フィルタリング

フィルタリング(選択的情報提供)


フィルタリング(選択的情報提供)は、心理戦における情報操作の基本的なテクニックの一つで、相手に伝える情報を意図的に選択し、特定の結論や行動を促す方法です。
この手法では、事実そのものを歪めるわけではなく、必要な部分だけを強調したり、不都合な部分を隠すことで相手の認識を操作します。


概要

フィルタリングの特徴
1. 部分的な情報提供
  • 全体の情報の中から、自分に有利な部分だけを相手に伝え、不利な部分は隠します
  • 例: プレゼンで成功事例のみを強調し、失敗事例は触れない
2. 相手の認識を誘導
  • 相手が「全ての情報を得た」と錯覚するように仕向けることで、特定の結論や行動を促します
  • 例: ギャンブルで「自分が勝ち続けている」と見せかけて相手を焦らせる
3. 事実は真実であるが全体像は見えない
  • フィルタリングでは伝える情報そのものは事実であるため、一見すると嘘や誤魔化しではないように見えます
  • しかし、全体像が欠けているため、相手が誤解する可能性が高まります

フィルタリングの目的
1. 認識の偏りを生む
  • 相手が状況を正確に把握できず、特定の方向へ偏った判断を下すよう誘導します
2. 自分に有利な結論を引き出す
  • 相手が誤った判断や行動を取ることで、自分が有利な立場に立つことができます
3. リスクや弱点の隠蔽
  • 自分の不利な要素やリスクを隠し、相手に安心感や油断を与えます

フィルタリングの使い方
1. 成功例やポジティブな要素だけを強調する
  • 営業トークで「この商品は非常によく売れている」と言う一方で、「返品率が高い」という事実には触れない
  • 相手に「この商品は信頼できる」と思わせることができる
2. 不利な情報やリスクを隠す
  • ギャンブルで「自分は過去に大勝ちした」とだけ伝え、「負けた経験」は伏せる
  • 相手に「この人には勝てない」と思わせ、プレッシャーを与える
3. 情報量を制限して選択肢を狭める
  • 交渉で「この条件しか選べない」と伝え、本当は他にも選択肢があることを隠す
  • 相手に「これしか選べない」と思わせ、条件を受け入れさせる

フィルタリングの心理戦としての効果
1. 相手の冷静さと判断力を奪う
  • 不完全な情報しか与えられないため、相手は冷静な判断ができなくなります
2. 自信過剰または不安感を与える
  • ポジティブな情報だけ提供すると相手に安心感や油断を与え、不利な行動につながります
  • 一方、不安感や恐怖心も引き起こせまる
3. 信頼感と説得力の向上
  • フィルタリングでは事実そのものは真実であるため、一見すると信頼性が高く説得力があります

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最終更新:2025年02月01日 19:20