「小羊が第四の封印を解いた時、第四の生き物が「きたれ」と言う声を、わたしは聞いた。
そこで見ていると、見よ、青白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死」と言い、
それに黄泉が従っていた。彼らには、地の四分の一を支配する権威、および、剣と、飢饉と、死と、
地の獣らとによって人を殺す権威とが、与えられた。」
~旧約聖書「ヨハネの黙示録」第6章より~
◆ ◆ ◆
遥か上空に、1つの丸い空間があった。
透明なガラスが、円形になって空中に浮かんでいるその不自然な様は、まるで空を舞う巨大なシャボン玉にすら見える。
そして最も特筆すべき所は、その中にいる1人の少女だ。腕と髪に飾り付けられたのは紫色のクリスタルの装飾品。
その身に纏ったゴシックロリィタのドレスから露出している、陶器のごとく白い肌と赤い目に滑らかな口に白い髪という、
非常に整った容姿をしていた。そして丸の中で踊り続ける彼女の姿は、妖艶さすら感じさせる。
嘗て宇宙から飛来した「アポカリプスウィルス」が、世界を再構築する「イヴ」として選んだ、只の少女「だった」者。
魂をウィルスに汚染され、「アダム」を求め、一度は意識を失いながらも蘇り、やがて「魔王」の手でその役割を終わらせられた、
1人の「少女」だった者。それが真名だ。だが、彼女は、「四度目の黙示録」は、「役割」をすり替えられてもう一度蘇った。
そして少女は踊りながらも「彼」を求める。
「集……」
自らの弟の名を、「アダム」の名を呟く。真名に残るウィルスの本能は、今だに集を求めていた。
アポカリプスウィルスの意志に操られ、今迄で一番近くにいた集を、真名は「アダム」に選び、
そして恋慕の情を向けるようになっていった。だが彼はそれを拒み、真名はその身を暴走させた。
このSE.RA.PHに蔓延する「アポカリプスウィルス」は、真名が流行らせた。と言っても、今はごく僅かだ。
アポカリプスウィルスに感染した者の大半は、この「聖杯戦争」においてルール違反を犯した人間のみだ。
今の真名には、ある程度自我を保つことは出来る、ダウトがいないせいだろうか、ムーンセルからの制御からかは不明だが。
しかし、彼女は例えアポカリプスウィルスに蝕まれていなくとも、集を求めるであろう。
それが彼女の「願い」であり、悔みであったから。
真名は求めていた。、あの幸せな日々を。
集と、トリトンと、三人で過ごしたあの日常を。
あのクリスマスの夜、自分が壊してしまったあの世界を。
今、あの「飢」の娘はNPCの皮を手にしていたが、もし私もそれを手にしていたら、と現界してから何度思ったことか。
この身に宿る聖杯に願いたい、叶うなら願いたい…もう一度、やり直したい…
そう思うたびに、真紅のダイヤモンドが宿った目から涙がポロリと流れ、クルクルと踊り回る身体に乗せられて涙の雫はは宙に舞う。
「会いたいわ……集…トリトン……」
思い返せば、また涙が溢れてくる、だがアポカリプスの本能はそれを許さない。
彼女が「イヴ」である限り、彼女の精神がクリアになることは決してない。
哀しさに満ち溢れたその顔は再び、弧を描き出し、少女は幸せそうな顔で踊り続ける。
―この歌が聞こえてる、月にいる愛する友よ、
悲しみの夜を超える時、必ず本当の私が望む願いを―叶えるから―
【クラス名】「病」のルーラー
【出典】ギルティクラウン
【性別】女
【真名】桜満真名
【属性】混沌・中庸
【パラメータ】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力C 幸運E 宝具A
【クラス別スキル】
対魔力:A
魔力に対する耐性。
現代の魔術では傷を付けられない。
神明裁決:A
ルーラーとしての特権。
召喚された聖杯戦争に参加している全サーヴァントに対して、2回まで令呪を行使できる。
【固有スキル】
精神汚染:A+
精神が蝕まれている。
精神干渉系の魔術を高確率でシャットアウトする。
また、ウィルスに感染した人間の精神を汚染することも出来る。
終わりなき使命:-
アポカリプスウィルスに決定づけられた、「イヴ」としての役割。
何度殺しても蘇る。他のクラスで現界した際にはこのスキルは
外されるが、監視役たる「ルーラー」のクラスで現界したことで外されなかった。
【宝具】
「死曲唄う病の結晶(アポカリプス・ウィルス)」
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
ルーラーを蝕むと同時に、彼女の力となるウィルス。
これを感染させる。
症状が進行すると「キャンサー」と呼ばれる結晶に
肉体が侵食されていき、やがて肉体が全てキャンサー化して
砕け散る。また、ルーラーの唄を聞くと、病状が一気に進行する。
【人物背景】
宇宙から来た病原体「アポカリプスウィルス」の最初の感染者。
ウィルスに精神を蝕まれ、自らの「アダム」となって黙示録を
遂行するために弟の集に迫ろうとするも、クリスマスのある日、
弟同然の仲であったトリトンを殺そうとしたことから「化け物」
呼ばわりされ暴走。そしてウィルスを周囲に感染させ、自らも
崩壊、「ロストクリスマス」を引き起こす。
その後、代わりの肉体を以って復活するも、集、そして
トリトンこと
恙神涯に倒された・・・・かと思われていたが
その魂は入れ物の肉体にいる楪いのりの中に潜み、襲いかかってきた
人間を容赦なく殺していた。そしてそれは涯がいのりの心を
削除したことで表面化し再度復活を果たす。集に「アダム」となるよう迫るも、
既にいのりの心にある集にそれを拒否されたことから、
世界を滅ぼそうと涯をアダムとし踊りと唄でウィルスの
侵蝕を広げようとするが、集が涯を止めた事で役目を終わらせられ、
涯共々消滅した。この通りウィルスに操られているだけあって
破綻者にしか見えないような人物だが、海に漂着した涯を助けたりと
根は優しい人物であることが伺える。
【聖杯にかける願い】
集と、トリトンと、また一緒に―――
◆ ◆ ◆
自然の中に囲まれた喫茶店「ハカランダ」は、木の壁と明るい日差しがとても良く似合う雰囲気だ。
且つそれが自然の香りとインテリアを与えてくれている趣のあるのがこの店の長所の1つだ。
客は大勢来ていて、1人の青年と小学生ぐらいの少女と中学生ぐらいの少女とが客に料理を運んでいた。
ロールの中で非日常に飢えていた【
桜満集】は、「偶には違う体験をしてみたい」と
度々考えており、その中で立ち寄った経験のある店の中の1つが、この「ハカランダ」であった。
今にして思えば、集の中にあった日常への不満足な感情は、あのロストクリスマスを起こしてしまったことへの
後悔が起こしていた物であったのだが。
店の右端のテーブルを独占していた集は、ニュースに出てきていた「身体が結晶化していく病」について考えていた。
集はその病に覚えがあったのだ。何せ集は半生をその病に振り回されてきたのだから。
そして集には多くの疑問点が浮かび上がる羽目となった。
そもそもアポカリプスウィルスは、もう消滅したのではないのか。
いのりが、涯が、その身を投げ打ったことで。
(どうして、こんな所にまでアポカリプスウィルスが……)
あの悲劇は忘れもしない。姉を、友を、愛する人を奪い取ったあの悲劇は。
しかし、何故それがこのムーンセルに再現されているんだ?
