嫌悪感
嫌悪感とは、人や物に対して感じる強い不快感や嫌悪の感情を意味する言葉です。
苦手な人と関わりたくないという気持ちや、嫌いなものをできるだけ遠ざけたいという気持ちがまさに「嫌悪感」です。
物語創作における嫌悪感
嫌悪感の役割
- 1. キャラクターの対立を強調
- 嫌悪感を抱かせるキャラクター(悪役や敵役)は、主人公との対立構造を明確にし、物語を盛り上げる役割を果たします
- 読者が「このキャラクターは許せない」と感じることで、主人公への共感や応援が強まり、ストーリーへの没入感が高まります
- 2. 物語の緊張感とカタルシスの提供
- 嫌悪感を伴うキャラクターや出来事は、読者にストレスを与えますが、それが解消される瞬間には大きなカタルシス(解放感)を生み出します
- 特に、嫌われるキャラクターが報いを受ける場面は、読者に爽快感を与えることがあります
- 3. テーマや価値観の掘り下げ
- 嫌悪感を通じて、人間の弱さや社会的な問題など深いテーマに迫ることができます
- 例えば、不快な行動や状況を描くことで、読者に道徳的な問いかけを投げかけたり、社会批判的な視点を提供したりすることが可能です
嫌悪感を利用したキャラクター作り
- 1. 悪役の設計
- 悪役は単なる「悪」ではなく、人間の弱さや嫉妬など普遍的な感情から行動することでリアリティと深みが増します
- 読者に「こいつ嫌だな」と思わせるキャラ作りが重要です
- ただし、悪役にも一貫性や信念を持たせると、「嫌われつつも魅力的」な存在となり、物語全体の質が向上します (→マスターマインド)
- 2. 嫌われキャラの振る舞い
- 読者との距離感が重要です。現実的で身近な悪事(例:裏切りや不正)は読者に強い嫌悪感を抱かせます
- 一方で、非現実的すぎる悪事(例:大量虐殺)は逆に遠く感じられるため、効果が薄れる場合があります
- 3. 悲しい背景とのバランス
- 悪役に悲しい過去や動機を持たせることで同情心を引き出す手法もあります
- ただし、それだけでは読者の嫌悪感は払拭されません (→ヘイト管理)
- その背景と行動とのギャップを丁寧に描写する必要があります
嫌悪感と物語全体への影響
- 1. 自己嫌悪と主人公の成長
- 主人公自身が自己嫌悪に陥る描写は、その人間性を深め、読者に共感させる効果があります
- ただし、自己嫌悪ばかりだと物語が暗くなりすぎるため、その後の成長や克服が重要です
- 2. 表現技法による調整
- 嫌悪感は表現技法によってもコントロールできます
- 例えば、不快なシーンでもオノマトペや視覚的工夫で和らげたり強調したりすることが可能です
- 3. 道徳的テーマとの結びつき
- 嫌悪感は道徳的逸脱への反応としても機能します
- これにより社会秩序や倫理観について考えさせられる物語となります
注意点
- 過剰な不快表現は読者離れにつながる可能性があります。そのため、不快さと物語性とのバランスが重要です。
- 作者自身がキャラクターに過度に同情すると、物語全体の焦点がぼやけてしまう危険性があります
総じて、「嫌悪感」は物語創作において強力なツールですが、その使い方次第で作品の魅力を大きく左右します。適切に活用することで、読者の心を掴む深い物語を作り上げることができるでしょう。
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最終更新:2024年12月30日 19:38