ヘリオス
ヘリオス(Ἥλιος, Hēlios)は、
ギリシア神話における
太陽神であり、太陽そのものを擬人化した存在として崇拝されました。
基本情報と役割
- 系譜
- ヘリオスはティーターン神族の一員で、光明神ヒュペリーオーンと視覚の女神テイアーの息子です
- 姉妹には曙の女神エーオース(月の女神セレーネー)がいます
- 象徴
- 太陽の戦車、馬、雄鶏がシンボルとされ、毎日4頭立ての黄金の馬車に乗り、東から西へと太陽を運ぶ役割を担いました
- 住処
- 東の果てにある宮殿に住み、夜には大地の下を通り、西から東へ戻るとされました
神話とエピソード
ヘリオスは
ギリシア神話において太陽そのものとして描かれるだけでなく、多くの物語や象徴的な役割を通じて重要な存在として語り継がれています。
- 1. 全知の太陽神
- ヘリオスは天空から地上を見渡し、すべてを目撃する「全知の神」としても知られています。この能力により、以下のような重要な場面で活躍しました。
- 2. パエトーンの悲劇
- ヘリオスはクリュメネーとの間に生まれた息子パエトーンを持ちます
- パエトーンは父ヘリオスの戦車を操ろうとしましたが制御できず、大地を焼き尽くす大災害を引き起こし、ゼウスによって雷で討たれてしまいました
- 3. 恋愛物語
- レウコトエーとクリュティエー: ヘリオスはペルシア王オルカモスの娘レウコトエーと恋仲になりましたが、それに嫉妬した水の精霊クリュティエーが父親に密告。レウコトエーは生き埋めにされました。ヘリオスは彼女を乳香の木へと変えました。一方、クリュティエーは悲しみからヒマワリ(またはヘリオトロープ)になったとされています
- 4. 『オデュッセイア』での役割
- オデュッセウスの部下たちがヘリオスの聖なる牛を殺して食べたため、ヘリオスはゼウスに報復を求めました
- その結果、ゼウスは彼らの船を雷で破壊し、生き残ったのはオデュッセウス一人だけでした
紀元前4世紀頃から、光明神としての性質を持つ
アポロンと同一視されるようになりました。そのため、後代では
アポロンが
太陽神として認識されることが多くなり、ヘリオス自身の信仰は次第に影響力を失いました。
その他
- ヘリオスはローマ神話では「ソール(Sol)」として知られています
- 1868年の日食時に発見された元素「ヘリウム(Helium)」は彼の名前から名付けられました
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最終更新:2024年11月28日 00:55