ノストラダムスの2023年予言

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この項目ではノストラダムスの2023年予言について扱う。

 毎年のことではあるが、ノストラダムスの『予言集』には、2023年と明記された予言はない

 ただし、この年をひとつの画期とみなす解釈書なども過去には見られた。


目次


以前の解釈例

エミール・リュイール

 エミール・リュイールは、『ノストラダムス 予言集1948-2023』(Nostradamus. Ses Prophéties 1948-2023, 1947年)で、タイトルの通りに2023年頃をひとつの区切り目とみなしていた。

 アンリ2世への手紙詩百篇第1巻17番などをもとに、1983年に発見される新天体は天体望遠鏡では40年間見えるが、肉眼では見えず、40年目の2023年に接近して地球に激変をもたらすと解釈していた*1

 もっとも、リュイールのシナリオでは20世紀後半にはイスラーム勢力によるヨーロッパ侵攻があったはずで、たとえば1978年6月にはスペイン全土をリビアの指導者が征服するだとか、1990年代にはアジアから現れる反キリストがヨーロッパを蹂躙する等と書いているので*2、そのシナリオの信頼性は推して知るべしであろう。

 なお、当「大事典」で参照したのは第3版(1948年)だが、翌年には『ノストラダムス 当代から2023年までの予言集』(Nostradamus. Ses Prophéties de nos jours à l'an 2023. Nouvelle édition augmentées, 1949年)が刊行されている。

ヴライク・イオネスク

 ヴライク・イオネスクは『ノストラダムス・メッセージII』(1993年)などで、彼の解釈のピークの一つである「大君侯」(Grand Monarque)の即位する候補として、2023年を挙げていた。

 大君侯は、イオネスクの解釈では、1999年8月11日に誕生するブルボン家の血を引く若者で、中国・イスラーム連合軍を迎え撃つヨーロッパ側の救世主として描かれていた。
 イオネスクは詩百篇第4巻86番に描かれた星位から、2022年2月5日、2023年2月16日、2024年3月1日、2025年3月13日、2033年7月10日、2034年7月17日、2042年11月2日、2043年11月14日、2051年1月31日、2052年2月12日などの候補を挙げ、詩百篇第6巻3番(未作成)との関連から、「2023年と2024年を即位年として選ぶのがいちばん蓋然性が高いという結論に達する」としていた*3

 竹本忠雄も『秘伝ノストラダムス・コード』(2011年)でこの説を踏襲していた*4。また、ショーヴロンの『ノストラダムスの年代記』(2022年)でも、イオネスクが挙げた候補の日付が大君侯即位の日として挙げられている*5

【画像】『秘伝ノストラダムス・コード』カバー

 もっとも、大君侯即位の前段に当たる中国とイスラームの連合軍自体、2023年初頭の時点では全く存在していない以上、大君侯の即位だけが突然当たるとは考えづらい。

マリオ・レディング

 マリオ・レディングは2022年には英国王チャールズ3世の即位を予言していたとして話題になった。確かに彼の著書『ノストラダムス 未来のための全予言』(2006年、2010年・2015年改訂)には、その解釈が載っている。
 しかし、その本の翌年に出た『ノストラダムス:福音』(2007年)ではカットされており、あまり重視されていたようには思えない。
 また、それ以前の予言解釈も当たっていない。

 そのレディングが、詩百篇第5巻23番に基づく2023年と、第6巻24番に基づく2024年の解釈については、『ノストラダムス 未来のための全予言』『ノストラダムス:福音』の両方でほぼ同じ内容を展開している。
 それによると、2023年には「相互破壊的な交戦状態のグローバルな増大」(a global increase in internecine warfare)に対抗して、強大な二権力(Two great powers)の間で同盟が結ばれるという。この同盟は2024年にも続くが、一方が他方を犠牲にすることになるのだという。

