リシャール・ルーサ

 リシャール・ルーサ(Richard Roussat、生没年未詳)は、16世紀フランスの医師、占星術師。主著『諸時代の状態と変転の書(未作成)』は、予言を主題とする著作としては、『ミラビリス・リベル』やノストラダムスの『予言集』などと並び、16世紀フランスにおける代表的なものの一つである。

 ルーサは、16世紀初頭にラングルで生まれた。モンペリエ大学で医学博士号を取得し、神学・哲学・数学などにも長じていたという(16世紀の書誌学者ラ・クロワ・デュ・メーヌによる)。その後、ラングルで教会参事会員(chanoine)となっている。

 1542年にラテン語訳されたアルカンダムの占星術関連書の訳者(R.R.としか書かれていない)は、このルーサであるとする説が19世紀以来、有力視されている。また、リシャール・ルーサの名で1548年向け、49年向け、52年向けの暦書(Almanach)や占筮(pronostication)が出されていたようであるが、本当にルーサの手になるものかは未詳である(これらは現存しない)。

 確実にルーサの著作と言えるのは、『諸時代の状態と変転の書』(リヨン、1550年)と『その普遍的判断を付記した天文学(占星学)の諸要素と原理』(Des éléments et principes d'astronomie, avec les universels jugements d'icelle, パリ、1552年)の2冊のみである。

 なお、この甥にあたる人物として、ジャン・ルーサ(1543年-1613年)の存在が知られている。

ノストラダムス関連

 ノストラダムスはルーサの名を直接挙げていない。しかし、たとえばセザールへの手紙詩百篇第1巻16番詩百篇第1巻50番などで、ルーサの『諸時代の状態と変転の書』からの転用と思しきモチーフが見られる。


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最終更新:2010年03月08日 23:17