ノストラダムスの2024年予言

2023年予言2024年予言―2025年予言

この項目ではノストラダムスの2024年予言について扱う。

 毎年のことではあるが、ノストラダムスの『予言集』には、2024年と明記された予言はない

目次

以前の解釈例

ヴライク・イオネスク

 ヴライク・イオネスクは『ノストラダムス・メッセージII』(1993年)などで、彼の解釈のピークの一つである「大君侯」(Grand Monarque)の即位する候補として、2024年も挙げていた。

 大君侯は、イオネスクの解釈では、1999年8月11日に誕生するブルボン家の血を引く若者で、中国・イスラーム連合軍を迎え撃つヨーロッパ側の救世主として描かれていた。
 イオネスクは詩百篇第4巻86番に描かれた星位から、2022年2月5日、2023年2月16日、2024年3月1日、2025年3月13日、2033年7月10日、2034年7月17日、2042年11月2日、2043年11月14日、2051年1月31日、2052年2月12日などの候補を挙げ、詩百篇第6巻3番(未作成)との関連から、「2023年と2024年を即位年として選ぶのがいちばん蓋然性が高いという結論に達する」としていた*1

 竹本忠雄も『秘伝ノストラダムス・コード』(2011年)でこの説を踏襲していた*2。また、ショーヴロンの『ノストラダムスの年代記』(2022年)でも、イオネスクが挙げた候補の日付が大君侯即位の日として挙げられている*3

【画像】『秘伝ノストラダムス・コード』カバー

 もっとも、大君侯即位の前段に当たる中国とイスラームの連合軍自体、2024年初頭の時点では全く存在していない以上、大君侯の即位だけが突然当たるとは考えづらい。

マリオ・レディング

 マリオ・レディングは、詩百篇第5巻23番に基づく2023年と、第6巻24番に基づく2024年の解釈については、『ノストラダムス 未来のための全予言』『ノストラダムス:福音』の両方でほぼ同じ内容を展開している。
 それによると、2023年には「相互破壊的な交戦状態のグローバルな増大」(a global increase in internecine warfare)に対抗して、強大な二権力(Two great powers)の間で同盟が結ばれるという。この同盟は2024年にも続くが、一方が他方を犠牲にすることになるのだという。

 ただし、レディングの解釈はかなり漠然としたものであって、彼自身がどのような事態を想定していたのかは、いまいち掴みづらい。
 なお、第6巻24番は星位と捉えられることがしばしばだが、レディングはかなり象徴的に解釈している。彼の場合は、星位を読んだ結果というよりも、単に2篇の詩番号から2023年と2024年に結び付けたように思われる。


【画像】『ノストラダムス 未来のための全予言』電子書籍版

前年からこの年にかけての解釈例(雑誌など)

『実話ナックルズGOLDミステリー』vol.12(大洋図書、2023年10月25日)

  • 白金狐子「ノストラダムス新解釈 2025年に中国滅亡が予言されていた!!」(pp. 68-71)

 この中で「ノストラダムス研究家の冴木氏」なる人物の解釈を踏まえ、詩百篇第2巻65番を解釈し、人馬宮に水星がある時期に中国に恐ろしいトラブル等が起こる恐れがあるとして、「直近では2023年12月23日~2024年1月2日と、2024年11月26日~12月16日」を挙げている。
 もっとも、4行目の「土星が衰退する」云々を東洋占術と結び付けて、あれこれと解釈しているが、「衰退」というのは誤訳に過ぎない(第2巻65番の記事参照)。



『ムー』2024年3月号(ワン・パブリッシング、2024年2月8日)

  • 宇佐和通「能登半島地震をノストラダムスが予言していた!?」(pp. 4-5)

 海外のメディアを引きつつ、それらが時期や場所の明記されていない詩句のこじつけに過ぎないことを指摘している。
 全体的なトーンについて言えば至ってまともであり、特段の異論はない。
 ただし、「乾いた大地がさらに干上がり、大きな洪水がある」と「有害な波を通して大飢饉が訪れる」という詩句をいずれもセザールへの手紙からの引用だろうとしているのは、明らかな誤りであろう。
 特に前者のフレーズは、異なる文脈での指摘とはいえWebムーの記事(下の節にリンクを貼ってある)も正しく指摘しているように詩百篇第1巻17番からであることは明らかである。
 後者のフレーズは波と飢饉が同時に出ていることから、おそらく第6巻5番の1行目だろうと思われる。

 大きな天災に際し無責任な風説が広まらないように急いで書き上げたのであろうし、その姿勢自体は悪くないとは思うのだが、それと引き換えにノストラダムスの誤った知識が広められてしまうことに対しては、もう少し何とかならなかったものかという気はする。



『週刊ポスト』2024年4月12/19日号(小学館、2024年4月1日)

  • 「帰ってきたノストラダムスの大予言」(pp. 53-56)

 無記名の記事で、記事中で多くのコメント外引用されているのは、ライターの白神じゅりこ、角由紀子の2人。
 2024年については、第3巻1番を引き合いに出し、「早ければ24年中、遅くとも30年までに」台湾有事が起こるという白神のコメントくらいしかなく、それ自体が「有識者」の見解の孫引きという形がとられている。
 第
3巻1番にはそもそも時期の指定がなく、どこの誰だかも分からない「有識者」に責任を丸投げにした解釈などに、説得力はないだろう。

前年からこの年にかけての解釈例(ウェブサイト)


 以上のインターネット上の報道、海外のオカルトメディアからの安易な転用であって、どのサイトも同工異曲の内容に過ぎない。

 もっとも、Webムーの記事は、海外の記事で詩番号が書かれていない予言もきちんと典拠になっている詩番号を特定して、4行分を引用し直すなど、多少はまともな加筆を行なっている。当「大事典」としても、詩との対照は正しく行われているものと見ているが、第10巻22番は訳文を引用しておきながら、詩番号が第3巻1番と誤って書かれているため、全然違う内容の第3巻1番が二種類引用されるという妙な状態になっている(2024年1月27日確認時点)。

 Webムーで引用されている通り、おもに話題になっている四行詩は詩百篇第1巻17番第3巻1番第5巻56番、第10巻22番の4篇だが、Webムーの記事にさえも「『2024年に起こる』と明示されているわけではなく」と明記されている通りである。

 Webムーの場合、「しかし、こうやって毎年のようにノストラダムスの言葉から暗澹たる近未来を読み取ることで、人類が「それを避けるために何ができるか」を考え、さらに行動に移す契機となるならば、これほど有意義かつ重要な予言はないだろう。」と強引に締めくくっているが、イソップ寓話のオオカミ少年の話を思い浮かべれば、「毎年のようにノストラダムスの言葉から暗澹たる近未来を読み取」ってハズレまくっている事実は、むしろ逆効果にしかならないことが明らかだろう。

 なお、1月1日の能登半島地震を踏まえ、詩百篇第1巻17番が的中したと主張する向きもあるが、その詩は2022年や2023年には2022年向けや2023年向けの予言として取り扱われていたものにすぎず、毎年のように「今年こそ」と、災害が起こることを期待する不謹慎な輩がいるというだけの話に過ぎない。


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最終更新:2024年04月03日 22:20

*1 イオネスク『ノストラダムス・メッセージ2』pp.165-167 ; V. Ionescu et M.-Th de Brosses, Les dernières victoires de Nostradamus, p.236

*2 竹本[2011]pp.773-774

*3 Chaulveron, Chronique de Nostradamus, 2022, p.391