 ただし、レディングの解釈はかなり漠然としたものであって、彼自身がどのような事態を想定していたのかは、いまいち掴みづらい。
 なお、第6巻24番は星位と捉えられることがしばしばだが、レディングはかなり象徴的に解釈している。彼の場合は、星位を読んだ結果というよりも、単に2篇の詩番号から2023年と2024年に結び付けたように思われる。


【画像】『ノストラダムス 未来のための全予言』電子書籍版

佐藤和也

 佐藤和也の著書『秘密のたからばこ』(2010年)では、恐怖の大王の詩は、「202X年X月」の全世界滅亡の予言であったことが示されている*6
 この本は小説だが、著者が公式サイトで実際の期日を「2023年7月」と開示したうえで、現実に起こると主張した*7
 Amazonのレビュー欄や一部ファンサイトに掲載されている写真からは、「2023年7月、迫り来るブラックホール彗星!」というオビの付いた版も刊行されていることが確認できる。

 それを信じる読者がSNSで拡散した結果、この本のAmazonレビュー欄は、絶賛するレビューと酷評するレビューとで両極端な状況になっている(2023年初頭時点)。


【画像】『秘密のたからばこ』カバー(リンク先はAmazonのページ)

前年からこの年にかけての解釈例

 雑誌の刊行年は奥付によるもので、実際には前年に刊行されていたものもある。

書籍・雑誌などでの解釈

『発禁版「シン・都市伝説」大全』(噂の真相を究明する会、宝島社、2022年)

  • エリザベス女王の死去を的中させ「ノストラダムスの大予言」が復権(pp.198-201)

 この本は『ムー』2023年2月号のブックレビュー欄で取り扱われており、「スキマ時間に拾い読みしたりするのにもピッタリ*8と表現されている。裏返して言えば、一つ一つの項目の掘り下げは浅い。
 この本で2023年のノストラダムス予言として挙げられているのは、実質的に詩百篇第4巻100番のみである(ただし、詩番号の記載はなし)。しかし、その詩は過去、普仏戦争(1870年 - 1871年)と解釈されていた通り、時期の記載は全くない


【画像】『発禁版「シン・都市伝説」大全』

『実話ナックルズGOLDミステリー VOL.9』(大洋図書、2023年)

  • 2023年!いよいよ日本と世界がヤバい!世界の予言者たちが記した終末の序曲(黒崎ビカソ、pp.3-7)

 実質的にノストラダムスに触れたページは1ページだけで、取り上げられているのは第4巻100番であるので、上の節での論評に付け加えることは特にない。

『実話ナックルズウルトラ VOL.23』(大洋図書、2023年)

  • ノストラダムスが示唆する5つの危ない未来とは 世界終末大予言2023(白神じゅりこ、pp.54-59)

 5ページあるが、題名と裏腹にノストラダムスへの言及はほとんどなく、「天からの火が降り注ぐ……」という一句しか引用されていない。
 この引用も第4巻100番の可能性があるが、主題別索引:驚異の通り、天から火が降るモチーフは意外とある(しかし、時期を2023年と明記したものはない)ため、どれからの引用かは特定しがたい。

『実話ナックルズ』2023年4月号(大洋図書、2023年)

  • 新訳ノストラダムスの大予言 緊急警鐘2023年X月〈大きな炎が三夜にわたって空から降ってくる〉(白神じゅりこ、pp.102-103)

 挙げられているのは詩百篇第4巻100番詩百篇第2巻75番詩百篇第1巻46番の3篇で、特に第1巻46番は闇の3日間に関する予言とされている。

 記事の題名の通り、「大きな炎が三夜にわたって空から降ってくる」云々を引用して、核ミサイルが3日間にわたって降ってくる等と解釈している。
 だが、その1行目に「オーシュ、レクトゥール、ミランドの至近で」とあることはカットし、一言も触れていない。
 挙げられている3都市はフランス南西部で互いに数十キロメートル程度しか離れていない。
 そんな範囲に3日連続で核ミサイルを叩き込むなどというのは戦略的な意味がなく、現実味に乏しいと言わざるを得ない。

