ゲーム理論
ゲーム理論は、複数の意思決定主体が互いに影響を与え合う状況を分析するための数学的手法です。
物語では、キャラクターをプレイヤーと見立て、それぞれの選択が他のキャラクターやストーリー全体にどのような影響を与えるかを考察することができます。
関連用語
- 囚人のジレンマ: 個人の利益を追求する行動が集団全体の利益を損なう状況を説明するもの
- ナッシュ均衡: すべての参加者が自らの利得を最大化するために最適な戦略を選択し合っている状態
- パレート最適: 資源が無駄なく配分され、他の誰かの効用を犠牲にせずには他の誰かの効用を高めることができない状態
- 非協力ゲーム: プレイヤー間で拘束的な合意が成立しない戦略的状況
囚人のジレンマは、ゲーム理論の代表的なモデルであり、物語創作でもよく使われます。このモデルでは、共犯者である2人の囚人が別々に尋問され、自白するか黙秘するかという選択を迫られます。両者が協力(黙秘)すれば最も軽い刑で済むものの、
裏切り(自白)によって自分だけが得をしようとする動機が働きます。
このジレンマは、キャラクター間の信頼や裏切りを
テーマにした物語で活用できます。例えば、犯罪者同士が互いに裏切ることで自分だけが利益を得ようとする状況や、信頼関係を築こうとする試みなど、緊張感と葛藤を生み出す要素として取り入れることができます。
物語創作への具体的な応用
- 対立構造の設定
- キャラクター間で利害が対立する状況を設定し、それぞれの選択肢とその結果を考慮します
- これにより、キャラクター間の駆け引きや心理戦が描かれます。
- 協力と裏切りのテーマ
- 囚人のジレンマのような状況で、協力することによる利益と裏切ることによるリスクを描写します
- これにより、キャラクター同士の関係性が深まり、物語に厚みが加わります
- 繰り返しゲーム
- 短期的な利益よりも長期的な関係性や結果を重視するストーリー展開も可能です
- 繰り返しゲームでは、一度裏切った相手との信頼回復や、新たな協力関係の構築なども描けます
作品例
ゲーム理論をテーマにした作品は、キャラクター間の対立や協力関係を描く際に非常に効果的です。
- 『ビューティフル・マインド』
- この映画は、ゲーム理論を提唱したジョン・ナッシュの人生を描いています
- ナッシュ均衡という概念が登場し、彼の研究がどのようにして社会や経済に影響を与えたかが描かれています
- 『ダークナイト』
- この映画では、ジョーカーがバットマンとゴッサム市民に対して一種の囚人のジレンマを仕掛けます
- 2隻のフェリーに乗った市民と囚人が互いに爆破装置を持ち、相手を爆破するかどうかの選択を迫られるシーンがあります
- これは、各グループが自分たちの安全を確保するために相手を犠牲にするかどうかというジレンマを描いています
- 『プリズン・ブレイク』
- 囚人たちが脱獄計画を進める中で、互いの信頼と裏切りがテーマとなっています
- 特に、各キャラクターが自己利益と集団の利益との間でどのようにバランスを取るかが重要な要素です
- 『ハンガー・ゲーム』シリーズ
- このシリーズでは、生存競争という極限状態で参加者たちが協力と裏切りの選択を迫られます
- 特に、参加者同士がどのように同盟を組み、また裏切るかという点でゲーム理論的な要素が見られます
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最終更新:2024年12月19日 09:34