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  • セブンスカラー 十八話 親子

創作女児小学生ズ@wiki

セブンスカラー 十八話 親子

最終更新:2021年10月05日 07:21

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だれでも歓迎! 編集

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更新日:2021/10/05 Tue 07:21:35

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セブンスカラー






今回のあらすじを担当するアルレシャ様だ。前回は会議の末復活させたレグルスのやろ…あ?何?そっちは聞いてねぇ、だと?
舐めてやがるなテメェ。チッ、外野がうるせぇから早めに済ませるぞ。
前回はカストルのやつが新月の野郎共と戦っていると突然乱入してくる黒い影。ソイツは黒鳥って奴の父親を名乗り、そして黒鳥の反応から只事じゃねぇって思った話だ。
さぁてこっからどうなる第十八話!

「アンタが…黒鳥の親?」
目の前の黒い機械人形を見ながら雪花が呆然と呟く。最初こそ、雪花のように生身の人間がパワードスーツを着込んでいるのかと思ったが、今目の前にいる存在からは生き物が持つ熱というものを全く感じない。
感じるのは底冷えするかのような冷たさだ。
「親って言ったって、黒鳥アンタ随分と変わった…」
親と名乗る異質な存在に雪花が困惑しながら振り返ると、黒鳥は機械人形をこれでもかと瞳孔を見開いて見つめたままガタガタと震えて目に見えて顔が青ざめ、まるでマラソンでも走った後かとの如く息が乱れていた。
見たこともない黒鳥の様子に雪花は思わずギョッとする。
「ちょ、黒鳥アンタ大丈夫…?」
「う、嘘だ。なんで、あなたが、死んだ、って、」
まるで幽霊でも見るかのように黒鳥が言葉を絞り出す。
『お前がすべきはそんな些末事を気にすることか?』
機械人形が黒鳥にそう言った瞬間。
「む〜し〜す〜る〜な〜」
やたらと間延びする声を上げながらドタドタとメンカルが機械人形に襲いかかる。
だが彼はスッと腕を上げると腕に付いている手甲型の武器をメンカルに向ける。そしてピカッと光ったかと思うと放たれた光はメンカルへと着弾し、怪物を倒れさせる。
「し〜び〜れ〜」
その言葉通り痺れているのか痙攣するメンカルに追撃を加えようとさらに手甲を向けると。
『!』
「おぉ、と。そうはいかないヨ?」
横から飛んできたヨーヨーを人形はスッと一歩引いてかわす。カストルはそれも予測済みと言わんばかりに素早く指を動かす。そしてその動きに同調するように複雑な軌道を描きながらヨーヨーが人形に迫る。
人形は手甲から光…厳密には電撃を放ちながらヨーヨーを迎撃しつつ、動き回って攻撃をかわす。
「ふふっ、やる、やるねぇ。ここまでかわすなんて思わなかったヨ!」
カストルが上機嫌に笑いながらさらにヨーヨーを操作しようと指を動かした瞬間。
ドォンと椅子を蹴っ飛ばしながら先程メンカルに吹っ飛ばされた赤羽は立ち上がると地面を蹴って素早くカストルとの距離を詰めると人形に注力していたせいで手薄になったカストルに渾身の突きを繰り出す。
「ッ!」
「うォッ!?」
間一髪気づいたカストルは首を捻ってその一撃をかわそうとするが、頬を刀が掠める。
「アッブないなぁ…!?」
流石にこの状態でのインファイトは危険と判断したのか指とヨーヨーをつないでいる糸を切り離して両手をフリーにしつつカストルは逃れようとする。
だがこの好機を逃すまいと、赤羽は一切の距離を離すことなくカストルに食らいつく。
「アタシも…!」
雪花も“マタンII”を拾い上げて赤羽に加勢しようとした瞬間、いつの間にか人形が黒鳥との距離を詰めていることに気づく。
「あ、あ…」
『…あの時から、お前は全く変わってないな。』
人形が怯える黒鳥にそう言った瞬間。まるでサッカーボールでも蹴り飛ばすように人形は黒鳥を蹴り上げた。
「かっあッ…」
「な。」
『教育し直さなければならないな。』
呻きながら倒れる黒鳥を人形は踏みつける。その光景を見た雪花は。
「な、にッしてんのよこの野郎ッ!」
雪花が“マタンII”を構え、人形に近寄ろうとした瞬間。放たれた電撃が雪花を捉える。突然の電気ショックの苦痛に雪花は悶える。しかし、それだけでは済まず、バチバチと“デイブレイク”がスパークしたかと思った瞬間、雪花は地面に倒れ伏す。
「がっ…!?」
身体が鉛を見にまとったが如く重い。指一本動かすのすらままならない雪花に人形は。
『君の装備の電子駆動部分を灼いてショートさせた。電子駆動の補助がない君にその装備は扱えない。それに。』
人形は倒れ伏す黒鳥の前髪を掴んで無理矢理引き起こす。
『これは“家族”の問題だ。』
そう言うと人形は黒鳥の顔を掴んで固定すると顔を近づける。
「あっ、い…や…」
『なんだそのザマは?私は言ったハズだ。強くなれ。強者こそが正義、強者こそ正しいのだと!!なのに何故、貴様は泣いている?泣くのは弱者だ!お前を強者にするために女すら捨てさせたと言うのに!!』
人形が一言言うたびに黒鳥の顔がクシャクシャになり、目から涙が溢れる。そこにいつもの凛々しい黒鳥はいない。いるのは恐怖に縮こまって泣いて許しを乞うだけの少女だった。
『まだ泣くか…!これも、あの。白羽とか言う小娘とつるむからだ!』
「!」
その言葉に黒鳥が一瞬反応する。だが、すぐに怯えた瞳になる。だが、人形は黒鳥の反応を見逃さなかったようで。
『──貴様、言いたいことがあるなら、ハッキリ言ったらどうだ!』
黒鳥に対して人形が手を振り上げた瞬間。ブルン!と唸り声のようなエンジン音が響いた。そして次の瞬間花壇の垣根を飛び越えて一台のロードバイクが現れたかと思うとそのまま人形に前輪を直撃させて、人形を吹き飛ばす。
『むぅ!』
予想外の不意打ちに人形は吹っ飛んで樹木に叩きつけられる。黒鳥と雪花がポカンとしている中、そのバイクからライダースーツを見にまとった女性と後ろに座っていた少女がヘルメットを脱ぐ。
「悪いけど…公衆の面前で虐待はやめてもらえるかしら?彼女達の教育に悪いわ。」
「雪花ちゃん!黒鳥さん!大丈夫!?」
そこにいたのは山形と龍香の二人組だった。ヘルメットを脱いだ山形が銃を構えると同時にすぐに変身した龍香が雪花に駆け寄ると、彼女を抱える。
「悪いわね…アイツにやられたせいで動けない…」
「事情は後で聞くけど先に謝っとく!ごめんね!」
「は?えっ、ちょ何を」
「どっせぇぇぇぇい!!」
「ちょおおおおおおおお!!?」
龍香は動けない雪花を抱えあげると思い切り雪花をぶん投げる。そして投げ飛ばされた雪花はスポン!とドアを開けていた風見の車の後部座席へと入る。
「ナイスよリコピン!」
「……アイツぜってー後で泣かす…。」
風見が親指を立てる中、雪花が一人呟く。
「赤羽!ここは一旦引くわよ!風見の車へ走りなさい!」
「…ッ!チッ」
赤羽も深追いすべきではないと判断したのか大きく刀を振ってカストルをバックステップで大きく距離を取らせるとすぐさま山形の方へと走り出す。
「おぉっと!そうは問屋が下さないヨ!」
ヨーヨーを構えたカストルが赤羽に向けてヨーヨーを投擲する。しかしそれは赤羽に到達する前に横から飛んで来た銃撃で弾き飛ばされる。
「!」
見れば赤い姿、スピノカラーに変身した龍香が“フォノンシューター”を構え、こちらに銃口を向けていた。
「逃げるわよ黒鳥!」
山形は呆然とする黒鳥を抱えると構えた銃から人形とカストル達に向けて発煙弾を発射する。
放たれたそれは地面に転がるともうもうと煙を撒き散らし、瞬く間に視界を奪う。
「…ちぇ、メンカル。ここは一旦引くよ。」
「あ〜い〜」
そう言うとカストル達も退散する。そして煙が晴れるとそこには誰もおらず、ただ戦闘の後が残る道だけがあった。
一人残されたギギ…と音を立てて人形は立ち上がると。
『飛鳥…何故、分からんのだ。』
人形は独りごちた。






