メタフィクション

メタフィクション


メタフィクションとは、物語の中でその作品が「フィクションであること」を意図的に示し、虚構と現実の境界を曖昧にする文学や表現技法です。
この手法は、読者や視聴者に対して「これは作り話である」という認識を促しつつ、その中で新たな視点やテーマを提示することを目的としています。


概要

特徴と手法
第四の壁の破壊
  • 作品内のキャラクターが読者や視聴者に直接語りかけたり、物語の設定そのものに言及することがあります
作中作や劇中劇
  • 物語の中にさらに別の物語が存在し、それが現実と虚構を交錯させる役割を果たす
自己言及
  • 作者自身が登場したり、作品自体について語ったりすることで、物語が「自分がフィクションであること」を明示します
メタ発言
  • 登場人物が作品外の事情(制作過程や設定など)について話す手法です
  • たとえば、「次回は私が主役だ」といった発言で、物語の外側を意識させます
媒体そのものを利用した演出
  • ページが破れるような描写、小説のフォーマットそのものを変える、ゲームではセーブデータを改変するなど、媒体自体を活用してメタ的な仕掛けを作る技法です
  • 『Undertale』や『君と彼女と彼女の恋。』などで見られます
フィクション内で現実を批評する
  • 作中で現実社会や他作品について批評的なコメントを行う技法です。
  • これにより、作品が現実との関係性を意識させる役割を果たします
キャラクターの自我覚醒
  • 登場人物が自分がフィクション内の存在であることに気づく手法です
  • この技法はキャラクターに新たな深みを与えつつ、物語全体にメタ的な視点を加えます

代表的な例
古典文学
  • セルバンテス『ドン・キホーテ』では、第2部で主人公が第1部の内容について言及し、自身がフィクションの登場人物であることを認識しています
現代文学
  • 芥川龍之介『羅生門』では、地の文で作者が自身の記述について言及する場面があります
映画・アニメ
  • 映画『デッドプール』はキャラクターが観客に直接話しかけるなど、メタフィクションの典型例です
  • また、『Re:CREATORS』は登場キャラクターが現実世界に干渉するという設定でメタフィクションを全面的に取り入れています

効果と意義
批評性
  • フィクションそのものやジャンルのお約束を批評的に扱うことで、新しい解釈や価値観を提示します
没入感と距離感の操作
  • 観客や読者を物語世界から一時的に引き離し、現実との関係性を考えさせる効果があります
注意点
  • メタフィクションは強いインパクトを持つ一方で、使い方によっては読者や視聴者の没入感を損なう可能性もあります
  • そのため、適切なバランスが求められる手法です

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最終更新:2025年01月18日 20:52