集には分からないことだらけだ
(何で……あんな辛いことをまた繰り返させなくちゃいけないんだよ……!)
目をつぶり、歯を食いしばる。ああ悔しい、ああ悲しい……
と考えていた矢先だった。
「お待たせしました、ナポリタンです。」
と其処に、ボロボロのコートを着たウェイターの青年が此方のテーブルにナポリタンを運んできた。
口調は穏やかだが、顔はその限りではなく何処か疲れた表情を見せている。
ハッ、とした矢先に集は直ぐにウェイターの手をテーブルに導く。
「あ…すいません、ありがとうございます。」
コトン、とテーブルにナポリタンが美味しそうな香りを振り撒きながら置かれた。
その後直ぐに青年は立ち去って行く姿を、集は見届けていた。
ナポリタンが来ても、それを食わず相変わらず集は俯いたまま考えこんだままだった。
(僕は一体、どうすれば良いんだよ……)
ムーンセルに飛ばされ、聖杯戦争という殺し合いに巻き込まれ、紺色のジャケットを着たライダーと出会い、
そして今度は滅んだはずのウィルスまでもが蘇ったというのだ。
今、集にはとても辛すぎる出来事が連続で起こっていた。
(……何だ、簡単じゃないか。)
だが、自ずと集は直ぐに答えを見つけていた。
いや、今の集には答えを見つけることは然程難しいことではなかった。
涯が憧れていたその思い切りの良さが、ようやく開きかけていたというべきか。
集は答えを見つけた。
(まずは、アポカリプスウィルスについて調べるんだ……どうにかして…!)
だが「どうすればいい」のかが今の集には分からない。
しかし、だからと言って立ち止まる訳には行かないことぐらい、今の集には分かる。
それを指し示すように集はスプーンとフォークを取り、まるで元気を取り戻したかのように
ナポリタンを丸めて口に入れる。
◆ ◆ ◆
「休憩に入ります。」
「良いわよ、ゆっくり休んでおいでね。」
店長の女性に声をかけられたウェイターの青年……【
相川始】は丁度休憩時間に入り、
壁にあった扉を開き其処から下の階へと続く階段を降りて行った。
そして廊下にあるドアを開き、その奥にある大きくも小さくもない部屋に入り込んだ始は、
俯いたままベッドに腰掛ける。
始がこの部屋に入るのは、随分と久し振りの事であった。
此処に住んでいたのは、もう300年も前の事だったのだから。
「喫茶店ハカランダで世話になっている傍ら、カメラマンの仕事をしている」
というのが、始の聖杯戦争における「ロール」であった。
だから始は今こうして店で働いていられる。
最後に見た時には老婆になっていた天音は未だ10代頃の姿のままだったのに。
それどころか既に逝去していたはずの遥香までもが生きていて、彼女もまた2004年の時の姿のままハカランダの店主として働いていた。
確かに、300年前に世界がディストピアとなる前の幸せな一時を過ごせたのは、今の始にとっても悪いことではなかった。
だが、今の始に、そんな事を考えている余裕は無かった。
(何故だ……)
始は想起する、SE.RA.PHで見かけたあのレリーフを。
始の眼は限界スレスレまで開かれ、口はゼェゼェと息を吐いている。
(何故貴様が……)
その捻れた形状を、空に浮かんだその姿を、彼は忘れるはずがない。
あの日、その存在のせいで始達の運命の歯車は狂わされ、その過程で友は姿を消したことを。
思わずその名を声に出してしまう程に彼の感情は高まっていた。
始は信じられなかった。何故統制者が此処にいるのだと。
統制者は決して倒せない、死という物は彼には無かったのではないのか。
ともかく、始の方針はこれで決まったも同然だ。
(俺は統制者を探し出す……)
拭えない疑問点と恐れを潰すには、それしか無い。
そして願いならとうに決まっている。
その願いを思い出すように、始は嘗ての友の姿を思い返す。
―俺達は二度と会うことも無い、触れ合うこともない、それで良いんだ―
(剣崎……)
自分が生き残ったことで、世界は滅びを迎えてしまった。
始は、自分が封印されることを拒まなかった。
自分のせいで、大切な人達が消え行く様を見るのは、もうゴメンだったから。
しかし剣崎はそれを良しとしなかった。
故に彼はアンデッドとなり、バトルファイトを放棄して何処かへと去っていった。
なんて馬鹿な真似をした、と始は思った。
消えるのは、自分で良かったのに。
只の人間を、犠牲にしてまで生きたくなかったのに。
それからかれこれ300年が過ぎた。
多くの友が死に、残ったのは自分だけになった。
始の願いは、「もう一度やり直す」事だ。
52体のアンデッドが封印されたあの日に時間を巻き戻す。
そして統制者を消滅させ、剣崎がアンデッドにならないようにする。
(それが…俺の願いだ……)
その時、自らのサーヴァントから念話が届く。
『始さ~ん!何しているの~!』
己のサーヴァント、キャスターからだ。
キャスターは普通の人間の服装になることが出来る。
その姿で彼女は店の手伝いをしているのだった。
実は料理にも凝っているらしく、遥香に料理のレシピについて話したこともあった。
前には始のたこ焼きも美味しそうに感想を言っていたこともある。
『いや……少し、昔の仲間の事を考えていた。』
『仲間って……始さんがまた一緒になりたいっていう……?』
『そうだな、アイツの事だ。』
『あ、ゴメン、そろそろお客さんが外に出るから見送らないと!話は後でね!』
始にとっては、キャスターは意外と心を許せる存在であった。
その底抜けに明るい性格から打ち解けやすかった事もあるが、やはり一番は「友」の事であろうか。
キャスターもまた、友の為に戦い、そして友を失った者であった。
それにキャスターは互いに背中を預け合う関係だ。
友好関係が良くならなければ生き残れるのも生き残れないであろう。
だが、忘れないで欲しい事が2つある。
1つ、彼等は人間ではない、人の皮を被った化け物だ。
2つ、だが、それでも彼等は、人間として生きることを決めた。
だからきっと、二人は人間だ。
