プロットホール
プロットホール(Plot Hole)は、フィクション作品におけるストーリーの論理的な欠陥や矛盾を指します。
これは、物語の中で提示された設定 (→
内部論理) や出来事の一貫性 (→
ストーリーの一貫性) が矛盾または破綻している場合に発生し、読者や視聴者に違和感を与えることがあります。
概要
プロットホールの特徴
- 1. 論理的な矛盾
- 物語内で設定されたルール (→内部論理) や因果関係が破綻している場合
- 例として、キャラクターが不可能な行動を取ったり、説明されていない出来事が突然発生することなどがあります
- 2. 設定や描写の不整合
- 以前のシーンで提示された情報と後の展開が一致しないこと
- 例えば、キャラクターが特定の能力を持たないとされていたにもかかわらず、後半でその能力を使う場合など
- 3. 未解決の疑問
- 物語上重要な要素が説明されないまま放置される場合
- ただし、意図的な「謎」や「余韻」とは異なり、単なる作劇上のミスとして扱われます
プロットホールの原因
- 編集ミス
- 複数の脚本家や編集者が関与することで整合性が失われる
- 作家の失念
- 物語の複雑化
- 時間や予算の制約
- 映画やドラマでは制作上の制約により描写が省略されることがあります
プロットホールと類似概念との違い
- 「ルーズエンド」(Loose End)
- 未解決のサブプロットや要素
- ただし、意図的に余韻を残すための場合も多く、必ずしも欠陥とは言えません
- 「ご都合主義的展開」(Deus Ex Machina)
- ストーリー展開が強引で不自然に感じられる場合
- ただし、論理的には説明可能である点でプロットホールとは異なります
有名なプロットホールの例
- 1. 『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』
- ダース・ベイダーからルーク・スカイウォーカーを隠すためにルークをタトゥイーンに送りますが、その惑星はベイダー自身の故郷であり、名前も変えずに育てられるという矛盾があります
- 2. アガサ・クリスティ『ねずみとり』
- 刑事が犯人を知っているにもかかわらず、その場で逮捕せずさらなる殺人を許す描写は非論理的とされています
プロットホールへの対処法
- 事前計画と確認
- テスト読者や視聴者によるフィードバック
- 編集段階での見直し
プロットホールは作品への没入感を損なう可能性がありますが、小さなものは気にならない場合もあります。
一方、大きな矛盾は作品全体への評価に影響するため、作家や制作チームには注意深い作劇が求められます。
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最終更新:2025年01月28日 23:58