戦闘から離脱して、山形達は何とか基地へと戻った。だが全員の表情は重い。
理由は山形が肩を貸さなければ歩けない程憔悴し切った黒鳥の置かれた状態だった。
(…て、言うか黒鳥さん女の人だったの!?)
(アタシに聞かないでよ!アタシもさっき知ったんだから!しかもなんか自分は女じゃないとか言うし!)
龍香と雪花はヒソヒソと黒鳥を見ながら話す。黒鳥は自分は女ではないと言うが、破れた服から見える肌や曲線からはとても黒鳥が男には見えない。
「二人とも。黒鳥にも事情があるのよ。」
山形は二人に釘を刺すように言う。しかし、あの突然乱入してきた親を名乗る人形、暴力、そしてあの黒鳥の怯え様。そこに女を拒否する発言。
どう考えても只事ではない。しかし何と声をかけるべきか二人が考えあぐねていると。
「…戦えないなら、部屋に引きこもってればいい。ボーっと突っ立てられてもいるだけ邪魔よ。」
「赤羽…!」
山形が制止しようとするが、赤羽は生気もなく虚な目をする黒鳥に続けて、言う。
「それなりに頼れるとは思ってたけど、そんなに女々しい情けない奴とは思わなかったわ。」
そう言った瞬間、ギョロッと黒鳥の目が見開いたかと思うと。
「─────────ァ!!!」
次の瞬間声にならない金切声を上げながら先程の憔悴し切った状態はどこへやら、黒鳥は赤羽の胸ぐらを掴んでそのまま壁へと押し付ける。
「ッ!?」
まさかの黒鳥の行動に赤羽も驚いたのか動けずにいる。そんな赤羽に黒鳥は鬼気迫る表情で叫ぶ。
「オマエに!オマエに何が分かるって言うの!!初めからまともに親に愛して貰えなかった痛みが!苦しみが!」
「訳の分からないお題目のために殴られて!自分を否定されて!私がどれだけ苦しんだか…!」
ポロポロといつの間にか目から涙を溢しながら黒鳥は叫ぶ。
「親にずっと愛されていたオマエに何が分かるのか、言ってみなさいよ!!えぇ!?」
「……ぁ」
「そこまでよ黒鳥。一旦落ち着きなさい。」
見かねた山形が赤羽から黒鳥を引き剥がす。茫然とする赤羽を睨みながら黒鳥はまだ足元がふらつくのか山形に寄り掛かる。
「え、…っと、あ、あー…。」
重苦しい空気が漂うこの状況で雪花が何と声をかけて良いのか話しかけあぐねていると。
「黒鳥さん。」
憔悴状態の黒鳥に龍香が話しかける。黒鳥は赤羽から龍香に視線を向ける。
「…黒鳥さんの気持ち、少しだけ、分かります。」
龍香の言葉に黒鳥は何か言いかけて、止める。彼女の身内の一件は黒鳥も知っているからだ。
「家族から殴られるのは怖くて寂しくて言葉に出来ない程辛いです…。どうしようもなくて、自分一人じゃどうにもならないと思っちゃう…。」
「………。」
龍香は黒鳥の目をまっすぐ見て、言う。
「だから、私達にその辛さを分けて貰えないですか?」
「…え」
「私は雪花ちゃんに助けて貰いました。我慢する私の代わりに怒って、別の方法を教えてくれた。だから今度は私が誰かのために出来ることをしたいんです!」
「龍香……」
「…ちょっと、頼りないかもしれないですけど。でも!きっと一人でいるよりかは…」
「…もういい…。」
「へ…」
黒鳥は山形から離れると四人に背を向けて何処かへ歩いていく。
「…しばらく、一人にさせて。」
そうポツリと言って、黒鳥はその場を後にした。
「ちょ、ちょっと偉そうだったかな…?」
《いや、別にアレで良かったと思うぜ?けどまぁアイツも気持ちの整理に時間がいるだろ。》
「えぇ。きっと龍香ちゃんの気持ちは黒鳥に届いているわ。」
説得に失敗してしまったのでは、と少ししょんぼりする龍香をカノープスと山形が慰める。
「………。」
「…赤羽も、赤羽なりに気を遣ってくれたのよね?」
「へ。」
山形の言葉に雪花が驚いたような声を上げる。山形は黙る赤羽を見て苦笑しながら。
「黒鳥に戦わせずに人形をどうにかしよう、って言ってただけだもの。最後のアレもちょっと乱暴だけど奮起してほしかったのよね。」
山形の言葉に雪花は少し引いた様子で赤羽を見て。
「え、えぇ〜…ぶ、不器用〜。言葉足らず過ぎるでしょ…。」
「…シバくわよ。」
プイッと赤羽はそっぽを向く。さっきまでの重い空気から一転、少し和やかな雰囲気になる。
しかし、山形はすぐに顎を触って思案顔をして。
「…けど、問題はアイツをどうするか、ね。電撃を扱う以上スーツに頼る藍と赤羽と相性が悪い。黒鳥は精神的に参るでしょうね。」
《…ってなると戦えるのは俺達か、龍賢って訳だが…まぁアイツの事情を考えれば今戦えるのは俺達だけだ。》
「そうね。今風見がデイブレイクを修理するついでに電気対策もしてるみたいだけどどこまで効果があるか…」
山形とカノープスの言葉に雪花と赤羽は少しバツが悪そうにするが龍香は疑問を投げかける。
「……でも。私が戦って、良いのかな?」
「は?いや、今アレと戦えるのはアンタだけって話したでしょ?」
雪花が何を言っているんだと言わんばかりに詰めると、龍香は。
「それは…そうなんだけど。……やっぱり黒鳥さんが戦って乗り越えるべきだと思う。私が倒しても、お兄ちゃんや他の誰かが倒しても…きっとそれじゃ黒鳥さんは永遠に…止まったままになっちゃうと思うから。」
「……龍香。」
「酷いことを言ってるとは思うよ。思うけど…」
龍香も本当に言ってることが正しいのか、確証は持てないようでモジモジしていると。
「…アンタの判断は、きっと正しいわよ。」
赤羽は龍香の肩にポンと手を置いてそう言うと皆に背を向けてその場を後にする。皆がポカンとする中、山形はフッと微笑むと。
「…全く、素直じゃないんだから。」