例え身が化け物でも、心は人間なのだから。
【クラス名】キャスター
【出典】魔法少女
かずみ★マギカ
【性別】女
【真名】かずみ
【属性】中立・中庸
【パラメータ】筋力D 耐久D 敏捷B 魔力A 幸運D 宝具A
【クラス別スキル】
陣地作成:A
自らにとって有利な陣地を作成する能力。
自らに有利な「工房」果ては「結界」を生み出せる。
道具作成:C
魔力を帯びた道具を生み出すスキル。
スマホアプリ等を作り出せる。
【固有スキル】
魔法少女(偽):B-
願いと引き換えに自らの身体を失った者。
彼女は魔法少女という皮に詰めた魔女である為にランクが下がっている。
動物会話:B
動物と会話が出来る。
宇佐木里美の固有魔法。
直感:C
常に最適な展開を「感じ取る」能力。
簡単に言えばとても勘が鋭い。
【宝具】
「我らは魔を奏でる七つの星(ウィッチ・オブ・プレイアデス)」
ランク:C~A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1
キャスターが手にした、プレイアデス星団の仲間達の魔法であり、
彼女達の絆の残りカス。
物質を「破戒/破壊」する魔法。
対象を「解析」する魔法。
運動能力を「向上」させる魔法。
「電撃」を操る魔法。
動物と「会話」する魔法。
ぬいぐるみや魔物を「使役」する魔法。
物質を「再生成」する魔法。
これらの固有魔法が使用できる。
「我は紛い物にして呪いの主(マレフィカファルス)」
ランク:A 種別:対願宝具 レンジ:- 最大捕捉:1
キャスターの本来の姿である、「魔女」としての力。
周囲に結界を展開させ、敵に呪いの魔法を掛ける。
本来なら魔女になる宝具なのだが…バーサーカーのクラスでないがために
それは出来ない。
【Weapon】
「杖」
キャスターの標準装備。
そのまま殴打武器としても使えるが、先端から魔力光線「リーミティ・エステールニ」を放つ。
【人物背景】
記憶を失い荷物の中に紛れていた女の子、でも実は魔法少女でした!
天真爛漫で好奇心旺盛、料理が得意。プレイアデス星団と出会い仲間になる。
得意な魔法は「破壊/破戒」。
~魔女のソーセージの作り方~
材料は魔女とその本体の亡骸。
作り方は少し難しいです。
まず、あの魔法を使ってこうして…あーもーややこしいので掻い摘んで説明します!
魔女の亡骸を元の遺体に詰めれば、ジャジャ~ン!完成~!
身体を皮、魔女を肉と考えれば、結構イメージつくんじゃないかな~。
ちなみにこれ、つくるのに失敗しやすくて、この料理を考えた人達は完成するまでに13回は失敗したらしいよ~
でも大丈夫、魔法と知恵と絆さえあれば、つくるのはそう難しくはない…らしいよ~!
後に「昴かずみ」という新たな人間として生きていったのだが、
マスターとの「人間になろうとした化け物」という点で引き合ったため、
この姿で召喚されている。
【聖杯にかける願い】
特に無い。
【マスター名】相川始
【出典】仮面ライダー剣(小説版も含めます)
【性別】男
【Weapon】
「ラウズカード×13」
始が愛用していたハートスートのカード。
本来なら全てのラウズカードはカテゴリー2を残して
BOARDが厳重に保管していたが、どういう訳か始は13枚全てを所持している。
「カメラ」
自らが原因で逝った男性の形見にして、彼の大事な一品。
「ホンダ・XR250」
始が愛用しているバイク。
カリスに変身することで「シャドーチェイサー」へと変化する。
【能力・技能】
子孫の繁栄権を賭けて争い合う53の不死生命体。
始が属する枠は引かれた瞬間にゲームをリセットさせる「ジョーカー」。
ジョーカーが優勝したその瞬間に、世界は仕切り直される。
この相川始は、ジョーカーがカテゴリー2「スピリット」をラウズした姿であり、
カテゴリー2の働きかけによりこの人格は保たれている。武器は斬り裂いたアンデッドを
カードに封印する鎌、そして読み込んだカードのアンデッドの姿を借りるバックル型カードリーダー「ジョーカーバックル」。
カリスラウザー(ジョーカーバックル)にカテゴリーAのカードを装填して変身する姿。
正式にはカテゴリーAの姿を借りた姿であるが、ジョーカーの力とカテゴリーAが融合することで、
ライダーシステムに近いような戦い方が出来るようになり、「醒弓カリスアロー」を武器として戦うことが可能な他、
他のラウズカードと合わせた戦い方も出来る。更に、「カテゴリーK」をラウズすることで「ワイルドカリス」へと
変化し、「ジョーカー」の力と併せることで13体のアンデッドとの融合を果たした。
【人物背景】
「ジョーカー」は、52の種族の繁栄を賭けた「ゲーム」を仕切り直すワイルドカードであった。
1万年後、人類の始祖は「ジョーカー」を「相川始」に変えた。
「相川始」は人間を愛し、人間性を求め、人間を守る「仮面ライダー」となった。
しかし、それをジョーカーの本能は許さず、遂に己はゲームマスターに引かれてしまう。
滅びが終わったその直後、「相川始」が見たのは何処かへと消え去る戦友の姿であった。
【聖杯にかける願い】
剣崎がアンデッドになったことを「無かったこと」にする。
【方針】
「統制者」を探し出す。
◆ ◆ ◆
「「ありがとうございました~!」」
見送る1人の少女……キャスターを背に、【
百夜ミカエラ】はハカランダを出た。
しかしその表情はとても冷たかった。
ハカランダから街へと続く道には、横に沢山の木々があった。
多分ウィルスが蔓延していなかった頃には、木々の手入れも行き届いていて、こういう景色も良く見られたのかもしれない。
辺りを見回しながらそんな事を考えていた帰り道の中でミカは、先程口に入れた食事を思い返す。
久し振りに摂った人間の食事だが、決してあの血の滴るステーキは不味くはなかった。
このSE.RA.PHで孤児院の仲間が常連だった店だったのが此処だったが、中々悪くはない。
