鬱エンド

鬱エンド


鬱エンドとは、物語が悲劇的な結末を迎え、観る者や読む者に深い憂鬱感や虚無感を与えるエンディングのことを指します。
主にフィクション作品において使われる用語であり、特に救いがなく報われない幕切れが特徴です。


概要

鬱エンドの特徴
救いのない結末
  • 登場人物が不幸な運命を辿り、希望や解決策が提示されない
重苦しい雰囲気
  • ストーリー全体に暗いトーンが漂い、観客や読者に心理的負担を与える
予想外の展開
  • 意外性のある悲劇的な出来事が物語の終盤に起こることが多い
感情への強い影響
  • 視聴者や読者に虚無感、悲しみ、怒りなどを引き起こす

主なジャンルと作品
鬱エンドはさまざまなジャンルで見られますが、特に以下の分野で頻繁に取り入れられています。
ゲーム
  • ギャルゲーやエロゲー、ダークファンタジー系RPGなどで採用されることが多く、プレイヤーの選択次第では「核地雷級」の鬱エンドがトゥルーエンドとして設定されている場合もあります
ミスト (2007)
  • 絶望的な選択を迫られるラストが有名。
ダンサー・イン・ザ・ダーク (2000)
  • 主人公の悲劇的運命が描かれるミュージカル映画
セブン (1996)
  • 衝撃的なラストシーンで知られるサスペンス映画
隣の家の少女 (ジャック・ケッチャム)
  • 心理的にも凄惨な描写が特徴
向日葵の咲かない夏 (道尾秀介)
  • 不気味かつ絶望的な展開
人間失格 (太宰治)
  • 人間の弱さと絶望を描いた名作

魅力と影響
鬱エンドは一般的には後味が悪いと感じられるものですが、一部ではその深刻さやリアリティから「心に残る名作」として評価されることもあります。特に、現実世界でも起こり得るようなテーマ人間関係の複雑さを扱うことで、多くの考察や議論を呼ぶ作品も少なくありません。

ただし、見る人や読む人によっては精神的負担となるため、鑑賞や読書時には注意が必要です。

作品例

『ドラッグオンドラグーン』

『ドラッグオンドラグーン』(DOD)は、典型的な「鬱ゲー」として知られており、そのエンディングの多くが救いのない結末を迎えるため、プレイヤーに深い虚無感絶望感を与える作品です。
ゲーム内にはAからEまでの5種類のエンディングが存在しますが、どれも明るい希望を描くものではなく、むしろ悲劇的で重苦しい展開が特徴です。
Aエンディング
  • 主人公カイムの相棒であるレッドドラゴン(アンヘル)が自ら封印となり世界を救うものの、主要キャラクターの多くが死亡し、悲しみに満ちた余韻が残ります
Bエンディング
  • 復活したフリアエが異形の怪物「復讐の女神」と化し、世界中に怪物が溢れる中で物語が終わります
  • カイムとレッドドラゴンのその後も不明です
Cエンディング
  • カイムとレッドドラゴンが敵対し、カイムが彼女を殺害。その後、大量のドラゴンとの戦いに向かうという絶望的な幕切れです
Dエンディング
  • 世界は「神の理」を超えた変貌を遂げ、主要キャラクターたちが次々と命を落とします
  • 結末は曖昧ながらも破滅的な状況が描かれます
Eエンディング
  • 舞台は異世界の東京・新宿に移り、カイムとレッドドラゴンは「母体」と呼ばれる存在を倒すものの、その後戦闘機に撃墜され死亡
  • 東京タワーに突き刺さるドラゴンの遺体で幕を閉じるという衝撃的なラストです
鬱ゲーとして評価される理由
『ドラッグオンドラグーン』は、以下のような点から「伝説的な鬱ゲー」として位置づけられています。
  • 救いのない結末が徹底されていること
  • キャラクターたちが抱える過酷な運命や狂気的な行動
  • プレイヤーに心理的負担を強いるストーリー展開

そのため、このゲームは間違いなく「鬱エンド」の典型例と言えます。
『寄生ジョーカー』

『寄生ジョーカー』は、典型的な「鬱ゲー」として知られており、エンディングの多くがプレイヤーに絶望感虚無感を与える内容となっています。
ゲームは複数のエンディングを持つマルチエンディング形式ですが、どの結末も救いが少なく、重苦しい雰囲気が特徴です。
キャラクターの悲惨な運命
  • 主人公の藤堂晴香は危険な組織から逃れるために友人たちを犠牲にするかどうかの選択を迫られます (→倫理的ジレンマ)
  • またその企みを友人や仲間に見抜かれ、晴香は化け物たちがいる外へと追い出されます
  • 晴香や仲間たちが寄生体や陰謀によって命を落とす、あるいは人間性を失う展開が頻出します
  • 特に主要キャラクターが次々と悲劇的な最期を迎えるため、プレイヤーに強い衝撃を与えます
救いのない結末
  • エンディングによっては、一時的な解決が描かれるものの、後遺症やさらなる危機が暗示されるなど、完全なハッピーエンドは存在しません
心理的負担
  • グロテスクな描写や精神的に追い詰められる状況が多く、プレイヤーにトラウマを与えるような演出が随所に見られます

主なエンディング例は以下の通りです。
ED6「見過ごされた危機」
  • 晴香が抗体を手に入れて一時的に寄生体から解放されるものの、大きな危機がまだ残っていることが暗示されます
ED7「日陰に生きる者」
  • 晴香が寄生体によって化け物化しながらも自我を保ちつつ逃亡するという、救いのない結末
ED11「使命の代償」
  • 晴香、姫乃、冴子の三人は抗体を分け合い命を繋ぐものの、全員が後遺症を負い、寄生体に関わった人々の悲惨な運命を象徴する内容となっています
  • 晴香は身体機能が著しく低下し身体を満足に動かすことができません。咳き込むと思われましたが、実際には吐血します
  • 冴子は抗体を奪い、その後アビスという化け物に半身を潰されましたが寄生体の力で生き延びました。ですがその後遺症で血に対するトラウマを抱えており、晴香の吐血を見て錯乱します
  • 姫乃は言語機能に影響が出ています。姫乃は「たどたどしい言葉」で話すようになり、他の2人と同様に、全般的な身体機能の低下が示唆されています

『寄生ジョーカー』はその暗く重いストーリー展開と救いのない結末から、「伝説的な鬱ゲー」として評価されています。プレイヤーには達成感よりも虚無感や悲哀感を与える作品であり、その独特な世界観とストーリーテリングが一部で高く評価されています

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最終更新:2025年01月31日 13:44