パクス・ソビエティカ
パクス・ソビエティカは主に新ソ連の国際学者の間で用いられる政治用語。「
ソビエトによる平和」を意味し、新ソ連を中心とする
バグダッド協力機構・
第五インターナショナル圏による平和と安定を指した。この用語はローマ帝国の全盛期を指すパクス・ロマーナ(ローマによる平和)に由来する。
定義
パクス・ソビエティカと呼ばれる状況は、学者にもよるが
バグダッド協力機構の成立をもって始まったとされる。
この体制は新ソ連の国家方針によって必然的に到来したと言われる。周辺を反共国家に囲まれ、
第十一次十字軍で敗北した新ソ連は軍事力強化と合わせ多岐にわたる外交戦略を駆使した。
155年当時、中東の弱小国でしかなかった新ソ連はまずバラバラの社会主義国家をまとめ上げ
第五インターナショナルという形で社会主義陣営の主導権を握った。軍事面では、新ソ連はフランス、ルークリアと東西の敵を破り列強の座に返り咲いた。
しかし新ソ連は社会主義陣営の盟主にとどまるつもりは無かった。新ソ連は自身のイデオロギーが求めるように世界秩序の確立を目指したのである。事実180年の前後にかけて新ソ連の公式文書の中にも度々"世界秩序"という用語が頻出するようになる。
そしてその立場を決定づけたのが
アークランド懲罰戦争と
バグダッド協力機構の設立である。新ソ連はアークランド懲罰戦争において国際正義の名の下で多国籍軍を率いて戦い、勝利した。そしてその直後に結成されたバグダッド協力機構は旧大陸圏を包括するイデオロギーを超えた国際機関だった。この二つの出来事が新ソ連を中心とする、新ソ連一強の国際秩序「パクス・ソビエティカ」を確立したと言われる。
実装
パクス・ソビエティカにおいては多くの国際対立が封じ込まれた。特にバグダッド協力機構総則第三条は加盟国間の武力不行使を規定しており、月ノ谷=セントリア間や
大中華=ラティアンス間の衝突を抑え込んだ。
また新ソ連はパクス・ソビエティカ(というより自身の勢力圏)の維持について強烈な姿勢を取った。特に自身の生命線と認識している地中海においては独自路線を思考するガルシアに対し度々干渉を繰り返した。同様の現象はルークリアでも見られ、
北ルークリア動乱への武力介入はその際たるものだった。
またパクス・ソビエティカが国際的にも認知され盤石なものとなった187年頃から新ソ連は更なる勢力拡大に関心を示すようになった。積極的な南極政策や、東アフリカ(
U.N.E.)への介入、187年大西洋戦略大綱はいずれもパクス・ソビエティカを拡大することを目指したものだった。
しかしこうした政策は
コンゴ戦争の失敗や、
セランゴール危機以降の中華との対立の深まりによって挫折し、かえってパクス・ソヴィエティカは大きくほころぶことになった。
194年に成立したSDPウェーゲナー政権はコンゴ戦争を終結に導くとともに、イデオロギーを問わない覇権体制であるパクス・ソヴィエティカを批判し
ウェーゲナードクトリンを唱えた。
ウェーゲナードクトリン
ウェーゲナードクトリンはランプレヒト・ウェーゲナー大統領が主導する外交政策。直接的には199年のダマスカスで行われたレグルス戦争終戦記念式典での演説に由来する。ウェーゲナーはこの演説で自由民主主義世界の協調を訴え、「専制君主国家」「民族主義ファシスト国家」「急進的資本主義国家」「偽りの社会主義国家」を非難した。それまで新ソ連は二段階革命論や多元社会主義論といった外交理論に基づき
大中華や
企業国家アイリスに代表される国々との友好関係を築いてきたが、この演説はそうした方針を大きく覆すものであった。
この外交方針の大転換の背景には従来の共産党政権の外交を踏襲しないというSDP側の思惑もあったが、共産党政権末期の時点ですでに大中華との対立路線が明らかになりつつあり、決して突飛なものではなかった。
友好国
新ソ連は社会主義圏及び共和制の国家と友好的である。社会主義国家機構である
第五インターナショナルに加盟している。
敵対国
外交表
国旗 |
国名 |
関係 |
状態 |
評価 |
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レグルス国民国 |
敵国 |
懸念 |
レグルス戦争で滅亡したレグルス帝国の継続政府を自称する国家。新ソ連政府は国家承認しておらず、ルークリア人民共和国の領土を不法に占拠する非国家主体と定めている。 |
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新生ローマ帝国 |
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脅威 |
北イタリアの国家。有数の海軍力を誇りガルシア内戦では新ソ連海軍と大規模衝突した。新ソ連海軍が仮想敵とする国家であり、彼らの海軍は新ソ連海軍の地中海への傾注の理由の一つ。 |
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トラキア・ローマ帝国 |
敵国 |
脅威 |
バルカン半島に位置する国家。君主制国家で友好国の月ノ谷連邦とも対立するなど脅威とみなされている。 |
