オネイロス
オネイロス(Ὄνειρος, Oneiros)は、
ギリシア神話における夢の神であり、夜の女神
ニュクス(Nyx)の息子です。
彼は眠りの神
ヒュプノス(Hypnos)や死の神
タナトス(Thanatos)と兄弟関係にあります。
概要
役割と特徴
オネイロスは夢そのものを神格化した存在で、人々が眠っている間に夢を見せる役割を担っています。また、夢を通じて神々の意志やメッセージを人間に伝える重要な役割も果たしていました。
- 住処と夢の門
- ホメロスの『オデュッセイア』によれば、オネイロスたちは太陽が沈む西方の地、死者の国に近い場所に住んでいるとされます。そこから「象牙の門」と「磨かれた角の門」という二つの門を通じて人間界に現れます。
- 象牙の門:偽りの夢が通る
- 角の門:真実を伝える夢が通る
- この象徴的な描写は、夢が持つ曖昧さや真偽を表しており、古代ギリシアでは夢占いが盛んだった背景とも関連しています。
- 三柱のオネイロス
- オウィディウス『変身物語』では、オネイロスはさらに具体的な三柱として描かれています。それぞれが異なる形態で夢を表現します:
- モルペウス(Morpheus):人間の姿をとる夢
- イケロス(Icelos, 別名:ポベートール):動物や自然現象として現れる夢
- パンタソス(Phantasos):物体や無生物として現れる夢
- これらはヒュプノスの洞窟内で漂い、人々にさまざまな形で夢を見せるとされています。
- 象徴的な意味
- オネイロスは単なる夢ではなく、神々から送られる啓示や予兆として重要視されました
- 特に古代ギリシアでは、夢占いが宗教的・社会的な意味を持ち、人々はオネイロスから送られるメッセージを解読しようとしました
- 系譜
- ニュクス(夜)の子供たちには、オネイロス以外にもタナトス(死)、ヒュプノス(眠り)、モーモス(嘲笑)、ネメシス(復讐)など抽象概念を神格化した存在が多く含まれます
- これらはニュクスが持つ闇や夜というテーマと密接に結びついています
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最終更新:2025年01月13日 23:13