277 :名無し募集中。。。:2012/09/18(火) 03:30:25.77 0
「新垣さん!」
いつもと違う固く低い声を背中に受け、私は内心で身構える。
こんな声の生田はなにか思いつめていて、そして暴走の前兆であることが多い。
振り向くと、思ったよりも間近に生田の顔があった。
真剣な表情の生田は、美少年のような硬質の雰囲気を伴っていて、
強く澄んだ瞳でまっすぐに見つめられた私は、不覚にも胸の高鳴りを感じてしまう。
「な、なによぉ」
自分の顔が赤らむのを感じ、思わず目をそらしたその瞬間。
生田にギュッと抱き締められた。
それは、甘えた子供が母親に抱きつくかのようないつもの抱擁とは違い、
すべてを包み込むような力強さと暖かさがあり、
頭が真っ白になった私はただただ受け入れるしかなかった。
278 :名無し募集中。。。:2012/09/18(火) 03:31:47.15 0
「衣梨奈はいつも新垣さんに甘えて、困らせてばかりで、
新垣さんを包み込めるような心が大きい人間になりたいけど、
今の衣梨奈にはとても無理です。
だから、せめて衣梨奈にできる精一杯のこと…。
この身体で新垣さんを大きく包み込んでみました。
…衣梨奈の愛は、新垣さんに届いていますか?」
そうか、私のブログを読んでくれたのね。
それで自分の至らなさに悩み、出した結論がこの抱擁ってことか。
なんなのこの子はホントに可愛すぎるんだけど。
生田の温もりが愛の証であるかのように伝わり、心の底からポカポカしてくる。
思い描いていた理想とは違うけど、こういうのもいいかもしれない。
「大丈夫、生田の愛はしっかりと私に届いているよ」
明らかにホッとしたように背中に回した腕の力が弱まる。
「でも生田はやっぱり最後の詰めが甘いんだよなぁ」
このまま生田にやられっぱなしじゃ悔しいよね。
軽く首を引き、不安と不審の入り混じった生田の表情を上目遣いに一瞥して・・・
そのまま唇を奪った。
大人の抱擁の後にはキスがつきものなんだよ、よく覚えておきなさい生田。
end.
最終更新:2012年11月26日 22:16