詭弁
「詭弁(きべん)」とは、一見するともっともらしいが、実際には道理に合わない議論や言い逃れの論法を指す言葉です。
概要
- 主な特徴
- 論理のすり替え:質問や論点をうまくすり替えて、あたかも答えているように見せかける
- 言葉の巧妙さ:相手を煙に巻いたり、言葉遊びのようにして説得力があるように装う
- 真実からの逸脱:正しい推論に基づかず、相手を誤導したり、自分の立場を守るために用いる
- 例
- 「それを証明できないなら、私の言っていることが正しい」→ 証明の有無と主張の正しさをすり替えている。
- 「皆がやっているから正しい」→ 多数派であることと正当性を混同している。
- 関連する言葉
- 詭弁論法:古代ギリシャのソフィストがよく使ったとされる議論技法
- 強弁:筋が通らないのに押し通そうとする態度
- 屁理屈:日常的に使われる「詭弁」のくだけた表現
SNSでよく使われる詭弁
SNSで目立つ詭弁は、大きく分けて以下のパターンに整理できます。
- 論点をすり替える
- 選択肢を狭めて極端に見せる
- 統計・因果を誤用する
- 根拠を循環させる
- 規範や自然を誤って持ち出す
- 権威や感情で押し切る
- 個人攻撃や連座で潰す
- 1. 論点の歪曲・すり替え系
- ストローマン論法(藁人形論法):相手の主張を誇張・改変し、存在しない「藁人形」を叩いて勝ったように見せる
- 論点のすり替え: 本題から外れた話題を持ち込み、議論をズラす
- お前だって論法(おまゆう): 相手の主張に触れず、相手の過去の行動を突いて反論した気になる
- 2. 二分化・極端化系
- 誤った二分法(白黒思考): 実際は多様な選択肢があるのに、二択しかないと見せかける
- スリッパリー・スロープ (滑り坂論法): 「これを認めたら際限なく悪化する」と根拠なく未来を極端に描く
- 3. 統計・因果の誤用系
- 早まった一般化: 少数の事例から全体を断定(「男はみんなDVだ」など)
- バリエーション:チェリーピッキング(都合の良いデータだけ使う)
- 合成の誤謬: 部分が正しいから全体も正しいと決めつける
- 分割の誤謬: 全体が正しいから部分も正しいと決めつける
- 前後即因果の誤謬: 時系列の前後関係を因果関係と誤解する
- 4. 論理の循環・根拠不足系
- 論点先取: 結論をそのまま理由に使う(「彼は正直者だから本当のことを言う」)
- 循環論証: 複数の根拠を並べているように見せて、最終的に堂々巡り
- 未知論証(無知に訴える論証): 「証明できない=存在する」など、証明責任を逆転させる(悪魔の証明)
- 5. 規範・価値の誤用系
- ヒュームの法則: 「ある」から「べき」を導く(事実→規範の誤り)
- 自然主義的誤謬: 「自然だから善い」と決めつける
- 6. 権威・多数・感情への訴え系
- 権威論証: 権威者が言ったから正しい、とする
- 多数派論証: 多数が信じているから正しい、とする
- 同情論証: 同情や罪悪感などの感情に訴えて主張を通そうとする
- 7. 攻撃・印象操作系
- アド・ホミネム(人身攻撃): 主張ではなく発言者そのものを攻撃
- 連座の誤謬: その主張を支持している人物の印象を利用して否定する
- 8. おまけ(詭弁ではないが似た技法)
- トートロジー(同語反復): 「よそはよそ、うちはうち」など同じ意味を繰り返すレトリック
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最終更新:2025年09月21日 10:48