闇堕ち

闇堕ち


「闇堕ち(やみおち)」とは、もともと善良で正義感の強い人物が、何らかの出来事や精神的な負担をきっかけに、悪の側や敵側へと転じてしまうことを指す言葉です。
ゲームなどの創作作品で使われることが多く、ストーリー展開の一つとして定番化しています。 (→正義を追求しすぎて凶悪化したキャラクター)


作品例

多くの作品で登場する「闇堕ち」キャラクターは、物語を盛り上げる要素として重要です。代表的なキャラクターには以下が挙げられます:
ダース・ベイダー『スター・ウォーズ』
  • かつては正義感あふれる若者だったが、ダークサイドに引き込まれた
うちはサスケ『NARUTO』
  • 家族を失い、復讐心から敵側に転じた
夜神月『DEATH NOTE』
  • 正義感から始まった行動が次第に歪み、独裁的な存在へと変貌した

ダースベイダー『スターウォーズ』

ダース・ベイダーの「闇堕ち」は、かつて善良で有望なジェダイだったアナキン・スカイウォーカーが、愛する者を守りたいという強い欲望と恐怖に駆られ、フォースの暗黒面(ダークサイド)に引き込まれてしまう過程を指します。彼の転落には複数の要因が絡んでおり、以下にその詳細を説明します。
アナキンの背景と葛藤
  • アナキンは幼少期から「選ばれし者」としてフォースに特別な才能を持ち、ジェダイ騎士団で訓練を受けました
  • しかし、彼は常に内面に不安や恐怖を抱えており、特に母親シミの死や、恋人であるパドメ・アミダラへの愛が彼の心に大きな影響を与えました
  • ジェダイの教えでは感情を抑えることが求められていましたが、アナキンはこれに従うことができず、次第に感情的な葛藤が深まっていきます
闇堕ちの決定的な要因
  • アナキンの闇堕ちは、彼がパドメが出産時に死ぬという予知夢を見ることから加速します
  • この夢によって彼は強い恐怖を抱き、その恐怖から「死さえも克服できる力」を求めるようになります
  • この時、共和国の最高議長パルパティーン(実はシスの暗黒卿ダース・シディアス)は、アナキンに暗黒面の力ならばパドメを救えると誘惑しました
  • さらに、ジェダイ評議会への不信感もアナキンを追い詰めました
  • 評議会はアナキンにパルパティーンを監視するよう命じましたが、アナキンは評議会が自分を信頼していないと感じ、不満を募らせていきます
  • また、師匠であるオビ=ワン・ケノービとの関係も次第に悪化し、自分が孤立しているという感覚が強まっていきました
シディアスへの忠誠とダース・ベイダーへの変貌
  • 最終的に、アナキンはシディアスの誘惑に屈し、マスター・ウィンドゥとの対決でウィンドゥの腕を切り落とすという決定的な行動を取ります
  • この瞬間に彼は完全に暗黒面へと堕ち「ダース・ベイダー」という新たな名を与えられます
  • その後、彼はシディアスの命令でジェダイ殲滅作戦「オーダー66」を実行し、多くのジェダイや無垢な若者たちまでも手にかけました
ムスタファーでの敗北とサイボーグ
  • ベイダーとして暗黒面に堕ちたアナキンは、その後ムスタファーでオビ=ワンと壮絶な戦いを繰り広げます
  • しかし、この戦いで敗北し、四肢を失い全身火傷を負います
  • シディアスによって救出されたものの、彼はサイボーグとして再生され、生涯黒い装甲服と生命維持装置に頼ることとなりました
結末
  • こうして完全に暗黒面へと堕ちたアナキン・スカイウォーカーは「ダース・ベイダー」として銀河帝国の恐怖政治を支える存在となりました
  • しかし、その内面には常に苦悩と絶望が渦巻いており、その後息子ルークとの出会いによって最終的には光明へと戻ることになります

