ガンガー
ガンガー(Gaṅgā, गंगा)は、
ヒンドゥー教における神聖な川「ガンジス川」を神格化した
女神であり、「母なるガンガー」として広く崇拝されています。
概要
ガンガーは単なる
女神ではなく、「命」「浄化」「再生」を象徴する存在です。その水によって数千年にわたりインド社会や宗教文化が支えられてきました。
現在でも多くの人々が彼女への信仰心を抱き、聖なる川として崇拝し続けています。その壮大な神話と深い象徴性は、インド文化だけでなく世界中で注目されています。
ガンガーの神話と起源
- ガンガーはヒマラヤ山脈の山神ヒマヴァットの娘として生まれた天界の女神であり、シヴァ神の妃パールヴァティーの妹、あるいは姉ともされています
- 彼女はもともと天界に流れる聖なる川であり、ヴィシュヌ神の足の指から流れ出た水として描かれることもあります
地上への降臨
ガンガーが地上に降りた経緯は、以下のような壮大な神話に基づいています:
- 1. バギーラタ王の苦行
- バギーラタ王は、自身の祖先6万人が地下世界で亡くなり、その霊を浄化するためにガンガーを地上へ招く必要があると知りました
- 彼は1,000年間苦行を続け、ついにガンガー女神を地上へ降ろす許可を得ます
- 2. シヴァ神の協力
- 天界から地上へ直接流れるとその奔流が地球を破壊してしまうため、シヴァ神がその髪でガンガーを受け止めました
- シヴァの髪から穏やかに流れ出た水が現在のガンジス川となったとされています
象徴と役割
- 浄化と救済
- ガンジス川(=ガンガー)は「聖なる川」として信仰され、その水は罪や汚れを清めるとされています
- 沐浴や遺灰を流すことで輪廻から解脱できると信じられています
- この浄化の力ゆえに、多くの巡礼者がバラナシや他の聖地で沐浴を行います
- 自然と生命の象徴
- ガンガーは水そのものを象徴し、生命を育む存在としても崇拝されています
- 農業や日常生活に欠かせない水源として、インド文化全体に深い影響を与えています
信仰と儀式
- プジャ(礼拝)
- ガンジス川沿いでは毎日礼拝儀式「プジャ」が行われます。特にバラナシでは僧侶たちによる壮大な儀式が行われ、多くの巡礼者が参加します
- プジャでは火や花が捧げられ、「バギーラタ王」「ガンガー女神」「シヴァ神」の順で礼拝が捧げられます
- 巡礼
- ヒンドゥー教徒にとって、生涯に一度は聖なる川で沐浴することが理想とされます
- また、死後には遺灰をこの川に流すことで魂が救済されると信じられています
文化的影響
- 芸術と表現
- ガンガー女神はしばしばワニ(クンビーラ)を乗り物(ヴァーハナ)として描かれます
- また、シヴァ像には彼の髪から流れる小さな女性像として表現されることもあります
- 他文化との共通点
- ガンジス川での沐浴は、日本の禊やキリスト教での洗礼など、水による浄化儀式との類似点があります
- これらは自然界への畏敬と浄化思想という普遍的なテーマを共有しています
最終更新:2025年01月14日 07:47