ノストラダムスの遺言書 (二見書房)

「ノストラダムスの遺言書 (二見書房)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ノストラダムスの遺言書 (二見書房)」(2013/03/04 (月) 19:45:44) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 『ノストラダムスの遺言書』は、1983年に二見書房から刊行された著書。[[ダニエル・ルソ]]の&italic(){[[Le Testament de Nostradamus>Le Testament de Nostradamus (Ruzo)]]} の翻訳だが、監修者の[[流智明]]によって大幅に省略や改変がなされている。  なお、この文献では著者は「ダニエル・ルゾー」と表記されている。監修者である流智明の名前はあるが、訳者の名前はない (監修者の流智明は、あとがきでフランス語が読めないと述べているので、彼自身が訳したとは考えられない)。 *内容  序章を入れれば全7章の構成である。 -序章 人類はすでに滅亡の準備を始めている -第1章 遺言書によって初めて暴かれる予言の謎 -第2章 息子セザールへの手紙に隠された秘密 -第3章 ノストラダムスは偽名だった -第4章 予言詩を解く一八の鍵 -第5章 一九八五年七月救世主セザール誕生 -第6章 これが地球脱出計画だ  大まかな対応を示すと、第1章は原書の第1部、第2章と第3章が原書の第2部、第4章が原書の第3部に対応している。あくまでも大まかな対応関係であり、原書と比べて省略されている箇所や改変されている箇所もかなりある。  残りの章は (「セザール」という救世主の誕生などにふれた長々としたシミュレーション小説の部分なども含め) 日本語版独自の章で、そこで扱われている詩篇のいくらかは、原書ではまったく違う文脈で取り上げられている詩の流用も見られる。  原書にはないいくつかの写真が掲載されているのは良い点かもしれないが、その代わりに原書にあった貴重な手稿や古版本の写真などには、割愛されてしまったものもかなりある。 **コメント  高く評価されている「書誌編」をすべて削った上で、むやみに滅亡を強調するような章を大幅に書き足しているので、訳書として評価できるようなものではない。「書誌編」 が削られてしまったのは、日本の[[ノストラダムス現象]]にとっては実に不幸なことであったと言わざるをえないが、逆にいうと、日本のノストラダムス現象がいかに歪んでいたかを示す好例でもある。  また、[[ノストラダムスの遺言書・遺言補足書]]の日本語訳を読める唯一の文献でもあったが、その翻訳には省略が多く、要約的に訳した箇所での誤りも散見される。  同じく、[[セザールへの手紙]]の全訳が掲載されている数少ない日本語文献のひとつではあったが、フランス語版原書に掲載された原文はオリジナルの原文ではなく、オリジナルをスペイン語訳したものをさらにフランス語に訳し直したという代物なので((cf. Shinsenpou World Blog 「[[加治木氏のノストラダムス本>>http://asakura.asablo.jp/blog/2009/07/01/4405617]]」))、原文からかけ離れた箇所も少なくない((この点の検証は姉妹サイトの[[セザールへの手紙・対訳>>http://www.geocities.jp/nostradamuszakkicho/sonota/preface_index.htm]]で行なっている))。  ダニエル・ルソの信奉者的解釈は、海外でも特に高く評価されているようには見受けられないが、それでも日本語版の質を元に評価されたのでは、彼もたまったものではないだろう。たとえば、[[加治木義博]]は日本語版のあいまいに訳されていた箇所((同書 pp.73-74))について、「どうやらリュゾ氏とその本の訳者は、天文学や暦学、占星術などに暗いらしい」((加治木 『真説ノストラダムスの大予言2』p.72))と批判していたが、原書と対照すれば、かなり曖昧で誤解を招きやすいが誤訳とまではいえない箇所を加治木が早合点しただけで、その批判が的外れであることは容易に確認できる。 *再版  1986年に『[[天から恐怖の大王が降りてくる - ノストラダムスの遺言書>天から恐怖の大王が降りてくる (二見書房)]]』と、よりセンセーショナルに改題され、滅亡を強調するような章が追加された。 *発行部数  『SPA!』1991年3月20日号に掲載されていた公称発行部数は14万部とされていた。そのリストには[[のちの改題版>天から恐怖の大王が降りてくる (二見書房)]]が含まれていないので、改題版を含めた数字の可能性もある。  また『日経エンタテインメント!』調査(1997年)((『日経エンタテインメント!』調査 「[[本誌独自調査 予言書ベストセラーランキング これが最も売れている予言書トップ30(ホームページ版オリジナル)>>http://web.archive.org/web/20010211204834/http://netnavi.nikkeibp.co.jp/ent/index/9710/report/news0302.html]]」(ミラー・サイト)による。))では18万部とされているが、その刊行年が1986年とされていることからすると、こちらは改題版が考慮されているはずである (初版と改題版をあわせた数値なのか、改題版のみの数値かは不明)。 *書誌 :書名|ノストラダムスの遺言書 :著者|ダニエル・ルゾー :監修者|流智明 :版元|二見書房 :出版日|1983年3月10日 :注記| **外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire) :Titre|Nostradamus no Yuigonsho (traduction / Le testament de Nostradamus) :Auteur|Daniel RUZO :Directeur|NAGARE Tomoaki :Publication|Futami shobô :Lieu|Tokyo :Date|le 10 mars 1983 :Note|Traduction d’extraits en japonais du livre de Daniel Ruzo, &italic(){Le Testament de Nostradamus}, 1982 *外部リンク -[[Amazonの商品ページ>>http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000J7G9Z4/sumaru-22/ref=nosim]] ---- #comment