このように、ダース・ベイダーへの闇堕ちは愛する者への執着や恐怖、不信感など複数の要因が複雑に絡み合った結果でした。
カテジナ・ルース『機動戦士Vガンダム』
カテジナ・ルースは『機動戦士Vガンダム』に登場するキャラクターであり、彼女の「闇堕ち」の特徴は、物語の進行とともに徐々に精神的に崩壊し、冷酷な戦士へと変貌していく過程にあります。その特徴を以下のポイントで説明します。
1. 戦争への嫌悪から敵側への転向
  • カテジナは当初、戦争や暴力に対して強い嫌悪感を抱いていました
  • 特に、子供たちが戦争に巻き込まれることに対して反発し、主人公ウッソがモビルスーツパイロットとして戦うことにも不満を持っていました
  • しかし、ザンスカール帝国のクロノクル・アシャーに誘拐され、その後敵側の理念に共感し、次第にザンスカール帝国の一員として戦うようになります
  • 彼女は敵側のパイロットとなり、ウッソたちと対立する立場へと転じます
2. 精神的崩壊と狂気への傾倒
  • カテジナの「闇堕ち」は、単なる敵側への転向ではなく、精神的な崩壊を伴っています
  • 彼女はクロノクルとの関係やザンスカール帝国での地位を通じて次第に冷酷さを増し、戦争の狂気に取り憑かれていきます
  • 特に終盤では、ウッソやシャクティへの憎悪が強まり、個人的な復讐心による私闘へと変質していきます
  • 彼女はクロノクルにも失望し、最終的には誰にも頼れず孤立しながらも、自らの狂気を深めていきました
3. 冷酷な行動と残虐性
  • カテジナは物語後半で数々の冷酷な行動を取ります
  • 彼女はシュラク隊を単機で全滅させ、ウッソの母親を捕獲するなど、多くのキャラクターに対して無慈悲な行為を繰り返します
  • さらに、水着姿の女性部隊(ネネカ隊)をウッソにぶつけるなど、精神的な揺さぶりをかける卑劣な手段も用います
  • このような行動は、かつてのお嬢様然とした姿からは想像できないほど残虐であり「闇堕ち」の象徴的なシーンとなっています
4. 最終的な破滅と孤独
  • 最終決戦では、カテジナはウッソとの直接対決に臨みますが、その時点で彼女の精神は完全に崩壊しており、自分自身すら制御できない状態でした
  • 彼女はウッソをだまし討ちしようとするなど最後まで冷酷さを見せますが、最終的には敗北し、生き延びたものの視力と記憶を失った状態で物語を終えます
  • この結末は、彼女が全てを失った孤独な存在として描かれ「闇堕ち」キャラクターとしての破滅的な運命を象徴しています
5. 理解されない悪役としての立場
  • カテジナは「ガンダム三大悪女」の一人として知られていますが、その理由は彼女の行動が視聴者から理解されづらい点にあります
  • 彼女は単なる敵役ではなく、その行動や動機が複雑でありながらも感情移入が難しいキャラクターです
  • このため、多くの視聴者から嫌われる存在となりましたが、その裏には深い孤独や自己実現欲求があったとも考えられます

カテジナ・ルースは「闇堕ち」キャラクターとして、精神的崩壊や狂気への傾倒、冷酷な行動によって物語全体で強烈な印象を残しました。彼女の変貌は単なる豹変ではなく、自身の内面や環境によって徐々に追い詰められた結果として描かれており、その悲劇性が際立っています。