食事といえば試験管に注がれたクルルの血を吸う8年に、漸く別の何かが入ったという感覚だ。
ただ……腹が一杯になった気がしない、あのステーキが血肉になった感覚が全くしない。
(相変わらず……か……)
「吸血鬼」となったミカにとって、人間の食事は意味を成さない。
それに「血」を求めることを除けば欲望というものが極端に浅薄な為、そもそも人間の食事にも興味を持たない。
今回レストランに来たのは気まぐれだ。
記憶を取り戻すまでは、人間の食事はきちんと食べることに戸惑いは無かった。
だが今はこのザマだ、やはり人間の食事など満足に味わえない。
しかし、あのフェリドでも無いのに気まぐれなどでこんな真似をするなど、自分も可笑しくなったかとでも少し思った。
この聖杯戦争では吸血衝動は抑えられているが、やはり食事は取れなくなっている。
結局、自分は何処までも吸血鬼となってしまったのだろうか。
(そろそろ、戻ろう……)
とにかく、そろそろ帰宅しようと思う、あの「孤児院」へ。
其処には、8年前に殺されたはずの仲間達が、すっかり大人になった姿で待っている。
ミカにとって幸せだった場所こそ、あの孤児院だったのだ。
だが、やはりその孤児院も元の世界でミカがいた物のそれとは全く別だ。
まず、運営しているのがあの「百夜教」ではない。
ただその名残でカトリック系になっているが、決してカルトや呪術には一切関わっていない場所だった。
運営しているのは「ドナート・ポルポラ」というロシア人の神父だった。
とても面倒見が良くて知的な「皆のお父さん」と呼ぶべき存在だった……らしい。
ただ、それは強ち間違ってはいないと思う。
しかし、その鋭い目と見透かしたような態度は何処かクルルを思い出してしまう。
何はどうあれ、ミカには彼処こそが「家」だということには変わりはないのだ。
例え友と別れようが、吸血鬼の飼い犬にされようが、彼処こそがミカの居場所。
殻を破った雛が親鳥に終始付いて行くように、彼はそこを帰る場所としていた。
だがその親鳥が消えたのも、また事実である。
そしてそれが、ミカの「願い」の原動力に繋がっている。
仲間の中で唯一生き残った「百夜優一郎」を救い出す、それがミカの願いだ。
もう今更思い出に耽っている場合ではない。
躊躇う必要はない。
自分が8年も願ったことを瞬く間に叶えるその力が、もう眼の前にあるのだから。
(僕はこの手で聖杯を手にする……それまで待っててね、優ちゃん……)
ただ一人残った親友の名を、心の中で口にする。
それが、血とは別の意味でミカの原動力となっていく。
友を救うという決意を新たにしたミカは、尚も道をテクテクと歩き続けていく。
果たして、ミカは気づいているだろうか。
自分の背後に、何かしらの奇妙な形をした二足歩行の「何か」が此方を見つめていることに。
◆ ◆ ◆
「ふぅ~ん、吸血鬼でもプライベートで人のご飯食べるんですねぇ~」
柊邸にある地下室にて、【
柊シノア】は、キャスターの道具作成スキルによって大量生産された使い魔、号竜の可視情報にあるミカエラの姿を見ていた。
キャスターの発明品「号竜」は、彼の打ち出した術式(コマンド)により自動的に戦闘を行う使い魔。
更にキャスターの考案により号竜の目と耳に映し出された情報を羅針盤に送り込む機能が追加された。
これによりシノアが生まれる前の世界で言う「ドローン」に近い役割を果たせるようになった。
お陰で確認できたマスターの数は非常に多くなり、此方が手にした情報は相当な物となった。
シノアの秘密基地と化したこの地下室には、キャスターの作成した大量の魔道具が散乱しており、後ろではキャスターが机に座ってまた号竜を作っている。
シノアがミカを確認したのは、学校で偶々見かけた時だった。
その時ミカは3年であったが、しかし此方の存在に気づかれなくて良かった。
すると、キャスターが声をかけてくる。
「マスターは、何故あの少年ばかりを見つめているんでしょうか?」
確かに気になることだ。
マスターを監視することは、確かに不自然ではない。
しかし数多く確認されているマスター達の中でも、何故この少年が気になるのか。
サーヴァントのステータスは確認できないが、しかしとても気になることであった。
だがシノアはそれを聞きニヤリと笑う。
「いやぁ~単なる一目惚れですよぉ~!この年頃の女の子の考えることなんて簡t…」
「真面目に言ってください。」
キャスターの冷静なツッコミに思わず「あぅっ」と戯けたふりをしたシノアは、遂に本音を吐き出す。
「あはは…というのは冗談で……」
「あの人、どうやら私の仲間の仲間らしいんですよ。」
「仲間の仲間って……」
「ええ、碌に会話したことすらないんですがねぇ。」
彼が百夜優一郎の知己であることを知ったのは、優の口からだった。
貴族達と行動を共にしているのを見るに、どうやら彼は吸血鬼にされてしまったらしい。
それも恐らく、相当の上流階級の実力者に。
しかしまさか彼までもが、この聖杯戦争に参加しているとは思いもよらなかった。
兄達なら聖杯等餌に飢えた狂犬のごとく嗅ぎつけてくるだろうに、何とミカがそこにいるのだという。
優は、なんとかして彼を救いたいと言っているのだが、果たして彼が説得に応じるだろうか。
映像で確認した彼のサーヴァント、バーサーカーはかなりの強敵だ。
今迄ずっと穴蔵に篭っていたために実戦こそしてはいない為に確認はしていないが、キャスターの宝具も戦闘向きらしい。
キャスターは退魔専門の騎士であったらしい。
だがどういう訳か彼は、まだ騎士の称号を賜ったばかりの状態で召喚されてしまい剣の腕はまだまだ未熟だという。
宝具の神秘性は恐らく鬼呪に匹敵するだろうが、火力は恐らく黒鬼には及ばない、と言う事か。
何にせよ実際に目にしたことがないので分からないが。
「でも、私の仲間の内の1人は、どうしても彼を味方にしたい、と言っているんです。」
シノアは「家族」という物を知らなかった。
いや、厳密にはあったが、少なくとも絵本に載っているような家族の愛とやらは知らない。
