プロット・デバイスの概要

プロット・デバイスの概要

プロット・デバイスとは、物語のプロット(筋書き)を進行させるために用いられる技法や仕掛けのことです。
これにより、登場人物の行動や物語の展開が促され、読者や観客に物語を伝える目的が達成されます。プロット・デバイスは、作為的に感じられる場合もありますが、巧みに使われると自然に物語に溶け込み、読者や観客に違和感を与えません。


概要

プロット・デバイスの種類と例
No プロット・デバイス 定義 特徴
1 マクガフィン 主人公や登場人物たちが追い求めるオブジェクトや目標。
ただし、それ自体の詳細は重要ではない
物語の動機付けとして機能するが、
物語自体には大きな影響を与えない
『スター・ウォーズ』シリーズのR2-D2
(初期設定では重要な情報を持つキャラクター)
スパイ映画で狙われる「重要書類」や「宝石」
2 プロット・クーポン 物語を進行させるために主人公が
収集する必要がある複数のアイテムや情報
収集したアイテムが
最終的な目標達成や問題解決に結びつく
ファンタジー作品での「4つの魔法石」や「神器」
収集クエスト
探偵小説での「事件解決のための証拠」
3 デウス・エクス・マキナ 物語の解決が困難な状況を、
不自然な手段(神や超常現象など)
で解決する技法
批判されることも多いが、
意図的に使われる場合もある
ギリシャ悲劇で神々が登場して
問題を解決する場面
4 チェーホフの銃 物語中で登場した要素(道具や設定)が
後に重要な役割を果たす技法
無駄な要素を排除し、
伏線として機能する
『シャーロック・ホームズ』シリーズで
初めに示された手掛かりが事件解決に繋がる
プロット・デバイスの役割
1. プロットの進行
  • 登場人物に目的を与え、行動を促すことで物語を前進させます
2. 緊張感と興味の喚起
  • 読者や観客に次の展開への期待感を持たせます
3. テーマやメッセージの強調
  • デバイスそのものが物語全体のテーマを象徴する場合があります
4. 構造化
  • 複雑なストーリーを整理し、分かりやすく構造化します
注意点と批判
  • 作為的または恣意的なプロット・デバイスは、読者や観客に違和感を与え、不信感につながる可能性があります(→不信の停止の喪失
  • 過度な使用は物語を単調または予測可能にしてしまうリスクがあります

プロット・デバイスは、物語作りにおいて非常に有用なツールですが、その使用には慎重さが求められます。
巧妙に設計されたデバイスは読者や観客を引き込み、物語への没入感を高めます。一方で、不自然さが目立つ場合は逆効果となるため、ストーリー全体との整合性や自然さを保つことが重要です。

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最終更新:2025年01月26日 01:58