仙水忍『幽☆遊☆白書』

仙水忍の「闇堕ち」は、彼の強すぎる正義感と純粋さが、ある事件をきっかけにして大きく歪んでしまった結果です。
霊界探偵としての仙水忍
  • 仙水は生まれつき強い霊力を持ち、高校生の時に霊界探偵として任命されました
  • 彼は「妖怪=悪」「人間=善」という単純な価値観を持ち、弱者を守るために妖怪と戦うことが自分の使命だと信じていました
  • その正義感は非常に強く、潔癖なまでに「善悪」を区別する人物でした
闇堕ちのきっかけ:人間の残虐性との遭遇
  • 仙水が闇堕ちする決定的な出来事は、彼が霊界探偵として最後に担当した任務中に起こりました
  • 彼は妖怪を倒すために向かった先で、人間が無力な妖怪たちを拷問し、虐殺するという極めて残酷な光景を目撃します
  • この「悪の宴」と呼ばれる場面では、人間たちは妖怪を吊り下げて苦しめ、その血で風呂を楽しむなど、あまりにも非道な行為に耽っていました
  • この光景を目の当たりにした仙水は「人間=善」という信念が完全に崩壊し、人間そのものへの不信感と憎悪が芽生えました
  • 彼はその場で錯乱し、人間たちを皆殺しにしてしまいます
  • この事件が彼の精神に深い傷を残し、次第に人間不信へと陥っていきました
多重人格と精神崩壊
  • 事件後、仙水はその精神的な苦痛から逃れるために、多重人格障害(解離性同一性障害)を発症します
  • 彼の中には7つの別人格が生まれ、それぞれが異なる役割や性格を持っていました
  • これらの人格は、仙水が直面する状況や精神的負担によって切り替わるようになり、彼自身も自分を制御できなくなっていきます
魔界への憧れと最終的な目的
  • 仙水は次第に、人間よりも妖怪や魔界への憧れを強めていきます
  • 彼は「魔界の扉」を開くことで、人間界と魔界を繋ぎ、世界そのものを変えようと企てます
  • この計画は、自身の余命が短いこともあって焦りから加速していきました
  • 最終的には幽助との戦いで敗北し、死ぬ間際には「次こそ魔族に生まれますように」と言い残して息絶えます

仙水忍の闇堕ちは、純粋すぎる正義感と、それによって生じた極端な価値観の崩壊によるものです。人間の醜悪さを目撃したことで、「人間=善」という信念が打ち砕かれ、人間不信から妖怪側へと転落していきました。その結果、多重人格者となり、自分自身さえも制御できなくなった仙水は、最終的には破滅への道を歩むことになりました
茅野カエデ『暗殺教室』
茅野カエデ(本名:雪村あかり)は、漫画『暗殺教室』に登場するキャラクターで、彼女の「闇堕ち」にはいくつかの特徴があります。以下にその詳細を説明します。
背景と動機
  • 茅野カエデは、普段は明るく元気なクラスメイトとして振る舞っていますが、実際には暗殺対象である殺せんせーへの強い復讐心を抱いています
  • 彼女の本当の正体は、殺せんせーによって命を落とした姉・雪村あぐりの妹であり、姉の死の真相を知ったことで、殺せんせーを恨むようになりました
  • この復讐心が彼女の「闇堕ち」の主要な動機です
1. 復讐心による変貌
  • 茅野カエデは、姉を失った悲しみと怒りから、殺せんせーに対して強い憎悪を抱きます
  • その結果、彼女は殺せんせーを暗殺するために自らも暗殺者としての訓練を積み、E組に潜入します
  • この復讐心が彼女を「闇堕ち」させる最大の要因となっています
2. 冷静な計画性と隠された本性
  • 彼女は普段、明るく無邪気なキャラクターとして振る舞いながらも、その裏で冷静に暗殺計画を進めていました
  • この二面性が茅野カエデの「闇堕ち」キャラとしての大きな特徴です
  • 彼女は長期間にわたって自分の本当の目的を隠し続け、最終的には自らの命を賭けてでも復讐を果たそうとします
3. 自傷的な覚悟
  • 茅野カエデは、自分自身に触手(殺せんせーと同じ力)を移植し、その力で殺せんせーに挑むという極端な手段に出ます
  • この行動は、自身の体や命を犠牲にしてでも目的を達成しようとする強い意志と覚悟を示しており、「闇堕ち」キャラクターとして非常に象徴的です
4. 最終的な救済
  • しかし、茅野カエデの「闇堕ち」は完全ではなく、最終的にはクラスメイトや殺せんせーとの交流によって救われます
  • 彼女は自分が抱えていた憎しみや悲しみから解放され、再び元の明るい性格へと戻ります
  • この点で、彼女の「闇堕ち」は一時的なものであり、完全には悪へと転落しないという特徴があります

茅野カエデの「闇堕ち」は、復讐心から始まり、自ら触手を移植するなど極端な行動に出ることで表現されています。しかし、その根底には姉への愛情や深い悲しみがあり、一時的に悪へと転じたものの、最終的には仲間たちとの絆によって救われます。このように、茅野カエデは「闇堕ち」キャラクターでありながらも、その過程や結末には人間味あふれるドラマが描かれています。

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最終更新:2025年01月21日 00:36