 だいたい、本来「闇の3日間」とは、信仰の光以外のすべてが闇に閉ざされるというモチーフである。
 3日連続で核兵器が投下されて、核反応の光や、それによって引き起こされるであろう火災によって煌々と照らされるさまとは全く一致しない。

 なお、当「大事典」管理者は2022年3月7日付でASIOSブログに
2022年に「闇の3日間」が訪れて人類の3分の2が滅んでしまう?
という記事を寄稿しており、その中で第1巻46番を闇の3日間と結びつけることは適切でないと指摘していた。
 そんな詩を1年近くたって引っ張り出してくるあたり、闇の3日間をノストラダムスと結びつける題材がいかに乏しいかを端的に示しているように思われる。

『ナックルズ極ベスト vol.35』(大洋図書、2023年)

  • ノストラダムスが示唆する3つの危ない未来とは 世界終末大予言2023 (白神じゅりこ、pp.60-63)

 上で掲げた『実話ナックルズウルトラ VOL.23』の記事の細かい字句を微調整しただけで、図版なども含めてほぼ再掲載である。
 なお、題名が「5つの危ない未来」から「3つの危ない未来」になっているが、もともと『ウルトラ』の記事の時点で予言1から予言3までしか載っていなかった

『怪奇ミステリー超不思議MAX vol.10』(ダイアプレス、2023年5月27日(4月13日発売))

  • 東西のノストラダムスが予言する中国共産党の崩壊(黒崎ビカソ、pp.65-67)

 この記事は、ノストラダムスの2022年予言で紹介した、『実話ナックルズGOLDミステリー vol.5』の記事のほとんどそのままの使い回しである。
 ただし、「2022年は、中国が起点となって、激動の年となるかもしれない」という結語が外れたものだから、「予言の通り、これから中国が起点となって、世界が激動する可能性は相当高そうだ」と時期をぼかした表現に差し替えられている。
 これは裏を返して言うと、元の予言に2022年だとか2023年などと出てこないからこそ、こういう手抜きな原稿の使い回しができてしまうというだけの話でもある。

『実話ナックルズGOLDミステリーSPECIAL 人類滅亡のカウントダウン』(大洋図書、2023年6月30日)

  • 緊急警告202X年、ついに始まった! 新訳ノストラダムスの大予言 人類滅亡のカウントダウン(白神じゅりこ、pp.3-7)

 上で挙げた『実話ナックルズ』2023年4月号の記事の使い回しである(モノクロからカラーに変わり、レイアウトなどは変更されたが、文章は細かな字句の微調整を除けば全く同じ)。

 しかし、『実話ナックルズ』4月号の記事では「2023年X月」だったのに、この記事では「202X年」と、時期指定がいきなり今年に限定されなくなっている
 この雑誌の実際の発売日は5月中旬で、まだ上半期も過ぎていないというのに、もう外れる前提で時期をぼかしているのだとしたら、怖がらせたいのか笑わせたいのかよく分からない。



インターネット上の解釈


 これらの記事では、上で述べてきたことと重複する詩百篇第1巻17番第4巻100番のほか、第2巻75番なども扱われているが、それらの詩にも時期の記載はなく、2023年と指定する根拠もない。

 そもそも第1巻17番や第2巻75番は、2022年には2022年向けの予言として取り扱われていたので、オカルト業界の安直さがよく表れている。


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最終更新:2023年05月19日 00:14

*1 Ruir(1947)[1948]pp.163, 197-200

*2 Ruir(1947)[1948] p.261&ch.11

*3 イオネスク『ノストラダムス・メッセージ2』pp.165-167 ; V. Ionescu et M.-Th de Brosses, Les dernières victoires de Nostradamus, p.236

*4 竹本[2011]pp.773-774

*5 Chaulveron, Chronique de Nostradamus, 2022, p.391

*6 同書pp.543-544

*7 恐怖の大王、その正体と対策 〜2023年以降を生き抜くために〜【完全版】

*8 同誌、p.135