プロット・クーポン
プロット・クーポン(Plot Coupon)は、物語の展開を進めるために使用される
プロット・デバイスの一種です。
主人公が物語の過程で収集し、最終的に目標達成や問題解決のために使用するアイテムや情報のことです。
プロット・クーポンの概要
- 機能
- 物語を前進させる
- 主人公に明確な目標を与える
- 物語に構造を提供する
- 特徴
- 通常、複数のアイテムや情報が必要とされる
- 物語の終盤で「交換」され、大団円や事件の解決につながる
- 語源
- マクガフィンとの関連
- マクガフィンが複数必要な場合、それらはプロット・クーポンと呼ばれることがある
プロット・クーポンの例
- ファンタジー作品での魔法のアイテムの収集
- 探偵小説での証拠や手がかりの収集
- RPGゲームでのアイテム収集クエスト (→三種の神器など伝説の装備の収集、四大元素のクリスタル収集など)
作品例
宿儺の指『呪術廻戦』
『呪術廻戦』における「宿儺の指」はプロット・クーポンとして機能しています。
- 1. 物語の進行に必要な収集要素
- 宿儺の指は物語全体を通じて集められる重要なアイテムであり、主人公・虎杖悠仁がそれを取り込むことで宿儺の力が強化され、物語が進行します
- 指を集めることは、呪術高専や虎杖たちの大きな目標の一つであり、物語の軸となっています
- 2. 明確な目標設定
- 宿儺の指は20本存在し、これをすべて集めて無力化することが最終的な目標として提示されています
- この収集要素が物語全体に方向性を与えています
- 3. 試練と障害
- 宿儺の指を手に入れる過程では、特級呪霊や敵対者との戦闘など、多くの困難や試練が描かれます
- これにより、キャラクターたちの成長や絆が深まります
- 4. キャラクターとストーリーへの影響
- 宿儺の指を取り込むことで虎杖と宿儺の関係性が変化し、物語に緊張感を与えます
- また、指を巡る争奪戦が新たな敵や事件を生み出す要因となります
- 5. クライマックスへの布石
- 指をすべて集めることは物語のクライマックスに直結するため、プロット全体の伏線としても機能しています
- 具体例
- 虎杖が宿儺の指を取り込むたびに力が増し、それによって新たな戦闘やストーリー展開が生まれる
- 敵キャラクター(特級呪霊や呪詛師)が宿儺の指を狙うことで、対立構造や緊張感が生まれる
- 最終的に20本すべて集めることが物語全体のゴールとして設定されている
「宿儺の指」は、『呪術廻戦』における典型的なプロット・クーポンです。
収集という明確な目標が物語全体を推進し、その過程で試練や対立が描かれることでストーリーに深みと緊張感を与えています。このような収集要素は、キャラクター成長や物語展開において重要な役割を果たしています。
銃の悪魔の肉片『チェンソーマン』
『チェンソーマン』における「銃の悪魔の肉片」は、プロット・クーポンとして物語を進行させる重要な役割を果たしています。
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役割 |
概要 |
特徴 |
作品での使用例 |
1 |
収集要素としての 明確な目標 |
銃の悪魔の肉片は、物語全体で散らばった状態で存在し、 それを集めることがデンジたちの ミッションの一つとなっています |
肉片は互いに引き寄せ合う性質を持ち、 一定量集めることで銃の悪魔本体への道筋が 明らかになるという設定があります |
収集するたびに物語が進展し、 最終的な目標(銃の悪魔討伐)へと繋がります |
2 |
試練と障害 |
銃の悪魔の肉片は強力な悪魔が所持していることが多く、 それを回収するためには戦闘や 危険なミッションをクリアする必要があります |
各肉片収集ミッションが独立したエピソードや 試練として描かれ、キャラクターたちの成長や チームワークが試されます |
デンジたちがホテルで永遠の悪魔と戦うエピソードでは、 肉片回収が直接的な動機となっています |
3 |
世界観とストーリー への影響 |
銃の悪魔の肉片は、物語全体に緊張感と方向性を 与える重要な要素です |
銃の悪魔自体が世界的脅威であるため、 その肉片も恐怖や危険を象徴しています |
肉片を巡る争奪戦が新たな敵や事件を生み出す。 肉片収集がキャラクターたちの行動原理や 物語展開に直接影響を与える |
4 |
キャラクターとの 関係性 |
銃の悪魔とその肉片は、特に早川アキなど 特定キャラクターに深い個人的動機を与えています |
アキは家族を銃の悪魔によって失っており、 その復讐心から肉片収集に執着しています。 この個人的動機が物語に感情的な深みを加えています |
デンジやパワーも肉片収集ミッションを通じて成長し、 チームとしての絆が深まります |
5 |
クライマックス への布石 |
「銃の悪魔の肉片」は、最終的に銃の悪魔本体へ 繋がる伏線として機能します。すべて集めることで クライマックスとなる対決への道筋が明確になります |
真相としては「銃の悪魔の肉片」そのものは重要ではなく、 最も多くの「銃の悪魔の肉片」を管理している アメリカが、日本(マキマ)に向けて戦いを 仕掛けてくることをマキマは想定済みでした。 そのためマキマは公安対魔特異4課の全員の悪魔を支配し、 それらを使って銃の悪魔を支配しました |
