ノストラダムスの2019年予言は、いくつかのインターネットメディアで報じられている。しかし、毎年恒例の単なる与太話の域を超えるものではない。
なお、ノストラダムス本人の予言で2019年と明記された予言は存在しない。
報道の例
- 「【緊急】2019年ノストラダムスの予言を大公開! 移民押し寄せ日本滅亡、最高気温100度、地震連発、寿命は200歳に…!」(TOCANA, 2018年10月18日)
- "Nostradamus 2019 predictions: World War 3, climate change and asteroid disaster - SHOCK"(Express, 2018年12月5日)
ほかにも英語圏を中心にいくらか見られるが、同工異曲なので省く。
いずれにしても、それらは
ノストラダムスの2018年予言でとりあげたものとの重複がほとんどである。
また、いくらかある新予言は
ノストラダムス『予言集』の中での適切な出典を挙げておらず、単なる捏造か、2019年と明記されていない予言詩の大幅な曲解かのいずれかだろう。
改めて論じる必要性を感じられない。
印刷物の例
『SPA!』2019年1月29日号の2ページの記事「最新[地球滅亡論]の読み方」には、角由紀子と
山口敏太郎による
ノストラダムス予言の断片的な紹介がある。彼らによれば、2019年向けの
ノストラダムス予言には以下のものがあるという(以下3項目は、地の文・発言の区別なども、出典のまま引用)。
- 「秩序は乱れ世界は混乱。ノストラダムスは’19年にローマ法王の暗殺を予言」(山口氏)
- ノストラダムスの予言では、’19年に日本に大量難民が押し寄せて日本が滅亡する。「北朝鮮と韓国が統一した後、武装難民が新潟に上陸。南下しながら日本を侵略します」(山口氏)
- ノストラダムスの大予言では、日本もノアの大洪水レベルの大洪水にあうという。「イタリア、イギリスなどの欧州諸国でも、’19年に大洪水の被害にあうといわれています」(角氏)
これらが一体何に依拠したものか、一切明記されていない。
『予言集』には、ローマ教皇暗殺と解釈されてきた予言はいくつもある(
第2巻97番および
mansolが出てくる詩など)。
ヨーロッパの大洪水の予言もいくつもある(イタリアの例として
第2巻31番、イギリスの例として
第3巻70番など)。
だが、それらに
時期の指定など一切ない。
「日本」「韓国」などは出てこないし、ましてや「新潟」などみじんも出てこない。「太陽」(Soleil /
Sol)を日の丸=日本と解釈するなどの例はもちろんあるが、時期の指定がなく、2019年と解釈するのには無理がある。
ノストラダムスの2018年予言のように、近年のネットメディアには、具体的固有名詞を含むものがあるから、そういったものから持ってきたのかもしれない。だが、当「大事典」で何度も述べている通り、それらのほとんどは
根も葉もない捏造である。
過去の解釈例
占星術的解釈から2019年が挙がった例はなくもない。
詩百篇第5巻25番である。その1行目の星位が、2019年8月を指しているというのである。
手元のホロスコープソフトで確認する限り確かにそうなっているが、そう主張した
ジョン・ホーグ自身は、あくまでも複数の可能性の一つとして挙げたにすぎず、1987年のイラン・イラク戦争とする解釈を採用していた。
実証主義的研究の結果からも、2019年8月と見るのが妥当とは思えない。
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最終更新:2019年01月31日 02:38