少し薄暗い部屋の中で黒鳥はベッドの上で横になり、写真を手に取る。その写真に映る幼い自分と隣にいる白髪の少女を見ながら呟く。
「シロ……私、どうしたらいいのかな…。」
白羽 レナ(しらは れな)。彼女とは親友だった。父に殴られる家に帰るのが嫌で死のうとした日に、彼女と出会った。
「ねぇ。アタシが付き合ってあげるからさ。ちょっとだけまだ、生きてみない?」
あの日のことは忘れられない。彼女に救われて、共に歩んだ日々。本当に比喩抜きで世界が変わったように思えた。
彼女を想えば、父の虐待にも耐えれた。白羽の前だけでは女に戻れた。父に言われて入った“新月”のメンバーとも仲良くなれた。そして父が失踪し、本当に幸せな時間を過ごすことが出来た。
だが、そんな幸せも長くは続かなかった。
二年前の襲撃事件……黒鳥の留守の間に起きた事件は何もかもを黒鳥から奪った。
遺体の回収すら、不可能で。彼女の最期を一目見ることも出来なかった。
残ったは寂寥感と、“新月”を支えていかなければならない重圧、そして父の教育による見せかけの男口調だった。
「……貴方といる時だけ、忘れられたのに。」
彼女がいなくなって、呪縛のように染み付いた男口調で話す自分。口を開くたびにそんな口調の自分が嫌いで仕方なかった。
ふと起き上がり、鏡の自分を見る。目は泣いて真っ赤に腫れ、髪はボサボサ、やつれた表情の自分を見て、なんだか笑いがこみ上げてきた。
「……ホント、サイテー…。」
そんな風に自嘲していると、コンコンと部屋の扉をノックされる。
「黒鳥さんいます?」
おっとりとした火元の声。返事をしようとして、でもこの酷い顔を見られるのもやだな、と逡巡していると。
「失礼しま〜す。あ、なんだいるじゃないですか。」
「…返事してないんですけど。」
自室にツカツカ入ってくる彼女を見てなんともまぁ無遠慮な人だと思っていると。
「黒鳥さんにお客様が来たから案内しただけですよ。」
「客…?」
怪訝な顔を浮かべる黒鳥に火元はどうぞーと言って後ろにいた人物を紹介する。
「!貴方は…」
「久しぶりだね、黒鳥君。二年ぶりかな?」
そこにいたのは頭に包帯を巻いてバツが悪そうにタハハと笑う中年男性、海原だった。