少なくとも自分などいらない存在だと思って生き続けていた。
だが彼等は自分を「必要」だとしてくれた。
だからそれに答えようと思ったのだ。
一瀬中佐は自分達軍を「家族」と言っていた。
もし、彼等といる時の暖かさが「家族」といる時のそれだとしたら。
自分は、その暖かさを守ってみたい。
己が必要とされた事に、答えてやりたい。
それは例え敵であろうと変わらない。
「まあ、向こうが此方の話を聞いてくれるかは別ですが……」
「いえ、例え敵であろうと、きっと分かり合えると思いますよ。」
「え?」
意外、という表情をしているシノアに、キャスターは語りかけるように話す。
「……僕にも生きていた頃、大切な仲間達がいました。
彼等は本当に優しい方達なのですが、昔は皆その優しさを覆い隠していた時期があったらしいんです。
ある方は冷徹に生きようとし、ある方は復讐に生きようとし、またある方は秩序の下に実の妹を殺めかけた……
それでも今は、名実共に優しい心を持った、正真正銘の「護りし者」となりました。
魔戒騎士は、「護りし者」であるが故に、冷たく生きなければならない。
ホラーを誘き寄せる陰我等に囚われない、剣士としての冷たき日々を歩め。
彼等はホラーを狩りゆく中でそう悟っていく。
だが、彼等はきっと思い出す。
人の絆や愛は、決して汚れてはいない。
寧ろそれは輝いている。
絆は人と人とを繋いでいくのだ。
そして、人を支え、それは受け継がれていく。
敵だってそうだ。
兄のシグマだって、元々はあんなに仲が良かったんだし、何より鋼牙さんとも友達だったじゃないか。
「その心の変わりようにも、大切な人との繋がり、仲間達の姿があるからこそ、仲間は仲間としていられるんです。
ですからマスター、もし彼との繋がりが僅かの一本でもあるのでしたら、それを信じてみる、というのはどうですか?」
その言葉に、シノアの心に暖かみがまた宿った。
「そうですね、その通り。」
そうして再び羅針盤に目を通したシノア。
ミカはもう孤児院につきそうになっている。
だがふと、羅針盤に記されている号竜の位置マークの異変に気づく。
それを見てシノアは驚愕の表情を浮かべる。
「どうかしましたか?」
「高級住宅街を見張っていた号竜の反応が……消滅しました……。」
「なん……だって……」
キャスターはその場にばたりとへたり込み、頭を抱える。
それもそうだろう、号竜はキャスターにとって自分の子と同じ存在だ。
壊れてしまったらそれは落ち込んでしまうだろう。
◆ ◆ ◆
此処らの高級住宅街には、色とりどりの綺羅びやかな邸宅が大量に建っていた。
そして建てられた家には、金持ちの別荘として使われているのもある。
【
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト】が住んでいるこの豪華な屋敷も、その1つであった。
そしてケイネスは今、呆れた顔で新聞をパラパラと捲っていた。
(鬼兵隊…連続猟奇殺人……この島は平和主義国家にしては随分と物騒だな。)
以前時計塔の講義に来ていた日本人の魔術師は「彼処の国は結構平和なんすけどねぇ」等と言っていた。
しかしその印象はこの瞬間ぶち壊された。
(何が東洋の平和な島だ!あのホラ吹きの小僧めが!)
現在、ケイネスはSE.RA.PHの調査に乗り出している。
勿論、何処にマスターが集まりやすいかを調べる為である。
ケイネスは、己の魔術師としての才能に絶対の自信を持っている。
名門アーチボルトの当主にして若き時計塔のロード。
凡百の魔術師には付けられんであろうこの経歴と称号は、自らの実力の何よりの証だ。
おまけに己のサーヴァントはアイルランド一の大英雄とされる
クー・フーリンだ。
無論下準備も忘れていない。
まずは安定した陣地。
この洋館に配置されている魔術工房はこの洋館の余分な面積をふんだんに使い切った完璧な工房だ。
ケイネスの持てる才能を使い切った所を神代のルーン使いであるランサーの助けもあり土台作りは万全。
ケイネスの戦力に死角無し、と「今なら」言える状態だ。
だが、それでこの聖杯戦争の主催者に抗えるか、と言ったら答えはノーだ。
ケイネスは己の才能を過信することはある、だが無謀さは然程持ち合わせていない。
何せ自分達を此処に無理やり呼び出し、英霊までポンポンと召喚してしまうのだから。
例えクランの猛犬が相手であろうと容易く捩じ伏せる姿は容易に想像できる。
ならばどうするか、仲間集めだ。
だがケイネスのロールは「つい最近」日本に来た英国貴族だ。
故にマスターはおろかNPCとのコネすら碌に持ち合わせていない。
だからマスターが何処にいるか調べる必要がある。
その為にも使い魔やランサーを各地に飛ばしているのだ。
もし、戦いに消極的な主従を発見したら、機会を作り次第コネクションを取る。
向こうがそれを了承したら、共に共同戦線を結び主催者を打倒する。
それがケイネスの方針だ。
ふと、ランサーから念話がかかってくる。
『おいマスター、ちょいと使い魔みてぇなモン拾ったんだが、ちょっと見てもらえねぇか?』
『一体どんな使い魔だと言うんだ。』
そう言いながらもケイネスは、魔力バイパスを通してランサーの視界を此方に映し出す。
其処から写ったのは、壊れた人形の様にぐったりと倒れた「小型の竜」だ。
『ほぉ……』
初めて見るその異様な形状の使い魔に、ケイネスは感嘆の声を漏らす。
ティラノサウルスの様に水平に身体を傾けた形となっているその姿勢。
黒い鉄の様な何かで組み立てられたとしか言い様がない無機質さも兼ね備えていた。
ゴーレムや竜牙兵の一種だろうか、だがこんな使い魔はまるで見たことがない。
ゴーレムの様な羊皮紙も無ければ、竜牙兵よりは無機質ではなかった、寧ろ生物に一歩近づいている。
魔術師は科学者の如く探求する生き物、ならばケイネスがこんな新発見を見逃すはずがない。
『ランサー、直ぐにその使い魔を此方に運んで来い、直ぐに調べる。』
『了解だ、アンタならそう言うと思ってたぜ。』
