論点先取

論点先取(ろんてんせんしゅ)

論点先取(英語: Begging the Question / Petitio Principii)は、本来証明すべき結論を、すでに前提として用いてしまう詭弁です。
一見すると論理的に見えますが、実際には「結論を前提にして結論を導く」という循環論法になっていて、議論として成立していません。


概要

論点先取は 「証明すべきことを証明済みとして扱うことで、結論を成り立たせたように見せる詭弁」 です。
特徴
  1. 結論を前提に含んでいる: 論理の出発点がすでに結論を前提にしている
  2. 循環論法の一種:「結論 → 前提 → 結論」という堂々巡りになる
  3. もっともらしいが空虚: 聞き手に「筋が通っているように見える」錯覚を与える
・例)
  • 宗教的議論「神は存在する。なぜなら聖書にそう書いてある。聖書は神の言葉だから正しい」→ 「神の存在」を証明するために「神の言葉(聖書)」を前提にしている
  • 教育の議論「宿題は必要だ。なぜなら、宿題をすることは教育にとって大事だからだ」→ 「宿題が大事」という結論をそのまま前提にしている
  • 政治の議論「この政策は国民のためになる。なぜなら国民にとって良い政策だからだ」→ 「良い政策」というラベルを先に貼ってしまっている
問題点
  • 論証が循環しており、外部的な根拠を欠く
  • 議論の説得力を見かけ上強化するが、実質は空論
  • 学問的な議論・宗教論争・政治演説などでしばしば用いられる
見抜き方・対処法
  1. 前提と結論が同じことを言っていないか?
  2. 結論を支える独立した根拠があるか?
  3. 「なぜそうなのか?」をもう一段掘り下げることで循環を見破る

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最終更新:2025年09月21日 10:43