「あー、…どうしよ。どうしよう。飛び出したは良いけどここはどこだ…?」
キョロキョロと山道を歩きながら一人の少女…シオンは途方に暮れていた。
たまたま置いてあった広告に載っていたスイーツに興味を惹かれ、好奇心が赴くまま飛び出したは良いが、肝心の場所が分からなかった。
途中一人の女の子に助けて貰って、直感で歩いてきたがいつの間にか山道に戻っていた。
「うぇー…ここどこ…?」
若干半泣きになりながら俯いてトボトボと歩いていると、ぼすっと何かにぶつかる。
「うぇ」
悲鳴をあげ、尻餅をついた彼女がいてて…とぶつかった箇所を押さえながら何にぶつかったのか確認するために視線をあげると。
「よーやく見つけたヨ。プロキオン。」
そこには縫い合わせたかのような痕が身体の至る所にある怪物、カストルが立っていた。
ヤバいと感じたプロキオンが逃げ出すより早くカストルはプロキオンの首根っこを掴んで彼女を捕獲する。
「わー!!はーなーせー!」
「やれやれ手こずらせてくれちゃって。全く…ケーキ屋に行ったかと思って先回りしたらまさかその辺で道に迷っているなんて。」
「離せよ!バカ!ノーテンキ!ツギハギ!」
「ハッハッハッハッ。大人しくしてろクソガキ。」
カストルはそう言うと、ポイっとプロキオンを放り投げる。投げられたプロキオンは放物線を描いて地面にぶつかる……瞬間に何処からともなく飛んできた尻尾が彼女をキャッチする。
「ぐぇ。」
「あら、アタシに任せちゃっていいのかしら?」
見ればアンタレスがいつの間にかいた。カストルはフッと笑うと。
「全然いいよ。それに、ボクちょっと見たいものが出来たからサ。」
「見たいもの?」
アンタレスが尋ねると、カストルはクックックと肩を震わせて笑いながら、言う。
「親子が殺し合う最高で最低な愛憎劇って、奴をさ。」







「随分と大きくなったな。前見た時はこんなに小さかったのに。」
「私も今16ですから。」
「そうか。君ももうそんな年か。」
ミーティングルームの机を挟んで海原と黒鳥は談笑をする。そしてしばらく世間話をした後。
「…今回の件は、すまない。我々が失敗したせいで。君にはとても辛い思いをさせてしまった。」
「……。」
海原は頭を下げて謝罪する。それを聞いて黒鳥は少し顔を俯かせる。
「君は、彼を最低の父親だと思っているだろう。残念だがその認識は間違っていないのだろう。君にした所業の数々はどう考えても到底許される行為じゃない。」
俯く黒鳥を見ながら海原は続ける。
「……君の父とは古い友だ。彼のことは君よりも知っている。」
「………。」
「だからこそ。知って欲しいこともある。彼なりに、君を愛していたことも。」
「……え。」
黒鳥が顔を上げる。その時の海原の顔は微笑んでいたが、黒鳥にはとても悲しそうに見えた。






「おー。ようやく来たか。」
「シードゥス!何のつもり!?」
椅子が転がり、机が倒れている公園の中にある野外喫茶店で呑気に欠伸しながら寝っ転がるカストルを前に、龍香と赤羽が対峙する。
騒ぎを聞きつけた二人が“新月”の指示の元現場に直行すると、そこには誰かが飲み残しでもしていたのかコーヒーを啜りながら寝っ転がっているカストルとメンカルがいた。
カストルは二人が現れたのを嬉しそうに見て立ち上がり、あることに気づく。
「あれ?二人だけ?あの白いのはいいけど、黒いのがいないのは、興醒めだなぁ。」
「……黒鳥さんが狙い?」
聞いた限り、ツォディアの一人であると聞いているカストルに対して、龍香は素早く“アトロシアス”へと変身する。
赤羽も刀を構える。
「ま、君らと戦っていればいずれ来るかぁ…。」
カストルはそう言うといつの間にか掌に握っていた刃の付いたヨーヨーを素早く二人に向けて投げる。
「!」
投げられたその一撃に二人は素早く反応すると横っ飛びに跳んで回避する。
「メンカル!」
「あい〜」
メンカルは赤羽に向けて背中の穴から潮を発射して攻撃する。だが赤羽は素早く飛び上がってその一撃を回避し、さらに続いてくる攻撃も両腕装甲のアンカーワイヤーを木に向けて発射し、それを素早く巻き取ることで空中を素早く移動して避ける。
「へぇ!彼女中々器用だネ!将来はサーカス志望かな?」
「はぁ!!」
「うおっと。」
赤羽の機動に感心していると、いつの間にか接近していた龍香の一撃がカストルに迫る。
だがカストルはそれをバク宙することで回避する。
「危ない危ない。キミ達の噂はかねがね聞いてるよ。真正面からのパワー勝負じゃ、君達に勝てないこともね。」
カストルは空中できりもみしながらヨーヨーを龍香に投擲する。だが龍香はそれを剣で弾く。
カストルはその隙に地面に着地し、また何処から取り出したのか、ヨーヨーを構える。
《次から次へと。お前の方がよっぽどサーカス志望に見えるぜ。》
「ふふっ、そう褒めないでよ。照れちゃう。」
《嫌味だ馬鹿野郎。》
「ふふっ、もうちょっと遊んであげても良いけど……そうこうしてたら役者のお出ましだよ。」
「え?」
カストルがそう言った次の瞬間龍香とカストルの間に雷が落ちる。
その閃光に一瞬龍香の視界が真っ白になる。目をパチパチさせて視界が回復すると、そこには予想通りというべきか、あの黒い機械人形が立っていた。
「……シードゥス。貴様らは殲滅する。」
「おやおや、随分と嫌われてるみたい。」
機械人形が腕の手甲武器をカストルに向け、カストルもヨーヨーを構える。
まさに一触即発。二体の怪物が今まさにぶつかり合う…そう思われたその瞬間。
「…待って!!」
何処からか声がする。その声がする方に全員の視線が向かう。
「な、」
「黒鳥さん!」
赤羽が目を見開いて驚き、龍香が叫ぶ。そう。そこにいたのは戦闘用の翼を広げた黒鳥の姿だった。
「……飛鳥。少しはマシになったか?」
機械人形が黒鳥の方を見る。機械人形に睨まれ、黒鳥が目に見えて震えて、顔が青ざめている。
だが、黒鳥は首を振って自分を何とか奮い立たせると、機械人形を睨む。
「私は…今日。貴方を倒します。…貴方の“娘”!黒鳥飛鳥として!!」
黒鳥はそう言うと、翼を広げて機械人形目掛けて羽根を発射する。
放たれた羽根から腕を交差させることで身を守る。そして一旦攻撃が止むと。人形はゆらり、とゆらめくように構えを解くと。
「……飛鳥。まだ。分からんか。」
次の瞬間地面を蹴った機械人形は一瞬で距離を詰めると黒鳥に腕を振るう。
黒鳥はそれを防御するが、完全には受け切れず体勢を崩す。
「女を捨てろと!強者になれというのがまだ分からんかぁ!」
続く追撃が黒鳥を捉える。放たれた蹴りが炸裂し、黒鳥の身体が揺れる。
「ぐっ」
黒鳥が反撃に翼を振るうが機械人形はそれを何なく避けると手甲を黒鳥に向け、電撃を浴びせる。
「うわぁあああ!?」
電撃を受けて黒鳥が倒れる。だが人形は一切攻撃の手を緩めず、黒鳥へと向かう。
「ぐっ!」
黒鳥はマスクを変化させ、蜘蛛のような手甲を装備するとそこから糸を放つ。
しかし放たれた糸は避けられ、電撃で迎撃されるなどで人形には届かない。
「どうした…父を倒すと言ってそのザマか!」
繰り出された拳が黒鳥の顔面に炸裂する。黒鳥も必死になって攻撃を避けようとするが、まるで吸い込まれるかのように人形の攻撃が黒鳥を捉え続ける。
「このぉ!!」
今も蛇のマスクをつけ、尻尾を生やした黒鳥が攻撃するが全く当たらず、それどころかカウンターを喰らって地面を転がっている。
みるみる傷だらけになる黒鳥を龍香は心配そうに見つめる。
「く、黒鳥さん……!」
「ふふふ、いいね。ものすごく…面白い!やっぱ見に来て正解だったよぉ!」
「………は」
同じように戦闘を見ていたカストルは嬉しそうに手を叩いて野次を飛ばす。悲しい親子の殺し合いを嬉しそうに見るカストルの姿が、信じられなかった。
「…何を、言ってるの?」
「いや、だって見てヨォ!血の繋がった二人が殺し合ってるんだよ?なんて異常で倒錯的で悲劇的なエンターテイメント!」
カストルは表情こそ変わらないが、ニヤリと笑った──龍香にはそう感じられた。
「“お兄ちゃんと殺し合った”君なら分かるでしょ?」
「───ッ」
その言葉に。龍香の中でドス黒い何かが溢れて、頭に血が昇るのを感じた。
「オ?怒っちゃった?」
カストルは龍香の雰囲気が変わったのを感じ取ったのかヨーヨーを構えると龍香に向けて投擲する。
そして、それが龍香に直撃する直前。
「ッ!」
龍香は片方を腕を振るって粉砕し、もう片方のヨーヨーも踏みつけて破壊する。
「へ」
そして地面を蹴って一瞬でカストルの距離を詰める。
「オオオオオオオオオオ!!」
咆哮。そして次の瞬間龍香の振り上げた拳がカストルの顔面に炸裂する。
渾身の一撃が炸裂し、カストルがよろめく。さらに龍香は勢いそのまま殴り抜け、カストルを吹き飛ばす。
カストルは地面を数回バウンドし、砂埃をあげて転がりながらようやく止まる。
「……許せない。」
《龍香…。》
「あなたのような他の人の不幸を嗤って楽しむ人は絶対に許せない!!」
龍香が叫ぶ。一方の吹き飛ばされた頬を摩りながら。ゆっくりと立ち上がる。
「ふ、ふふ…イイね。一瞬だけだけど感じた君のその感情……。」
カストルはゆらりと身体を揺らしたかと思うと。ヨーヨーを龍香に向けて投擲する。しかしそれも先程と同じく龍香は難なく剣で打ち払って粉砕する。
だが、先程と違う点があるとすれば──それはカストルがヨーヨーと一緒に接近していたことだ。
「な」
龍香が迎撃するより先にカストルの繰り出した腕が龍香の頭を掴む。
「ふふっ!コピーさせて貰うよ!君のその感情!」
カストルがそう言うと、ギュン!と何かが龍香からカストルの腕を通して吸い取られるような感覚を覚える。
今まで体験したことのない未知の感覚に龍香は困惑し、動けないでいると。
《龍香!!》
カノープスの声で龍香はハッと我に帰る。そして未だ自分の頭を握るカストルに剣を振るうが、素早く頭から手を離し、後ろへと後退することでカストルはその一撃を回避する。
「ふふふ。ホントはあの黒いのが本命だったけど…思わぬ大穴見つけちゃったかな?」
「何を…!」
「ふふ。今日はこの辺で失礼させてもらうよ。また次会う時を楽しみにしててくれ!」
そう言うとカストルはヨーヨーを振るって地面を削って砂埃を巻き上げる。
砂埃が晴れると、そこにはカストルの姿は何処にもなかった。
そして龍香もアトロシアスを解除してティラノカラーに戻る。
「一体…何を。」
カストルの不気味な言動に一抹の不安を覚えて。





「ううううう!!」
「どうした!貴様の覚悟はそんなものか!」
機械人形の攻撃が頬を掠める。繰り出される一撃一撃が確実に黒鳥の身体を傷つけていく。
振り上げた一撃が黒鳥に当たり、黒鳥は地面を転がる。
(避けられない!?速度はそうでもないのに…!!)
「!バカッ!黒鳥前!」
赤羽の叫び声が聞こえる。視線を上げると目の前に手甲が迫ってきていた。
「っく!」
ギリギリ首を捻ってその一撃を顔面に貰うのは避けるが、黒鳥の右肩を手甲の刃が切り裂き、赤黒い血が噴出する。
「うおおおおおおおおお!!?」
血が噴き出る右肩を押さえながら、黒鳥は翼を振るって人形を後退させる。だが、同時に黒鳥の身体を震えが襲う。
(か……勝てない…!やっぱり私には……無理……!)
ガチガチと奥歯を鳴らして涙を零しながら黒鳥が恐怖に震えた時。
「前を向きなさい!」
赤羽の声が響く。赤羽はメンカルの攻撃をかわしながら続ける。
「アンタが攻撃を避けられないのは、呑まれているからよ!ソイツに!今、アンタは乗り越えようとしているんでしょ!?なのにここで諦めるつもり!?ここで諦めたら私、絶対アンタを許さないからね!」
赤羽の乱暴な激励。そして黒鳥の脳裏を、ふと海原と話した時のことが過ぎる。
『アイツは…天鳥は昔は多少気難しくはあったが、そこまで酷いやつじゃなかった。けど、二十年前の事件と十ニ年前の事件…妻と息子を失った事件、それが奴を歪めてしまった。』
『どちらもシードゥスによるものだ。それから奴は何かに取り憑かれたように強さを求めた。多分、君にした虐待紛いの教育も…間違っていたとは言え、君を自分のように何も失わせないように強くしたいという想いからだ。』
『我々に近づき、君を“新月”に預け、魂定着の技術を盗みだしたのもだ。……今更こんなことを他人の私から言われても信じられないだろう。許すことは出来ないだろう。けれど、これだけは…彼は彼なりに君を想い、愛していた…これだけは知っていてほしい。』
「お、おお…!」
黒鳥は歯を食いしばって唸る。海原の言う通り今更父を許すことは出来ないし、無かったことにも出来ない。
「おおおおお!」
けれどもし、もし父の真意が自分を思ってのことなら。
もう。終わらせねばならない。そう思えた。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
黒鳥が咆哮する。そしてその咆哮と共に黒鳥の身体に異変が起こる。背中からもう一対の黒翼が生え、両腕が蜘蛛の顔のような外見の爪へと変貌し、強靭な尻尾が生える。
「く、黒鳥さ…ん?」
《なんじゃありゃ…!?》
龍香とカノープスも黒鳥の変貌に呆気に取られる。
さらに黒鳥のマスクも生物的なデザインに変わり、黒鳥と融合する。まさしく怪物と化した黒鳥は一体化して嘴のようになったマスクを開いて機械人形に向かって吼える。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「ふ、は、ははは。いいぞ。イイぞ飛鳥!それでこそ…!」
嬉しそうな機械人形。そして黒鳥が今にも襲いかからんとした時。
「隙あり〜」
「きゃっ」
赤羽がメンカルの油の攻撃を受けて倒れる。そして赤羽に追撃しようとした瞬間。
「ハアアアアア!!」
黒鳥が翼を広げたかと思うと、思い切り羽ばたき、メンカルに向けて風を放つ。だがそれはただの風ではない。黒鳥の猛烈な力によって仰がれた風は、竜巻の如き荒々しさを伴ってメンカルに襲いかかる。
「うお〜!?」
竜巻によってもみくちゃにされながら空中に舞い上がったメンカル黒鳥は翼から普段よりも大きい羽根を連射する。
「ばかめ〜それはきか」
メンカルはそこまで言いかけて、気づく。本来彼の肌は油のような粘膜に覆われ、物理攻撃は効かない。だが今は先程の風により油が全て吹き飛ばされていた。
「あ、しま」
次の瞬間放たれた羽根は次々とメンカルを切り裂き、死に到らしめると、彼は空中で大爆発を引き起こす。
「す、すご…あんなに苦労してたのを一瞬で…。」
龍香と赤羽が感嘆の声をあげる中、機械人形は黒鳥の背後に回って腕を振り上げる。
「敵に背中を見せるなど!」
だが、黒鳥は強靭な太い尻尾をしならせると、それで横薙ぎにして人形を打ち据える。
「ぐっ」
吹っ飛ばされた人形の動きが突然空中で止まる。見れば人形の手には糸が巻き付いており、そしてそれは黒鳥の爪から伸びていた。
黒鳥がそれを渾身の力で手繰り寄せると、人形の身体は黒鳥の目と鼻の先まで近づく。
「オオオオオオオオオオ!!」
そして黒鳥は渾身の力で人形を殴りつけた。
渾身の力で殴られた人形は地面にめり込み、動きがぎごちなくなる。
「ふ、は。はば」
パチパチと損傷箇所から火花を飛ばす機械人形の両腕を黒鳥は持ち上げる。
「………。」
そして渾身の力を込めてその両腕を引っ張る。一瞬の抵抗があったが、機械人形の腕は悲鳴を上げながら引き千切られた。
「は、ハハハハ!ハハハハハハハハ!!イイぞ!飛鳥!今のお前は…まさしく強者だ…!」
両腕を失い、最早スクラップ寸前と化しても機械人形は笑う。
「そうだ、強くなければならない!強ければ!強くなくては!」
狂ったようにノイズ混じりに笑う最早父なのか、父を模した残骸なのか分からない機械人形を見ながら。
「……貴方のこと、海原さんから聞きました。けど、率直に言って許せない。正直今も憎い。憎くて憎くてたまらないほど許せない……!貴方が私のためだと思っていたのだとしても!」
黒鳥はそのまま機械人形の首を掴む。
「けど、貴方のことを許してしまいそうになる自分がいる…!!よくやったと褒めて欲しかった!もっと普通に愛して欲しかった!抱きしめて欲しかった!…私は、ただそれだけで良かったのに…」
「……。」
黒鳥は翼を広げると人形と自分包み隠すように畳み始める。そして人形の視界から光が消えるほんの一瞬。黒鳥は呟いた。
「さようなら、“父さん”。きっと心の何処かで貴方のこと、愛してた。」
「飛鳥──」
機械人形、──天鳥が何かを呟いた気がした。黒鳥はそれを聞いて微笑む。
そして翼の中で何かが握り潰されるような音がした。