其処でランサーとの念話は切れた。
所で今、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは考えついたであろうか。
マスターが「近所の人」だった場合の事を。
もっとも、対主催か参戦派かどうかは別の話だが。
◆ ◆ ◆
此処一体の高級住宅街にいるセレブは、ケイネスだけとは限らない。
此処に別荘を持つ程の金のある外国人が、彼だけとは限らない。
今この洋館に住んでいる【
ラウ・ル・クルーゼ】もまた、其処に大きな館を構える権利のある「ロール」である人間の1人であった。
クルーゼの「ロール」は、「オーブからの外交官」という扱いであった。
どうやらクルーゼは真人間として生き、アルともムウとも普通に接していた、という事になるらしい。
まさか死ぬ直前まで対立していたオーブの国籍に入っていておまけに外交官等というのは思いもしなかったが。
そんなクルーゼは、今居間のソファーに座り込み、電話をかけている。
使用している携帯端末には用意周到に傍受対策も施してある。
それ程面倒な処置を施す程、この通話は内密な物であったのだ。
それもそうだろう、電話の相手は何と【
高杉晋助】、現在世界を騒がせている「鬼兵隊」のリーダーだ。
今のクルーゼは、高杉と内通関係にある。
クルーゼは彼に土地の情報の他ロールを利用した手回し等を行い、交渉の結果高杉達鬼兵隊の拠点などを与えることが出来た。
高杉の城は彼の元々の居住区だったのだが。
外交官がテロリストと癒着している、というのは本当に酷い話だ。
公務員としての正義は、何処へ行ってしまったのだと、真面目な人間なら誰だって言えるだろう。
だが高杉もクルーゼも知っていた、こんな物など至極当然。
ブルーコスモスに兵器データを流しこんだクルーゼと、見廻組と手を組んだ高杉だからこそ良く分かる話だ。
『しかしアンタも随分と酔狂な奴じゃァねえか、こんな壊し屋なんぞに手を貸して。』
『ちょっとした共感に近いものだよ。君の思想に興味を持った故に力を貸した、それだけの話だ。』
クルーゼの回答は早かった。
高杉は嘗て語った、「この世界を壊してやる」と。
その眼は本気だった、その眼は狩人の眼だった、それにクルーゼは興味を持った。
嘗て己を産んだこの世界に怨みを持ったこのクルーゼだが、この男は一体何故にこの世界を壊そうとするのか。
それに対して彼は強い興味を持ち始めたのだった。
『そう言えば聞いていなかったね、タカスギ君、君は何故この世界を憎む?何故この世界を壊そうとする?』
『護りてぇもんをぶっ壊された……信じていたモンに裏切られた……それだけの事さ。』
『ほう……つまり私怨かね?その気持ちは良く分かるが、つまり君は何もかも失ったからこんな世界が嫌だと――』
『それ以上馬鹿げた詮索をするんじゃねぇ、これ以上無駄口叩くなら直ぐにたたっ斬るぞ。』
図星を突いたかどうかは知らんが、彼にも彼なりの深い闇があった。
『そういや、此処の国の裏社会でおもしれぇ情報が入ったぜ。』
『ほう?』
『テロリストだよ、俺達鬼兵隊を除くあるテロリストがこの国に現れたらしい……。』
だが無論、今の所公に姿は現してはいない、という。
しかし鬼兵隊だけで世論が騒がしくなっているというのにそのテロリスト集団の存在が明るみになったら、多分飛んでもないことになるだろう。
『そいつらの名は――葬儀社――』
『葬儀……か、我々を棺桶に入れる、等という単調な理由では無さそうだねぇ……。』
◆ ◆ ◆
「また私は見た。海から一匹の獣が上がってきた。
これには十本の角と七つの頭とがあった。
その角には十の冠があり、その頭には神を汚す名があった。」
~新約聖書「ヨハネの黙示録」第13章より~
柱となる4の獣に、7つのラッパを巡る「三十一」の聖者達。
多くの候補者の骸を土台として、遂に役者は出揃った。
現在4の裁定者には通達が送られている。
それではこれにて――
いや待ってみよう、後1組残っている。
だが、ムーンセルは聖杯戦争の予選を終了させた。
7組のマスターの願いを、24組の生け贄を以って叶える聖杯戦争。
だが明らかにムーンセルは鯖を読んでいる。
これは「バグ」である、人智を逸脱した演算装置に、バグが起こったのだ。
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―異常事態発生、残存マスター数「32人目」の状態において予選が終了―
◆ ◆ ◆
「今こそ我々が、この世界を導き、この世界の歪みに葬儀曲(レクイエム)を奏でよう!」
1つの廃墟に、大きな喝采が鳴り響いた。
それはまるで救世主の声を湛えている様。
其処では1人の銀髪の美青年が、右手の甲に銀色に輝く冠の紋章を掲げて叫んだ。
そしてパチパチと手を叩きそれを賞賛している者達には、必ず異様な形状の「武器」があった。
其処の会場のステージで喝采を受けている青年の名は、【恙神涯】。
今こそ身を潜めているテロ組織「葬儀社」のリーダーである。
影に潜みながらも、葬儀社は今も尚着々と準備を続けている。
葬儀社を率いる涯には、不思議な力があった。
自身の体内から引き摺り出した銃を人の胸に狙いを定め撃つことで、その人間から武器を引っ張りだす力だ。
今、涯の演説に感動している人達が手に取っているその武器も、涯の手で創りだされたもの。
足に着けるジェット装置、重力制御銃、立体コピー機等、その種類は多種多様。
そして涯はそれらを、「お前達の心象を形作った物だ」と称するが……
とにかく、恙神涯という人間には謎が多い。
経歴は不明、分かるのは、潜り込むように人の本質を見抜くその卓越した洞察力。
そして、武器を引き摺り出す不思議な力を持っている事、それだけだ。
そしてその涯は今、拍手の嵐の中ステージを去り自室へと戻っている。
自室には、既にもう一人の人間が壁に突っ立っていた。
纏っているのは「黒棺」のワッペンが貼られた黒いジャケット、彼もまた葬儀社の人間だ。
