202 :名無し募集中。。。:2012/06/08(金) 15:37:05.55 0
9歳年下の私の恋人は、とても可愛い。
ぎしり、とベッドが軋む。裸の背中がシーツを滑りくしゃりと乱す。
何とか呼吸を整えようと吐き出した息は、嗚咽とも喘ぎともつかない声になって消えた。
なんだか悔しくて唇を結んでみたけれど、喉の奥から漏れる声は変わらない。
仕方なく刺激をやり過ごそう頭元のシーツをぎゅうと握ったら、そっとその手を撫でられて、するりと指が絡まってきた。
同時に、酷く弱々しく私の名前を呼ぶあの子の声。
あまりにも情けない響きにそちらへ顔を向けると、声以上に情けなく今にも泣き出しそうな顔で私を見下ろす生田の姿。
年上の女を組み敷いて上に乗ってる人間のする表情じゃない。
まるで主人に叱られた子犬みたいなその顔に目を見開くと、今にも涙に変わりそうな震えた声が降ってきた。
「……嫌ですか?」
「はっ、あ?」
「だって、今、目逸らしたもん…っ」
さっきまでの行為でもう既に半分以上蕩けてしまった頭で考える。
私の上に乗っかって好き勝手していた生田は、私が視線を逸らした事が気に入らなかったらしい。
辿り着いた結論に馬鹿じゃないかと思った。
確かに視線を逸らしたけれど、それまでの私の反応を見てどこをどう考えれば不安へと繋がるのか。
203 :名無し募集中。。。:2012/06/08(金) 15:37:27.18 0
元々生田は独占欲の強い子だ。
私が彼女の同期や一期下の子たちと他愛も無い話をしているだけで、拗ねてむくれて意固地になって、時には泣きそうになっていたけれど、こんな行為の最中にまでそれを持ち込まなくてもいいのに。
ああ、もう。
全く、めんどくさい。
繋がっていない方の手を、涙目で私を見下ろす生田へ伸ばす。
私と同じ何も身につけていない裸の肩に手を置いて、そろりそろりと手のひらを滑らせた。
首筋を通り顎を撫でて、今にも零れてしまいそうな黒目がちな目元を優しくすってやる。
「あほぅ」
そのまま耳を撫でて、最近更に短く軽くなった髪の毛の中に手を滑り込ませた。
指先に伝わる汗ばんだ感触にぞくりと震える、腰あたり。
「ヤなわけないでしょ。だったら最初っから許してないし」
瞳が瞬く。まだ涙は落ちてはこなかった。
八の字に垂れた眉毛に何だかきゅんとして、繋がった手の力を少しだけ強くする。
「だから、早く、」
髪の毛を梳きながら頭の後ろへ回した手のひらで、ぐっと生田の身体を引き寄せた。
可愛らしい形の耳たぶへ唇を寄せて。
204 :名無し募集中。。。:2012/06/08(金) 15:37:44.94 0
「早く続き、して」
余裕なんてない。
生田に、そういう意味で好きな子にベッドへ押し付けられたその時点で、そんなモノはとっくにどこかへ逃げていった。
なのに、こんな中途半端な状態で投げ出されて、私はもう限界だ。
早く早くと心が急かす。
もっと生田に愛されたいとお腹の下あたりが切なくなった。
近くなった耳たぶと頬に唇を滑らせると、耳元で、ぐずり、と鼻を鳴らす音が聞こえて、私は思わず引き寄せた手のひらで宥めるように生田の頭を撫でていた。
嗚咽交じりの声で私を呼ぶ生田に、頬が緩む。
上にいるくせに情けなく泣き出すなんて、本当に本当に、めんどくさい。
めんどくさい、けれど―――。
「にいがきさん大好き…!」
私の9歳年下の恋人は、最高に最高に可愛いヤツだ。
おわり
最終更新:2012年07月23日 23:56