ケルビム

ケルビム

ケルビム(智天使)は、キリスト教ユダヤ教の天使学において、天使の階級で上位に位置する存在です。


概要

ケルビムの概要
語源と意味
  • 「ケルビム(Cherubim)」はヘブライ語で「ケルブ(Keruv)」の複数形で、「強力な者」「祝福された者」を意味します
  • 古代アッシリア語の「karabu」(強力・偉大)に由来すると考えられています
階級
  • 天使の九階級では、セラフィム(熾天使)に次ぐ第二位に位置し、神に近い存在として知られています

特徴と姿
外見
ケルビムは異形の姿を持つとされ、エゼキエル書によれば以下の特徴があります:
  • 四つの顔(人間、獅子、牛、鷲)
  • 四つの翼を持ち、その翼で体を覆う
  • 人間のような手を持つ
象徴性
  • その四つの顔は黄道十二宮や四元素(火、風、水、地)とも関連付けられ、「四」の守護者として捉えられることがあります

役割
1. 神の守護者
  • ケルビムは神聖な場所を守る役割を担います
  • 創世記では、アダムとエバが楽園を追放された後、「生命の木」を守るために炎の剣とともに配置されたとされています
  • 契約の箱(アーク)の上部にもケルビム像が置かれ、神の臨在を象徴しました
2. 知恵と啓示
  • 「智天使」という名が示す通り、ケルビムは最高度の知恵を持ち、それを他者に分け与える存在です
  • 彼らは神を見る能力を持ち、その美しさや秩序を観想するとされています
3. 神の玉座の担い手
  • エゼキエル書では、ケルビムが神の玉座を支える描写があり、神を運ぶ「乗り物」としても機能しています

文化的影響
  • ケルビムは中世からルネサンス期にかけて芸術作品にも頻繁に登場し、特にぽっちゃりした子供(プットー)の姿で描かれることもあります
  • ただし、この描写は聖書的な記述とは異なるものです
  • また、「四つの顔」のイメージは古代アッシリアやバビロニア文化に見られる守護獣とも関連があると考えられています

ケルビムは単なる守護者ではなく、知恵と啓示を象徴する存在として重要視されます。その姿や役割は複雑でありながらも、神との深い結びつきを示しており、人間界と天界を繋ぐ特別な存在として描かれています。

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最終更新:2024年12月22日 06:38