黒髪に褐色の肌、そしてその顔立ちから察するに、アフリカ系の人種かと思われる容姿だ。
だがその瞳は、まるで悟ったかのように煌めいていた。
「終わったか?」
「ああ、たった今な。」
そんな素っ気ない会話を、涯と青年は交わす。
ベッドに腰掛けて涯は軽く溜息をつく。
それから制服の左側の袖を捲り、左手の甲を露出させる。
それから赤い紋章―令呪の刻まれた左手を、天井の蛍光灯に翳してみた。
赤く手の甲に刻まれたのは、「弓の先端から伸びて来る手」。
まるで自分の「ヴォイド」を象徴しているようであった。
―あの時、涯は進んで自ら「魔王」となり真名のアダムとなった。
そして集といのりがそれを止めてくれた。
それこそが涯の狙いであった、真名と運命共同体となった自分が死ねば、真名は「イヴ」の役割から切り離されると。
そして自分は真名諸共集の「ヴォイド」に取り込まれた―筈だった。
気がつけば嘗て自分が率いていた「葬儀社」のリーダーとして動いていて、世界の「改革」を行おうとしていた。
そして記憶を取り戻し、今目の前にいる己のサーヴァントとの契約も果たし、こうして今の涯はここにいる。
「何を話していた?」
「SE.RA.PHの全域を掌握する、という事を彼等に話した、無論聖杯戦争のことは話していない。」
「そうか……。」
涯が行う方針はまず、「このSE.RA.PH一体の掌握」だ。
国を取る、という作戦は元の世界でもGHQを相手にやっていた所業だ。
このSE.RA.PHを葬儀社の支配下に置き、マスターを炙りだすという作戦。
しかし頭脳明晰な涯にしてはあまりにも大胆且つ無謀な作戦だ。
四分儀が聞いたら首を傾げるだろうが、なまじ部下には建前で「世界の革命」等と謳っている。
特に疑問などは向こうからは出なかった。
この方針を行う理由には涯の「ある目的」があった。
それは「同盟」と主催者の「打倒」だ。
確かに、マスターを探すためだけに「街を支配する」というのは些か遠回りだ。
しかし、「仲間を探し、団結し、強敵を倒す」というには、中々に最適な方法だと涯は思っている。
この聖杯戦争が安易に壊せる存在ではないことを、涯は重々承知している。
己のサーヴァントは確かに強力だが、それでも自らを喚び出した存在に勝てるとは限らない。
仲間がいれば、対話し合えば、一つになれば、きっと、この聖杯戦争とも「分かり合える」であろう。
「分かり合うのは至極簡単な事、例え誰であろうと心は通じ合える……本当にお前はそう思うか?セイヴァー。」
そう、この男のクラスは「救世主(セイヴァー)」、人々と分かり合う事を実現させ世界を救った英雄である。
そしてその問いかけに対し、当然だ、と頷いたセイヴァーは答える。
「ああ、そうだ。確かに人と人はすれ違うこともある……だがそのズレは『ほんの僅か』なそれだ。
たったそれだけで人は争い合い、苦しみ合う……それだけで人は分かり合うことを拒む。
でもそれは違う、人と人は分かり合える……世界は本当に『簡単』なんだ。」
セイヴァーの言葉の重みは、涯にズシリと来た。
英雄の言う事は本物だ、それは数十人もの人間を束ねている涯にも良く分かった。
そしてその言葉が涯の心の重りをほんの少しだけ抜き取ってくれる。
「……すまないな、お陰で楽になった。」
一瞬だけ安堵の表情を見せた涯は、直ぐに表情を引き締め扉を開く。
セイヴァーもそれに着いて行く。
「これから作戦会議に向かう。今後の俺達には、お前の力が必要なんだ。」
付いて来てくれ、セイヴァー……いや、『
刹那・F・セイエイ』。」
「了解した。」
主の怒りによって起きた滅びの中で生まれたのは一頭の巨大な獣。
本来置かれるべきではなかった配役が、偶然の例外として表れてしまった。
かの「子羊」と同じく「救世主」の名を冠した対話の英雄は、今此処に聖杯戦争の崩壊を願いこの戦いに臨む。
人は争わなくていい、「話せば、きっと分かり合える」、そう信じて。
このイレギュラーの到来を、四柱の獣は理解しているのだろうか。
【クラス名】セイヴァー
【出典】劇場版 機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer
【性別】男
【真名】刹那・F・セイエイ
【属性】秩序・善
【パラメータ】筋力B 耐久A 敏捷B++ 魔力C+ 幸運C 宝具A++(ダブルオークアンタ搭乗時)
【クラス別スキル】
革新者(純):A
イノベイター。
人類を新たなステージへ導く存在。
反英雄に対しパラメータに補正がかかる他、
「カリスマ」「直感」の特性も兼ね備えている。
対英雄:C++
英雄を相手にした際、パラメータを1ランクダウンさせる。
対話が難しい相手程補正が強くなる。
【固有スキル】
魔力放出(素粒子):A
魔力をGN粒子に変えて放出する。
GNドライヴは所謂永久機関であるため、
半永久的に戦い続けていられる。
また、「トランザム」を発動することで
パラメータが増強されるが、
一定時間経つとGNドライヴがうまく
働かなくなりパラメータが下がり、
魔力を供給出来なくなる。
騎乗:C
乗り物を乗りこなす才能。
大抵の乗り物は乗りこなせる。
戦闘続行:A
生還能力。
致命傷を受けない限り戦闘を続行する。
単独行動:C
マスターとの魔力供給を断っても限界していられる。
マスターが死んでも一日は現界を保っていられる。
【宝具】
「対話を結ぶ救世の剣士(ダブルオークアンタ)」
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:100 最大捕捉:1000人
セイヴァーが「ELS」との対話に使ったとされる機体。
数多くの星を旅した逸話と合わせ、科学の域を
超えていないにも関わらず最高ランクの神秘性を誇る。
また、「トランザムバースト」を発動することで、
敵と念話で語り合う「対話」を実現することが可能。
尚、本来なら「ELSクアンタ」として呼び出されるべき