 『&bold(){ノストラダムスの遺言書}』は、1983年に二見書房から刊行された著書。  [[ダニエル・ルソ]]の&italic(){[[Le Testament de Nostradamus>Le Testament de Nostradamus (Ruzo)]]} の翻訳だが、監修者の[[流智明]]によって大幅に省略や改変がなされている。  なお、この文献では著者は「ダニエル・ルゾー」と表記されている。  監修者である流智明の名前はあるが、訳者の名前はない (監修者の流智明は、あとがきでフランス語が読めないと述べているので、彼自身が訳したとは考えられない)。 #amazon(B000J7G9Z4) 【画像】カバー表紙 *内容  序章を入れれば全7章の構成である。 -序章 人類はすでに滅亡の準備を始めている -第1章 遺言書によって初めて暴かれる予言の謎 -第2章 息子セザールへの手紙に隠された秘密 -第3章 ノストラダムスは偽名だった -第4章 予言詩を解く一八の鍵 -第5章 一九八五年七月救世主セザール誕生 -第6章 これが地球脱出計画だ  大まかな対応を示すと、第1章は原書の第1部、第2章と第3章が原書の第2部、第4章が原書の第3部に対応している。あくまでも大まかな対応関係であり、原書と比べて省略されている箇所や改変されている箇所もかなりある。  残りの章は (「セザール」という救世主の誕生などにふれた長々としたシミュレーション小説の部分なども含め) 日本語版独自の章で、そこで扱われている詩篇のいくらかは、原書ではまったく違う文脈で取り上げられている詩の流用も見られる。  原書にはないいくつかの写真が掲載されているのは良い点かもしれないが、その代わりに原書にあった貴重な手稿や古版本の写真などには、割愛されてしまったものもかなりある。 **コメント  高く評価されている「書誌編」をすべて削った上で、むやみに滅亡を強調するような章を大幅に書き足しているので、訳書として評価できるようなものではない。  「書誌編」 が削られてしまったのは、日本の[[ノストラダムス現象]]にとっては実に不幸なことであったと言わざるをえないが、逆にいうと、日本のノストラダムス現象がいかに歪んでいたかを示す好例でもある。  また、[[ノストラダムスの遺言書・遺言補足書]]の日本語訳を読める唯一の文献でもあったが、その翻訳には省略が多く、要約的に訳した箇所での誤りも散見される。  同じく、[[セザールへの手紙]]の全訳が掲載されている数少ない日本語文献のひとつではあったが、フランス語版原書に掲載された原文はオリジナルの原文ではなく、オリジナルをスペイン語訳したものをさらにフランス語に訳し直したという代物なので((cf. Shinsenpou World Blog 「[[加治木氏のノストラダムス本>>http://asakura.asablo.jp/blog/2009/07/01/4405617]]」))、原文からかけ離れた箇所も少なくない。  ダニエル・ルソの信奉者的解釈は、海外でも特に高く評価されているようには見受けられないが、それでも日本語版の質を元に評価されたのでは、彼もたまったものではないだろう。  たとえば、[[加治木義博]]は日本語版のあいまいに訳されていた箇所((同書 pp.73-74))について、「どうやらリュゾ氏とその本の訳者は、天文学や暦学、占星術などに暗いらしい」((加治木 『真説ノストラダムスの大予言2』p.72))と批判していたが、原書と対照すれば、かなり曖昧で誤解を招きやすいが誤訳とまではいえない箇所を加治木が早合点しただけで、その批判が的外れであることは容易に確認できる。 *再版  1986年に『[[天から恐怖の大王が降りてくる - ノストラダムスの遺言書>天から恐怖の大王が降りてくる (二見書房)]]』と、よりセンセーショナルに改題され、滅亡を強調するような章が追加された。 *発行部数  『SPA!』1991年3月20日号に掲載されていた公称発行部数は14万部とされていた。そのリストには[[のちの改題版>天から恐怖の大王が降りてくる (二見書房)]]が含まれていないので、改題版を含めた数字の可能性もある。  また『日経エンタテインメント!』調査(1997年)((『日経エンタテインメント!』調査 「[[本誌独自調査 予言書ベストセラーランキング これが最も売れている予言書トップ30(ホームページ版オリジナル)>>http://web.archive.org/web/20010211204834/http://netnavi.nikkeibp.co.jp/ent/index/9710/report/news0302.html]]」(ミラー・サイト)による。))では18万部とされているが、その刊行年が1986年とされていることからすると、こちらは改題版が考慮されているはずである (初版と改題版をあわせた数値なのか、改題版のみの数値かは不明)。 *書誌 :書名|ノストラダムスの遺言書 :著者|ダニエル・ルゾー :監修者|流智明 :版元|二見書房 :出版日|1983年3月10日 :注記| **外国人研究者向けの暫定的な仏語訳書誌(Bibliographie provisoire) :Titre|Nostradamus no Yuigonsho (traduction / Le testament de Nostradamus) :Auteur|Daniel RUZO :Directeur|NAGARE Tomoaki :Publication|Futami shobô :Lieu|Tokyo :Date|le 10 mars 1983 :Note|Traduction d’extraits en japonais du livre de Daniel Ruzo, &italic(){Le Testament de Nostradamus}, 1982 ---- ※記事へのお問い合わせ等がある場合、最上部のタブの「ツール」>「管理者に連絡」をご活用ください。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: