アレス
アレス(Ares)は、
ギリシア神話における戦争の神であり、
オリュンポス十二神の一柱です。彼は戦争の暴力的で破壊的な側面を象徴し、しばしばその残忍さや血生臭さを体現する存在として描かれます。
アレスの概要
アレスはギリシア神話において最も物議を醸す存在の一つです。その暴力性や残忍さから多くの神々や人間から嫌われましたが、一方でその勇猛さや美しい容姿も評価されています。彼は戦争という
テーマにおいて、人間性の光と影を浮き彫りにする存在と言えるでしょう。
- 親
- ゼウス(神々の王)とヘラ(結婚と家庭の女神)の息子
- 象徴
- 性格
- 崇拝地域
- ギリシア全土ではあまり人気がなく、特にスパルタやトラキア地方で崇拝された
- ローマ神話での対応神
- マルス(Mars)。ローマではより尊敬される存在として描かれました
- 戦争の象徴としての役割
- アレスは戦争そのものを体現し、その暴力的で予測不能な側面を象徴します。彼は戦略や知恵を伴う戦争を司る女神アテーナー(アテナ)とは対照的で、純粋な力と破壊への欲望を表現します。
- 家族と関係
- アレスはゼウスとヘラの息子ですが、両親からもあまり好かれていませんでした。特にゼウスは彼の粗暴さや無分別さを嫌っていました
- アフロディーテとの関係が有名で、二人の間には「恐怖(フォボス)」と「恐慌(デイモス)」などの子供がいます。また、「調和(ハルモニア)」も彼らの娘とされています
- 戦場での描写
- アレスは戦場ではしばしば恐怖や混乱を伴う存在として描かれます
- 『イーリアス』ではトロイア側につきますが、しばしば敗北や屈辱を味わい、他の神々や英雄たちから軽蔑されることもあります
主な神話
- 1. アフロディーテとの不倫
- アレスは鍛冶の神ヘーパイストスの妻アフロディーテと不倫関係にありました。この関係が発覚した際、ヘーパイストスは二人を罠にかけて他の神々に晒すという屈辱的な罰を与えました。
- 2. 巨人たちによる捕縛
- 双子の巨人オトスとエピアルテスによって捕らえられ、青銅の壺に閉じ込められたことがあります。一年後にヘルメスによって救出されました。
- 3. ヘラクレスとの戦い
- ヘラクレスがデルフォイへの巡礼者を襲撃していたアレスの息子キュクノスを殺害した際、激怒したアレスはヘラクレスと戦います。しかし、この戦いでも敗北しました。
- 4. トロイア戦争
- トロイア戦争ではトロイア側につきますが、ギリシア軍側についた女神アテナによって打ち負かされるなど、不名誉な場面が多く描かれています。
崇拝と文化的影響
- アレスはギリシアではあまり人気がなく、その破壊的な性質から多くの都市国家で嫌われていました
- ただし、軍事国家であるスパルタやトラキア地方では重要視されました
- アテネには「アレオパゴス」という丘があり、ここで裁判や議論が行われました。この地名はアレスに由来しています
- ローマ神話では「マルス」として再解釈され、農業や平和とも結びつけられるなど、より尊敬される存在となりました
- 象徴と解釈
- 槍、盾、兜。聖鳥としてハゲワシやフクロウも関連付けられています
- アレスは無秩序な暴力や破壊を象徴する一方、人間社会における戦争という避けられない現実も体現しています。そのため、多くの場合「必要悪」として描かれることが多いです
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最終更新:2025年01月15日 22:36