宝具のはずだが、争うための機体でないそれは
呼び出す事は絶対に不可能とされている。
「心を繋げる光の手(クアンタムバースト)」
ランク:A+ 種別:対話宝具 レンジ:∞ 最大捕捉:∞
ダブルオークアンタに搭載された、「ELS」への対話を実現させた機能。
GN粒子を最大限にまで放出させ、対象の心に、本質に入り込み、「対話」を実現させる。
ただし、聖杯戦争を破綻させかねないこの宝具は、ムーンセルからのプロテクトという名の抑止力により
対話が妨害されており、プロテクトを破壊して発動するにも令呪を一画以上は使わせる程の消費魔力を要求されている。
この宝具を発動するには、ムーンセルからの「許可」が必要となる。
【Weapon】
「GNソードⅤ」
「GNバスターライフル」
「GNソードビット」
「GNバスターソード」
「対話を結ぶ救世の剣士」の装備一覧。
詳細はWikiで。
【人物背景】
傷付き傷付けられる世界で、少年は「救世主」を見た。
争いを止める戦いで、少年は「救世主になるため」に戦い続けるも、やがてそんな思いは消え去り、彼はやがて革新者となった。
そして遂に、彼は「救世主」となった。蝶や花に囲まれた今の救世主に、剣を振らせる日が来ないことを、祈ろう。
【聖杯にかける願い】
そんな物などない、聖杯を破壊し、この戦いを終わらせる。
【マスター名】恙神涯
【出典】ギルティクラウン
【性別】男
【Weapon】
「ヴォイド」
涯が自らヴォイドゲノムで取り出した、「恙神涯の心象を具現化した武器」。
銃の様な形状をしており、対象の胸を撃ちぬくことでその人間の「ヴォイド」を強制的に抜き取れる。
人間の本質を覗ける涯の在り方を象徴する様な武器である。
【能力・技能】
相手の本質を見抜き、心に付け込む能力。
それは彼を象徴するカリスマ性にすらなった。
多人数を動員した戦闘における戦術的直感能力。
桜満集から奪い取った「王の力」
アポカリプスウィルスを解析して得られた遺伝子コードを基に生み出された、
人の心を具現化する力。左手の甲に宿した王の刻印からその力を顕現させる。
対象と互いに視線を合わせることで、対象の体内から「ヴォイド」と呼ばれる
武器を取り出す。武器の形状は対象の心象を表した物となる。武器を抜き取られた対象は
抜き取られる前後の記憶を喪失する。尚、サーヴァントからヴォイドを抜き取られるかは不明。
【人物背景】
少年は海で目を覚ました。
少年は血塗られた聖夜に全てを知り、すべてを失った。
やがて少年は戦士となり、魔王となった。
其の果てに、魔王は自らを犠牲に滅びを終わらせた。
恙神涯は、嘗ての「彼」になることが出来たのだろうか。
【聖杯にかける願い】
この聖杯戦争に終止符を。
【方針】
まずはSE.RA.PH全域を掌握し、同盟を結びやすくして共に聖杯を打倒する。
しかし例え刹那一騎でもルーラー相手には心細いので同盟を組むも考えている。
◆ ◆ ◆
―汝らに問う、汝らは捧げる24の敗者となることを望むか、それとも捧げられる7の勝者となることを望むか―
―或いは、この物語に終止符を打つことを望むのか―
―なあ、諸君、君達は此処で何をどうしたい?―
<<剣騎士(セイバー)>>
【
最上リョウマ@デジモンクロスウォーズ 時を駆ける少年ハンターたち & モモン/アインズ・ウール・ゴウン@オーバーロード】
<<槍騎士(ランサー)>>
【佐藤和真@この素晴らしい世界に祝福を! &
空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero & クー・フーリン@Fate/stay night】
【
二宮飛鳥@アイドルマスターシンデレラガールズ &
駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
<<弓騎士(アーチャー)>>
【高杉晋助@銀魂 &
ガルバトロン@トランスフォーマー・ザ・ムービー】
【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00 & ウルトラマンゼロ@ウルトラシリーズ】
<<騎乗兵(ライダー)>>
【桜満集@ギルティクラウン &
シモン@天元突破グレンラガン】
<<魔術師(キャスター)>>
【柊シノア@終わりのセラフ &
布道レオ@牙狼-GARO-~MAKAISENKI~】
【橘ありす@アイドルマスターシンデレラガールズ &
ナーサリー・ライム@Fate/EXTRA|Fate/Grand Order】
【相川始@仮面ライダー剣 & かずみ@魔法少女かずみ★マギカ】
<<暗殺者(アサシン)>>
【ラウ・ル・クルーゼ@機動戦士ガンダムSEED &
大道克己@仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ】
<<狂戦士(バーサーカー)>>
【百夜ミカエラ@終わりのセラフ &
黙示録の獣@.hack//G.U.TRILOGY】
【
ステラ・ルーシェ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY & 朽木ルキア@劇場版 BLEACH Fade to Black 君の名を呼ぶ】
<<救世主(セイヴァー)>>
【恙神涯@ギルティクラウン & 刹那・F・セイエイ@劇場版 機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer】
<<盾騎士(シールダー)>>
<<復讐者(アヴェンジャー)>>
【輿水幸子@アイドルマスターシンデレラガールズ & 輿水幸子@グランブルーファンタジー】
◆ ◆ ◆
―君達はこの月で、何を望む?―
―この四つの災禍の名を冠した願望機に、何を縋る?―
―さあ、手札は揃った―
―登場人物の紹介は、これにて終わり―
―さあ、それでは本編(聖杯戦争)が始めよう―
最終更新:2023年10月13日 11:07