数日後。以前事件があったスイーツ専門店に龍香、雪花、赤羽が座っていた。
「……私、まだダイエット中なんだけど。」
「いいじゃない。黒鳥の快復祝いよ。」
「……とかなんとか言いつつ、結局スイーツが食べたかっただけでしょ?」
「…まぁ、それもチョビッとあるわよ。チョビッと……」
赤羽の指摘を受け、雪花は少しバツが悪そうにするが。すぐに話題を変えようと話し始める。
「っにしても、黒鳥の奴ホントに遅いわねー…。」
《あ、露骨に話題逸らした。》
何て話をしていると。
「すまなーい。待たせたなー。」
店の入り口から黒鳥の声がする。ようやく来た、と三人は振り返り…そして固まる。
今まで黒鳥の私服はTシャツにデニム、スウェットなどボーイッシュ系ファッションだったが、今の黒鳥は父との因縁を乗り越えたのと同時にファッションセンスに革命でも起きたのかパステルカラーのゴシックロリータの服装で現れた。
「待たせたな。」
照れ照れと頬を書きながら黒鳥は席に座る。正直壊滅的に似合っていない。だが。
「ずっと前から着たかったんだ…こればっかりはシロがいても着れなかったけど…でも、今なら着れる。…夢みたいだ。長年のちょっとした夢が叶った。」
「う、うん…」
「に、似合ってるじゃない。」
「え、えぇ…驚いたわ…」
心底嬉しそうに語る黒鳥に三人はとても似合ってない…何て言い出すことは出来なかった。
三人は顔を突き合わせてヒソヒソ話し始める。
(ちょっと!どうすんのよアレ!)
(龍香アンタ言いなさいよ!あんた一番年下でしょ!?)
(無理いわないでよ!?って言うか一番歳下が優遇されるべきじゃないの!?)
なんて三人がわちゃわちゃしていると、黒鳥は何処か畏まった様子で三人に向き直り…そしてペコリと頭を下げた。
「へ」
「皆、今まで、ありがとう。こんな私についてきてくれて。こんな私を、励ましてくれて。」
「な、何よ急に畏まっちゃって…」
「…今回の一件。きっと。皆の助けが無かったら、乗り越えられなかった。藍の優しさが、龍香の支えが、赤羽の激励が無かったら…山形さん達の愛情も無かったら…きっと。」
「…あー!はいはい!分かったからやめなさいよそう言うの!何か聞いててムズムズする!」
「雪花の言う通りだわ。そもそもそう言うのは場と雰囲気ってもんがあるでしょ。」
「そーだよ時間も限られてるし、さっさと注文しよ!」
《良いのか龍香。ダイエットは?》
「……今日はチートデイってことで!」
メニュー表を見てアレでもないこれでもないと仲良さげに話す三人を見て、黒鳥はクスリと笑ってその輪に加わる。
「藍、すまないけどせっかくだから、その。スイーツをSNSに上げたいんだが。」
「アンタ結構やりたいこと多いわね!?」
そこに確かな愛情を感じながら。





ピロリンと山形の携帯に着信が入る。ふと気になった山形が携帯を見てみると、いくつかの写真が黒鳥から送られていた。
その写真を見て、山形はふふっと微笑むと。
「見て。彼女達。楽しんでるみたいよ?」
「え?そうなんスか?」
「見せてくださーい。」
「あら、ホント、皆楽しそうに笑ってるじゃない。」
山形の携帯には皆で仲良く笑顔でスイーツを食べる、四人の姿があったのだった。





誰もいない、薄暗い部屋の中で一人、カストルは唸っていた。
両手をろくろを作るように動かしながら、何かを形作る。
「ふぅ、思わぬ掘り出し物……まさか一番無さそうな子がこんなものを抱えているなんて…人は見かけによらない、そう言うことかな?」
カストルはそう言うと腕を止める。そして“完成”した作品を愛おしそうに撫でて、笑う。
「ふふっ。これで…もっと楽しくなるネ…」
カストルはそう言って作品から手を離す。カストルの視線の先、そこには赤い目をした紫の髪の少女の姿があったのだった。




To be continued…

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