屍人
「屍人(しびと)」は、主にホラーゲーム『SIREN』シリーズを通じて知られる存在であり、特異な設定と恐怖感を持つキャラクター群です。
概要
屍人は、赤い水(呪いの力を持つ液体)を体内に取り込んだ人間が変異した存在です。
この赤い水の影響により、死亡後も蘇生し、通常の人間とは異なる形態や行動をとるようになります。
屍人の特徴
- 変異のプロセス
- 人間が赤い水を摂取し、その状態で死亡するか、一定量以上体内に赤い水が蓄積される
- サイレン音(堕辰子という神の鳴き声)によって蘇り、半屍人として活動を始める
- 「海送り」と「海還り」という儀式を経て完全な屍人となり、最終的には赤い海に溶け込み神の一部となる
- 形態と進化
- 屍人は進化段階によって様々な形態を取ります。
- 半屍人: 人間の姿をある程度保ちながらも、目から血液の涙を流し続けるなど異常な特徴を持つ
- 完全な屍人: 犬屍人、蜘蛛屍人、羽根屍人、頭脳屍人などの形態に進化し、それぞれ特有の能力や役割を持つ
- 不死性
- 屍人はどんな傷を負っても再生するため、不死身とされています
- ただし、「神」の力や特殊な手段でのみ完全に消滅させることが可能です
- 知性と行動
- 知性は低下しており、生前の記憶や習慣をぼんやりと繰り返すことがあります
- 一方で、銃火器を扱う能力など、一部では異常な精度や能力を発揮する場合もあります
- 視覚世界
- 屍人には現実世界が幻想的で美しいものとして映ります
- そのため、自分たちが「素晴らしい世界」に住んでいると感じ、人間にもその世界を共有させようとして襲うことがあります
- ただし、人間側から見ると恐怖の対象です
- 文化的背景と解釈
- 屍人は単なるゾンビとは異なり、「神との一体化」や「呪い」といった宗教的・神秘的な要素が強調されています
- この設定は日本独自の死生観や再生観念とも結びついており、『SIREN』シリーズ全体に深みを与えています
- また、屍人化した者たちが生前の記憶や行動を繰り返す描写は、人間性の喪失や悲劇性を強調する要素として機能しています
- 物語的役割
- 屍人は『SIREN』シリーズにおいてプレイヤーキャラクターに立ちはだかる敵でありながら、その背景には悲劇性や複雑な設定が込められています
- 彼らは単なる恐怖の象徴ではなく、「呪われた存在」として物語全体のテーマにも深く関わっています
屍人は、『SIREN』シリーズ特有の設定によって
ゾンビなどとは一線を画す存在です。赤い水による変異、不死性、知性の低下、生前の記憶や行動など、多くの独自要素が絡み合い、その恐ろしさだけでなく悲劇性も描かれています。また、日本的な死生観や宗教的テーマとの関連もあり、単なる敵キャラクター以上の深みを持つ存在と言えます。
SIREN以外での屍人
「屍人」という言葉は、ホラーゲーム『SIREN』シリーズで知られる存在ですが、それ以外にも文化や伝承において類似の概念が見られます。以下に、『SIREN』以外の屍人に関連する情報を解説します。
- 1. 道教における「三尸」
- 道教では「三尸(さんし)」という、人間の体内に宿る邪悪な霊的存在が伝えられています
- これらは人間の寿命を縮めたり、欲望を煽ったりする存在として描かれます
- 人間が死亡すると自由になり、鬼神として活動する
- 三尸は上尸(頭部)、中尸(腹部)、下尸(足部)に宿り、それぞれ異なる病気や欲望を引き起こすとされています
- 日本にもこの概念が伝わり、「庚申待(こうしんまち)」などの風習が生まれました。これは三尸が体外に出ないよう眠らずに過ごす行事です
- 2. 日本の妖怪や伝承
- 日本の伝承や妖怪にも、「死者」や「屍」に関連する存在が登場します。
- がしゃどくろ: 戦死者や野垂れ死にした人々の恨みが集合して生まれた巨大な骸骨の妖怪。夜間に現れ、人を襲う恐ろしい存在とされています
- 以津真天(いつまで): 葬られなかった死者の霊魂が妖怪化したもの。疫病が流行した年に現れるとされ、未処理の死体への警告として描かれる
- 魍魎(もうりょう): 墓場に現れて死体を食べる妖怪。これも屍や死者と関連する存在です
- 3. アンデッド(Undead)の概念
- 西洋ファンタジーやホラー作品では、「アンデッド」として屍人に近い存在が広く描かれています。
- ゾンビ: 死体が魔法やウイルスで蘇ったもの。意識や知性を失い、本能的に動くことが多い
- スケルトン: - 骨だけになった死体が活動するもの。ゾンビよりも弱い存在として描かれることもあります
- リッチ: 高度な魔法使いが不死を求めて自らアンデッド化した存在。知性を保ちながら強力な力を持つ
『SIREN』以外でも、「屍人」に類似する概念は道教、日本の妖怪、西洋ファンタジーなど多くの文化で見られます。これらは「死者の復活」や「未浄化の魂」といったテーマを通じて、人間の
死生観や
恐怖心を象徴的に表現していると言えます。それぞれ独自の背景や設定を持ちながらも、共通して「死後もなお活動する存在」として描かれる点で興味深い共通性があります。
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最終更新:2025年01月12日 19:32