火車
火車(かしゃ)は、日本の妖怪伝承に登場する恐ろしい存在で、主に葬儀や墓地で死体や魂を奪うとされています。
その起源や特徴、伝承にはさまざまなバリエーションがあり、地域ごとに異なる物語が語られています。
概要
特徴と行動
- 外見
- 火車は炎を纏った巨大な猫の姿として描かれることが多く、赤い目や鋭い爪を持つ恐ろしい存在です
- また、燃え盛る車輪(火の車)に乗って現れるともいわれています
- 行動
- 主に葬儀や墓地で死者の遺体や魂を奪い去り、地獄へ引きずり込むとされています
- 特に、生前に悪事を働いた者の遺体が狙われることが多いです
- 出現時
- 火車は突如として嵐や雷雨を伴って現れることが多く、その場の天候が急変するという伝承があります
- 起源と名前の由来
- 火車という名前は仏教用語に由来し、「生前に悪事を働いた者を地獄へ運ぶ燃え盛る車」を指します
- この仏教的な概念と、日本特有の猫に関する迷信が結びついて妖怪としての火車が形成されたと考えられています
- 日本では古来から猫は魔性の存在とされ、「猫を死人に近づけてはならない」「棺桶を猫が飛び越えると死体が蘇る」といった迷信が広く信じられていました。このような背景から、火車の正体は老いた猫(猫又)であるという説もあります[
- 地域ごとの伝承
- 火車の伝承は日本全国に広がっており、地域ごとに異なる物語があります
- 越後国(新潟県): 雷雨とともに現れ葬列を襲う火車が描かれた話があります
- 静岡県: 僧侶が如意で火車を撃退したという伝承があります
- 山形県: 火車猫が遺体を奪おうとした際、和尚によって追い払われた話が残されています
- 宮崎県: 嵐の中で火車が遺体を狙ったものの、僧侶によって退散させられたという話があります
- 対策と風習
- 火車から遺体を守るため、地域ごとにさまざまな風習や対策が取られてきました。
- 楽器(妙鉢など)を叩いて音を立てる
- 僧侶が呪文を唱えたり、棺桶の上に座って祓う
- 文化的意義
- 火車は、日本人の死生観や宗教観と深く結びついています
- 死者への敬意や適切な埋葬儀式の重要性を強調する役割も果たしており、不適切な供養への警告として機能してきました
- また、現代ではホラー作品や文学、アニメなどにも登場し、その神秘的で恐ろしいイメージが親しまれています
猫又との関連性
火車(かしゃ)は猫を
モチーフにした
妖怪です。
その正体は、年老いた猫が
化け猫となったもの、または
猫又(ねこまた)であると伝えられています。火車の伝承は、日本各地に広がっており、葬式や墓場から死体を奪う妖怪として恐れられてきました。
猫が火車のモチーフとなった背景には、日本古来の猫に関する迷信や信仰が深く関係しています。例えば、「猫を死人に近づけるな」「棺桶を猫が飛び越えると死体が蘇る」といった俗信があり、猫は魔性の存在とされてきました。このような迷信と、仏教の「火車」(地獄で悪人を運ぶ燃え盛る車)の概念が結びつき、妖怪としての火車が誕生したと考えられています。
また、火車は悪行を重ねた人間の遺体を狙うことが多く、嵐や雷雨とともに現れるという特徴があります。これらの要素も、猫の
神秘的で不気味なイメージを強調するものとなっています。
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最終更新:2025年01月13日 16:55