ストーリーの一貫性
シナリオ技法における「ストーリーの一貫性」とは、物語内で提示される出来事やキャラクターの行動が、
因果関係によって論理的につながり、矛盾なく展開されることを指します。
この概念は、物語の説得力を高め、観客や読者が物語に没入するために不可欠です。
概要
「ストーリーの一貫性」は、
因果関係、時間的連続性、キャラクターの整合性、
内部論理など複数の要素から成り立ちます。
一貫性を保つことで物語は説得力を持ち、観客や読者は安心してその
世界観に没入できます。
ストーリーの一貫性の要素
- 1. 因果関係(Causality)
- 出来事同士が原因と結果でつながっていることが重要です
- 例えば、主人公の選択や行動が次の展開を引き起こし、それがさらに物語を進展させる形で描かれるべきです
- 因果関係が曖昧だと、物語は偶然性に依存したものになり、説得力を失います
- 2. 時間的連続性(Temporal Coherence)
- 出来事が時間軸に沿って順序立てて進行すること
- これにより、観客は物語の流れを直感的に理解できます
- フラッシュバックや非線形構造を用いる場合でも、全体として時間的な整合性が取れている必要があります
- 3. キャラクターの一貫性(Character Consistency)
- キャラクターの行動や選択が、その性格や背景に基づいて説明可能であること
- これにより、キャラクターが物語内でリアルに感じられます
- 4. 設定と世界観の整合性(Internal Logic)
- 物語内のルールや設定が矛盾なく守られること
- 特にファンタジーやSFでは、この要素が重要です。不自然な展開や設定破綻は観客の没入感を損ないます
- 5. テーマとの関連性(Thematic Coherence)
- ストーリー展開がテーマと結びついていることも、一貫性を保つために重要です
- テーマがストーリー全体を統合する役割を果たします
ストーリーの一貫性を保つための工夫
- 1. プロット設計
- 出来事をリスト化し、それぞれがどのように因果関係でつながるか明確化します
- これにより、無駄なエピソードや矛盾を排除できます
- 2. 伏線と伏線回収
- 前半で提示した伏線を後半で回収することで、物語全体に統一感と満足感を与えます
- 3. キャラクターアーク(成長曲線)の設計
- キャラクターが物語中で成長したり変化したりする過程が自然であること
- これにより、キャラクターとストーリーの一貫性が強化されます
- 4. リライトと検証
- シナリオ完成後、各シーンや出来事が因果関係によってつながっているか確認し、不必要な要素や矛盾点を修正します
ストーリーの一貫性が欠ける場合
- 因果関係が不明確で、「なぜその出来事が起こったか」が説明されない
- キャラクターの行動がその設定や背景と矛盾している
- 世界観や設定内で提示されたルール (→内部論理) が途中で破られる
- 時系列や出来事間の整合性が取れていない
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最終更新:2025年01月28日 23:51