06/01(金) 22:20:19.85 0
「あ、くどぅーおはよう」
いつもより少し早めに家を出た。
すっきり起きれてなんだかウキウキで、軽い足取りで現場に向かった。
一番乗りと思って楽屋の扉を開けたら、先客が一人。
「おはようございます生田さん。朝っぱらから何してるんですか?」
大好きな人。
大好きなのに、またこうやって呆れ気味に言ってしまう。
「新垣さんの生写真整理しとったと!みる!?これが超~かわいくてぇ!」
さっきの無表情に近い「おはよう」とは打って変わって、限界まで目尻が下がったデレデレの笑顔。
呆れ顔をキープしながら、生田さんが腰掛けてる後ろにまわって生写真を覗き込む。
「あー、はいはい。あ、これかわいいっすね。もらっていいですか?」
「いいわけないやろ!返して!」
「なんだ、生田さんも写ってるからいーらない」
「もー、またそんなこと言って!あと素手で触らんでよね!」
527 :名無し募集中。。。:2012/06/01(金) 22:21:16.04 0
面白くない。新垣さんの生写真に負けてしまう自分も。憎まれ口を叩いてしまう自分も。
子どもらしく無邪気にこの背中に抱きつけたら、どんなにいいだろうか。
そんなことを考えていると、背中に信じられないぐらい柔らかい衝撃を受けた。
「はいはい、えりぽんの邪魔しちゃだめだよー。向こうで聖と遊ぼ!」
「あ、おはようございます譜久村さん。」
「おはよーみずきー。」
いつの間に入って来たのか、後ろから譜久村さんに抱きしめられていた。
そうそう、こんな風に自然に、生田さんにできたらいいのに。
ってちょっと譜久村さん、鼻息荒い気もするけど。
「え!じゃあ私も遊ぶ!!遊ぼ!フクちゃん!」
どうやら鞘師さんと二人で入ってきたみたいだった。
鞘師さんに挨拶をするや否や、フクムラロックをされたまま楽屋の隅の席に連行された。
528 :名無し募集中。。。:2012/06/01(金) 22:22:26.20 0
譜久村さんから触られながら、人が増えてすっかり賑やかになった楽屋をぼーっと眺める。
嬉しそうに生写真の説明を新垣さんにしてる生田さんとか。
面倒くさそうに、だけど相手してあげてる新垣さん・・・を幸せそうに見つめている生田さんとか。
「今日のくどぅー大人しい~!どうしちゃったの?かわいいー!」
勝手に私の髪をいじって遊んでる譜久村さんとか。
その譜久村さんにぴったりくっついてニコニコしてる鞘師さんとか。
その鞘師さんを無音カメラで盗撮してる道重さんも。(私にはバレてますよ)
みんなそれぞれ楽しそうで。でもやっぱり生田さんが一番楽しそうで。
それだけで私はどんな顔をしてたらいいかわからなくなる。
「ねーガキさん、どう思う!?さゆ絶対また鞘師のこと撮りようやろ!ほんとキモいっちゃけど!」
あ、田中さんにもバレてる。
田中さんに話しかけられて新垣さんが反対側を向くと、生田さんは露骨に不満そうな顔をした。
あ、その顔もやだ。見たくない。
結局新垣さんのことで表情がころころ変わる生田さんを見たくないんだ。
「れーなのことはあんま撮らんくせに!そんなに若い子がいいとかいな。」
「まぁ、さゆみんだからね~。でも私は、田中っちのほうが・・・」
「え?なん?もう一回。」
「や、なんでもない!あはは」
529 :名無し募集中。。。:2012/06/01(金) 22:24:56.16 0
痛いぐらいにわかる。色んな人の色んな気持ち。
この絶妙に食い違った歯車は、きっと私じゃどうにもできないんだろう。
「くどぅー!どうしてさっきから怖い顔してるの?今がつらくても将来ハッピーだよ!」
出たな、ハッピー野郎。
少し呆れた風にため息を吐きながら、でも羨ましいとも思いながら、傍らに立つまーちゃんを見上げる。
「どんな顔してた?私。」
ちょっとからかうようにそう言うと、なぜかきょろきょろ周りを見渡すまーちゃん。
「えっとねー!えっと、あ!今の生田さんと同じような顔!」
「大発見!」と言わんばかりに無邪気な笑顔を浮かべて言ったまーちゃんの言葉に、ドキッとさせられた。
反射的に、新垣さんと田中さんが話してるのを見てる生田さんに目をやる。
私もこんな顔してたんだろうか。こんな、世界の終わりみたいな顔。
「えー!生田さんなんかと一緒にしないでよね!!」
それでも何とか怪訝な顔を作ってそう言った。
ちょっと大きめの声で言ったのは、いつもみたいに文句を言ってほしかったから。
もちろん、生田さんは聞いちゃいないんだけど。
最終更新:2012年07月23日 18:56