銃の悪魔が世界各国で分割・管理されているという 設定が物語全体に緊張感を与えました。 マキマが銃の悪魔討伐作戦を指揮する一方で、 その真意が隠されていたこと (実際には支配することが目的だった) が物語後半で明らかになり、大きな衝撃となりました |
6 |
緊張感とスリル |
肉片自体が呪いのような存在であり、 それを巡る戦闘や危険な状況が物語にスリルを加えます |
肉片回収ミッションごとに新たな敵や課題が登場し、 読者や視聴者を引き込む要素となります |
永遠の悪魔が肉片を取り込むことで、その力を 増幅させました。またサムライソード一派の 沢渡アカネも肉片を使って彼らの能力を強化しました |
『チェンソーマン』における「銃の悪魔の肉片」は、以下のようなプロット・クーポンとしての特徴を持っています:
- 明確な目標(収集)によって物語全体を推進する
- 各ミッションごとに試練や障害を設定し、キャラクター成長やドラマ性を描く
- 世界観やキャラクター動機(特にアキ)と密接に結びついている
- 最終目標(銃の悪魔討伐)への伏線として機能する
これらによって、「銃の悪魔の肉片」は単なるアイテムではなく、物語全体に深く関わる重要なプロット・デバイスとなっています。
『鬼滅の刃』
『鬼滅の刃』におけるプロット・クーポンの例として挙げられるのは、物語の進行において重要な目標やアイテムを集める要素です。
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プロット・クーポン |
概要 |
プロット・クーポンとしての役割 |
1 |
日輪刀の素材収集 |
鬼殺隊の剣士たちが使用する「日輪刀」は、特別な鉱石から 作られています。炭治郎たちは刀鍛冶の里でこの素材を 得るためのエピソードが描かれます |
日輪刀は鬼との戦いに不可欠であり、その素材を手に入れることが キャラクターの成長や物語進行に直結します |
2 |
鬼の血と情報収集 |
炭治郎は鬼舞辻無惨を倒すため、鬼の血を集めて珠世に提供し、 無惨についての情報を得ようとします |
鬼の血は物語全体を通じて集められる重要な要素であり、 無惨討伐という最終目標への伏線となっています |
3 |
ヒノカミ神楽と技術習得 |
炭治郎が父から受け継いだ「ヒノカミ神楽」を戦闘技術として 習得し、強化していく過程 |
ヒノカミ神楽は炭治郎が戦いで成長するための重要な要素であり、 最終的には物語全体のクライマックスで大きな役割を果たします |
4 |
柱稽古(柱との訓練) |
炭治郎たちが柱(鬼殺隊最強剣士)との訓練を通じて 技術や精神力を鍛える |
柱稽古は炭治郎たちが最終決戦に向けて成長するために 必要な試練であり、物語進行上欠かせないステップです |
5 |
無限城での鬼討伐 |
無限城編では、炭治郎たちが上弦の鬼たちを次々と 倒しながら進む展開があります |
各上弦の鬼との戦いがそれぞれ独立した目標となり、 最終的に無惨討伐という大目標へと繋がります |
『鬼滅の刃』では、日輪刀や鬼の血など、物語進行やキャラクター成長に欠かせない要素がプロット・クーポンとして機能しています。
これらは単なる収集要素ではなく、それぞれがキャラクターや物語全体に深く関わり、ストーリーを推進する役割を果たしています。
闇の三大秘宝「幽☆遊☆白書」
「幽☆遊☆白書」に登場する「闇の三大秘宝」(降魔の剣、暗黒鏡、餓鬼玉)は、それぞれ物語の進行において重要な役割を果たし、プロット・クーポンとしての特徴を持っています。
- 1. 特定の状況を解決するための道具
- 各秘宝は、物語の中で特定の問題やキャラクターの葛藤を解決するために使用されます
- 餓鬼玉は剛鬼、暗黒鏡は蔵馬、降魔の剣は飛影の手に渡りました
- 例えば、暗黒鏡は蔵馬が母親を救うために使い、それが幽助との和解や信頼関係の構築につながりました
- 2. キャラクターの成長や絆を促進
- これらの秘宝は単なるアイテムではなく、キャラクター同士の関係性や成長を描くための媒介として機能します
- 暗黒鏡をめぐるエピソードでは、幽助が自ら命を半分差し出すことで蔵馬と和解し、仲間としての絆が生まれました
- 3. 物語における一時的な焦点
- 闇の三大秘宝は盗賊編という特定のストーリーアークで中心的な役割を果たし、その後は物語全体には大きく影響しません
- この点で、一時的にプロットを進行させるために導入された要素といえます
- 4. リスクと代償が伴う設定
- 各秘宝には強力な能力がある一方で、その使用にはリスクや代償が伴います
- 例えば餓鬼玉は人間の魂を吸い取るため、それを悪用する剛鬼から犠牲者を救うための戦いとなりました
- 暗黒鏡は願いを叶えるかわりに命を奪うため、蔵馬の母親を救うという人間ドラマが描かれました
- 降魔の剣は切った人間を妖怪に変える能力によって、雪村螢子が妖怪化するのを防ぐ展開となりました
- これにより、単なる便利アイテムではなく、ドラマ性が強調されています
これらの特徴から、「闇の三大秘宝」はプロット・クーポンとして機能していると考えられます。
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最終更新:2025年02月02日 23:26