グール
グール(Ghoul)は、アラビア伝承やファンタジー作品に登場する
モンスターで、死体を食べる「屍食鬼」として知られています。
文化や作品によってその描写は異なりますが、
概要
グールは、アラビア伝承から始まり、西洋文学や現代のポップカルチャーまで幅広く取り入れられている怪物です。
その描写は文化や作品によって異なりますが、「死体を食べる」「異質な存在」といった共通点があります。現代作品では単なる
ホラー要素だけでなく、哲学的・社会的
テーマとも結びつけられることが多く、多面的な魅力を持つキャラクターとなっています。
起源と伝承
- 1. アラビア伝承
- グールはアラビア語の「ghul」(悪魔)に由来し、砂漠に住む怪物として描かれています
- 墓を暴き死体を食べるほか、ハイエナや人間に化けて旅人を騙し、殺して食べるとされています
- アラビアの民話では、人間と会話できる知能を持ち、時には善良なグールも登場します
- 2. イスラム教と文化的背景
- イスラム教以前の時代から伝承されており、ハディース(預言者ムハンマドの言行録)にも登場します
- 鉄を恐れるため、鉄剣がグール避けとして使われることがありました
- 3. 西洋への伝播
- 18世紀にオリエンタリズム文学を通じて西洋に紹介されました
- 特にWilliam Beckfordの小説『Vathek』で英語圏に広まりました
特徴
- 外見
- アラビア伝承では体色や姿を変えられる能力を持ち、特にハイエナに化けることが多い
- クトゥルフ神話では犬に似た顔立ちやゴムのような皮膚を持つ地下生物として描かれます
- 行動
- 墓地や砂漠などで死体を漁り、人間の肉(特に心臓)を好んで食べます
- 一部の伝承では性的快楽のために人間を襲うとも言われています
- 弱点
- 鉄剣(特にシミター)で倒せるとされますが、一部では傷口が再生する性質も語られています
現代文化でのグール
- 1. ファンタジー作品
- RPGや小説ではアンデッドモンスターとして扱われることが多く、ゾンビと類似した存在として描かれる場合があります
- 『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では墓地に出没するアンデッドとして登場し、この設定が他作品にも影響を与えました
- 2. クトゥルフ神話
- ラヴクラフトの作品では独立した種族として描かれ、人間社会から孤立しつつも寄生的な生活を送ります
- ドリームランド(夢の世界)にも登場し、人間がグール化するケースもあります
- 3. 東京喰種(トーキョーグール)
- 石田スイによる漫画『東京喰種』では、人間社会に紛れ込む「喰種」として描かれています
- ここでは人間を捕食する種族として設定され、哲学的テーマや社会問題とも絡められています
象徴性と解釈
- グールは死体を食べるという忌まわしい行為から、人間社会におけるタブーや恐怖心の象徴とされています
- 一方で、「異質な存在」として描かれることで、差別や偏見など現実社会の問題へのメタファーとしても活用されています(例: 『東京喰種』)
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最終更新:2025年01月05日 20:51