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南亜連邦(北ルークリア) |
第五インター |
同盟 |
ルークリア民主主義共和国とインドを二分する国家。レグルス帝国が滅ぼしたルークリア・レチアル人民共和国亡命政権に起源をもつ国家。新ソ連が強力に支援しており、経済・軍事的に新ソ連に依存している。 |
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ルークリア民主主義共和国(南ルークリア) |
第五インター |
良好 |
インドに位置する国家。レグルス帝国時代には宗主国と植民地の関係だったが、レグルス帝国の敗戦に伴い独立した。北ルークリアを正当なルークリア政府として承認する新ソ連とは険悪な関係が続いていたが、左傾化に伴って関係改善が行われた。 |
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パインランド人民共和国 |
第五インター |
同盟 |
南米に存在する唯一の社会主義国家であり、社会政治的生命体論と呼ばれる独自の社会主義理論を構築し革命闘争を続ける国家。社会主義陣営全体にとっての南米への橋頭保であるとともに新ソ連にとっては熱帯性資源の貴重な入手先となっている。 |
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月ノ谷共和国連邦 |
第五インター |
良好 |
南コーカサスに位置する国家。地中海、黒海に焦点を当てた軍事同盟を締結。 |
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シランナ社会主義連邦共和国 |
第五インター |
同盟 |
フィンランドに位置する伝統的社会主義国家。自主管理社会主義を標榜する。穏健な外交政策を進める一方で武器輸出で多大な財を儲けるしたたかな国家。 |
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大エンダー社会主義共和国 |
第五インター |
良好 |
ウラル山脈近辺に広大な領土を持つ社会主義国家。おそらく世界で最も強力な宇宙軍を保有する。 |
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イットリカン民主主義国 |
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同盟 |
カナダ北部に位置する強力な民主主義国家。戦う民主主義を標榜し君主主義に対してともに戦う国家として歴史的に新ソ連と友好関係にある。新ソ連の歴史においてイットリカンの与えた経済的・軍事的恩恵は計り知れない。現在でも空軍部隊が新ソ連に駐留している。 |
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スティーブ・クラフタリア同盟連邦 |
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良好 |
パタゴニア地方に位置する伝統的民主主義陣営セントラル自由主義機構(CELTO)の盟主。反新自由主義を掲げ、イデオロギー的にも新ソ連に近い。距離的には離れているが、その強力な海軍力とともに反君主主義闘争をともに戦う同志として期待している。 |
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レイブン共和国 |
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良好 |
インドシナに存在する国家。反テロリズム条項を含む友好条約を締結。 |
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秋月皇国 |
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良好 |
日本列島に存在する国家。通商友好条約を締結。福江島を軍事基地として租借。 |
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瑞州合衆国連邦 |
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良好 |
北米南部に位置する自由民主主義国家。通商関係が存在するほか、クウェート港の限定的軍事利用を認めている。 |
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大中華 |
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冷淡 |
支那南部に位置する極東の国家。民族主義・ファシスト国家であり、二段階革命論により封建制国家よりも進んだ国として友好関係にあった。かつてはその人口から来る市場価値やルークリア問題での共闘路線から蜜月関係が続いていたが、南ルークリア社会主義革命以降は一転して関係の冷却化が続いている。 |
最終更新:2025年07月16日 18:05