セレーネ
概要
セレーネは
ギリシア神話において月そのものを象徴する重要な存在でありながら、その役割が他の女神たちと融合していく過程で独自性が薄れていった点も興味深い特徴です。
起源と家族関係
- 姿と役割
- セレーネは、美しい黄金の冠を戴き、輝く衣装をまとった翼を持つ女性として描かれます
- 彼女は夜ごとに白馬または銀色の馬に牽かれた戦車で天空を駆け巡り、月光を地上に届ける存在です
- 月が夜を照らすことで旅人を導き、悪事を防ぐ役割も担っていました
- また、月経との関連から、生殖や繁殖、動植物の成長にも影響力があると考えられていました
- 三重の女神としての側面
- セレーネは、アルテミス(新月)やヘカーテ(欠けた月)とともに「三重の女神」として捉えられることがあります
- この三重性は、月が満ち欠けする様子に対応しています
恋物語
- エンディミオンとの愛
- セレーネにまつわる最も有名な神話は、美青年エンディミオンとの恋物語です
- エンディミオンは羊飼いで、その美しさに魅了されたセレーネは彼に不老不死を与えるようゼウスに願いました
- しかし、不老不死と引き換えにエンディミオンは永遠の眠りにつくことになりました
- セレーネは毎夜彼を訪れ、その眠る姿を愛し続けたと言われています
- この二人の間には50人の娘たちが生まれ、「暦月」を司る女神たちとして知られています
- その他の恋愛関係
- セレーネはゼウスとの間に満月の女神パンディアや他の娘たちをもうけたともされます
- また、牧神パーンも彼女に恋し、純白の羊毛で彼女を誘惑したという逸話もあります
- アルテミスやヘカーテとの関係
- 時代が進むにつれて、セレーネは狩猟や貞潔を司るアルテミスや魔術と闇を象徴するヘカーテと同一視されるようになりました
- このため、セレーネ自身の独立した信仰は徐々に薄れていきました
- シンボルと崇拝
- セレーネのシンボルには月、馬、白い牡牛などがあります
- 彼女への崇拝は特定地域で行われており、その姿は絵画や彫刻にも描かれています
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最終更新:2025年01月12日 18:04